GUN BLAZE WEST（ガン・ブレイズ・ウエスト）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『GUN BLAZE WEST』の概要

『GUN BLAZE WEST』（ガン・ブレイズ・ウエスト）とは、和月伸宏による西部劇を題材にした少年漫画。
『週刊少年ジャンプ』の2001年2号から同年35号まで連載された。『るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-』（るろうにけんしん めいじけんかくろまんたん）で大ヒットを記録した実力ある漫画家の新作として注目を集めたが、準備不足などもあってあえなく打ち切りとなった。

日本では「知る人ぞ知る」といった作品だが、作者の和月は『るろうに剣心』のヒットで海外でも知名度が高く、その彼による“アメリカを舞台にした漫画”ということでアメリカの漫画好きの間では比較的知られている。
和月はこの作品が打ち切りになったこと自体は「自分の力不足とはいえ残念だ」とたびたび言及しており、後の作品で本作で用いたアイデアの一部を再利用している。

北米大陸の西の果てに位置し、強い者だけが辿り着けるとされる伝説の地「GUN BLAZE WEST」（ガン・ブレイズ・ウエスト）。旅のガンマンのマーカス・ホーマーとの交流の中でその存在を知った少年ビュー・バンズは、彼と共に「GUN BLAZE WEST」を目指そうと決意する。マーカスがならず者との戦いで行方を絶った後も1人鍛錬に励み、14歳になった時に故郷を出立。「GUN BLAZE WEST」に向かうための試練に臨む。
バウンサーのウィル・ジョンストン。日本人で武芸の心得を持つコリス・サトー（佐藤こりす）。切磋琢磨する仲間と出会い、幾多の強敵を打ち倒し、ビューは伝説の地へと一歩ずつ近づいていく。

『GUN BLAZE WEST』のあらすじ・ストーリー

幼き日の誓い

無茶で無鉄砲で強い者に憧れる9歳の少年ビュー・バンズは、ある時村にふらりとやってきたガンマンのマーカス・ホーマーと知り合う。マーカスは弱虫ではあったが強い者に憧れるという点ではビューと同じ気質の持ち主で、北米大陸西部に存在するという伝説の地「GUN BLAZE WEST」（ガン・ブレイズ・ウエスト）を目指していた。
「GUN BLAZE WEST」とは、強い者だけが辿り着ける場所で、そこで10年に1度開かれるという“最強の猛者を決める大会”に参加することをマーカスは夢見ていた。マーカスは「GUN BLAZE WEST」に向かう試練を受けるための通行証であるサイン＝トゥー＝ウエストの刻印の施された拳銃を所持しており、これを聞いたビューは「自分も強くなってマーカスと一緒に伝説の地を目指す」と決意する。

トレニーングに励む日々を送るビューだったが、ある時村がならず者の集団に襲われ、マーカスはこれを倒すも自身も行方不明になってしまう。マーカスとの約束が果たせなくなったことをビューは嘆くも、彼の形見ともなった刻印入りの拳銃を自身の相棒として鍛錬に励み、力を蓄えていく。
ビューが14歳になった時、「GUN BLAZE WEST」で大会の開かれるゼロ＝イヤーがやってくる。マーカスの形見の拳銃を手に、ビューは「GUN BLAZE WEST」を目指すための試練に参加するべく、家族や知り合いの人々に見送られながら故郷の村を出立する。

バウンサーと武芸者

旅に出たビューは、とある町でバウンサー（用心棒）をしているウィル・ジョンストンという少年と出会う。ウィルは大学教授だった父の遺した記録から「GUN BLAZE WEST」の存在を知り、自身もそこを目指したいと考えていたが、妹を1人で残していくこともできず夢を諦めていた。しかしビューに発破をかけられ、他ならぬ妹に背を押されたことで、ウィルもまた「GUN BLAZE WEST」に向かうための試練に臨むことを決意する。
「GUN BLAZE WEST」に向かうための刻印入りのアイテムは拳銃だけではなく、コンパスやナイフなど様々なものがあった。これが無ければ試練に参加することもできないが、試練が始まる段階で刻印入りのアイテムを持っていれば入手経路の是非は問われないため、これを奪うことを画策する者も少なくない。ビューたちがそういったならず者を相手取った際に知り合ったのが、コリス＝サトー（佐藤こりす）という日本人の少女だった。

コリスは会津藩の出身で、戊辰戦争で家と財産を失い、それでも前向きな性格は失わずに「おもしろそう」というだけの理由でアメリカにやってきた変わり者だった。武家の娘として学んだ技術を応用した高い戦闘力を持つ彼女は、ビューたちが「GUN BLAZE WEST」を目指していると聞いて自分も同行すると言い出す。
これは好奇心からだけの提案ではなく、彼女がアメリカで世話になっている人物がかつて「GUN BLAZE WEST」を目指していたこと、志半ばでそれを諦めたことも大きな理由だった。恩人の代わりに自分が「GUN BLAZE WEST」を見て、どんな場所かを報告するため、コリスもビューたちの仲間に加わる。

甲冑男爵の試練

「GUN BLAZE WEST」へ向かうための最初の試練が行われるという場所にやってきたビューたちは、そこで甲冑男爵（アーマー・バロン）を名乗る人物と出会い、「次なる試練の地の場所を知りたくば、自分の用意した甲冑軍団と戦いこれを打ち倒せ」と命じられる。甲冑男爵は前回のゼロ＝イヤーで勝者となった猛者であり、その功績から今回のゼロ＝イヤーで最初の案内人として現れたのだった。
ウィルやコリス、集まった多くの参加者が甲冑軍団を相手に戦う中、ビューは「どうせ倒すなら一番強いヤツがいい」と甲冑男爵に勝負を挑む。甲冑男爵はこれを承諾し、その恐るべき力を存分に見せつけるが、これまでに得た知識と経験と技術を結集したビューの前に不覚を取る。

ほとんど相打ちか、強いていうならビューの判定負けのような形ではあったが、甲冑男爵は「自分の負けである」と素直に認めて彼に次の試練に臨む権利を与える。この時ビューはマーカスの形見でもある拳銃を壊してしまうが、次の目的地に向かう前にこれを道標のごとく残していくことを決める。
ビューたちが甲冑男爵と戦った数日後、数年前に行方不明になったマーカスが彼らの決闘の地を訪れる。マーカスはビューの遺した手紙と彼に預ける形となっていた自身の拳銃を受け取ると、不敵に笑ってかつての友を追いかけていくのだった。

『GUN BLAZE WEST』の登場人物・キャラクター

主要人物

ビュー・バンズ

主人公。無茶で無鉄砲な14歳の少年。物事をあまり考えないタイプだが頭が悪いわけではなく、戦闘では創意工夫と優れた分析力で相手の優位を攻略する。幼い頃から鍛えた脚力と、コリスとの特訓で修得したコンセントレーション＝ワンを自身の武器としている。

ウィル・ジョンストン

とある町でバウンサー（用心棒）をしている17歳の少年。巧みなロープワークを武器としており、投げ縄での拘束から強烈に締め上げることによる人体破壊まで様々な技を駆使する。

コリス・サトー（佐藤こりす）

日本出身の娘。童顔で小柄なため幼く見えるが、年齢は19歳と一行の中で最年長。会津藩の武家の出身で、武家の娘のたしなみとして学んだ武術をアレンジした体捌きと正確無比な投げナイフで戦う。
コンセントレーション＝ワンという、「極限まで集中した一瞬」を意識的に発揮する技術を持ち、これをビューに伝授した。

「GUN BLAZE WEST」への案内人

甲冑男爵（アーマー・バロン）

全開のゼロ＝イヤーの覇者。今回のゼロ＝イヤーでは、「GUN BLAZE WEST」を目指すための試練の最初の案内人として現れる。
総重量1tの、銃弾すら弾く強固な鎧に身を包んでいる。背中にあるガン・ザックから大砲並みの火力を背後に向かって撃ち出すことで、“自分自身を弾丸にして相手に突撃する”攻撃を自身の必勝戦法としている。