不安の種(不安の種+、不安の種*)のネタバレ解説・考察まとめ

『不安の種』とは2002年から中山昌亮によって執筆されたホラー漫画、およびそれを原作としたホラー映画。
日常の中に潜む様々な怪異を描いたオムニバス形式となっており、それぞれのストーリーが独立している点が特徴。
怪異のビジュアルや謎が残るストーリー、ショートスタイルゆえの読みやすさなどの点で人気を博した。

『不安の種』の概要

『不安の種』(ふあんのたね)とは2002年から中山昌亮によって執筆されたオムニバスホラー漫画。
『チャンピオンRED』にて2002年12号から2005年5号まで連載後、『不安の種+』(ふあんのたねプラス)と改名し、『週刊少年チャンピオン』で2007年9号から 2008年15号まで連載された。さらに『不安の種*』(ふあんのたねアスタリスク)と改名し、『チャンピオンRED』にて2019年4月号から連載開始。
2013年には監督・長江俊和により、富沼市という架空の都市を舞台としたストーリーとして映画化された。
作中に出没する怪異はいずれも「なぜ出没したのか」、「なぜ登場人物と関わりを持ったのか」、「正体はなにか」といった詳細な情報が明らかにされず、あくまで「日常を送る人間の前に突如現れた理不尽な存在」として描かれているのが特徴。
ストーリーも具体的な顛末が明らかにされない他、実際にあったかのように語られる場合も多いため、読者に対し自分たちが体験するかもしれない身近な恐怖を味わわせることに成功している。

『不安の種』のあらすじ・ストーリー

オチョナンさん

写真に写った謎の怪異、オチョナンさん。守り神とも伝わっているが、その正体は不明。

2002年、場所は不明。オチョナンさんと呼ばれるある怪異を中心に物語は進む。
当初はある少年、龍太(りゅうた)の日記でその存在が示唆されており、そこには龍太の家に住む家族以外に、オチョナンさんという怪異が存在していると記述されていた。
その顔は目と口を縦にした異形の人間であり、他の家族がいるときは隠れ、龍太が一人でいるときだけ出てきて家の中をぐるぐる回ると書かれていた。
後にこの日記を読み、オチョナンさんの存在を知った両親は、自分たちが住む一軒家の建築途中を撮った写真の中にもオチョナンさんが映っていたことを知り、最終的には引っ越しをしてしまう。

その後一家は、父親方の祖父の家に避難していたらしく、続編となる「おじいちゃんのオチョナンさん」にてオチョナンさんについて新たな言及がされた。
祖父の発言では、オチョナンさんは守り神ような存在で悪いものではないが、吊り上がった目を持つオチョナンさんは危険な存在であるという言及がなされた。しかし祖父の背後には、危険とされる目を吊り上がらせたオチョナンさんが立っており、その姿はなぜか龍太にしか見えていないのであった。

時は進み、「棒が一本」で新たなオチョナンさんにまつわる話が語られた。
この話の時点では、一家は賃貸アパートに引っ越しをしていた模様だが、父親の仕事がうまくいかなくなったり、義父の体調悪化など悪いことが続いていたらしい。
龍太の母親が自分たちの周りに起こった不幸を友人に相談していると、龍太が謎の歌を発しながらある絵を描き始める。その絵はオチョナンさんを描いたものであったが、真っ黒な肌をし、明らかな怒りの表情をうかべており、龍太はオチョナンさんがこの表情に変わってしまっていると母親に伝えていた。
その後の顛末は不明となっており、オチョナンさんの正体も明らかになることもなく、これ以降の龍太たちの話も伝わっていない。
しかし作中では、いくつかオチョナンさんと類似した怪異が確認されている。

彼女の前に現れた怪異。特徴的な口は、オチョナンさんと酷似している。

その怪異は「夏の思い出」にて語られており、龍太たちと同様、出没した場所も明らかになっていない。
ある女性の子供のころの話であり、彼女は夏休みの間は祖父母の家を訪れており、海や川、山で遊んだり、おつかいなどをして過ごしていた。そんなある日、彼女は少し離れた従妹の家に行っていたが、その帰り道の途中、なぜか祖父母の家に帰る道に並べられた米を目撃する。
さらに自分の後ろから何かがついてきていることに気づくが、その怪異は道に並べられた米を食べながら、なんと彼女の祖父母の家に近づいているのであった。怪異に恐怖した彼女は、思わず並べられた米を蹴散らし帰宅してしまう。その後、家では大人たちが真剣に話し合いをしており、聞き取れなかったが何かをせっかく呼べたのにという話をしていたのであった。
翌朝、怪異が現れた場所に行くと、そこには謎の血痕が残っていた。さらに昨日遊んでいた従妹が彼女のもとへやってきたのだが、そのうちの一人は片目を怪我しており、放心状態になっていた。
さらにもう一人の従妹からは、この怪我はなぜかお前のせいだと責められ、これからお前は知らない人だと宣言されてしまい、それから以降の彼女の家では親戚づきあいがなくなってしまった、と語られている。
この話に出没した怪異は、縦になった口のみが確認されており、その姿はオチョナンさんに酷似しているのである。

さらに『不安の種*』でもオチョナンさんに酷似した怪異が登場している。
その怪異は「棲まうモノ」にて描かれており、ある家に住む少女の前に現れた。彼女は日ごろから何かに見つめられたり、においを嗅がれているような気配を感じていた。しかしその気配に対し恐怖感は覚えておらず、むしろ守り神のように感じていたのだった。
そんな彼女が就寝中、ある怪異が現れる。空中の顔だけが映し出されるのだが、その顔はオチョナンさんに酷似しているのであった。

キューコン女

『不安の種+』の中でも屈指の恐ろしいビジュアルを持つキューコン女。噂で語られる行動とこの怪異の関連性、男がどうなってしまったのか、その正体、全ては謎のままとなっている。

1995年、世田谷区に住むある男の前に現れた怪異。男が両手の人差し指と親指でひし形を作り、へそを囲むように添えて眠ると魂が抜け出るという噂を聞き、実践していたところに出没した。
男性が何かに引っ張られる感覚を感じ、目を開けたことで目撃。天井から上半身のみをはやし、真っ白い顔にまるで子供の落書きのような顔をもっており、男の方に向かって手を出しながら何かを吸うような動作を見せていた。
その後男や怪異がどうなったかは明らかにされなかったが、同一個体とみられる怪異が続編となる「巣」で語られた。

とある深夜の学校で、何かが動き回るような音を聞き様子を見に来た男性職員の前に出没した。
換気口の中に潜んでおり、恐怖に陥った教員が殺虫スプレーをかけると、怒声とも悲鳴ともつかない叫び声をあげ、換気口から落下。顔を弾けさせ動かなくなってしまった。
翌朝その怪異はいなくなっていたが、暴れた痕跡だけは残っていた模様。ここではその全体像も描かれており、その姿はまるで虫のようであった。

もう終わらせる

声を発した存在と思しき怪異。表情は窺えないが、好意的な存在ではない模様。

ある声に関する怪異の話。始まりは「押し入れ」にて語られた。
1968年、ある家で発生した怪異。その家では押し入れで毎晩誰かに呼びかけるような男の子の声がするという怪現象が起こっていた。
ある昼、部屋の中にいた子供が好奇心に駆られ、その声に反応してしまう。その時何かをひっかく音が聞こえ、怖くなってしまった子供は声に対し無視を決め込んでしまうのだった。
しかしある時、押し入れから聞こえてきた声は、普段とはかけ離れた不気味な声で「もういい、もうわかった、もう終わらせる」と発するのであった。

続編となる「闇の呟き」では、押し入れの中にいた怪異と思しき存在の視点に移り変わっている。
その怪異はずっと暗い場所で寝起きを繰り返していたようだが、自分の声が聞こえたにもかかわらず、自分を無視する子供に怒りを覚えてしまい、「もういい、もうわかった、もう終わらせる」と宣言するのであった。

その38年後、「改築工事」にて新たな情報が語られた。
舞台は2006年、ある男が自分が購入した土地にやってきたところから始まる。その土地には30年以上野ざらしになっており、近所からはオバケ屋敷と呼ばれていた廃家が設置されていた。男はその家を解体すると、なんと一畳半ほどの隠し部屋のようなものが見つかり、そこには一冊のスケッチブックがあった。
そこにはスケッチブックの持ち主と思しき人物の日記が描かれていた。当初は迎えに来るから待っていろと言いながら、一行に姿を現さない母親に焦りと不安を感じていく様子が描かれる中、ある時自分の声を聴いたにも関わらず無視する子供への怒りを露わにする。そして最後のページには、「もういい、もうわかった、もう終わらせる」という文が残されていた。

シーン

少女の前に現れた謎の男。この男との遭遇が少女を襲う恐怖の始まりとなった。

2003年、武蔵野市に住むある女子生徒の前に執拗に表れる怪異。見た目は一般的なサラリーマンだが口が大きく、昆虫のような目を持つ。
当初は女性生徒の前に幾度となく現れたり、布団で足をつかんで引きずるといった行動をとっていた。

しかし女子生徒が友人のアドバイスでお守りを買ったことで、怪異の行動は激化。お守りを真っ二つにしたうえで、友人の目を怪異と同じ目にさせるといった何らかの加害行為を行い、その行動はエスカレートしてしまう。
最終的には怪異に抵抗しようとした女性生徒を触手のようなもので拘束する様子が描かれているが、その意図や正体、女子生徒がどうなったのかも不明である。

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