マイ・ブロークン・マリコ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『マイ・ブロークン・マリコ』とは平庫ワカの漫画。webコミック誌『COMIC BRIDGE online』にて2019年7月16日から全4話の連載がスタートした。Twitterでは毎話トレンド入りし、単行本全1巻は即重版が決定する。主人公のシイノは26歳の会社員。ある日ラーメン屋でラーメンを啜っていた彼女は、店のテレビで親友マリコの訃報を知る。心を病んでマンションから飛び下り自殺したマリコへの友情から、シイノは衝動的に彼女の遺灰を奪い、生前のマリコが旅したがっていた岬をめざして逃避行に出る。

『マイ・ブロークン・マリコ』の概要

『マイ・ブロークン・マリコ』とは平庫ワカの漫画作品。webコミック誌『COMIC BRIDGE online』にて、2019年7月16日から全4話の連載がスタートした。26歳のOLが自殺した親友の遺灰を親元から奪って逃避行する話で、女性同士の究極の共依存ともいえる衝撃的な内容が大いに話題を博し、Twitterでは毎話公開と同時に数千リツイートされてトレンド入りする。2020年1月8日に発売された単行本が即重版決定するなど、無名の漫画家の初単行本としては異例の人気となった。
『コミックナタリー』『Real Sound』などのネット書評サイトで特集が組まれた他、個人のレビューブログなどにも数多く取り上げられ、2020年上半期最大のヒット作に推す声も大きい。
2020年8月の段階で、翻訳版・電子書籍合わせた売り上げは10万部を突破している。
『COMIC BRIDGE online』編集部は本作に「女同士の魂の結びつきを描く鮮烈なロマンシスストーリー」というキャッチコピーをふっている。
ロマンシスとは男同士の究極の絆ブロマンズの対義語としてネットで生まれた名称であり、狭義の友情や愛情を超えた女性2人の極限の絆をさす。互いが不可欠なマリコとシイノの切実な関係が、生々しい表情の描写やセンシティブなモノローグと相俟って鮮烈な読後感をもたらす。

シイノトモヨことシイノは26歳の会社員。ある日彼女がラーメン屋で昼食をとっていると、店内のテレビが親友イカガワマリコの自殺を報じる。マリコは中学時代からのシイノの幼馴染だった。親友の突然の自殺に愕然とするシイノ。今からでもマリコの為に何かできることはないか苦悩したシイノは、マリコを虐待していた父親のもとから彼女の遺灰を奪い、生前マリコが行きたがっていた岬をめざす。

『マイ・ブロークン・マリコ』のあらすじ・ストーリー

エスケープ

主人公のシイノトモヨは26歳の会社員。ある日シイノはテレビのニュースで、シイノの中学時代からの親友・イカガワマリコが自殺したことを知る。
ふらふらの状態でなんとか家に帰ったシイノは、スマホでマリコに連絡を試みるが、電話もLINEも繋がらない。マリコは本当に死んでしまったのだ。
マリコは子供の頃から父親に激しい虐待を受けており、そのせいで心を壊してしまっていた。シイノは「またあの子に何もしてやれないのか」と思い詰め、今からでも死んだマリコの為にできることはないかと考え、父親からマリコの遺灰を奪おうと決意する。自分を虐待して自殺にまで追い込んだ父親に弔われても、マリコはちっとも嬉しくないに違いなかった。
アパートに帰ったシイノは鬼気迫る表情で包丁を掴んだ。そしてマリコと仲良くなった後の夏の出来事を思い出す。
中学生の頃、シイノが屋上で喫煙していたところにマリコが出くわしたのがきっかけで、ふたりは親しくなった。シイノはその頃から柄が悪く浮いており、マリコは虐待でボコボコの状態で、2人とも友達が少なかった。シイノは「一緒に花火をやろう」とマリコを誘い、マリコは大喜びで賛成する。マリコと公園で待ち合わせたシイノだが、時間が過ぎても彼女は現れない。シイノは自転車をこぎ、マリコが住んでいるアパートまで迎えに行く。アパートの近くまで行くと、何かが割れるような音と悲鳴が聞こえてくる。出所はマリコが住んでいる部屋だ。「どこ行くんだコラ、飯も作らねえで遊びに行く気か謝れバカバーカ!」とマリコを罵倒し謝罪を強要する父親の声を聞いたシイノは、矢も楯もたまらずドアを連打し、「通報する」と叫ぶ。
しばらくすると室内は静まり返り、父親にボコボコにされたマリコが小さくドアを開け、「行けなくなった」とシイノに詫びる。シイノはドアの隙間から覗いた室内の荒廃した様子に絶句する。ゴミ袋がたまり、酒瓶や弁当の空箱が散らかった室内の奥にはマリコの父親が立っていた。
当時の凄惨な状況を回想したシイノは、「今度こそ助けてやるから待ってろよマリコ」と、包丁を両手で握り締めた。
翌日、シイノは中学時代にマリコが住んでいたアパートを訪ねた。シイノは意を決してチャイムを押す。出てきたのはマリコの父親の再婚相手のタムラキョウコだった。シイノは適当な言い訳をして部屋に上がった。
以前よりは片付いている室内を見て、シイノは「この人がもっと早くマリコの親父と再婚していたら、ここんちはもう少しマシだったのかな」と考える。マリコの母親はマリコが小学生の頃に家を出て行ったが、マリコの高校進学を機に復縁し、再び同居をはじめた。高校生のマリコは母親の帰還を心底喜び、母親を繋ぎ止めたい一心で懸命にいい子を演じていたが、そんなマリコの努力は父親に犯されて水の泡となる。母親は「マリコが誘惑したから父親が手を出した」と決めつけた。それをシイノに打ち明けたマリコは、母親が「もう戻ってこないかもしれない」と泣いた。
今、部屋の奥には仏壇があり、その前に背中を丸めたマリコの父親が座っている。マリコの遺影を見た瞬間シイノは激昂し、仏壇の遺灰へと飛びかかった。
仏壇に体当たりで突っ込んだシイノは、マリコの遺灰を懐に抱えこむ。仏壇をめちゃくちゃにされた父親は怒り狂い、「娘の仏壇にてめえ!」と声を荒げてシイノの腹を蹴り上げる。父親に髪を鷲掴みにされたシイノは、咄嗟にバッグから出した包丁で父親の手を切り付け、「高校生の時に実の娘を強姦しやがったてめえにっ、中学生だった実の娘を奴隷扱いしてたてめえにっ、小学生だった実の娘から母親を奪ったてめえにっ、弔われたって白々しくてヘドが出んだよお!」と思いの丈をぶちまける。
父親から逃げて窓から飛び降りたシイノは、落ちながらマリコの幻を見た。
シイノは遺灰を抱いたまま土手を転がって川へ落ちる。なんとか対岸へ這い上がったシイノがアパートの窓を見上げると、「あんたが全部悪いんでしょうが!」と、キョウコがマリコの父親を怒鳴っていた。キョウコに胸ぐらを揺さぶられるがまま、父親は放心状態で涙を流している。
シイノはマリコの遺灰を抱え、脇目もふらず逃げていくのだった。

レッツ・ゴー・ハワイ

川から這い上がったシイノはマリコの遺灰を抱いて走り、どうにかこうにか自分の部屋に帰り着いた。ひと眠りしたシイノは部屋をあさり、昔マリコからもらった大量の手紙を取り出す。マリコは手紙を書くのが大好きだった。ファンシーな便箋に、手描きのイラストと可愛らしい丸文字が綴られている。
中学時代、マリコとシイノはお互いの夏休みの予定を話した。シイノが「海行こうよ」とマリコを誘えば、マリコも「行きたいねえ海」と同意する。そしてすぐ「でも行けないなあ、お父さん怒るもん」と取り消した。
シイノは旅の支度を整えてマリコの遺灰を見下ろし、「もう怒られっこないよ」と呟く。シイノはマリコの遺灰を連れ、昔行けなかった海へと旅立った。
マリコの遺灰を抱いて夜道を歩きながら、シイノは中学時代のマリコの手紙の内容を思い出す。マリコは花火ができなかったことをシイノに謝罪し、家まで迎えに来てくれた感謝を綴り、最後に「シイちゃんがいてくれてよかった」と結んでいた。父親に虐げられる辛い日々の中、自分の為に本気で怒って泣いてくれるシイノの存在だけがマリコの支えだった。
その手紙をポケットから出して読んだシイノは、中学生の頃を思い出し、笑みを零した。辛い事も多かったが、マリコと一緒に遊んだ楽しい思い出も手紙には記されていた。
シイノは海へ行くと決めたものの、具体的な場所は考えていなかった。マリコが行きたがった海の場所は永遠にわからずじまいである。マリコからの最後のメッセージは先週遊んだ直後のLINEで、「またね」といううさぎのスタンプだった。
それを見返したシイノは涙ぐみ、「どこ行きゃいいの…」と途方に暮れる。あんなに手紙が好きだったマリコが自分に遺書も残さず死んだ事実と、親友の自殺を止められなかった後悔が、シイノの精神を追い込んでいた。
その時シイノは唐突に、生前のマリコが「自分の名前と似ている」という理由でまりがおか岬に行きたがっていた事を思い出す。シイノの心の中のマリコも「行きたいな」と微笑む。親友と再び心が通じ合った気がしたシイノは、嬉しさと哀しさがごちゃ混ぜの泣き笑いをする。
シイノは夜行バスに飛び乗った。遺灰を抱いたまま眠りこんだシイノは、中学生時代のマリコが自分にもたれて寝ている夢を見る。

リメンバー・ミー

深夜バスを下りたシイノは定食屋で牛丼をかきこみ、無断欠勤を責める会社からの電話を無視して電車に乗った。まりがおか岬のある町へは電車で1本の距離だった。車内はがらがらで、シートに1人座ったマリコはまどろみながら昔の夢を見る。
シイノとマリコは同じ高校に進んだ。マリコはシイノの机の前に立ち、「シイちゃんに彼氏とかできたら死ぬから」と宣言する。突然の告白に面食らったシイノが「何かあったの」と聞けば、「何もない日なんてないの」と俯く。この頃のマリコは父親に強姦され、情緒不安定だった。
突然の揺れで目覚めたシイノは、口元の涎を拭い、「どうせならもっと楽しい思い出を夢に見たい」とぼやく。しかしシイノが思い出すのは、マリコがカッターでリストカットする場面など、ろくでもないものばかりだった。
電車からバスに乗り換え、シイノはまりがおか岬に辿り着いた。波音の方へ走り出したシイノだったが、その時背後をバイクが走り抜け、彼女のリュックをひったくって去っていった。
マリコの遺灰を抱えて道路に突っ伏したシイノが、駆け去ったバイクを指さして「ひったくりが!」と叫んでいると、釣り帰りの男が通りかかる。シイノは道路に胡坐をかき、ひったくりにあった事を盛大に嘆くが、彼女の態度がふてぶてしかったので男は真剣には受け止めない。内心イラッとするシイノだが、リュックの中にはスマホや財布、何よりまり子にもらった手紙が全部入っていた。
シイノはマリコの手紙を取り戻したい一心でその場から駆け出すものの、我を忘れていたせいで、うっかりマリコの遺灰を置き去りにしてしまった。道路には遺灰と、アイスボックスをさげた男が取り残された。
夕暮れまで走り回ったもののひったくり犯を捕まえられず、とぼとぼと帰ってきたシイノを男が迎える。なんと、男はずっとシイノが忘れていった遺灰の番をしていたのだ。しかもシイノが一文無しだと知ると、今日の宿代だと言って金を渡してくれる。シイノは礼を述べ、金を返すのに必要な連絡先と名前を聞くが、男は「名乗るほどの者じゃございません」と去っていく。彼がさげたアイスボックスには「ナリタ商店 マキオ」と書かれていた。
夜、居酒屋のテーブル席に座ったシイノは、マキオに貰った金でビールを何杯もお代わりする。ジョッキを一気に呷ったシイノは「赤の他人の情けでもらった金で飲む酒は気分が悪いな」とぼやくが、酒でも飲まねばやってられなかった。シイノの隣の席にはマリコの幻が座り、マキオはいい人そうだ、ああいう人と結婚したいと語る。「でも私なんかを好きになってくれるなら誰だって…」とマリコの幻が続けると、シイノは激昂して「あんたには私がいたでしょうがっ!」とテーブルを殴り付ける。
テーブルに泣き伏したシイノは、高校時代のマリコがカッターで手首を切るのを止めた時のやりとりを思い出す。自分の腕を掴んだシイノに対し、マリコは「シイちゃんが私のこと嫌いになったら死んでやるからね」と脅して泣くのだった。
その夜、道を歩いていたマキオはバス停のベンチに横たわるシイノを発見する。

フリーフォール

マリコの部屋に殴りこんだシイノは、マリコにDVする彼氏をフライパンで殴り倒す。怒り心頭のシイノに、肩に痣を作ったマリコが泣きながら縋り付く。
そんな昔の夢から覚めたシイノの隣にはマキオが立っており、海を染める朝日をボンヤリ眺めていた。「困っていたら手を貸しますが」というマキオの申し出に、マリコは無言で煙草を咥え、金を借りた上にその金で酔い潰れたことを詫びる。しかしマキオは、あの金はシイノにあげたものだから好きに使えばいいと言い、ヤケになるなとシイノを諭す。「そうかもね」と生返事をして腰を上げたシイノに、「ご自分のことを大事になさってください」とマキオは告げる。昔、シイノもマリコに同じことを言ったことがあったが、マリコが生き方を改めることはなかった。子供の頃から虐待され続けたマリコは、自分を大事にするやり方がわからず、父親と同じような暴力的な男を恋人に選ぶ失敗を繰り返していた。
シイノはマキオに別れを告げ、まりがおか岬へ歩き出す。
シイノが見た夢の続きでは、シイノがマリコの彼氏を部屋から閉め出し、必死にドアを押さえ付けていた。諦め悪くドアを叩く男に怒鳴り返し、警察に電話するふりをするシイノを、痣だらけのマリコが乾いた笑顔で見詰めている。
潮風が吹きすさぶ中、シイノは自分が抱えたマリコの遺灰に「時々どうしたらいいかわからなかった、あんたがどんどんわからなくなっていった」と語りかける。
マリコは社会人になったシイノが仕事中だろうがおかまいなく電話をかけてきた。2人で店に入ったら花火のセットを指さして「これで実家燃やそっかな」と冗談を言い、シイノが疲れていても「会いたい」と執拗にLINEを送り付ける。シイノはそんなマリコが手に余り、正直重荷に思っていた。しかもシイノが苦労してDV彼氏と別れさせても、その彼氏に会いたいと頼まれたらでかけていき、挙句財布までとられる始末。
「130円しか入ってなかったからまいっか」と財布を盗まれた事すら笑い話にするマリコに、シイノは「なんで会いにいっちゃうんだよ!」と激怒する。シイノが「今度こそ殺されてたかもしれないのに会いに行くなんて、あんた感覚ぶっ壊れてんじゃないの!」と罵れば、マリコは「そーだよ、わたしぶっ壊れてるの」と素直に認める。父親や恋人に散々「お前が悪い」と言われ続けたマリコは、「もうどこから直したらいいかわからなくなった」と零し、「私はただシイちゃんが本気で心配して怒ってくれるのが嬉しいだけ」と澄んだ目をした。子供の頃から自分のそばにいて、唯一自分の味方でい続けてくれたシイノの気持ちを確かめる為に、マリコはわざと自分を粗末にするのだ。
回想から戻ったシイノは、マリコの遺灰を抱き締めてまりがおか岬にたたずむ。そんなシイノにマリコの幻が縋り付き、「お願いシイちゃん、お前が悪かったんだって言って」とせがむ。シイノは「あんたはちっとも悪くない」と否定した。シイノはマリコの幻を抱き締め、「周囲のヤツらがこぞってあんたに自分の弱さを押し付けたんだよ」と声を絞り出す。
とうとう地面に突っ伏したシイノは、生前のマリコが「シイちゃんがいるってことしか私に実感できることってないの」と言っていたのを思い出し、「だったらなんで一緒に死んでくれって頼まなかったんだよ!」と絶叫する。
そこへマキオが追い付くが、シイノは彼の存在も眼中になく、「あんたは私をおいてって何も感じないわけ、死んでちゃわかんないだろ!」と遺灰にむかって喚く。頭に血が上ったシイノは衝動的に柵を乗り越えて海に飛び込もうとする。それをマキオが羽交い絞めで止め、シイノは激しく暴れた。
ふたりが揉みあっていると「たすけてっ」と悲鳴がした。振り向くと、ヘルメットを被った痴漢に見知らぬ女子中学生が襲われていた。痴漢から必死に逃げるその子に、父親から逃げてくる中学生時代のマリコの姿を幻視したシイノは、遺灰が入った骨壺で痴漢をぶん殴る。痴漢のヘルメットを殴打した衝撃で骨壺が割れ、マリコの遺灰が海へと飛び散った。遺灰を受け止めようと手をさしのべたシイノは、断崖へと続く斜面を転がり落ちる。
きらきら光るマリコの遺灰に手を伸ばし、「あんた変わんないね、灰になってもきらきらして、掴めなくて、風に流されて、そして重力に逆らえない」と言うシイノをマリコの幻が抱擁し、「私シイちゃんの子どもに生まれたかった」と語る。
灰を掴み損ねて断崖から海にダイブしたシイノは、浜辺に打ち上げられて目覚める。そこへマキオがやってきて、「自分も半年前に飛びました」と告白した。マキオもまた大事な人を失い、まりがおか岬で自殺を試みたのだ。海に落ちたものの死ねなかったマキオは、「死んだ人に会うには自分が生きてるしかないんじゃないでしょうか」とシイノを諭す。死んだ人間が思い出の中で生き続けるなら、シイノが死ぬ事でマリコは永遠に消滅するのだ。シイノが浜辺に倒れたまま「あたし大丈夫そうに見える…?」と聞くと、マキオは「大丈夫に見えますよ」と励ました。
シイノは片足を捻挫したものの命に別状はなく、数日後に自宅へ帰った。シイノが倒した痴漢はシイノのリュックを奪ったひったくり犯と同一人物であり、マリコの手紙は無事戻ってきた。
自分の部屋に入ったシイノは、ベランダに干しっぱなしの洗濯物を見て、「こうして日常に帰って来るんだ」と実感する。
マリコの遺品整理をしていたキョウコがマリコの遺書を見付け、シイノに届けてくれた。手紙の1行目には「シイちゃんへ」と記され、シイノは立ったまま無言で手紙を読んでいく。読み終えたシイノはただ一言「…うん」と頷き、マリコの手紙を抱き締めるのだった。

『マイ・ブロークン・マリコ』の登場人物・キャラクター

主要人物

シイノ トモヨ

本作の主人公で26歳の会社員。柄が悪く口も悪い粗雑な女性だが、親友マリコの為に本気で怒るなど友情に厚い一面もある。
中学時代に出会った親友マリコの自殺を知り、衝動的にマリコの遺灰を奪い、彼女が生前行きたがっていたまりがおか岬をめざす。相当な酒豪らしく、定食屋や居酒屋でジョッキを何杯も干している。
DV男にひっかかりがちなマリコの依存体質を心配する一方、自分に執着する彼女を重荷に思っていた。マリコの自殺を止められなかった後悔の念、親友に置いて行かれた喪失感に苦しみ、マリコの幻とたびたび交信しては思いの丈をぶちまける。

イカガワ マリコ

シイノの中学時代からの親友。睡眠薬を大量に服用し自宅マンションから飛び降り自殺をする。享年26歳。
子供の頃から父親に激しい虐待を受け続け、高校生になると父親にレイプされる。そんな環境で育ったせいで心を病み、唯一自分を心配し本気で怒ってくれるシイノに強く依存するようになった。シイノが彼氏を作り自分から離れていくのを恐れ、高校時代にシイノの眼前で手首を切ろうとするなど、優しくおっとりした反面メンヘラ気味で情緒不安定だった。
長年父親の支配下におかれていたせいで父親と似た暴力的な男ばかり恋人に選んでしまい、シイノの悩みの種だった。自分を大事にする、幸せになるという事がわからず、シイノの存在しか支えになるものがなかった。
死後はシイノが見るリアルな幻覚として、度々彼女と交信する。

サブキャラクター

マキオ

シイノ(2コマ目右)のそばにたたずむマキオ(2コマ目左)。

シイノがまりがおか岬のある港町で出会った謎の男性。釣り帰りにひったくりに遭ったシイノと遭遇し、彼女が置いて行ったマリコの遺灰を見張る。帰ってきたシイノが一文無しと知ると宿泊代を渡して去っていくが、彼がぶらさげたアイスボックスに「ナリタ商店 アキオ」と書かれていたので身元はバレバレだった。
終盤にて半年前に大事な人を失い、まりがおか岬から海に身を投げたものの死ねず、生き延びた事実が本人の口から語られる。その経験の為か、親友の自殺で自暴自棄になったシイノを放っておけず助言を与えた。

マリコの父親

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