はねバド!(漫画・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『はねバド!』とは、2013年から2019年まで『good!アフタヌーン』(講談社)に掲載された濱田浩輔の漫画およびアニメ作品である。高校女子バドミントンがテーマ。かつてバドミントンの天才少女だった主人公・羽咲綾乃は、とある理由によりバドミントンから遠ざかっていた。しかしその才能を見抜かれ、高校で再びバドミントンを始めることになる。周囲の人物たちとの交流を通して綾乃の成長を描いた作品。女子バドミントンに対して本気で向き合い、情熱を燃やす青春ストーリーが人気を博した。

『はねバド!』の概要

『はねバド!』とは、2013年から2019年まで濱田浩輔により執筆され、『good!アフタヌーン』(講談社)にて掲載された日本の漫画、およびそれを原作としたアニメ作品である。コミックスは全16巻。

「女子バドミントン」を題材とし、それに特化した内容の作品となっている。
主人公の羽咲綾乃(はねさきあやの)はバドミントン漬けの日々を過ごしていたが、あるときを境に急にやめてしまう。しかし女子バドミントン部のコーチである立花健太郎(たちばなけんたろう)にその才能を見抜かれ、女子バドミントン部に所属することになる。そこから綾乃の止まっていた時間が再び動き始め、バドミントンと向き合い、バドミントンに関わる人物、過去に関わってきた人物たちとの交流のなかで、綾乃が成長し答えを見つけるといった内容の作品である。

女子バドミントンを扱った作品は少なく、バドミントンに情熱をもち、本気で向き合い心をぶつけ合い、勝敗を競う女子高校生の姿を綿密に描いたこの作品は、女子バドミントンに対する世間の見方に影響を与えている。
この作品の特徴は、バドミントンという競技に対するプロフェッショナルを目指す女子高校生の生き方、女子バドミントンに対する姿勢をしっかり描いている所にある。努力を続けていても、才能がなければ無理をせねばならず、駆け引きも多くしなければならない。しかし才能、努力をあわせ持つプレイヤーも存在し、そんな相手との「差」に絶望する。などといった心理描写が巧みであることがこの作品の面白さを深め、また様々な人間の最終的な到達点や、答えを描き、「人生」についてもしっかり描かれている所もこの作品の魅力である。

バドミントン全日本王者であった母の「天才はつくれる」という考えのもと、育てられた綾乃と、かつて彼女に完膚なきまでに叩きのめされ、今も失意のなかでもがく新垣なぎさ(あらがきなぎさ)が成長していく姿が描かれている。

2018年6月には望月唯一が執筆した外伝小説『小説 はねバド!』が刊行された。
また2018年7月にはテレビアニメ化。アニメ版においてはキャラクター設定やシナリオ構成が一部変更されている。

『はねバド!』のあらすじ・ストーリー

北小町高校バドミントン部

神奈川県の北小町高校のバドミントン部は、危機に瀕していた。新たにコーチとなった男、立花健太郎(たちばなけんたろう)の練習指導が厳しすぎたのである。

残ったのは男子2人と女子4人。バドミントン部の主将であり、高校3年生の荒垣なぎさ(あらがきなぎさ)は、立花に反感を抱いた。しかしこれはやつあたりの側面もあり、この時のなぎさはスランプに陥っていたのである。なぎさは去年IHに出場するほどの実力者であったが、副主将の泉理子(いずみ りこ)によると、スランプの原因は同じ年にあった全日本ジュニアにあった。その大会に挑んだなぎさは、当時中学生だった相手に惨敗していたのである。
同レベルのプレイヤーが北小町高校バドミントン部に存在しないことも、なぎさのストレスに関係していた。

そんな時立花は、木の高いところに引っかかってしまったハンカチを取ろうと話していた、新1年生の3人組に遭遇する。1年4組の藤沢エレナ(ふじさわえれな)、三浦のり子(みうらのりこ)、羽咲綾乃(はねさきあやの)だった。

その後綾乃は手も使わず、木に駆けのぼりハンカチを取ってしまう。驚愕した立花は、綾乃の手を取り、その才能に感激する。そして綾乃の左手に長くバドミントンをプレイし続けた人間特有の、マメができていることに気付く。立花はその後熱心に勧誘をつづけるが、なぎさは綾乃に才能を感じず、さらに立花に不信感を募らせる。

そこでなぎさは立花に賭けを申し込む。内容は、「綾乃となぎさが1ゲーム試合をして、なぎさが負ければ部を去る。しかし勝てば、立花は今後一切なぎさの練習に口出しできない」といったものだった。
強引に試合が始まるが、綾乃は利き手と逆の右手で試合を行い、結果僅差でなぎさが勝利した。しかしこの試合では綾乃は全く汗をかいておらず、それに引き換えなぎさは疲労を重ね、汗まみれだったのである。

その後北小町高校バドミントン部は、昨年IH団体戦で準優勝を勝ちとった「フレゼリシア女子短期大学附属高校」(通称フレ女)と協力して、合宿を行うことになる。そこにエレナと綾乃も連れてきていたが、綾乃は不満を全開にしていた。
綾乃はバドミントンに関わること自体に拒絶感を持っていたのである。

立花は強豪のフレ女のプレイヤーと接し、「なぎさと才能に満ちた綾乃がいれば、全国大会に行くことができる」と考え、綾乃に入部を頼みこんだ。
しかし綾乃はこれを拒否し、その場から駆け足で逃亡してしまう。

逃亡先で謎の外国人の少女と出会った綾乃は行動をともにする。
放っておいてくれないと不満をつのらせる綾乃に、謎の外国人の少女は「小さな花が密集している花は、寄り集まってはじめて美しさをみせる。単体ではその美しさや輝きは発揮できない」と、通りがかった花屋の花にたとえて人とのつながりの大切さを説く。
しかしその言葉には、「弱く小さい花は単体では価値がない」といった意図を感じさせた。

その後エレナと立花によって綾乃は合宿に戻ることになる。
少女との会話のなかで、人と繋がろうとする意志を強めていた綾乃は「フレ女との試合にでてもよい」と語り、団体戦(ダブルス)の形式で副主将の理子とプレイする。
相手のダブルスの選手の1人はなんと、先ほど出会った少女だった。

謎の外国人の少女は「あなたに会いに日本に来た」と語り、その少女の正体がデンマークユース代表となった高校生である「コニー・クリステンセン」と判明する。

試合のなかでその圧倒的な実力を見せつけるコニーは、綾乃をなぜか「お姉ちゃん」とよび、点を一方的に奪う。
甘い返球をする綾乃に「全力をださないと早く終わらせる。小さい花は寄り集まらなければただの雑草でしかない」と綾乃を挑発する。そして「あなたなんかママの娘じゃない」と語る。
綾乃は、ペアである理子に「あなたは1人じゃない」と励まされ、ポジティブに向き合い始める。

徐々に綾乃のプレイがさえわたり、相手のショットを的確にはじき返し、その強さを見せつけた。
コニーの余裕がなくなり始め、それに対し綾乃のプレイはどんどん研ぎすまされていく。
コニーのダブルスのペア、多賀城ヒナ(たがじょうひな)はコニーにアドバイスするが、コニーは「私に指図するな」とプライドを見せる。
速い展開にあえて乗ろうと、強気でショットを打ちこもうとするが、その先には不穏な表情を見せた綾乃が待ち構えていた。

ショットを拾うため動いたフレ女の2人は、接触事故をおこしそうになる。
綾乃に不気味さを感じたヒナは棄権を申し込み、北小町高校のペアが勝利するといった形になった。

挫折を経験したコニーは、綾乃に「自分と綾乃、そしてママの秘密を夏のIHで明かす」と宣言する。
綾乃はその秘密を知るため、バドミントンに再び向き合い、夏のIHに出る決意をした。

羽咲綾乃の決意

その後綾乃の家にいくことになった北小町高校のメンバーは、綾乃の過去を知ることになる。綾乃の母親は実は日本一を獲った女子バドミントンプレイヤーであり、なぎさが過去に全日本ジュニアで惨敗した中学生の正体が、綾乃だと判明する。綾乃の母親の顔を見てみたいと思ったエレナとなぎさは、アルバムを手にとる。
しかしすべての写真はなぜか、綾乃の母親の顔の部分だけ切り抜かれていたのである。

練習中の綾乃は、本来のプレイの凄さをみせつける。立花は、なぎさが綾乃とうまく調和すれば、ダブルスで強力な武器になると算段をたてていた。
だが、なぎさは自分がダシにされていると激高し、練習を抜け出してしまう。

なぎさは自分の心理状態が理解できず、夜になり体育館に戻ってきた。そこにはショットを1人で打ち込む立花の姿があった。そしてなぎさにシングルの1ゲーム勝負を申し込む。

立花は、なぎさのスランプの原因は、全日本ジュニアで自慢のスマッシュをことごとく綾乃にはじき返されたことだと分析した。立花はなぎさを鼓舞し、なぎさは自信をとり戻した。
その後部のメンバーに謝罪し、さらに北小町高校バドミントン部の結束が強まったのである。

なぎさと立花の試合を、たまたま目撃した綾乃は、現状に焦りを感じていた。

そして北小町高校バドミントン部の練習中に、港南高校の芹ヶ谷薫子(せりがやかおるこ)が現れ、挑まれた練習試合で綾乃は惨敗してしまう。薫子は綾乃の因縁の相手であり、1度綾乃は薫子に、公式戦で敗北していたことが判明する。しかしその内情は、試合当日に風邪をこじらせた薫子が、綾乃に無理やり風邪をうつした状態での試合だったのである。その試合を綾乃の母親は見ており、途中で綾乃が風邪のつらさで、諦め試合を放棄し敗北したと見抜いていた。その後、綾乃は「いつもは自分が勝っている。しかし風邪をうつされたことで負けた。だから自分は負けていない」と告げた。

その時なにか決心したような顔をみせた綾乃の母親は、それから綾乃の前から姿を消す。綾乃はそれを、自分がバドミントンで負けたからだとずっと後悔していた。
しかし綾乃の母親は、バドミントンを通すことでしか娘に大事なことを教えられなかったのである。そのため、綾乃の母親である羽咲有千夏(はねさきうちか)は、いつでも甘えられる母親の存在は不要だと判断した。そして、綾乃に1流のメンタリティを与えるため、祖父母に綾乃をたくし出て行ったのである。
その後の綾乃は自分を責め、バドミントンと孤独に向き合いはじめる。綾乃が、全日本ジュニアでなぎさに圧勝したのはまさにその時期だったのである。

それを聞いた北小町高校バドミントン部のメンバーと立花は、綾乃に会いに行く。立花は綾乃に、自分の弱さのせいで母親が消えたわけではないと励ます。

北小町高校バドミントン部は、有千夏が娘のために授けたおそろいのリストバンドをはめ、IHへの意気込みを強めていく。
そして月日は流れ、「神奈川県予選シングルス」が始まる。2回戦で綾乃と薫子がぶつかり、綾乃は前に惨敗した薫子を圧倒する。

試合後、たびたび大会中綾乃に接触していた謎の老人は、綾乃に「なぜ勝ちたいなどと余計なことを考えたのか?」と質問する。この事が、薫子が語っていた、綾乃が新たに身につけてしまった欠陥の正体だったのである。そして謎の老人は、「有千夏が自分が主催するフェスティバルで待っている」と告げる。

謎の老人についていった綾乃は「ヴィゴ・キアケゴー・スポーツアリーナ」にたどり着く。そこで行われている試合に勝てば、有千夏に会えると老人は語り、綾乃は中国人選手、王麗暁(ワン リーシャオ)と対戦することになる。王麗暁は有千夏が育成した選手であり、スポーツアリーナに来ていた有千夏は「手も足も出ずに綾乃は負ける」と老人に語った。
スポーツアリーナに綾乃をとり戻すべく駆け付けた立花は、綾乃の疲労の蓄積を危惧し、謎の老人に試合の中止をよびかける。だが、老人は立花の言葉に耳を貸さず、試合を続行させる。
この老人の正体は、「ヴィゴ・“スピリッツ”・キアケゴー」という、ヨーロッパ勢で最初の五輪金メダリストという人物だということが判明する。

追い込まれていく綾乃は、徐々に能力をとぎすまし、巻き返しはじめる。結果試合は負けてしまったが、王麗暁は「世界ランク1位」のプレイヤーだと判明する。綾乃は、「全国大会にみんなで出場する。その後世界で有千夏に会う」と新たに決意する。

神奈川シングルの決勝戦が始まる。綾乃となぎさの試合である。なぎさは準決勝で足に負担をかけており、その状態で綾乃との試合に臨んだ。
得意のスマッシュを意識させて、綾乃のペースを乱す戦略をなぎさは展開し、ポイントを奪う。対して綾乃はいつもどおりの自分のバドミントンが展開できず、心を乱され始める。
綾乃は攻める戦略をやめ、スマッシュが打てる球でも下からひろい、守りのスタイルに戻し始める。なぎさも腹をくくりスマッシュを解禁する。なぎさのスマッシュを返そうとする綾乃だったが、そこに苦難や逆境を感じている表情はなかった。以前母親と楽しんでいたようにバドミントンを楽しむ姿が、そこにあったのである。

試合は終盤に入り、互いを削りあう展開になった。追いつめられたことで、両利きである利点を生かしハイリスクな「ゼロ・ポジション」を、綾乃はみせる。
綾乃には、「バドミントンを再び好きになったことで、さらに新しい境地に進みたい」という願いが生まれていた。しかし、綾乃は普段しない攻めるスタイルを序盤にとっていたことが、体力の激しい消耗をまねいていた。
結果「荒垣なぎさの優勝」という形で神奈川シングルは幕を閉じた。

試合後、綾乃は父親に「いいライバルができたね」と言われ、綾乃はなぎさに会いに行く。そして「またやろう」と晴れやかな表情で告げたのである。

神奈川県予選団体戦

エレナは立花に会い、北小町高校バドミントン部に入りたいと告げていた。エレナがバドミントンを今後好きになれるよう、指導をする必要があると立花は考えた。

もう1つのダブルスを担当するのは綾乃と理子だった。理子はプレッシャーに押しつぶされそうになっており、綾乃に自分の不安を語る。
綾乃はペア同士は調和が大切と語り、毎朝一緒に登校することを提案し、理子はそれを承諾する。

始まった神奈川県予選団体戦の初戦、北小町高校と鶴三沢高校の試合で、綾乃と理子のダブルスは圧勝。さらに海老名悠(えびな ゆう)と伊勢原空(いせはら そら)のダブルスも勝利する。エレナも、無事に初勝利をもぎとり、北小町高校の勝利という形で終わる。

横浜翔栄高校の監督、木叢(こむら)は、なぜ北小町高校のシングルでなぎさを出さなかったのかを考えていた。実は神奈川県予選シングルスで、なぎさは膝にダメージを負っており、出場することができなかったのである。木叢は情報を集め始めていた。
そして第2回戦、北小町高校と向常高校の試合が始まり、シングル初戦はエレナが担当するが敗北。しかし控えていた綾乃が勝利する形となった。
第3回戦の相手は木叢が監督する横浜翔栄高校であり、実は前年度に団体戦優勝していた強豪だったのである。

理子はプレッシャーを感じていた。そして横浜翔栄高校のエース、橋詰英美(はじずめ えみ)と出会い、会話する。英美は「なぎさのケガは治ったのか」と理子に揺さぶりをかけ、理子は驚愕してしまう。その様子を観察していた木叢は、なぎさの故障を確信し、勝つ算段を立てたのである。勝ったも同然とはしゃぐ英美だったが、実は自己肯定感が低く「木叢に自分を褒めてもらわねば自信が出ない」と心のなかで語るのである。

そして第3回戦である北小町高校と横浜翔栄高校の試合が始まった。
なぎさ欠場を確信している木叢は、狙い通りの組み合わせをつくれたことに気をよくする。しかしその木叢のオーダーを立花は読みきり、最善の組み合わせを立花もまた組んでいた。

初戦のダブルスは、北小町高校は綾乃と理子のペア。対して横浜翔栄高校は、英美と重盛瑞貴(しげもり みずき)である。シングル3の理子と英美の勝敗が、この団体戦の勝敗を左右する形となっていた。綾乃はシングル3での理子の相手である英美を疲弊させるため、執拗に英美を狙い撃ちする戦略をとり始める。
この試合で、徹底的に英美のスタミナを奪おうとする綾乃は、それを防ごうとする瑞貴と削りあう展開になる。
綾乃は、自己の現状が慢心に満ちており、相手選手へのリスペクトをもてていないことに不満を感じ始める。そのことを立花に相談すると、立花は「バドミントンという競技そのものを尊敬する意識をもつことで、それに関わる人たちすべてをリスペクトできるようになる」と綾乃に教える。

結果ダブルス初戦は北小町高校が勝利し、両チームの監督の読み通り、シングル3の勝敗が両高校の勝敗を分けることになったのである。
シングル3の理子と、英美の試合は、序盤に理子が追いかける展開になった。しかし自己肯定感が低い英美を追い詰めた理子が勝利し、第3回戦は北小町高校の勝利で幕をとじた。

その後コニーは、有千夏に再会していた。コニーは綾乃に電話し、有千夏と会話する。綾乃は自立への道を歩み始めたことで、「バドミントンを通して、己を成長させてくれる存在」として有千夏を認識し始めたのである。

「今お母さんと私が戦ったらどちらが強いかな?」と疑問を綾乃は有千夏に問いかける。有千夏は綾乃の変化を感じとり、「このバドミントンを通した繋がり方が、私たちの繋がりだと信じる」と返答したのである。
有千夏はフレ女のコーチとして呼ばれ、コニーと再会していたことが判明。

そして準決勝である「北小町高校と港南高校」の試合が始まる。
連戦で疲弊していた理子は敗北してしまい、綾乃がシングルで圧勝するも結果的に団体戦での勝利は獲れず、北小町高校の敗北という形で神奈川県予選団体戦は幕を閉じた。

優勝した神奈川県のIH出場校は、逗子総合高校となり、その後綾乃のもとに、港南高校の薫子が訪れる。1ゲームの試合を薫子に申し込まれ、綾乃はこれを承諾。試合が始まるものの、綾乃のプレイは精彩を欠いていた。
綾乃の人生が変わったきっかけは、「中学での薫子に敗北したこと」であり、それがなければ「自分の人生はもっと違っていたのではないか」と薫子に心情を語る。

薫子は、自分が知っている綾乃は「バドミントンに打ち込む闘争心の塊」であると語る。
そこから綾乃は、強くなることへの躊躇を完全に断ち切ったのである。

その後綾乃はヴィゴ・“スピリッツ”・キアケゴーの元を訪れ、IHの頂点を獲らせてほしいと頼み込む。
ヴィゴは承諾した。それから綾乃は、週2日北小町高校バドミントン部に顔を出し、残りはヴィゴの指導の下で過ごす日々を送る。

IHの団体戦は、フレ女が団体戦で優勝も獲る形で幕を閉じた。

2人の娘たち

その後綾乃は、栃木県の宇都宮高校のエース、益子泪(ましこ るい)と出会う。全日本ジュニアの頃の綾乃を泪は知っており、「今の綾乃は弱そうだ」と指摘される。
そしてIHの個人戦シングルが始まり、綾乃、なぎさ、泪は順調に駒を進めていった。

4回戦で綾乃は、青森県の青森高田高校の狼森あかね(おいのもり あかね)と対戦する。
綾乃は読みのスピードを生かし、結果的に綾乃が勝利した。

その後、綾乃と泪の準々決勝が始まった。綾乃は、過去の自分の不安定な時の影を泪に感じていた。不安定な泪の心理をラリーで読み取ろうとするが、クロスファイアを容赦なく叩かれ、ポイントを奪われる。
結果、第1ゲームは泪が先取した。泪は綾乃のように、相手を容赦なく叩きのめすスタイルで戦っていた。泪の実力は頭ひとつ抜けており、天才として扱われることが、孤独を深める一因となってしまったのである。

綾乃は、ヴィゴのアドバイスに従い、「威圧して相手を打ちのめすスタイル」で正面から泪に挑む。その最中で「感じることでコートの情報を把握する」という能力に磨きをかけ、完全に開花させる。
そして泪の弱点を発見し、結果綾乃が勝利したのである。

コニーとなぎさの試合が始まり、互いを削りあう死力を尽くした戦いが続く。
だが、立花がなぎさの膝のダメージを考慮し、試合の棄権を宣言した。結果、コニーが勝ちあがることとなった。

この時点でベスト4が決まり、綾乃、志波姫唯華(しわひめ ゆいか)、津幡路(つばた みち)、コニーが勝ち残る形になった。
その後父親とヴィゴが同席している場を綾乃は目撃し、有千夏が病におかされ長くないことを知る。

そして準決勝戦、唯華と綾乃の試合が始まった。
序盤は、戦略的なバドミントンを展開する唯華がリードする。だが綾乃の、感じることでコートを把握する能力が極まり、相手の手を読みきり、巻きかえし始める。
その後も、ヴィゴから教わった必殺ショット「ハルダウン・クロスファイア」を使い、綾乃が勝利した。

その後コニーと路の準決勝戦が始まるが、コニーが格の違いを見せつけ勝利した。決勝戦にコマを進めたのは、コニーと綾乃になったのである。

有千夏は、自分が子供として育てたコニーと、実子の綾乃を「バドミントンを極め、戦いを追い求める人間」にしてしまったことを後悔する。
だが、2人の子供の強さを求める姿を見て、己の闘争心を抑えきれずに不敵な笑顔をみせる。
その後綾乃は、有千夏に会いにいき、「どんなに羽咲有千夏が歪んでいても、私は母親を愛することをやめない」と有千夏に宣言をした。

そしてIH個人戦決勝戦、綾乃とコニーの試合が始まり、互いに死力をつくした互角の戦いが続く。
有千夏は2人の娘のシャトルを叩く音から、今まで途方もない回数を打ってきたことを悟り涙する。
勝利したのは、綾乃だった。

その2年後「バドミントン女子全英オープン」が開催され、決勝戦ではコニーと王麗暁が対戦していた。日本代表には、なぎさをはじめとした、2年前にIHで競った選手がそろっていた。
綾乃は、高一から全日本総合3連覇を成し遂げていた。
いまだ、過去になぎさと戦った際の1度の敗北以外では、無敗のプレイヤーになっていたことが判明する。

有千夏は、この時点ですでに亡くなっていた。綾乃とコニーは、有千夏の墓で語り合う。
最後は「ヴィゴ・キアケゴー財団プレゼンツエキシビショントーナメント」の決勝戦で、綾乃と薫子の試合が始まり、物語は幕を閉じる。

『はねバド!』の登場人物・キャラクター

北小町高校

羽咲 綾乃(はねさき あやの)

CV:大和田仁美

本作の主人公である。女子バドミントン部員。両利きのバドミントンプレイヤー。性別は女性。初登場時点で高校1年生。黒髪で身長は「151cm」。当初は「小声」で喋るキャラクターだったが、物語が進行するにつれて普通のボリュームで喋るようになる。
ローファーで木を手を使わずに駆け上るなど、異様な動きができる。バドミントンのスタイルは、高速でシャトル(球)をひろい、相手選手の球をことごとくはじき返す「絶対防御スタイル」。

性格は当初は柔らかな雰囲気で、子供のような純真さをもち、臆病な面のある普通の女子高生といったものだったが、物語が進行するにつれて、相手選手にリスペクトを持つことができず、自分の実力に圧倒的な自信をもつ「傲岸不遜」なプライドの高い性格だと判明する。
そのため物語の中盤までは、そのプライドの高い態度や、セリフが目立っていたが、終盤に進むにつれて、己の本質を理解し「強くあっても優しい人間になりたい。」と心情を語り、徐々に途中までの危うさは消えていくのであった。

バドミントンプレイヤーとしては、小柄でセンスに優れるがフィジカルがない。スピードと反応は優れるが、スタミナがないと評されていたが「ヴィゴ・“スピリッツ”・キアケゴー」の指導により欠点を克服。最終的にIH個人戦でトップをとるほどのプレイヤーへと成長した。

荒垣 なぎさ(あらがき なぎさ)

CV:島袋美由利

羽咲綾乃の「ライバル」。右利きのバドミントンプレイヤー。性別は女性。初登場時点で高校3年生であり、女子バドミントン部員の「主将」をつとめている。黒髪で短髪。スタイルがよく高身長の「174cm」と恵まれた体躯をもつ。
バドミントンのスタイルは、強力なスマッシュを必殺技とした駆け引きも使う攻撃重視のスタイル。「絶対防御タイプ」と評される羽咲綾乃とは、真逆のプレイスタイルである。当初はスランプをかかえており、原因は過去に羽咲綾乃に惨敗したことであった。しかし同校のコーチ「立花健太郎」に励まされ、スランプを克服。この時点から立花健太郎に恋心を抱きはじめる。
高身長でウェイトがあるため、スマッシュは強力だが、動きの多いプレイスタイルであることが災いし、「足の故障」が周囲に懸念されており、物語全編を通して足に爆弾を抱える描写がなされた。

性格は直情型で熱血。その一方で駆け引きをする思考力も併せもっている。挫折をのりこえてからは、その強力なメンタルを周囲に称賛され、「ヴィゴ・“スピリッツ”・キアケゴー」にして、「プロフッショナルのメンタリティ」と評される。

当初は足の故障を懸念されていたことで、強豪の監督たちからの期待値は低かったが、立花健太郎の指導のもと、IH個人戦で覇を競うほどのトッププレイヤーへと成長した。

泉 理子(いずみ りこ)

CV:三村ゆうな

初登場時点で女子バドミントン部員の「副主将」をつとめる高校3年生。右利きのバドミントンプレイヤー。性別は女性。身長は「163cm」で黒髪でポニーテール。メガネをかけていることが特徴。
プレイスタイルは分析をし、戦略的にバドミントンを展開することが特徴。性格は大らかで知的。初期にスランプに陥り、部内の雰囲気は荒れていたが、彼女の献身により、崩壊にはいたらなかったことなど、影で北小町高校を支えていた功労者である。また格上相手でも、勝ちを捨てず諦めないといった描写から、メンタルも強い。

団体戦でその分析力で北小町高校を支えるなど、トップレベルの選手には劣るが、決して実力のない選手ではない。証拠に横浜翔栄のエース「橋詰英美」をシングルスの試合で撃破している強力な選手。

立花 健太郎(たちばな けんたろう)

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