色づく世界の明日から(アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『色づく世界の明日から』とは、P.A.WORKS制作のオリジナルアニメである。
2078年の長崎県に住む少女・月白瞳美は、魔法使いの家系でありながら魔法を嫌悪しており、幼い時に色が視えなくなったことで、他人に心を閉ざしていた。ある日、祖母の琥珀の魔法によって、突然60年前の2018年に送られ、月白家に居候しながら同い年の祖母と共に高校生活を過ごすことになる。
心を閉ざした魔法少女が仲間たちとの交流で変わっていく学園青春ファンタジー作品。

瞳美にかけられた時間魔法に綻びが出始め、琥珀が時間魔法で瞳美を2078年に帰さなくてはいけない時が迫っていた。しかし大がかりな魔法を使ったことがない琥珀は、本当に時間魔法を使えるかどうか不安に感じており、浮かない顔で思い詰めていた。そんな琥珀に柚葉がかけた言葉だ。
1人で重責を背負い込む琥珀に周りの力を借りるという新しい視点を与え、茶目っ気たっぷりな様子で琥珀を元気づける柚葉の優しさが垣間見える場面である。

瞳美「私…、帰りたくない…」

未来に帰るための気持ちの整理がつかない瞳美が、2人きりで葵と会った時に零した本音の言葉だ。
それまで未来に帰らなくてはいけない現実に落ち込んでいた瞳美が初めて口にした本音であり、その相手が葵であるということから、葵と瞳美の距離が他の誰よりも縮まっていることが分かる場面である。

葵「俺たちはきっと、お互いの未来に色を取り戻すために出会えた」

瞳美を2078年に戻すための時間魔法の儀式の最中、突然別の魔法が発動し、瞳美と葵は2人だけの空間に閉じ込められた。そこで2人はお互いに「好きだ。」という想いを告白する。すると瞳美が見る世界に色が戻った。瞳美は色づく世界に感激し、葵のおかげだと感謝した。一方で葵も瞳美から、自分の絵に対する自信や将来絵に関する仕事をしたいという希望に気づかせて貰ったことを瞳美に感謝していた。その意味を込めて、葵が瞳美に告げた言葉。
別れが迫る中で、好意を寄せあう2人がそれぞれの想いに気づき、出会った意味を知った瞬間の言葉だった。

琥珀「未来で待ってる。必ず生まれてきてね!」

時間魔法が発動し、瞳美が2078年に戻される直前に琥珀が瞳美に語りかけた言葉。
2018年に来た瞳美を未来の祖母として見守って来た琥珀が、最後に瞳美にかけた言葉であり、琥珀が瞳美をどれほど大切に思っているのかがよく分かる場面だ。

琥珀「私の願いは、魔法で人を幸せにすること…。でも、一番親しい人たちを、幸せにすることができなかった…。許してちょうだい…」

2018年の琥珀は「魔法で人を幸せにしたい。」と言っていたが、実際は自分に魔法の力があったせいで魔法の才能がなかった娘を追いつめ、その結果、孫娘の瞳美の元から娘は去ってしまった。そのことを琥珀は気に病んでおり、2078年に帰って来た瞳美に謝罪した時の言葉だ。
理想と現実との違いを思い知っても、他の誰も責めずに自分だけを責める琥珀の優しさや、家族への深い愛情を垣間見ることが出来る場面である。
琥珀のこの言葉に対して、瞳美は「私、もう大丈夫よ。」と答えた。瞳美が自分の魔法の力のせいで母親が家を出て行ってしまったトラウマを乗り越え、人間的に大きな成長を遂げたことがよく分かる場面だ。

瞳美「海が青くてよかった…。空が青くてよかった…。あなたがくれた色…。私の明日には、たくさんの色がある」

2078年に戻った瞳美は、過去に負った傷を癒し、他の人とも積極的に関わるようになった。そんな瞳美が展望台から長崎の海を見下ろして、心の中で呟いた言葉。
どこか似ている景色の2018年の長崎で起きた出来事を振り返り、その記憶を大切にしながら未来を歩き出そうとする瞳美の清々しい決意が表現されている場面だ。

『色づく世界の明日から』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

忠実に再現された長崎の風景

『色づく世界の明日から』では、長崎県が舞台となっている。そのため眼鏡橋や祈念坂、稲佐山などの観光名所はもちろん、月白家が経営する「まほう屋」や、瞳美が通う南ヶ丘高校などは実在の建物をモデルにしている。
「まほう屋」は長崎市西海町にある「森の魔女カフェ」、南ヶ丘高校は長崎市上小島の長崎県立長崎南高等学校を細部まで忠実に再現しており、瞳美たちが着ている制服も実際に長崎県立長崎南高等学校の生徒たちが着用する制服だ。また、オープニング映像で登場する路面電車の行き先の表示も、実在の地名が書かれている。長崎に住む人ならアニメの場面を見ただけで、どこの場所に登場人物たちがいるのかがすぐに分かるほどの高い再現率だ。
アニメの場面に登場する舞台は、ほとんどが長崎市の観光名所が集まる中心的な場所にあるため、聖地巡礼にも行きやすい立地である。

制作当初のコンセプトは「時間航行技術を使ったSFアニメ」

『色づく世界の明日から』は制作当初、時間航行技術が開発された近未来から瞳美がタイムスリップしてくる、または何らかのハプニングで時空が歪んだ結果瞳美が過去へ飛んでしまうというSF作品に使われるような設定が考えられていた。しかし「柔らかな手触りの作品」を目指していたため、SF作品に使われる設定では作品全体の手触りが硬質になってしまうのではないかと危惧され、魔法が当たり前に存在する世界観という設定に変更された。

本編では触れられていない大量の裏設定

アニメの中では触れられていないが、実は設定がたくさんあることが『色づく世界の明日から』の特徴。
例えば、魔法使いはキリスト教と共に伝来して日本にその血を残したという歴史や、月白家の旦那はみんな婿養子であること、「魔法使いは特定の人やグループのために力を利用してはいけない」という不文律の存在などが挙げられる。
ちなみに琥珀の父・弦の職業は一級建築士で、実はまほう屋はあまり利益が出る商売をしておらず、弦の稼ぎで月白家の生活は成り立っている。
まほう屋は星砂の原価に近い値段で商品を販売しており、店舗での販売の他にも通販も手掛けているが、慈善事業のような商売形態を取っているのだ。

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