スケアリーストーリーズ 怖い本(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『スケアリーストーリーズ 怖い本』とは、2019年に公開されたアンドレ・ウーヴレダル監督のホラー映画。アルヴィン・シュワルツの『誰かが墓地からやってくる』と『死んだ男の手首』のシリーズを原作としている。映画監督として名高いギレルモ・デル・トロが脚本や制作に携わっていることで注目された。
1968年、ペンシルベニア州の田舎町を舞台に、少女が恐ろしい出来事と過去の悲劇に直面する物語だ。
映画批評集積サイトの批評家支持率は81%、平均点は10点満点で6.51点を獲得した。

呪いの主であるサラが生まれた家。19世紀頃に栄えた名家で、工場の経営などの大きな事業で町の創設に貢献した。子どもたちは医者や経営者などの道に進むエリートばかりだったため、病気のサラは一族の汚点として虐げられることになる。

『スケアリーストーリーズ 怖い本』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ステラ「物語は人を癒やし、人を傷つける。繰り返し語られると、それは現実になる。我々を形作る、そんな力が物語にはある。子供時代、最後の秋に私はその事を学んだ」

サラに追い詰められるステラ。ステラは物語によって死にかけ、物語によって生き延びる。

映画の冒頭と結末でステラが語る言葉。
ステラたちはハロウィンの夜にサラの呪いにかかり、サラの物語によって次々と子どもたちが消えていく。そして呪いを生み出したサラもまた、彼女の家族が作り出した身勝手な「物語」で異常な殺人者に仕立て上げられた被害者だった。すべてを知ったステラが、サラの本にサラの本当の物語を綴ったことで呪いは終わった。しかし、消えた人たちが帰ってくることはなかった。
ステラは友人たちを取り戻す手がかりとなったサラの本を抱え、冒頭の言葉をもう一度繰り返す。「物語は人を癒やし、人を傷つける。繰り返し語られると、それは現実になる。我々を形作る、そんな力が物語にはある。子供時代、最後の秋に私はその事を学んだ」。『スケアリーストーリーズ 怖い本』は、物語によって殺された女性が物語によって人々を呪い、その精神を受け継いだ少女が物語によって人々を救おうとする物語なのだ。

『スケアリーストーリーズ 怖い本』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

監督がギレルモ・デル・トロからアンドレ・ウーヴレダルに変更

製作発表当初は監督を務めることが予定されていたギレルモ・デル・トロ。

2013年12月3日、CBSフィルムズがアルヴィン・シュワルツの『だれかが墓地からやってくる』の映画化の権利を獲得したと報じられた。その後、2016年にギレルモ・デル・トロが映画化に取り組んでおり、監督を務めることも検討されていることが報道された。しかし2017年、アンドレ・ウーヴレダルが本作の監督を務めることが決定したと報じられた。ギレルモ・デル・トロは脚本と製作に携わることになった。
本作が原作と同じアンソロジー形式を取らず、1本のストーリーで構成される長編映画となったのは、ギレルモ・デル・トロの意向によるものだという。

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