パジャマな彼女。(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『パジャマな彼女。』とは、『週刊少年ジャンプ』にて連載されていた濱田浩輔の作品。幽霊になってしまった幼馴染みの音巻まくらを救うべく、主人公の目覚計佑が奮闘する恋愛ファンタジー。ラブコメでありながらファンタジー色が強い作品である。作品前半部分は幽霊になった音巻まくらを救うミステリアスな展開が軸になっている。音巻まくらを救出したあとは、部活動メインになっており、作風が大きく変化している。『パジャカノ』といった愛称でも親しまれている。

『パジャマな彼女。』の概要

『パジャマな彼女。』は濱田浩輔が『週刊少年ジャンプ』にて2012年13月号から2012年40号まで連載した作品。
単行本は全3巻、新装版は上下巻の2巻構成となっている。
濱田にとっては『どがしかでん!』に次ぐ2作目の連載作品であり、『週刊少年ジャンプ』2号連続新連載の第2弾として古舘春一が手がけたバレーボール漫画『ハイキュー!!』に続いて連載が開始された。

眠りの森学園高等部に通う主人公目覚計佑(めざましけいすけ)が同じ高校の先輩白井雪姫(しらいゆき)と出会った日の夜、幼馴染みである音巻まくら(おとまきまくら)が突然行方不明となり、幽霊になってしまったことから物語が始める。
幽霊となった幼馴染みを救うべく計祐が奮闘するファンタジー色を中心にした前半と、彼が創設した天文学部を中心とした人間模様にスポットが当てられる後半と、ストーリー全体で作品の特徴が大きく異なっている。

『パジャマな彼女。』のあらすじ・ストーリー

全ての始まり

主人公目覚計佑(めざましけいすけ)は眠りの森学園高等部に通う高校1年生。
母親を早くに亡くし、父親が仕事でほとんど帰ってこない幼馴染みの音巻まくら(おとまきまくら)と朝夕を共にする日々を送っている。
しかし計佑がTVCMにも出演している3年の白井雪姫(しらいゆき)と出会い、話している瞬間をまくらが目撃したことで日常に変化が訪れる。

学校から帰ってきた計佑はまくらにからかわれ、思わず声を荒げてしまう。
しかしその夜、まくらは突然行方不明になり、母の目覚由希子(めざましゆきこ)に頼まれた計佑は、探し回った末に昔よく来ていたひまわり畑でパジャマ姿のまくらを発見した。
その時、母親から電話を受けた計佑は、眠り姫のように眠っているまくらが植物園で見つかり、病院に搬送されたことを知る。
計佑の前にいるまくらは空中に浮上し、「私…死んじゃったの…かなあ?」と告げた。
「普通の人と同じ状態」と医師に診断されたまくらははなぜ自分が植物園にいたのか、幽霊になってしまったか、真相は分からなかった。
この事態に動揺する計佑を心配させたくないまくらは明るく振る舞うが、その際計佑は幽霊状態の彼女に触れられること事に気づく。

まくらを元に戻したい計佑はある休みの日、由希子からまくらを担当する医師が以前同じような患者を治療したことがあると聞く。
計佑はまくらが入院している病院へ向かうが、その医師とはすれ違いや勘違いをされ、詳細を聞き出せずに終わる。
それから医師の部屋を訪れ、机に置かれた絵本「ねむりひめ」の絵本に目を奪われている最中、偶然病院を訪問していた雪姫に後ろからからかわれる。
その医師が雪姫の祖父(白井能活)であること、過去に目を覚まさなかった少女の写真や手紙の存在を知り、雪姫はそれらについて能活に聞くことを約束。
お休みメールの送信を条件に連絡先も交換するなど、思考停止状態の計佑だったが、一定の収穫を得た。
一方まくらは自宅で入浴中、無意識に計佑に自分がキスする絵を描いていた。
まくらは自身の本当の気持ちも病院で起こっていたことも気づくことはなかった。

計佑はいきなり雪姫の連絡先を入手して動揺する一方、幽霊になったことが原因でまくらは通学出来ずに、寂しい思いをしていることを感じ取った。
そんな彼女のために、計佑は夏休みになったらまくらを何処かへ連れて行くことを約束する。

すれ違う2人と雪姫の危機

計佑は雪姫から届いた写真の女の子についてのメールが気になりつつも、終業式に出席した。
終業式後に遭遇した際、雪姫は計佑がお休みメールの送信をサボったことを責めつつ、件の女の子を実家の古いアルバムで見つけたことを報告した。
けれども雪姫は計佑が写真を求める理由を知らないため、どのように対応すればいいかは分からないままである。
その時、雪姫の友人森野カリナ(もりのかりな)が計佑のクラスメイトの須々野硝子(すすのしょうこ)や茂武市一(もぶいちはじめ)に雪姫の実家を訪問することを提案した。
計佑も同行することになり、まくらを元に戻す手がかりを探しつつ約束も果たせることになった。
しかし雪姫を計佑の彼女と勘違いしているまくらは移動中の電車で不機嫌だった。

雪姫の実家に到着後、計佑は雪姫に写真の件をたずねるが、遊びを優先したい雪姫によって後回しにされる。
この2人のやり取りを見ていたまくらは雪姫の胸囲に嫉妬しつつ、水着を着用できないモヤモヤを計佑にぶつけてしまっていたが、どういうわけかまくらも水着になったことで海を満喫できた。
ただまくらを「守りたい」感情が芽生える計佑に対し、まくらは計佑の雪姫への恋心を後押したいなど2人の思いはすれ違ってしまう。
また水着からパジャマに戻ったまくらは、計佑と雪姫が親しくなる様子を見るにつれて、指に痛みを抱くようになっていた。

海から引き揚げた後、計佑は買い出しの途中に雪姫が子供向けのストラップを好むこと、買い出し後には硝子から「まくらは弱気だから変に強がって思っていることと違うことを話してしまう」ことを伝えられた。
けれども仕事の電話対応のため出発が遅れた雪姫は柄の悪い連中と接触し監禁されてしまった。

計佑は通り沿いにあった買い物袋に子供向けのストラップが落ちていたこと、まくらからの呼びかけで雪姫の危機を確信する。
柄の悪い連中から暴行を受け、強姦される寸前にまで陥っていた雪姫を救うべく、計佑が自転車で突入するが、柄の悪い連中に全く歯が立たなかった。
胸を刺され生命の危機に瀕するが、事前に通報していたため警察が駆けつけ、柄の悪い連中は逮捕となった。
計佑自身も胸ポケットにクマのストラップを入れていたことで九死に一生を得たが、自分を足手まといのように話す計佑に対して、雪姫は「そんなことないよ」と号泣した。

だが雪姫の救出後、まくらは姿を消した。
まくらは再び指に痛みを抱え苦しんでいたところ、計佑が能活の部屋で見た写真の女の子に突然誘われる。
ホタルこと美月芳夏(みづきよしか)という名のお化けに傷の痛みは和らげてもらったが、「薬指に出来たアザが1周するまでが約束の時であり、その時までに誓いを果たせなければ死ぬこと」と身に覚えもないことを言われてしまう。

一方計佑はまくらの行方が気になっていたが、柄の悪い連中に刺された箇所は完全には傷を防げておらず、出血。
意識を失い、能活に治療された後目を覚ますと、一晩中看病していた雪姫の姿があった。

そこで雪姫は計佑は覚えていなかったものの、計佑の入学式の日に降雨の中で偶然折れていたも傘を貸してもらったことで計佑と対面したことを話した。
「本当は臆病で自信がないからどうしても人の前ではいい顔をしてしまう」と自分の嫌な点を吐露しつつ「素直になりたい」と雪姫は計佑に告白した。

深まる謎

雪姫からの告白を受けて計佑は動揺した。
雪姫は無理に回答を求めなかったものの、どう回答すればいいか分からず上手く眠れないまま、呆然状態で翌日を迎えたほどだった。

柄の悪い連中と対峙した翌日、計佑は雪姫から看病され、看病後には写真の女の子が能活の患者だったことを知った。
この件を計佑はまくらに報告した。
まくらは最初は喜んだものの、ホタルの言葉が気になっており、素直に喜べない様子だった。
「今回の騒動の原因は自分ではないか?」と思うようになっていたからである。

写真の女の子がいた建物は昔、能活が開いてた病院の診療所と雪姫が推測したため、計佑と雪姫はその日に内に診療所がある島へ移動した。
帯同したまくらだけでなく計佑もその診療所に見覚えがあった。
しかし診療所に到着した雪姫は恐怖から震えるようになり、1人で歩いている最中に寂しさで計佑に抱きついてしまうほどだった。
まくらは、計佑の雪姫への思いを「応援する」と決めていたはずだったが、この雪姫の行動にはショックを受けていた。

診療所を探索している最中、雪姫は計佑が大切な人のために芳夏を調査していることを知り、より協力的になった。
めぼしい収穫がほとんどない中、計佑達はまくらが偶然見つけたお札が沢山詰まっていた扉を調査する。
扉を開けた先には階段があり、診察所に入ってから最深部に落下するまでに様々な出来事が発生。
まくらはモヤモヤしたり嫉妬するようになっていた。

計佑は落下した最深部を雪姫の指摘を考慮し、写真の女の子が眠り続けた場所だと推測した。
また、まくらも最深部で見つけた写真がホタルであることに気づく。
同時に雪姫は「寝宮の花嫁」というおとぎ話を見つけ、「物語のお姫様はいつも王子様のキスを待っているよね」と告げた。
これをきっかけに計佑はまくらが目覚めるためにはキスが必要なのでは?と考えるようになった。
合わせて「まくらには本当に好きな人が居るのでは?」と考え始めるようになる。

ただ遅い時間になったことに雪姫が気づいたため、地上に戻ると台風の直撃にあってしまう。
台風通過まで民家で過ごすことが濃厚となり、雪姫は落ち込んでしまった。
計佑は落ち込んだ雪姫を励ましつつ、まくらのために断念する意思はないことを伝えた。
他方で雪姫の好意にも答えたいことを計佑は伝えたが、雪姫は告白を受け入れてくれたと勘違いしてしまった。
この勘違いは「計佑と雪姫が付き合ったのでは?」という誤解をまくらに生むことになってしまった。

台風通過後、計佑は防波堤で寝いてたまくらに「キスしたらまくらが元に戻るのでは?」とキスを試みるが、その直前にまくらは目を覚ました。
驚いた計佑はキスを試みる理由を考慮するもまくらへの恋愛感情は否定し、誤魔化そうとした結果、まくらの怒りを買うことになった。

診療所がある島から雪姫と共に帰還したあと、計佑は茂武市によって雪姫と付き合っていることにされていた。
茂武市に「愛の形はひとつじゃねえもんな。まくらちゃんのことは家族として好き。先輩のことは恋人として好き…だろ?」と告げられ、計佑はまくらにキスしようとした理由や好きな人物がいるか考え始めた。
その結果、恋人がいるまくらに捨てられる未来を想像してしまうがその矢先にまくらと対面。

お互いに謝罪しつつ、計佑が「実際…戻ると思ったんだけどなー…キスしたら…」と話したのをきっかけにチャレンジを試みた。
けれども周囲が忙しくなったこと、今試す必要は無いと考え、二人は一端別行動を取ることになった。

蘇る過去

ある日、計佑達はカリナが仕入れた恋の神様情報を聞いて、寝宮温泉へ向かった。
まくらは幽霊故、雪姫達が気づかない間に入浴したが、「計佑くんに返事はいらない…って言ったのに。こんなことして…」という話を聞いてしまう。
その結果、雪姫とほぼ同じタイミングで温泉を出たまくらは気の抜けたような顔をしていた。

この様子を見た計佑は、温泉でまくらと共に過ごした日々を思い出す。
その上で不思議に思いながらも計佑は、「まくらが他の誰かとする恋を…なぜか俺は…応援…したくない…」という結論に至った。

温泉を抜け出すと計佑は橋の近くにいたまくらの元へ向かい、まくらは計佑を不思議に思いながら見た。
直後にまくらは、計佑が否定しつつも自分が足かせになっていることを伝えた。
それからまくらは、「私は計佑を卒業するよ」と計佑にキスする。

この直後、計佑の頭にまくらの記憶と思われるものが入ってくる。
幼少期に母親を亡くしたまくらが計佑の両親にキャンプへ連れて行かれた島、この島こそが能活の診察所があるうみどり島だった。

キャンプの夜、計佑と共にうみどり島を冒険したまくらはホタルと出会った。
まくらは親密になったホタルから自身が幽霊であること、呪いが解けないまま16歳を繰り返している秘密を明かされる。
この事実を知ってもまくらは怖がらず、「もうこの世にはいないんだよ。私の呪いを解ける人は」とホタルに言われても、呪いを半分にする方法はないか尋ねた。
ホタルはその方法はあるとしながら、まくらも幽霊になることを危惧していた。
しかし「幽霊になったら 死んだお母さんに会えるかもしれないもん」と、まくらはそれでも受け入れていた。

計佑は過去の記憶を思い出し、芳夏に遭遇した。
芳夏からまくらは無事かつ元の姿に戻ったことを伝達されると、雪姫たちよりも一足早く自宅へ向かった。
すれ違った雪姫は困惑するが計佑が笑顔だったこともあって送り出した。
そして眠りの森駅にて、計佑とまくらは涙を流しながら再会を喜んだ。

取り戻した日常と新しい出会い

夏期講習初日、まくらは所属するソフトボール部の練習に集中していた。
逆に「まくらを元に戻す」目標を達成した計佑は、目的を失い気が抜けた状態になる。
笑顔を見せたのは雪姫に手を振られた際のみだった。

計佑はまくらのソフトボール用具購入に付き合いつつ、キスを覚えているか気になっていた。
同時に熱中できるものがないことを計佑は嘆いたが、まくらは近くのゲーセンで計佑をプリクラ撮影に誘う。
その際にまくらは計佑の好きなことを次々に口に出し、「大丈夫!計佑出来るよ!」と励ました。
まくらの言葉に励まされた自分の趣味を思い出す。

数日後、計佑は帰宅部が原因でフラれた茂武市に部活入部を提案され、「天文部」に反応する。
過去に天文部があることを知った計佑は、同好会の活動ではあるが、新たに天文部を創部した。
部員は計佑に加え、茂武市とソフトボール部と掛け持ちになるまくらの3人。

茂武市が会員募集の貼り紙を貼りに行き、計佑と準備を手伝うまくらは途中部室を訪れた雪姫と緊張気味になるものの、準備を完了させる。
そこに番長ファッションを身に纏う中等部2年の綿貫アリス(わたぬきありす)が訪問する。
アリスは計佑がお姉ちゃんを苦しめている人物と考えており、様子を見に来たのだ。
計佑の調査が目的だったが、まくらのとの関係を怪しみ、監視対象を変更。
1週間まくらを監視し、遂には計佑の自宅にまでやってきた。
まくらはアリスの誤解を解くが、計佑とまくらのエプロンが絡まるハプニングが発生。
これがアリスに動揺をもたらし、計佑達が作った料理を台無しにしてしまう。

計佑とまくらは焼き鳥屋台で、アリスが姉のいる今の学校に転校した事情を知る。
アリスを送迎したことで、彼女が豪邸に住んでいることや、姉が雪姫ということも判明する。
また、雪姫は突然訪問した計佑とまくらを歓迎した。
計佑はまくらともに自宅の豪華さにただ言葉を失う。
さらに雪姫のアルバムを鑑賞する際、まくらと雪姫がいつの間に親密になっていることに驚いていた。

訪問中に計佑は体勢を崩して、雪姫の胸元にダイブするトラブルがありまくらに弄られる一幕もあったが、アリスや雪姫との関係は親密になった。
ただ去り際、計佑はまくらに「先輩のこと傷つけんなよ」と告げられ計佑は困惑。
式場でウェディングドレス姿のまくらと雪姫に迫られる夢を見るほど、計佑はまくらや雪姫との関係に悩んでいた。
翌日、計佑は昼休みに見つけた子ネコを助けようとした雪姫を追い詰めてしまったと勘違いしてしまう。
計佑は「心配して助けてくれたの…?」という雪姫の問いに、まともに回答できず、「マズいんじゃない?私とふたりっきりでいるところを誰かさんに見られたら」と急に冷たい態度を取られた理由も理解できない。
計佑が困惑していたその時、ふと望遠鏡を見つめるとそこにはまくらのパジャマを着用したホタルの姿があった。

揺れる3人と新入部員

ホタルはお別れを告げるため、計佑に会いに来た。
ホタルの呪いの半分は、まくらが見せた真実の愛で解けたからである。
まくらの呪いを解こうと力を貸したため、ホタルは子供の姿になったが、巻き込んでしまったことを計佑に謝罪した。
まくらにもよろしく伝えるように頼み、ホタルにとって生前大切な人だった榮治(えいじ)の魂を探す旅に出た。

計佑はホタルと別れた後、まくらを探していた。
計佑は食堂でまくらを見つけるが、まくらは雪姫に勉強を教えてもらうほど親密な関係になっていた。
計佑はここ数日の出来事から2人に近づきにくい状況だったが、計佑はまくらに不思議がられ、雪姫からは足を踏まれた上に「バカ」と言われてしまった。

計佑と雪姫のモヤモヤ関係は学校外でも続き、計佑が誤送信したメールは雪姫の怒りの電話を招いた。
しかしこの電話で雪姫はようやく落ち着き、計佑と夜空を見つめながら会話することに。
その際、計佑は雪姫に織姫と彦星が会うには光の速度で15年要することを解説した。
これを聞いて、雪姫は計佑との距離が届く距離であることを喜んでいた。

この数日後、天文同好会には計佑のクラスメイト、硝子が入部した。
夏休みの活動内容を生徒会に提出する必要があるため、意見を求めるもまともな意見は出なかった。
更に数時間後、計佑はソフトボール部の練習のため部室に待機していたまくらと2人きりになった.
計佑はソフトボール部の練習のため部室に待機していたまくらにホタルの話をすると、まくらは食いついた。
まくらは幽霊だった頃の記録を忘れていなかった。
これを受けて、計佑は「キス」の話を聞こうとするが、間違えて「スキ」と告白してしまった。

星座鑑賞と届かない距離

計佑はこのミスを誤魔化そうとしたが、そうはいかなかった。
そのため計佑は、「キス」と「スキ」を間違えたことをまくらに正直に話すも、「家族として好き」とも伝えてしまい、まくらを傷つける。
ならびに雪姫のこともまともに話さないので、激怒したまくらは計佑へ体当たり。
ここからまくらは不機嫌になり、天文部に遅刻する連絡も硝子を経由して伝達するほどになっていた。

ある放課後、計佑は毎日勉強で図書館を利用している硝子の協力のもと、アリスが天文学に興味を持つきっかけになるだろう本を見つける。
これまで部活未所属だったことで期待に胸を膨らませている硝子を見て、計佑は交換日記を提案。
硝子はそれを受け入れ、「星座Diary」と命名した。
計佑は夏休み、学校に宿泊した上で夏の星座見本帳を制作することを提案。
書記は硝子が担当することになった。

迎えた夏合宿初日、計佑達はアリスを星の話に興味を抱かせるために視聴覚室でビデオ鑑賞。
ソフトボール部と掛け持ちしているが故に、まくらは途中合流。
だが、計佑とまくらのギスギス状態は続いていた。
休日出勤で顧問を引き受けることを後悔し、まくらたちがなんとか持ち上げていた太郎丸は、計佑達に入浴を指示。
その入浴後、計佑は硝子を心配して風呂上がりを待っていた。
その結果、計佑は眼鏡を着用していない硝子と対面。
計佑はまくらの居場所を硝子に伝える一方、まくらが機嫌を悪くしている理由については理解していなかった。
これを見た硝子は、「傍から見ると 目覚くんはまくらのことしか考えてないよ」と伝えた。

その後、天文部部員は全員で夏の星座を鑑賞。
鑑賞している内に計佑とまくらは自然に和解した。
けれども、計佑とまくらのような言い合える仲の幼馴染みに憧れる硝子。
自身を好きな白鳥座、計佑とまくらはアルビレオに例え、叶わないであろう恋を静かに感じざるを得なかった。

夏合宿2日目にあたる翌日、天文部はソフトボール部インターハイ予選に出場するまくらを応援。
計佑は、計佑が作った世界とまくらが作っていた世界があまりにもかけ離れていたことに気づかされるほど、試合に出場するまくらに圧倒されていた。
これが原因で試合終了後、計佑は今まで何もやってこなかった自分自身にコンプレックスを抱く。
自信を喪失した計佑は、天文同好会の活動にレベルの低さを感じ、交換日記を否定したことで硝子を憤怒させる。

その夜、花火セットを用いて花火している際に計佑は身の回りの変化に気づき始めていた。
まくらが幽霊になる前から自分の世界を持っていることを。
計佑も、ようやく何かを始めて変化しようとしていることを。
この2日間の出来事を通して、計佑はまくらをずっと見ていたこと、彼女が好きなことに気づいた。

人を好きになるとは

計佑がまくらへの好意に気づいて2週間後、2人の関係は今まで通りには行かなくなっていた。
計佑は、まくらと自然に接することが出来ない。
まくらは県大会出場を果たしたものの、父親の仕事先新潟に引っ越す準備を計佑が知らない間に同時並行で進めていたからである。

計佑はまくらから引っ越しを告げられた日の週末、雪姫に誘われて一緒に映画鑑賞をする。
映画の上映中、計佑は雪姫に返事を伝える決意をしようにも、雪姫だけが好きで雪姫しかいない世界へ現実逃避してしまう。
雪姫も自身が選ばれないことを理解しており、映画上映後真っ先に席を立って計佑の声を聞こうともしなかった。
計佑はこの顛末に「好き…って なんなんだろう…」と考えるようになった。
この出来事が計佑の頭に強く残ったのか、まくら引っ越しの日、思いを伝えようにも計佑は伝えられずにいた。

4ヶ月後、計佑はまくらがそばに居ない中でも、天文同好会を続けいくつかの展示などを行った文化祭で一定の評価を得た。
冬休みの前日、計佑は硝子にまくらと連絡を取らないことを心配され、雪姫とは映画鑑賞以降、一切関係を持たなくなった。
そんな計佑は茂武市からの誘いを断り、まくらがまくらの母親と最後に遊んだ植物園へ向かっていた。

そこで計佑はまくらの母親から「将来、まくらと離れる日が来たらどうする…?」とたずねられてたことを思い出す。
まくらは、まくらの母親のように思っていたことと反対のことを言う性格だった。
だから計佑はまくらの母に亡くなる前、「一番近くでそのこと…わかって あげてね。」と頼まれていた。

計佑はまくらの母親の言葉を思い出したあと、新幹線でまくらのいる新潟へ向かったが、あまりの寒さに耐えきれず、喫茶店内へ入る。
この立ち寄った喫茶店で計佑は帰宅を決意するが、偶然そこで「まくらに彼氏がいる」噂を聞き、直後にまくらと再会した。
計佑は喫茶店を出て立ち去ろうとしたが、まくらは計佑を呼び止めて噂を即座に否定。
計佑は「勘違いされる対象はいるのか」とは考えたものの、ようやくまくらに対して素直になれた。

そんな素直になった計佑に対して、まくらは雪を投げつける。
まくらは勘違いされた相手がプリクラで写真を撮った計佑であることを明かし、「私ね 計佑のこと 大好き」と伝えて、物語は幕を閉じる。

『パジャマな彼女。』の登場人物・キャラクター

主人公

目覚計佑(めざましけいすけ)

眠りの森学園高等部1年2組所属し、天体観測を趣味とする男子高校生。
まくらとは幼馴染でクラスメイトの関係。
まくらが幽霊になってしまったあとは、緊張感を持たない彼女に振り回されながら元に戻すために奮闘の日々を送ることに。

幽霊になったことで学校に通学できなくなってしまったまくらを旅行に連れ出す優しさを持つ一方、喧嘩が強くないことを承知の上で雪姫を誘拐した柄の悪い連中に立ち向かう勇気も持つ。

計佑は覚えていないものの、雪姫とは入学式の日に初対面していた。
柄の悪い連中から雪姫を救出する際、負傷した箇所が原因で出血多量となり意識を失うが、雪姫の祖父である能活の治療を経て、看病されている際に告白を受ける。
その際は返事をしなかったが、まくらが元に戻る手がかりを探るべく診察所を訪れ台風直撃により、民家で台風をやり過ごしている際に「先輩の好意にだって応えたい」と雪姫に話してしまったことで告白を受け入れたように見られる場面もあった。

まくらを元に戻す手がかりを得るために雪姫の実家に宿泊した際、雪姫やまくらと共に診察所を調査したことで「呪いを解くためにはキスが必要なのでは?」と考え、まくらとキスを試みるも結局は有耶無耶に。
しかし温泉で入浴している際に、自分以外の人間とまくらがキスすることに嫌悪感を抱き、温泉を抜け出してまくらの元に向かうとまくらからキス。
これが呪いを解くトリガーとなり、眠りの森駅にてまくらと再会を果たす。

まくらを元に戻した後はやることがなくなり、抜け殻状態となっていたがまくらや茂武市の言葉をきっかけに天文同好会を設立。
まくらや茂武市に加え、アリスや硝子も参加することで夏休みには合宿を行うが、同時にまくらや雪姫との三角関係に悩む日々を送ることになる。

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