色づく世界の明日から(第10話『モノクロのクレヨン』)のあらすじと感想・考察まとめ

あさぎは将に告白された瞳美を避けてしまっていたが、瞳美が勇気を出して話しかけたことで仲直りをする。一方、魔法写真美術部は文化祭に向けてイベントの準備を進めており、琥珀は魔法で人を絵の中に送り込む企画を提案した。試しに、瞳美と琥珀は協力して葵が描いた絵の中に部員たちを送り込んだ。その絵の中で、葵は瞳美の辛い過去の光景を見てしまう。
今回は「色づく世界の明日から」第10話『モノクロのクレヨン』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「色づく世界の明日から」第10話『モノクロのクレヨン』のあらすじ・ストーリー

大切な友だち

仲直りをする瞳美とあさぎ。

あさぎと瞳美が気まずい雰囲気になった次の日の朝、瞳美があさぎに挨拶をしてもあさぎは瞳美の方を見ようともせずに去って行ってしまう。あさぎは将と瞳美が付き合っていて、自分は失恋してしまったのだと勘違いをしており、気持ちの整理がつかなくて瞳美を避けていたのだ。
瞳美はあさぎに避けられたことで落ち込み、あさぎは「バカみたい、私…。瞳美ちゃんは、悪くないのに…。」と自己嫌悪に陥っていた。
その日の部活動の時、琥珀は将が何かを書いていたため「将さん、何書いてるんですか?」と聞いて、将の手元を覗き込んだ。
将「文化祭の企画書。展示やるにもイベントやるにも、必要なんだよなぁ。」
胡桃「早いとこ写真選んで、作品集仕上げなきゃね~。」
琥珀「魔法部も何かやりたいなぁ…。」
その時、部室のドアが開いてあさぎが現れた。将はあさぎの方を振り向いて、「おぉ!遅かったな。」と声をかけた。
あさぎ「教室に忘れ物しちゃって…。それから、今日は外で撮影しますから。」
将は「え?」と驚き、瞳美はあさぎと2人で話す絶好のチャンスと思って「じゃ…、じゃあ私も!」と言いかけた。しかし、あさぎは瞳美が言い終わるのを待たずに「お疲れ様です。」と言ってドアを閉め、去ってしまう。
瞳美はそれでもめげずにあさぎを追いかけようと思い、自分も鞄を持つと「お疲れ様です。」と言って部室を出て行った。
2人の様子が変だということに気づいた将は、「あの2人、何かあったのか。」と琥珀に聞いた。自分が原因で瞳美とあさぎがギクシャクしていることに気づかない将の鈍感さに、胡桃と琥珀は呆れて「この男…。」と2人同時に呟いた。2人から何故呆れられながら見られているのか分からない将は、苦笑いをして誤魔化すしかなかった。

一方、瞳美はあさぎの後ろを離れて歩きながら、思い切ってあさぎに話しかけていた。
瞳美「あ…、あさぎちゃん!あの…、ごめん…。声かけていいのかわからないけど、何か…、このままじゃいけないって…自分勝手なのわかってる。でも、あさぎちゃんと話したい。あさぎちゃんは、こっちに来て初めてできた、大切な友達だから…。」
あさぎはいつもと変わらない微笑みを浮かべて瞳美を振り返ると、「甘い物、食べに行きませんか?」と瞳美を誘った。
2人はパフェを買って水辺の森公園の石で作られたベンチに並んで座り、会話を交わした。
あさぎ「私、小さい頃からずっと、将くんのこと見てました。家も近くて。うちでバイトしたり、一緒にいるのが当たり前になっていて…。将くんが瞳美ちゃんを見てるって気付いた時、悔しかったです…。私じゃないんだって。でも、当然ですよね。だって私は何もしてこなかったから…。怖くて、踏み出せないんです。ホントは、瞳美ちゃんに嫉妬する資格なんて、なくて…。」
あさぎは俯いて「ごめんなさい。」と瞳美に謝った。瞳美はあさぎの方に顔を向けて、「ううん、私も。相談に乗ってくれて、ありがとう。嬉しかった。」と言った。あさぎは安心したように胸に右手を当てて、「私も!追いかけてきてくれて、ホントは嬉しくて!」と答えた。
瞳美とあさぎはいつの間にか涙ぐんでおり、2人同時に涙を拭った。
あさぎ「あーもう!全部将くんが悪いんです!食べましょう!」
瞳美とあさぎは、パフェのやけ食いをした。
あさぎ「甘い!おいしい!」
瞳美「うん、おいしい!」
あさぎ「カラオケ!カラオケ行きたいです!」
瞳美「カラオケ?」
あさぎ「行ったことないんですか?」
2人はすっかり仲直りをして、いつの間にか元通りの友だちに戻っていた。
その後、琥珀と胡桃も誘ってカラオケに行き、4人で歌って盛り上がった。あさぎはカメラを手にして、瞳美や胡桃、琥珀の楽しんでいる姿を写真に撮った。

仲直りの後、瞳美とあさぎは胡桃と琥珀を誘い、カラオケで楽しく過ごした。

瞳美が得意な魔法

魔法部の出し物として使う絵の中に何を描くか話し合い、盛り上がる魔法写真美術部。

琥珀は瞳美に、文化祭の魔法部の出し物を絶対に成功させようと語りかける。

次の日の部活で、琥珀は文化祭で魔法イベントをしようと提案した。
琥珀「写真部も美術部も、作品集とか展示とかあるのに、魔法部だけ何もないのは寂しいなって…。なので…、オホン!魔法部は、絵の中にお客さんを招待する素敵なイベントをやろうと思いまーっす!」
千草は「おぉー!お…?」とノリで琥珀の動きに合わせて片手を拳にして振り上げたが、「絵の中に招待する」という言葉に不思議そうな表情を浮かべた。
胡桃「絵の中に招待するって?」
琥珀「例えば…、龍が空飛ぶ絵があったら、そこに入って一緒に空を飛んだり。海を泳ぐクジラの上に乗ってみたり!」
あさぎは「へぇー!楽しそうですね、瞳美ちゃん!」と瞳美に話しかけ、瞳美も「うん!」と明るい声で返した。
琥珀「でしょ?で、まぁ…、一度みんなで試してみたいなって思うんだけど…。」
そこで琥珀は言葉を切り、葵の顔を見つめた。他のみんなも琥珀が葵に絵を描いてほしいのだと気づき、葵の顔を黙って見つめた。葵はみんなの意図に気づいて、「え、俺?」と戸惑う。
琥珀「はい!絵を描いてほしくて…。ファンタジーっていうか、非日常なイメージなんですけど…。」
葵「え…、いや…。」
将「お前しかいないだろ?絵描けるの。」
千草「見たい見たい!」
胡桃「やって!葵!」
あさぎ「お願いします。」
瞳美「私も…、見たいです、唯翔さんの絵。」
葵はそう言う瞳美の顔を見ると、「分かった。やってみるよ。」と承諾した。
琥珀「ありがとうございます!」
葵はタブレットを取り出し、「何から描いていこうか?」とみんなに意見を求めた。
胡桃「えぇー?何がいいかなぁー。」
あさぎ「うさぎの村とか、可愛くないですか?」
千草「船とか出しません?こないだ船、撮りそこねちゃったし。」
将「海賊船とか面白いんじゃないか?」
葵「意見バラバラじゃん。」
胡桃「いっそのこと、全部入れて1枚の絵にしちゃおう!」
千草「おぉ!カオス。」
絵に何を描くのかという話し合いは盛り上がりを見せた。

あさぎは瞳美と自分との間に何があったのか全く気付いていない将に怒り、将の横を通り抜けて歩いていく。

瞳美と琥珀が一緒に帰っている時、琥珀は瞳美に打ち明けた。
琥珀「あのイベントね、瞳美の話がきっかけで思いついたんだ。」
瞳美「えっ?」
琥珀「前に、唯翔さんの絵に入ったでしょ?実は、ちょっと面白そうだなって思ってたの。」
瞳美「そうなんだ…。怖い所もあったけど、綺麗でまぶしくて…、楽しかった。」
琥珀「絵の中なら、瞳美もみんなと同じ景色を見られるよ。ワクワクしてこない?」
瞳美「うん!ドキドキする!」
琥珀「なら、成功させなきゃね!文化祭、絶対盛り上がるから!」
瞳美「その魔法、私にも使えるかな?」
琥珀「何言ってるの?瞳美がメインでやるのよ。」
瞳美は驚き、「えぇっ!?そんなの無理!」と慌てて返した。
琥珀「絵の中の物を取り出すのは私にもできるけど…、絵の中に入る魔法は難しいんだよ。描いた人の心に触れる力が必要だとも言われてる。きっと瞳美は、これ系の魔法が得意なんだと思う。一緒に頑張ろう。」
琥珀は瞳美の手を優しく両手で包み込み、瞳美はやる気になって「うん…。」と答えた。
その頃、将は一緒に帰っているあさぎに「良かったな。」と話しかけ、あさぎは何のことか分からずに「えっ…。」と呟いた。
将「瞳美と何かあったんだろ?仲直りできたみたいで、俺も安心した。」
あさぎは拗ねて、「そんなとこだけ鋭いんですね。」と嫌味を言った。
将「えっ?」
あさぎ「将くんのバカ。人の気も知らないで。」
あさぎは怒りながら将の横を通り抜け、将は「おい、あさぎ!」と慌てて声をかけた。将はあさぎが何に怒っているのか、瞳美とあさぎがどうして喧嘩をしていたのかが未だに分からないのだ。

絵の中に人を入れて時間通りに戻す魔法の練習をする瞳美。

家では、瞳美が魔法の練習に励み、側で琥珀が瞳美の練習を見守っていた。
瞳美「できた!」
その時、瑠璃が偶々2人の近くを通りかかり、「あら、ずいぶん上達したじゃない!」と瞳美に話しかけた。
瞳美「星砂作りが練習になったのかも。」
琥珀「オッケー!じゃあ、次のステップね。」
琥珀はいくつかの紙飛行機と砂時計、絵が映し出されているモニターを用意し、「これ(紙飛行機)をモニターの絵の中に送り込んで、ジャスト3分で戻るように魔法をかけて。」と瞳美に指示した。
瞳美「難しそう…。」
琥珀「はい、スタート!」
瞳美は目を閉じて両手を紙飛行機の上にかざし、「いかえつか…、描かれし絵の世界よ、彼を招き入れたまえ。」と呪文を唱えた。しかし、紙飛行機は空中には飛んだものの、絵の方には向かわずに瞳美の額に当たり、瞳美は「痛っ…。」と呟いた。
琥珀「大事なのは、砂の落ちるイメージを焼き付けること。もう一度!」
瞳美「うん…。」
瑠璃はウィンクをしながら「大丈夫よ。これからこれから。」と言って瞳美を励ました。瞳美は瑠璃に笑顔を見せて「はい…。」と答え、瑠璃は瞳美に暖かい眼差しを向けて練習を見守った。
瞳美の練習は何日も続き、放課後の教室でも紙飛行機を思い通りに飛ばせるようにと練習を重ねた。
琥珀「魔法が解ければ戻ってこれるけど、狙った時に戻ってこれなきゃ、イベントにならないからね。」
学校ではあさぎと胡桃が、家では瑠璃と柚葉が瞳美の練習を見守り、瞳美に励ましの言葉を送っていた。
ある日の夜、瑠璃と柚葉が瞳美の練習をこっそりと見ていた。
柚葉「随分と頑張ってるわね。」
瑠璃「ええ…。」
そこへ、電話をかけるために席を外していた琥珀が戻ってきたため、「星砂時計作ってくれるとこ、見つかったの?」と瑠璃は琥珀に聞いた。
瞳美「うん!やなぎ堂さんが紹介してくれるって!」
その時、「琥珀!」と言う瞳美の声が聞こえて、琥珀は「どうしたの!?」と驚きながら瞳美の方へ近寄った。瞳美は呆気に取られたような表情を浮かべながら琥珀の方を見て「できた…。」と呟いた。
琥珀は嬉しさのあまり瞳美に抱き着き、「瞳美~!えらいえらい!すごいよ~!」と言いながら瞳美の頭を撫でて褒めた。瞳美も嬉しくて満面の笑顔を浮かべていた。

葵が描いた絵。

瞳美が魔法を使えるようになり、葵の絵が完成した。試しに魔法写真美術部の部員たちが絵の中に入ってみることになり、みんなは暗室に集まって、葵の絵をスクリーンに映し出した。葵の絵を見たみんなは、「おぉ~!」と感嘆の声を漏らした。
あさぎ「テーマパークみたいですね。」
葵「みんなの要望聞いてたら、こうなった。」
胡桃「虹の橋、渡ってみたーい。」
千草「ホントにこの中入れんの?」
琥珀「もっちろん!」
将「すげー。」
あさぎ「うさぎの国、楽しみです!」
胡桃「海の中って、溺れないのかなぁ…。」
瞳美「行ってみれば分かりますよ。」
千草「ねぇねぇ、この海賊船、このままじゃ滝から落っこちちゃわない?」
将「試してみるか?」
思い思いに会話を交わす部員たちの雰囲気を変えるために、「瞳美!準備しよっか。」と琥珀が言い、瞳美と琥珀は絵の前に立って部員たちと向かい合った。
琥珀「それではいよいよ、皆さんを絵の中へご招待します。」
胡桃「やばー!ワクワクしてきた。」
将「一応確認しとくけど、安全なんだよな。」
琥珀「一定時間経つと、魔法が解けて強制的にここに戻ります。ずっと2人で練習を続けてきて、今ならゾウ10頭だって大丈夫ですよ!それじゃあ、瞳美…。」
瞳美は琥珀と手を握った。
瞳美「始めます。」
2人は目を閉じて、「いかえつか…、描かれし絵の世界よ、我らを招き入れたまえ。」と呪文を唱えた。琥珀のペンダントと瞳美のイヤリングについているアズライトが青い光を放ち、眩しい光がみんなを包んだ。瞳美と琥珀以外の部員たちは、あまりの眩しさに思わず目を瞑ってしまう。

絵の中で瞳美に見えた光景。

光が収まり、みんなが恐る恐る目を開けると、そこは絵の中に描かれている雲の上だった。
胡桃「おぉ~」
千草「えぇ~!可愛いじゃん!」
あさぎ「本当に絵の中なんですね。」
あさぎは下に広がる風景を見下ろして感動した後、振り返って「こんな魔法使えるなんて、瞳美ちゃんすごいです!」と瞳美に話しかけた。一方、瞳美は絵の中の色は見えているが、振り返ったあさぎを含め部員たちの姿は相変わらずモノクロにしか見えない。
琥珀「みんな~!じっとしてたらもったいないよ!色々見てみなよ~!」
琥珀は空から落ちてきた傘を掴むと、傘をパラシュートの様に使ってゆっくりと下に下りて行った。みんなが上を見上げると、人数分の傘が降って来ていた。将の「俺たちも行くか!」と言う言葉を合図にみんなは傘を掴み、琥珀と同じようにして下りて行った。
葵は瞳美の横に行き、「色、見えるの?」と尋ねた。
瞳美「はい、とてもハッキリ…。私、初めてみんなと同じ色を見られたんだって思うと、嬉しくて…。何だか、心がぞわぞわしてます。」
葵はそんな瞳美が浮かべる笑顔を見て嬉しくなった。
葵「俺たちも行こうか。」
瞳美「はい!」
あさぎと将はうさぎと戯れ、胡桃と千草は一緒に虹の上を歩いていた。空にはクジラが浮かび、海の上には海賊船があり、幻想的な風景も広がっている。
森の中を歩きながら、瞳美と葵は会話を交わした。
瞳美「楽しいですね!唯翔さんの絵、すごいです!」
葵「こんなふうに、絵の中に入れる方がすごいだろ。」
瞳美「そう…ですか?」
葵「きっと、たくさん見に来るよ。そう思うと、ちょっと恥ずかしいけど。」
瞳美「見てもらいたいです、この世界を。私に、世界には色が溢れてるって思い出させてくれた唯翔さんの絵を…、もっと…。」
その時、2人の前に金色の魚が突然現れ、森の奥へと泳いで行った。描いた覚えのない魚に葵は驚き、2人は魚を追いかけて森の奥へと走った。

辛い過去

突然現れた古ぼけたドアと、瞳美にそっくりな姿をした少女の銅像。

モノクロの絵を描き続ける幼い瞳美(右)と、瞳美の側で一緒に絵を描く葵。

瞳美と葵は森の奥へと走っていたはずだが、突然周囲が真っ黒な闇に覆われた。葵が気付くと、瞳美の姿がどこにも見えない。葵は焦って「瞳美!?」と呼びかけるが、瞳美からの返事はない。
葵がふと前を見ると、古ぼけた木のドアがあり、ドアの横には瞳美にそっくりな少女が座った姿の銅像が置かれていた。葵は少女の銅像に近づいて「石?」と疑問に思って呟き、木のドアを開けてみようと思ってドアノブに手をかけた。ドアは錆び付いていたが、葵が力いっぱい引っ張ると開いた。葵はドアの内側に歩いて行った。
そこは暗い部屋の中で、中央には幼い姿の瞳美が座り込み、彼女の周りには絵が描かれた紙がたくさん散らばっている。絵には白黒のクレヨンしか使われておらず、幼い瞳美は絵を一心に書き続けている。
葵は瞳美の側にそっと座り、瞳美が描いている絵を見た。そこには2人の女の子と、2人の女の子の真ん中に黒い亀裂が書かれている。葵は「お姫様、かな?」と瞳美に話しかけるが、瞳美は何の反応の示さず、ひたすら絵を描いている。「そっちは女王様?」と葵は聞くが、瞳美は何も答えない。
すると突然、「会えないの。」と幼い瞳美は呟き、葵は反応が返って来たことに驚いた。
瞳美(幼少期)「会えないの。」
葵「川…?」
葵は、2人の女の子の絵の間に描かれている亀裂は川で、2人は間に川があるから会えないと瞳美が言っていることに気づいた。葵はまだ何も書かれていない紙を見つけ、自分もそこに絵を描いた。葵は船を描いて「渡れるよ。ほら。」と言いながら、瞳美が描いている絵の川の上に置いた。瞳美は黙って船の絵を脇に除けた。
葵「ん…、そっか。じゃあ…。鳥に乗って行こう。」
今度は大きな鳥を描いた絵を葵は川の上に置いたが、瞳美は鳥の絵を脇に除ける。
葵「虹の橋はどうかな。」
虹を描いた絵を葵は川の上に置いた。今度は瞳美が絵を葵が座っている方とは反対側に移動させ、自分も葵に背を向けて絵の続きを書きだした。
瞳美(幼少期)「いらない…。」
葵「どうして?渡ってもいいのに。」
瞳美(幼少期)「ダメ…。」
葵「どうして?」
瞳美(幼少期)「分かんない。」
瞳美はスケッチブックから白紙を1枚切り取り、葵の方に差し出した。
葵「描いていいの?じゃあ、一緒に描こうか。」
葵は瞳美と並んで座り、絵を描いていた。

ふと気づくと、葵は暗室に立っていた。他のみんなはスクリーンに映し出された絵の前に立ち、絵の中に入った興奮が冷めていない様子だ。
琥珀「はぁー。面白かったー!」
将「いけるな、このイベント!」
千草「絶対やりましょう!」
胡桃「見える…、お客さんで溢れるうちの部の姿が!」
葵は瞳美が1人で離れて立っているのに気づき、瞳美の方に近づいた。
葵「瞳美!よかった…。」
瞳美「唯翔さん、私…。」
瞳美の頬には涙が流れており、瞳美は指で涙を拭いながら「あれ…?え?どうして?」と不思議そうな声を出した。葵は瞳美に、「俺、瞳美に会ったよ。小さな頃の…、ひとりぼっちの瞳美に。」と瞳美をまっすぐ見て打ち明けた。

瞳美は葵に自分の辛い過去を打ち明けた。

瞳美は部活が終わった後、葵と一緒に長崎港が見下ろせる展望台に行き、海を見下ろしながら自分の過去を打ち明けた。
瞳美「母は魔法が使えませんでした。代々続く月白家で初めてのことだって、親戚の誰かが言っていた気がします。だけど、私は使えて…。ある日突然、母は出て行きました。どうしていなくなったのか、何で私を連れて行ってくれなかったのか…。理由はわかりません。きっと、罰なんだと思います。魔法が使える自分に浮かれて、母の気持ちにも気付けなかったから…。」
葵「そんなの…、小さな子供には無理でしょ。」
瞳美「それでも、やっぱり私のせいなんです。魔法なんてなければ…。」
葵「違うよ。魔法のせいじゃない。瞳美のせいでもない。なのに…。なのに、何でそんなふうに責任を感じなきゃいけないんだ。」
瞳美「止めて下さい…。」
葵「お母さんのこと好きだからって、瞳美が耐えなきゃいけないのは間違ってる。」
瞳美「止めて…。」
葵「何があったのかは知らない。知らないけど…、瞳美のお母さんだって…。」
瞳美は強い口調で「止めて下さい!」と言って葵の言葉を止めたが、葵は構わずに瞳美に話しかけた。
葵「いいよ。瞳美は、もっと怒っていい。」
葵のその言葉を聞いて、瞳美は初めて自分の気持ちを吐き出した。
瞳美「私…、頑張ったんです。お母さんに喜んでほしくて…。でも、間違ってて。お母さんも、それが嫌で…。1人で苦しんで、1人で決めて…、1人で出て行って…。追いかければいいのに、出来なくて…。お母さんのバカって、言えばよかった…。私のバカ…。私のバカ…!」
瞳美は両手でスカートを握りしめながら、言葉を絞り出した。瞳美の両目にはいつの間にか涙が溢れて頬を伝い、瞳美は涙を拭う余裕もない。葵は何も言わずに、瞳美の側に寄り添った。
すっかり日が暮れた頃、泣き終わった瞳美は葵と一緒に帰り道を歩きながら、「あの…、ありがとうございました。何かスッキリしました。」と葵にお礼を言った。葵も「そっか…。」とだけ返して、それ以上はもう何も言わなかった。
瞳美は歩きながら、「魔法なんて、大嫌い…。お母さんを奪ったものだと思ったから。ずっとずっと、嫌いだった。でも…。」と考え、突然立ち止まった。葵は瞳美を振り向いて「どうしたの?」と聞き、瞳美は「いえ…。何でもないです。」と言って誤魔化した。
やがて2人は分かれ道に着いた。瞳美は葵と別れた後、その場に立ち止まって「私は何をしに、ここへ来たんだろう。私が来た意味…。」と考え込んだ。

「色づく世界の明日から」第10話『モノクロのクレヨン』の感想・考察

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「有頂天家族2」とは、「森見登美彦」による小説作品「有頂天家族」シリーズ2作目をアニメ化した作品。2007年に小説「有頂天家族」が発売、2013年に第一期がアニメ化。2015年に小説「有頂天家族 二代目の帰朝」が発売、2017年に「有頂天家族2」としてアニメ化。主人公で狸の「下鴨矢三郎」は、天狗の息子「二代目」と出会う。二代目はヒロイン「弁天」と険悪な仲になり、矢三郎たち狸も巻き込まれていく。

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有頂天家族(The Eccentric Family)のネタバレ解説まとめ

2013年に放映されたアニメ。 原作は『四畳半神話大系』、『夜は短し歩けよ乙女』の森見登美彦。3部作となる予定の「たぬきシリーズ」である。キャラクターデザインは『さよなら絶望先生』の久米田康治。 2013年には漫画化、2014年には舞台化された。 豪華なキャストと丁寧な描写で根強いファンがついており、2017年4月9日より第2期である『有頂天家族2』が放送開始する。

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SHIROBAKO(シロバコ)のネタバレ解説まとめ

2014年10月~2015年3月に放映された日本のオリジナルテレビアニメーション作品。P.A.WORKS制作、監督は水島努。同じ高校のアニメーション同好会でアニメを作っていた、あおい、絵麻、しずか、美沙、みどりが、いつか共にアニメを作るという夢を抱えながら、それぞれの道で懸命に奮闘するアニメーション業界の日常を描いた群像劇である。全24話。

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Angel Beats!(エンジェル ビーツ)の名言・名セリフまとめ

「Angel Beats!」は、P.A.WORKS制作によるテレビアニメ作品。 主人公「音無結弦」が目覚めると、そこは死後の世界だった。そこで出会った「仲村ゆり」に理不尽な人生を強いた神への復讐を目的とする「死んだ世界戦線」へと誘われる。音無は戦線の一員として、「天使」と呼ばれる少女と戦いを繰り広げる日々が始まる。 青春コメディ要素もありながら、人生に言及する重みのある名言を多く残す。

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