劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』とは、2023年に公開された、北条司の漫画『シティーハンター』を原作とする劇場用アニメ作品。監督は同作のアニメ版を多く手掛けたこだま兼嗣が務め、主要人物の声優もほとんどが続投。公式サイトには「THE FINAL CHAPTER BEGINS」と銘打たれ、再解釈された原作終盤のエピソードが描かれている。
新宿で活動する掃除人冴羽獠に、アンジーという女性が猫探しを依頼。実は彼女は恐るべき新兵器の開発を止めるため、獠の殺害を目論んでいた。

獠「その銃は今の君には重すぎる」

海原のため、自分だけの力で獠を倒そうとするアンジー。しかし短い交流の中で彼女が悪人ではないことを察した獠は、「その銃は今の君には重すぎる」と言って、自分に向けて銃を構えるアンジーに制止を呼びかける。
獠は後にアンジーと直接対決した際にもこのセリフを口にしており、彼の強さと優しさがよく表れた印象的なものとなっている。

海原「お前の望みを叶えよう」

敗北を認め、獠や香との和解を果たしたアンジー。しかしクルーズ船からそれを見ていた海原は、おもむろにADMをボルトアクション式の銃に仕込み、「お前の望みを叶えよう」と言ってアンジーを狙撃。むりやりADMを打ち込まれたアンジーは暴走し、獠の手で命を落とすこととなった。
降伏した部下を新兵器の実験台にして戦わせるという、一見すると悪魔の所業にしか見えない恐るべき行為である。しかしエスパーダを殺してしまったアンジーが海原の下に戻ることはできず、組織の長として海原もそれを認めるわけにはいかず、この時点でアンジーは「行くあてもなく、ユニオン・テオーペの追っ手から死ぬまで逃げ続けるしかない」状態となっていた。これはピラルクーや海坊主も指摘している。

そうまでしてアンジーが果たそうとしたのは、「ADMの破棄」と「冴羽獠を倒す」ことであり、海原の行為はもはや逃げ場を失ったアンジーに対する手向けとも受け取れる。海原がアンジーの戦いぶりを見届けて残ったアンプルを破棄したのも、「自分のせいで追い詰めてしまったアンジーの忠誠心に報いる」ためであったとすれば辻褄が合う。
非道なようでいて懐深い、海原という男の恐ろしさが垣間見える名セリフ。

獠「その花を置いたら撃つ」

アンジーの墓に花束を捧げるためにやってきた海原に向けて、獠は容赦なく拳銃を突きつけて「その花を置いたら撃つ」と告げる。海原には海原の論理があるにせよ、彼の行動がアンジーを死に追いやったことは紛れもない事実であり、「そんな男にアンジーの死を悼む権利を与えるものか」という獠の強い怒りが溢れている。
2人の因縁の決着を見たい、見届けたい、思わずそう思ってしまう名シーンである。

『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

原作の天使の涙は新型麻薬

天使の涙の設定は、原作では「使用した者に超人的な力を与える新型麻薬」となっていた。
『シティーハンター』がアニメ化した際、当時の世相的に「テレビのアニメで麻薬をメインにしたエピソードは作りにくい」との判断から、海原とユニオン・テオーペの存在は一切触れられることがなかった。令和の時代になってようやくそれが解禁となるも、これまでのアニメ版の作風をそのまま踏襲することとなり、天使の涙も麻薬ではなくナノマシンという形に設定が変更。ユニオン・テオーペも近代的な雰囲気を持つ武装組織へと生まれ変わることとなった。

前作映画キャラクターのカメオ出演

映画作品としては前作となる『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』のゲストキャラクター進藤亜衣(しんどう あい)が、本作の序盤で街頭テレビに一瞬だけ登場している。
亜衣はもともとモデルと医大生の二足の草鞋で活躍しており、この設定を活かした演出となっている。

『劇場版シティーハンター 天使の涙(エンジェルダスト)』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):TM NETWORK「Whatever Comes」

ED(エンディング):TM NETWORK「Get Wild」

挿入歌:TM NETWORK「DEVOTION」

挿入歌:TM NETWORK「君の空を見ている」

挿入歌:TM NETWORK「Angie」

挿入歌:小室哲哉「RUNNING TO HORIZON」

挿入歌:北代桃子「Never go away」

YAMAKUZIRA
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