役職ディストピアリ(役職物語、Gesellschaft Garden)のネタバレ解説まとめ

20150220 1328222

『役職ディストピアリ』とは、ヤングガンガンにおいて2014年16号から2016年18号まで連載された千賀史貴の漫画作品。元は原作者のサイトで掲載していたweb漫画「役職ディストピアリ」であったが、人気が出たことでプロットをリメイク、新たに作画者をつけてヤングガンガンにて連載された。連載終了後は「役職物語」と名を改め再び原作者のサイトで連載されるようになった。コンセプトは「夢も希望もないダークファンタジー」。
役職とレベルによって完璧に管理された社会で「討伐士」トルザは「魔王」討伐に挑む。

「報道都市」で、魔王ライツの「菌育士」アルミを討伐したトルザだが、その体には異変が起きていた。
「菌育士」が撒き散らしていた胞子を吸い込んだことで内臓がやられてしまい、徐々に弱っていってしまっていたのである。

そのトルザの容態を診たのは、「鐘の街」の医者である老人であった。
この老人はフョードルの妹の病気の治療も担当していた医者であり、助手としてフョードルの妹であるタチアナもついてきていた。
老人から「1日もたない」ということを知らされ、トルザは自らの死を悟る。魔王討伐ももはや不可能であり、トルザは、このことを観測所に話して自分の担当を降りて次の「討伐士」の担当につくようにとシズに伝える。
そして「死に場所くらい自分で決めたい」とトルザはベッドを抜け出し、ひとり森の中に佇む。
そのトルザを追ってきたのは、タチアナであった。
彼女は自分の兄フォードルがどのようにして死んだのかを知っており、「兄の仇」とトルザを罵り、そして銃で撃った。

Dis12

タチアナの罵倒を聞き、「自らの行いのツケを払う時だ」と死を覚悟するトルザ

こうしてトルザは死に、シズは新たな「討伐士」の担当につくことになった。
担当の「討伐士」カオルが魔王を討伐できるように裏で工作していたという「観測士」が処罰されたことで、ちょうど空きができてしまったのだと案内され、シズは「討伐士」カオルの担当へとつくことになる。

そして、カオルは魔王との最終決戦「キネマラグナ」を発動させ、魔王を討伐した。
こうして魔王は倒され、世界に平和が戻ってきたのである。

『役職物語』のあらすじ・ストーリー

「役職ディストピアリ」との違い

「役職物語」は、元々こちらのほうが先に掲載されたものであり、「役職ディストピアリ」になるにあたって読みやすいように伏線などが変更されている。
「役職ディストピアリ」の連載終了後は、「役職物語」として作者のサイトで連載が再開され、「水枷の街」でのアゾットの物語(「役職物語」第4章「虹ガ泣イタ空」)の後、第5章として「信仰ニ愛ヲ込メテ」が掲載されている。

「役職物語」は「役職ディストピアリ」の「水枷の街」でのアゾットの物語までは大筋が同じとなり、トルザが胞子によって体調を崩して以降の話がばっさりカットされている。
「役職ディストピアリ」で登場した「菌育士」アルミは、「役職物語」では「樹操士」ランディアとなっている。名前や役職が違うだけで、生い立ちやシナリオでの役割などは同じである。

「役職ディストピアリ」での「鼻魔導士」フョードルと彼の病気の妹のくだりなども変更されており、「役職物語」では「腋魔導士」(腋の悪臭によって相手の体調を崩させる役職)の壮年の男性となっている。
そのストーリーの中で、脇が臭い「腋魔導士」の子である自分もまた「腋魔導士」なのではないかと不安になる息子のために、「腋魔導士」の男性がトルザに協力し、そして(フョードルと同じく)トルザによって殺害されるという展開が描かれる。

このように、キャラクターの細かな立ち位置などは違うが、「役職ディストピアリ」とストーリーの大筋は変わっていない。

第5章 信仰ニ愛ヲ込メテ

宗教法人「アベパージ」は、魔王を討伐する「討伐士」を聖人とみなして信仰するという教義の宗教団体である。
その宗教団体の聖女として崇められている「聖女の討伐士」ピサは「死とは救いである」ということを説き、「討伐士」のために命を捨てることは尊ぶべき行為であると信者たちに論ずる。信者たちは満場一致で「はい、聖女様!」とピサのために命を捨てることを誓っていた。

これは「討伐士」として効率のいい方法である。
「討伐士」のために死ぬことが救いであるという教義によって信者たちは「討伐士」のために命を捨てるし、それによって「主人公補正」のためのレベルを集めやすくなる。
この宗教団体「アベパージ」はその仕組みを利用し、昔から存在してきた宗教団体である。聖人として扱われる「討伐士」は世襲制ではなく、子供のうちに各地から集められた「討伐士」である。そのためピサも、先代聖女も、次代の聖女候補である赤ん坊も血縁はない。

一方、「サーカスの魔王」たちも動き出していた。
第3レイヤーの富豪のもとに保管されている超重量型大砲を奪い取りに来たのだ。
それは「明日の大事なイベント」に必要なものであり、それがなければ「明日の大事なイベント」が地味になってしまうものであった。
あらゆるものを倉庫に保存できる「解錠士」の富豪の男性を脅し、魔王たちは超重量型大砲を手に入れた。

Dis13

倉庫にしまわれていた超重量型大砲「ィィヨッコイショーノ・ショーット」を奪取する魔王たち

ピサの担当となった「観測士」カルヴァドに「アベパージ」の幹部たちは問いかける。
それは、魔王討伐の最終決戦「キネマラグナ」を起こしたところで我々は確実に勝利できるのかということであった。
カルヴァドは「数値の上では、こちらのレベルが魔王を上回っているからほぼ勝機がある」と答え、討伐できるかどうかはピサ次第であると言い残す。

こうして、最終決戦「キネマラグナ」の準備が整った。
決戦の場に現れたイドカワによって、魔王側に改めて敗北条件が説明される。
今回の「サーカスの魔王」の魔王ライツであるサーカス団全員が全滅するか、魔王を魔王たらしめている「マオーコア」の破壊によって魔王は敗北する。
イドカワ曰く、歴代の「討伐士」のほとんどは後者を選んでおり、今回の「討伐士」もまた後者の手段を取るであろうとのことであった。
そしてイドカワは、「マオーコア」を専用の台座に据え置くことを指示する。「キネマラグナ」が終わるまで「マオーコア」はこの場から動かせなくなる。これは戦況が不利になったからといって「マオーコア」を持って逃走するという手段を封じ、「やられるべきものである魔王が、やられるべき時にやられるように」するための措置である。

「アベパージ」の専用空中艦船「ウイーッス・ホイッス」も揃い、魔王ライツたちも超重量型大砲「ィィヨッコイショーノ・ショーット」を取り出し、ついに「キネマラグナ」が開始された。
ピサの作戦は信者たち全員を犠牲にして「主人公補正」を発動、一万レベルを超える巨大な剣を生成して「マオーコア」を一刀両断するというものであった。
魔王ライツの作戦は超重量型大砲による「めぎゃ粒子砲」によって「討伐士」もろともあたりを吹き飛ばすというものであり、その充填は静かに開始されていた。

超重量型大砲の充填が始まる中、「討伐士」の注意をひくために「炎纏士」デプチーノと「抜刀士」アルルジャーノが「ウイーッス・ホイッス」へと乗り込んだ。
炎を纏って操る「炎纏士」と、斬撃の軌道を操る「抜刀士」の能力により、4号艦、7号艦が撃墜される。
しかしまだ「主人公補正」を発動するには死者の数が足らない。このままではピサの身が危ないと判断した幹部たちの手により、全艦が自爆する。
これにより死者の合計レベルは1万を越え、ピサは「主人公補正」を発動する。

Dis14

信者たちを犠牲にし、ピサはついに「主人公補正」を発動する

予定通り、ピサは巨大な剣を生成する。全長何キロメートルもの剣を頭上に掲げ、あとは振り下ろすだけというところで、ピサの体に異変が発生する。
体の一部が破裂し、出血するピサを冷たく見やったカルヴァドは「ほら、耐えられん」と嘲笑のように言った。

「主人公補正」によるレベルの移譲を経験しておらず「主人公補正」によるレベルの急上昇に慣れていないピサが、いきなり1万という膨大なレベルになったところで体が耐えられるわけがなかったのだ。
カルヴァドはそれを知っていていたくせに、あえてこのことを伏せていたのである。前日、幹部たちに返答した「ピサ次第」という言葉もこのことを指している。ピサは「主人公補正」によって急激に膨大なレベルになったことで自己崩壊を起こすことになるが、魔王討伐のためには、自己崩壊によって完全に死ぬまでに剣を振り下ろせればいいのである。完全に死ぬまでに剣を振り下ろせられるかどうかは「ピサ次第」である。
「やたらレベルを集めやすいやつが必ず勝つようじゃ、そりゃつまらんと思わんかい?」とピサや「アベパージ」のこれまでの努力を笑うカルヴァド。
「自分に信頼を寄せている相手を裏切るのは、本当に、本当に、本当に気持ちがいいから」と笑うカルヴァドの言葉を最後に、ピサはついに内臓をぶちまけてその場に崩れ落ちる。生成した剣も形が崩れ、消えていく。

それと同時に「めぎゃ粒子砲」の充填が完了する。
絶望し、狂ったように笑うピサへと向けて、超重量型大砲から放たれた光線はあたりの大地を焼き払い、魔王の強さを世に知らしめた。

Dis15

戦いの後、「めぎゃ粒子砲」で跡形もなく吹き飛ばされた地を取材する報道陣たち。戦いの痕跡から魔王の力量を察する。

『役職ディストピアリ』『役職物語』の登場人物・キャラクター

トルザ

Dis16

「十字架の討伐士」と呼ばれる「討伐士」。レベルは1。
「十字架の討伐士」と呼ばれるようになった由来は、トルザが「主人公補正」によって生成する剣が十字架の形状をしていることと、「討伐士」として魔王討伐を引き受ける前はカメラマンとして戦場の死者を被写体にした写真を撮り続けていたため。
現在でもカメラは持ち歩いており、「主人公補正」のために死ぬことになった仲間たちの最期を写真に収めている。

無表情で物事を冷めた目で見ており、自分の役職や世界のシステムなども合理的だとして理解している。

「役職ディストピアリ」のラストでは体内の胞子による死を悟り、タチアナに銃殺された。
自分が切り捨てた命が原因で殺されるが、それもまた仕方のないことだと受け入れ、抵抗することなくタチアナの銃弾に眉間を貫かれた。

武器は大剣であるが、「目立ってかっこいいから」という理由。
「主人公補正」発動時以外は使いこなせるほどの身体能力はないため、引きずったりと乱暴な扱いになっている。

シズ

Dis18

「観測士」。レベルは20前後。
第七観測所に所属する「観測士」でトルザの担当となり同行する。

元々は第1レイヤーで娼婦をしていたが、体に出現したシュレディンガー基盤によって役職が「観測士」であることが判明し、観測所に引き取られ、育てられた。
貧血気味、かつ生理不順の不健康女子であり、作中でよく倒れている。それでも職務に対しては真面目であり、「観測士」としてトルザを的確にサポートする。

ランディア

Dise

脚部から茨を出す「樹操士」。
先代である第22代目魔王に家族や故郷を奪われたことで魔王という存在を憎んでいる。
身寄りをなくしてからはシルク・ド・マーレボルジェというサーカス団に所属していた。
が、シルク・ド・マーレボルジェが第23代目魔王「サーカスの魔王」となったことで、自らも魔王ライツとなり、トルザに討伐された。

「役職物語」にのみ登場するキャラクターで、「役職ディストピアリ」ではランディアのポジションはアルミに置き換えられている。
名前や役職、容姿以外の生い立ちやシナリオでの役割などは同じである。

アルミ

keeper
keeper
@keeper

目次 - Contents