ワイルドアームズ セカンドイグニッション(WA2)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワイルドアームズ セカンドイグニッション』とはメディア・ビジョンが開発したPlayStation用のゲーム作品。1999年9月2日にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)より発売。略称は「WA2」。ジャンルはロールプレイングゲーム(RPG)。精鋭部隊"ARMS"に配属された主人公の青年アシュレーが仲間達とともに世界を救うために戦う物語を描く。「英雄」という言葉をテーマに複雑な人間関係が織り成すストーリーがドラマチックに展開されるのが大きな特徴となっている。

アシュレーが戻ってきた頃、ファルガイアでは「空が喰われる」という異常事態が発生していた。

アシュレーが帰還したことで再びARMSのメンバーが全員揃い、対オデッサの全作戦が終了となり、引き続きARMSは新たな任務にあたることとなる。アシュレーのロストと機を同じくするようにファルガイアは深刻な状態になっており、「正確にはもっとずっと以前から緩慢にかつ確実に事態は進行していた」と語るアーヴィング。オデッサ攻略に目を奪われている間、ファルガイアは密かに蝕まれていたのだ。兆候は生態系の変質から始まり、なじみの動植物が減少し取って代わるようにモンスター種が増加してきた。当初、従来種の動植物の減少はモンスター種の増加に伴うものと考えられてきたが、肝心のモンスター種はどこからやってきたのかという疑問点があった。それは半ば盲目的にオデッサの仕業だと考えられていたが、ヴィンスフェルトはモンスター種の増加はオデッサによるものではないと語っていた。その言葉が意味するのは、人知を超えた圧倒的な災厄がファルガイアに迫りつつあるということだった。それはシエルジェ自治領に設置されている天文台からの観測報告によると、青空に現れた小さな「染み」であり、その染みは瞬く間に生態系のみならず世界を侵食していった。海が輝きを無くし、大地が壊死したように活力を失い、やがて「空が喰われた」のだ。アーヴィングはファルガイアがファルガイアでは無くなっていく現象を「パラダイム汚染」と称し、次なる任務としてファルガイアのパラダイム汚染の究明とその阻止をARMSに命じた。
事態の進行は、現在のところ鎮静化しているが、予断を許さない状況となっていた。ティムは以前バスカーの里長が話していた夢見の内容と一致していることを思い出した。ガーディアンならばファルガイア規模の事象現象に対して何かを感知している可能性があると判断し、バスカーの里に向かって手掛かりを探ることに。また、アシュレーの内に潜むロードブレイザーやアガートラームの情報をより詳しく知るために、当時の戦史が封印された「ルルドの泉」の調査も併せて行うこととなった。

バスカーの里長から、「生け贄の祭壇」という聖域でガーディアンの意志を受け取ることができるとの情報を得たARMSは、そこで全てのガーディアンの意識集合体「ガイア」と接触する。ガイアによると、ファルガイアを侵食しているのは「異世界」であるという。世界とは小さな生命の集合体、1つの大きな「魂魄」であり、その世界が境界を越えて他の世界を飲み込もうとしていたのだ。初期の僅かな侵食においては小さな生命体を取り込んでいき、その結果モンスターと呼ばれるファルガイアのパラダイムに反する生物が誕生した。しかし、世界の境界に生じたほつれは次第に大きくなっていき、やがて異なる魂魄を収めるための大きな器、ファルガイアそのものを求めるようになる。概念存在である「世界」に対しては物理的な力は通用しない。打つ手を探るために祭壇を後にしたARMSは、続けてルルドの泉へと向かう。

ルルドの泉は、網膜スキャンによって入口の扉を開く仕組みとなっており、カノンが扉の前に立つと、”剣の聖女”の血を引く者と認識され扉が開く。”剣の聖女”の記憶を呼び覚まそうとするカノンの脳裏には、彼女がまだアイシャという少女として生きていた頃の記憶がフラッシュバックしていた。ヴァレリア家の傍流であるベルナデット家に生まれたカノンは、幼い頃から母親に自分達には”剣の聖女”の血が流れていることを聞かされてきた。だがベルナデット家は没落した家系であり、カノンは幸せな生活をほとんど送れていなかった。やがてモンスターを狩ることが、身体に流れる”剣の聖女”の血に相応しい「英雄」の証になると考え、モンスターとの戦いで見えなくなった右目や身体の大部分を義体に替えて、アイシャという名前も棄てたのが今のカノンだった。カノンは改めてその事実を受け入れて、”剣の聖女”の記憶を呼び覚ますことに成功する。

過去にファルガイアを灼き尽くさんとした”焔の災厄”ロードブレイザーは、人の持つ怒りや悲しみなどのあらゆる負の感情を取り込んで無限肥大する精神にて形を為す存在であり、業火を振るうたびに百の怒りと千の悲しみを生み出し、それを取り込むことでさらなる階梯へと超越していった。それに対抗できるのは同質の存在である精神の力のみ。それがアガートラームだった。”未来”を司るガーディアンの身体の一部から生まれた剣であるアガートラームは、振るう者の意志を戦う力に換えるある種の精神感応兵器となっている。その圧倒的な力は使用者の精神を喰らい、蝕むため強靭な精神力を有する者を選ぶ。アナスタシアは人が持つ最も大きな意志の力である「欲望」をもって、剣を振るった。しかし、アナスタシアがロードブレイザーを完全に滅することができなかったのは、皮肉にも守るべき世界に住まう人間達によるものであった。人の世界には負の感情が満ち溢れており、いかにアナスタシアが強大な精神の力を振るっても、1人の心ではロードブレイザーの再生の前に徒労に終わるのだった。最後の手段としてアナスタシアは、その命と引き換えにロードブレイザーを事象の地平に封印し、辛うじてファルガイアを守り抜くが、それは封印を解いていつロードブレイザーをが復活するのか分からない不安定な未来の始まりでもあった。ロードブレイザーが事象の地平からアシュレーの内に潜んでいること自体が復活の第一段階となっていた。現在ロードブレイザーはアガートラームとともにアシュレーに取り込まれているが、それを制御しているのはアシュレーの心となっており、それだけにいつ均衡が崩れて制御ができなくなってもおかしくない状況であった。

帰るべき場所

激情によりタガが外れ、アシュレーはオーバーナイトブレイザーへと姿を変える。

目的を果たした後、アーヴィングからマリナが誘拐されたという緊急の通信が入る。急いでヴァレリアシャトーに帰還したARMSは、犯人がコキュートスの生き残りであるカイーナだと知らされ、残されていた脅迫状にはアシュレーに対して「ロストガーデン」で待つという内容が書かれていた。ロストガーデンへ向かい、カイーナと対峙するアシュレー。カイーナの目的は、彼が心酔していたヴィンスフェルトを倒したアシュレーに自分と同じように大切なものを失う苦しみを与えることだった。そのままマリナに危害を加えようとするカイーナを見て、アシュレーは怒りながらナイトブレイザーに変身してしまう。しかしその姿は金と赤の色彩でできた鎧を纏ったこれまでとは異なるものであり、アシュレーの精神バランスが崩れ、ロードブレイザー力が増したことで誕生した最凶最悪の存在「オーバーナイトブレイザー」であった。圧倒的な力でカイーナを倒すが、死に際にカイーナは「奪ってやったぞッ!お前の大切なものをこの手で奪ってやったぞッ!」と高笑いをして消滅していった。変身を解いたアシュレーはマリナの無事を確かめようと近づくが、マリナは「あなたは誰?誰なのよッ!?」と拒絶する。アシュレーがナイトブレイザーに変身した姿を初めて目にしたことで、マリナはかなり動揺していたのだ。「アシュレーを返してよッ!!!」と叫びながらマリナはその場で泣き崩れた。
ヴァレリアシャトーの医務室に運ばれたマリナにアシュレーは「もっと前に話しておくべきだった」と謝る。マリナ自身もアシュレーは悪くないことを本当は理解しており、逆に自分がアシュレーを支えなければいけないと理解していながらも言葉の1つもかけられないでいた。その頃、シエルジェ自治領の天文台では、ファルガイアに向かって核兵器グラウスヴァインが接近していることが確認された。その報告を受けたアーヴィングはギルドグラードマスターの助力を得て、グラウスヴァインの討伐をARMSに命じるが、アシュレーには参加を禁じた。グラウスヴァインは群を抜いて強力な超獣「ドラゴン」と呼ばれる存在であり、もし対峙した場合、アシュレーの内的宇宙に存在するロードブレイザーが目覚めかねなかったためであった。ヴァレリアシャトーの自室で待機するアシュレーは「守るべきものも守れないで僕は、いったい何をしているんだ…」と呟く。ARMSはグラウスヴァインに苦戦していた。その時、待機中のアシュレーが部屋を飛び出し、ナイトブレイザーに変身してグラウスヴァインと対峙した。グラウスヴァインの撃破に成功すると、アシュレーの内より「戦いの衝撃が私を解き放ってくれる。礼を言うぞ、アシュレー・ウィンチェスター…お前と、お前達人間が私を再び解き放つのだ…」と言うロードブレイザーの声が響く。グラウスヴァインとの戦いの影響で、ロードブレイザーの封印が弱まってしまい、アシュレーは暴走しようとしていた。辛うじてロードブレイザーを抑えつけているアシュレーは、ARMSに自分ごと貫くよう頼むが、当初はアシュレーを殺そうとしていたカノンも含めて、全員アシュレーを殺すことはできなかった。そこにマリナがやってくる。「アシュレーの帰ってくる場所を守るのはわたしって決めたんです。大好きな人に『おかえりなさい』って言うのがわたしの役目なんです」とARMSに告げながら、アシュレーの側に近づくマリナ。どんなことがあってもアシュレーの支えになると決意したマリナは、「ふたり、どんなに、離れていてもアシュレーを見失ったりしないよ、だから…アシュレーも、見失わないで…自分の帰る場所を…」とアシュレーに伝える。その言葉はアシュレーに届き、アシュレーの暴走は収まり元の姿に戻ったのだった。

グラウスヴァイン討伐後、アーヴィングはギルドグラードマスターから最後のドラゴンとして伝わる「ロンバルディア」の伝説を聞き出す。ファルガイアを蝕む異常事態に対して超獣ドラゴンの力を戦力として投入する作戦を考えるアーヴィング。ロンバルディアは「眠れる火山」という場所に存在していることが予想されており、ARMSが向かうとそこには確かにロンバルディアがいた。ロンバルディアは言葉を喋ることができ、かつてはドラゴン次元と呼ばれる世界に住んでいたが、その世界も侵食する異世界に飲み込まれてしまい、多くの仲間を失ったと語る。次元を飛び越えることのできたドラゴンは別の世界に逃げ延びたものの、ロンバルディア以外は環境に適応できず絶滅してしまっていた。ファルガイアが侵食されていくのを阻止するために手を貸してほしいというアシュレーの頼みに一度は拒絶するものの、必死の説得によりロンバルディアの協力を得ることに成功する。

ロンバルディアのもたらした情報をもとに侵食する異世界は以後、彗星の巣を意味する「カイバーベルト」と呼称されるようになり、ARMSは対カイバーベルト最終作戦に参加することになる。侵食する異世界には物理的な攻撃手段が通用しないが、世界とは極論してしまえば1つの巨大な命、命という不確定な存在を収める器があれば、1つの生命体として扱うことが可能となり、生命体ならば物理攻撃で駆逐することが可能だった。「レイライン」と呼ばれる地脈の溜まり場とされる4ヵ所の「レイポイント」で、ファルガイアのライブエネルギー「マナ」を解放した後、マナを構成する疑似生命のフィールド「トラペゾヘドロン」を創造し、その中にカイバーベルトを捕縛して倒すというのがアーヴィングが考案した作戦だ。

真実

アシュレーの頼みを聞き入れARMSとともに戦うことになるマリアベル(画面奥の金髪の少女)。

任務の途中に立ち寄った「ノーブルレッド城」の最深部にて、ARMSはマリアベルと再会する。マリアベルは伝説の不死種族ノーブルレッドであり、記憶の遺跡でアシュレーが出会った少女の正体でもあった。アシュレーはマリアベルと交わした約束の時はまだ来ていないが、ロードブレイザーにも劣らない脅威であるカイバーベルトからファルガイアを守るために、一緒に戦ってほしいとマリアベルに言う。マリアベルは愚痴をこぼしながらもアシュレーの頼みを聞き入れて、ARMSと同行することに。

その後、ARMSが4つのレイポイントのマナの解放に成功したことを確認し、アーヴィングはメリアブール、シルヴァラント、ギルドグラードの3国にライブリフレクターの使用権譲渡を要請する。3国からライブリフレクターの自由使用権が許諾されたことで、カイバーベルトの捕縛作戦が開始された。マナによって牢獄トラペゾヘドロンを展開することには成功したが、カイバーベルトは封じられる直前に本体から自身の一部を切り離したことで逃げ出していた。トラペゾヘドロンに捕縛されたのは本体から切り離された末端のみであり、カイバーベルト捕縛作戦は失敗に終わった。捕縛方法自体に誤りは無く、世界を1つの魂魄に見立てることで生命の器に封じ滅ぼすべき肉体を与えることは、対カイバーベルトの有効策であったが、レイポイントに蓄えられたマナは使い果たされてしまい、同じ方法でトラペゾヘドロンに捕縛することは不可能となっていた。打つ手は尽きたのかと焦るアシュレーに、「万策尽きてから見つかる策もある」と言うアーヴィング。
その日の夜、アーヴィングは自室で最後の策を思いついていた。それはトラペゾヘドロンを用いずにカイバーベルトに滅ぼすべき肉体を与える方法、人間の器にカイバーベルトを封じることだった。アシュレーがロードブレイザーという巨大な存在を内的宇宙に宿し制御しているように、カイバーベルトも人間の内的宇宙に封じることができるはずだと考えるアーヴィング。しかし人間の器には、もとより1つの魂魄があるもの。アシュレーのように1つの器を共有することは奇跡にも等しいものだった。「だが、この身に流れるヴァレリアの血ならば、”焔の災厄”を退けし『英雄』の血ならば…そう、奇跡は待つものではない。奇跡は、自分の手で起こしてこそその価値があるのだ」と呟くアーヴィング。そこに彼に呼び出された妹のアルテイシアがやってくる。アーヴィングはアルテイシアに自身の考えを告げる。「世界そのものを取り込めるほど広くて、深いもの…それは、人間の器に他ならない。分かってほしい、アルテイシア。今一度、ヴァレリアの血に…『英雄』の末裔としての血に全てを託そう。我が妹よ…その身を”剣の聖女”としてではなく、”滅びの聖母”として私に捧げてほしい」と言うアーヴィング。アルテイシアは兄の言葉に戸惑っていたが、「そうすればわたしも兄様と一緒に戦えますか?いつでも側にいられますか?」と自分を必要とする兄の言葉に喜んだ。
翌日、アーヴィングはARMSに「モンスターが異常発生しているため、現地に急行し原因を究明してほしい」という任務を通達する。対カイバーベルト作戦ではないのかと戸惑うアシュレーだったが、ARMSの出勤に事件の大小は関係無いはずだとアーヴィングに言われ、渋々納得しながら出動する。

アーヴィングから指示された地点は「狂熱の骸」というヘイムダル・ガッツォーの残骸がある場所だった。探索をしているとオデッサのメインデータバンクにアクセスできる端末を発見する。ヴィンスフェルトが言っていた迫り来る脅威がカイバーベルトのことなのかを確かめるため、端末を調べるていると、オデッサの資金源に関する項目を見つける。そこにはオデッサに資金を提供していた人物、アーヴィング・フォルド・ヴァレリアの名前があった。驚愕するARMSのもとにヴァレリアシャトーからアーヴィングとアルテイシアがいなくなったとの通信が入る。ARMSは急いでヴァレリアシャトーに戻り、アーヴィングが残した書き置きを読む。そこにはアーヴィングが対カイバーベルトの最終作戦を遂行途中であること、「ファルガイア中心核域」に来てほしいという最後の任務が書かれていた。次の戦いが最後の戦いになると予感したアシュレーは、ARMSのメンバーに「明日のこの時間、この場所に戦う意志があるものだけ集まってほしい」と告げて、一時散会する。翌日、ARMSはそれぞれの決意を抱き、再びヴァレリアシャトーに集まった。ファルガイアは更に侵食が進み危険な状態となっていたが、全てを終わらせるためにARMSはファルガイア中心核域へ向かった。

中心核域には「背塔螺旋」という建造物があり、中にある階段を降っていくと、目の前に海のような光景が広がる。ティムによると、それは海ではなく青い泥であり、その全てが1つのガーディアンであり、全ての始まりとなった始原の存在、”泥”のガーディアン「グラブ・ル・ガブル」であるとのこと。カイバーベルトは命の源でありファルガイアそのものともいえるグラブ・ル・ガブルを喰らっていたのだ。
グラブ・ル・ガブルの中に入り、アーヴィングとアルテイシアと対面するARMS。「何故?といった顔をしているな」と言うアーヴィングに「わからない…わからないんだッ!ファルガイアのために一緒に戦ってきたはずだろう?それなのに、何故ッ!?」と問いかけるアシュレー。「誰よりも先んじて私はカイバーベルトの脅威を知ってしまった。世界を喰らい尽くす概念存在に対抗するには揺るぎ無い大きな力が必要だ。ファルガイアが1つになるくらいのな」と答えるアーヴィング。
だが、人はその数だけ異なる思惑を持っており、想像もつかない脅威に対して即座に一致団結することはできなった。そこでアーヴィングは身近に実感できる脅威を用意した。それがテロ組織オデッサであり、これに対抗する正義の味方として用意されたのがARMSであった。人々の心はやがて国家間を超えて結ばれていき、カイバーベルトに対抗するために各国が協力体制をとったことで、ライブリフレクターを自由に使用しトラペゾヘドロンを発動することができたのだ。それでもアシュレーはアーヴィングがしてきたことは間違っていると指摘する。アーヴィングの思惑の裏で傷ついた者もいれば、命を落とした者もいたのは事実だったからだ。「大きな目的のために誰かを犠牲にすることなんて僕にはできない」と言うアシュレーに「ファルガイアを、人類の未来を守るためなのだ」「私だって戦う力を手にすることができたなら…アガートラームを手にすることができたならこのような手段はとらなかった。だが、『英雄』にならなくてはファルガイアを守ることができないのだッ!」とアーヴィングが答えると、側にいたアルテイシアの身体が変貌し始める。

「異世界などという概念存在に対していかなる物理攻撃も無意味なのは周知の通り。そこで私は世界を1つの生命、即ち『魂』に見立ててこれを『器』に封印しようと考えた。こうすることで滅ぼすべき『肉体』が生成される。私がオデッサに提供した召喚の外法『降魔儀式』を応用することで我が妹の内に…アルテイシアを『器』とすることで忌まわしき生命体を…」と語るアーヴィングを遮り「もう、やめろぉッ!!!目的のためならどこまで道を踏み外せるんだッ!?実の妹までも生け贄に差し出したというのかッ!?」と叫ぶアシュレー。「『生け贄』ではない…『英雄』になるのだ。”剣の聖女”ならぬ”滅びの聖母”としてヴァレリアの名のもとに召されるのだ」とアーヴィングが答えた後、アーヴィングとアルテイシアはカイバーベルトを宿した怪物へと変貌する。「赦してもらえるなんて思ってはいない。だが、ファルガイアを救うにはこうするより仕方なかったのだ。さあ、私達ごとカイバーベルトを滅ぼすのだッ!私の意識が飲み込まれないうちに…」と言うアーヴィング。もう手遅れなのかと苦悩するアシュレーにアーヴィングは、「自分のことは自分が1番分かるつもりだ…だが、不思議だな…こいつと刺し違えることが分かっていても脅えや後悔はない…嬉しいんだ、もう、逢えないことよりもみんなと出逢えたことが嬉しい。みんなと出逢い、一緒にファルガイアを守ってきて本当によかった…」と答える。「アナスタシアと約束したんだ。ヴァレリアの悲しみを止めるって…アーヴィング…アルテイシア…一緒に戦おうッ!」と言って、アシュレーはARMSのメンバー達とカイバーベルトを倒すのだった。

どんなときでも、ひとりじゃない

仲間達の力を借りてアガートラームを引き抜くアシュレー。

戦いが終わり、グラブ・ル・ガブルを立ち去ろうとするARMS。リルカは「勝ったんだよね?」と問いかけるが、アシュレーは「僕達は勝ったのでも負けたのでもない。ただ終わったんだ」と答える。やり場のない想いを抱えてそのまま歩き始めると、突如アシュレーの身体が黒い光に包まれて姿を消してしまう。気が付いたアシュレーが立っていた場所は事象の地平と呼ばれる場所だった。アシュレーが周囲を見渡していると何処かで聴いた声がアシュレーに語りかけてくる。それはロードブレイザー。ファルガイアを焔の朱に染めた災厄だった。「ようやく縛鎖から解き放たれたよ。実態を伴うのは久しぶりだ。お前には感謝している。事象の地平に封じられていた私がお前の体内に降魔できたのは僥倖というべきかな。戦いの中で生きるお前の中で芽生えた負の感情が今こうして、私を支える糧となっているのだ」と語るロードブレイザー。自分の負の感情がロードブレイザーを蘇らせたことに驚くアシュレー。ロードブレイザーはアシュレーに対して自身を蘇らせた礼として「世界を焼き尽くす光景を見届ける栄誉を与えよう」と告げる。アシュレーは側にあったアガートラームを引き抜こうとするが、「確かにそいつはこの私を討てる唯一にして絶対の剣だよ。だが、忘れたとは言わせぬぞ。お前はアガートラームを抜くことができなかった。お前が倒さんとしているこの私の力を持ってようやく手にすることができたのだ。私がお前の身体より解き放たれた今ただの人間にアガートラームを抜くことは叶わぬわッ!アガートラームは”剣の英雄”によって振るわれるもの。『英雄』のいない時代を嘆けッ!そして、為すすべもなく焼き尽くされるお前達の未来に恐怖するがいいッ!!」とロードブレイザーは嘲笑う。
しかしアシュレーは自分が剣に選ばれた「英雄」ではないことを認め、「僕達の生きる世界は、大切なファルガイアは、『英雄』なんかの力で支えられるほどちっぽけなものじゃないんだ。たくさんの命が生きて同じ数の想いが行き交わう世界…だから、世界を支える力はファルガイアに生きる全ての命に他ならないッ!『英雄』のいない時代…そう言ったな。違う、違うんだよ…『いない』のではなく、『いらない』んだ。『英雄』なんていらないッ!!!そんなものによって守られる世界になんて価値などありはしないんだ。誰もが心を1つにして立ち上がることができたなら、そう…『英雄』なんて生贄にすがらなくても、世界を支えていける!奇跡だって起こすことができるッ!もう二度と、アーヴィングのような間違いは犯しちゃならないんだッ!」と叫ぶ。直後、アシュレーのもとにたくさんの光が集まる。それはARMSの仲間達の想いが光となったものであり、アガートラームが英雄1人の力で抜くものではないことを理解したアシュレーは、仲間達の力を借りてアガートラームを引き抜く。
その瞬間、アシュレーの姿が変わった。髪が伸び、”剣の聖女”であったアナスタシアと同じような白装束の姿となっており、その手にはアガートラームが握られていた。”剣の英雄”となったアシュレーの姿に驚愕するロードブレイザーに、アシュレーは最後の戦いを挑む。そして、アガートラームに集められたファルガイアに生きる人々の想いは力となって、ロードブレイザーを完全に消滅させるのだった。
戦いを終えたアシュレーは仲間達のもとに戻る。今度こそ戦いが終わったことを実感し、ARMSはファルガイアに帰還した。しばらくして、ARMSは解散となり、ARMSのメンバーはそれぞれの道を歩み始めて行った。

1年後、アガートラームが突き立てられたアーヴィングとアルテイシアの墓の前で、久々に再会を果たすアシュレー達。アシュレーとマリナはみんなに双子の赤ん坊を見せる。「もう、名前は決めたの?」と質問するリルカに「綺麗な名前よ…このファルガイアで1番優しくて、そして、1番純粋な兄妹の名前…」とマリナは答え、「道に迷うことはあっても、間違わないように見守っていくんだ。どんな時でも僕達はひとりじゃない。」とアシュレーは言うのだった。

『ワイルドアームズ セカンドイグニッション』のゲームシステム

グッズ

前作同様、ダンジョンの仕掛けを突破したり謎解きをする際に必要となるスペシャルアイテム。1人につき3種類のグッズが用意されており、6人全員分を合わせると最大で18種類存在する。

サーチシステム

本作の町やダンジョンなどの施設は、一部を除き初期状態ではアウトフィールド上に存在していないように見えるが、操作キャラクターを中心とした周囲をボタン入力でサーチすると、町やダンジョンなどの施設を探し出すことができるようになっている。主にイベント中の会話シーンや町から情報を得ることで施設をサーチすることができるようになる他、ストーリーの進行度によってサーチ可能となる施設も存在する。また、アウトフィールド上に隠されているアイテムを探し出すこともできる。

エンカウントキャンセル

パーティーの平均レベルよりも低いレベルの敵とエンカウントする直前に白い「!」マークが出現し、これが出ている間にキャンセルボタンを押すとエンカウントを回避することができる。敵のレベルが高い場合や不意打ちによるエンカウントが発生した場合は赤い「!」マークが出現した瞬間にバトルが開始され、一度も遭遇したことがない敵とエンカウントする直前は緑の「!」マークが出現する。

パーソナルスキル

キャラクターの能力を自由にカスタマイズできる。キャラクターのレベルが上がると得られる「PSポイント」を消費することで、パラメータの上昇やマイナスステータスの予防、HP回復能力、クリティカルやカウンター発生率の上昇など、様々なスキルを修得できる。スキルごとに必要なPSポイントが異なっており、1度修得したスキルをリセットすることはできない。

go-1010072690403270945091
go-1010072690403270945091
@go-1010072690403270945091

Related Articles関連記事

ワイルドアームズ(WA)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ワイルドアームズ(WA)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワイルドアームズ(WILD ARMS)』とはメディア・ビジョンが開発したPlayStation用のゲーム作品。1996年12月20日にソニー・コンピュータエンタテインメント(SCE)より発売。略称は「WA」。ジャンルはロールプレイングゲーム(RPG)。荒廃した大地が広がる惑星「ファルガイア」を舞台に、荒野を冒険する「渡り鳥」と呼ばれる3人の主人公達と、異世界からの侵略者「魔族」との戦いの物語を描いた作品で、壮大な世界観と個性溢れるキャラクター、深く練り込まれたストーリーが魅力となっている。

Read Article

ワイルドアームズ アドヴァンスドサード(WA3)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ワイルドアームズ アドヴァンスドサード(WA3)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワイルドアームズ アドヴァンスドサード』とはメディア・ビジョンが開発したPlayStation 2用のロールプレイングゲーム(RPG)。2002年3月にソニー・コンピュータエンタテインメントより発売。略称は『WA3』。文明と環境が荒廃化した惑星「ファルガイア」を舞台に、荒野を旅する「渡り鳥」同士の対立と世界を巡る戦いを描いた物語となっている。シリーズで最もウェスタン色という側面が強調されており、各シリーズのキーワードでもある「渡り鳥」の要素が前面に押し出されている。

Read Article

ワイルドアームズ アルターコード:エフ(WA:F)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ワイルドアームズ アルターコード:エフ(WA:F)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワイルドアームズ アルターコード:エフ(WA:F)』とはメディア・ビジョンが開発したPlayStation 2用のロールプレイングゲーム(RPG)で、初代『ワイルドアームズ』のフェイク(リメイク)作品。タイトルの「F」はファーストとフェイク(贋作)のダブルミーニングとなっており、初代『1st』とは似て非なる別の世界の物語として新たに再構築されている。3人の主人公が荒野と化していく世界を守るために戦う物語を描いている。

Read Article

ワイルドアームズ クロスファイア(WAXF)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ワイルドアームズ クロスファイア(WAXF)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワイルドアームズ クロスファイア』とはメディア・ビジョンエンタテインメントが開発したPlayStation Portable用のシミュレーションロールプレイングゲーム。略称は『WAXF』。荒廃した世界「ファルガイア」の「エレシウス王国」を舞台に、建国の騎士団「ブランクイーゼル」が祖国を相手に戦う物語を描く。本作はシリーズ初の携帯ゲーム機専用のソフトとして発売された作品であり、ジャンルは「RPG」から「SRPG」に変更された。また、シリーズで初の非ナンバリングタイトルとなっている。

Read Article

ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード(WA5)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード(WA5)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワイルドアームズ ザ フィフスヴァンガード』とはメディア・ビジョンエンタテインメントが開発したPlayStation 2用のロールプレイングゲーム(RPG)で、略称は『WA5』。かつて高度な文明が存在した世界「ファルガイア」。物語は古代兵器「ゴーレム」を発掘するゴーレムハンターを目指す少年ディーンが、謎の女性アヴリルとの邂逅を果たすところから始まる。本作はシリーズ10周年という節目の年に登場する記念碑的な作品であると同時に、新たな地平を切り開いた作品となっている。

Read Article

ワイルドアームズ ザ フォースデトネイター(WA4)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

ワイルドアームズ ザ フォースデトネイター(WA4)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ワイルドアームズ ザ フォースデトネイター』とはメディア・ビジョンエンタテインメントが開発したPlayStation 2用のロールプレイングゲーム(RPG)。略称は『WA4』。戦争で荒廃化した世界「ファルガイア」を舞台に、戦争を生きた大人と、戦争を知らない子供という構図を軸に、戦うこと、力を振るうことの意味を問う物語を描く。作品構造からシステムまで全てが過去作から一新され、新たなステップへ向かった作品となっている。

Read Article

目次 - Contents