パシフィック・リム(Pacific Rim)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

日本のマンガやアニメ、特撮作品への造詣も深いギレルモ・デル・トロ監督による2013年公開のアメリカ映画。巨大怪獣と人型巨大ロボットとの戦いを圧倒的スケールで描き出したSFアクション超大作。太平洋の海底から巨大怪獣が現れ、全世界の大都市を襲撃する。人類滅亡の危機を救うため、名パイロットのローリーと日本人研究者の森マコがペアとなって操縦する人型巨大ロボット"イェーガー"で、怪獣に立ち向かう姿を描く。

登場する怪獣(Kaiju)とは

本作における怪獣は、太平洋グアム沖の深海にできた裂け目から現れる巨大生命体の総称であり、英語圏でも「Kaiju」と呼称されている。
形態は爬虫類や魚類、甲殻類などに似たものなど個体ごとに様々だが、複数個体の姿が似ている事もある。主に人口の密集している地域を狙って襲来する。
それぞれの攻撃力や血液の毒性の高さ、その体長などによって、「セリザワ・スケール」と呼ばれる1から5までのカテゴリーでクラス分けされている。
骨格がシリコンで構成された一種のケイ素生物であり、非常に頑丈な体とイェーガーに匹敵する強力なパワーを持ち、陸海共に活動できるほか、ある程度の知性を有しているとされる。中には体の各所に発光器官を持つ個体や、翼による飛行能力を持つ個体、酸や電磁パルスなどの特殊な攻撃手段を持つ個体も存在するが、火炎放射や光線などの非生物的な能力を持つ個体はいない。身体が巨大である為、脳は主脳の他に「第二の脳」と呼ばれる小さい脳が存在し、それぞれ役割を分散させている。

『パシフィック・リム』の名シーン・名場面&見どころ

ローリーとマコの迫力の格闘シーン

ジプシーのもう一人のパイロットを選ぶ生身の格闘試験で、森マコが戦闘員としての身体能力の高さを初めて見せるローリーとの格闘シーン。
マコ役の菊地凛子は、撮影に入る約2ヶ月前からウエイトリフティングやビーチでのブートキャンプ、マーシャルアーツなどパイロットになるためにやらなければならないトレーニングは全部やったというだけあって、キレのいい動きを披露している。

幼いマコを演じ、ハリウッドデビューを果たした芦田愛菜

日本では名子役で知られる芦田愛菜。その場にいない怪獣に対して終始おびえながら逃げるシーンを、全編グリーンバックで撮影。初となる本場ハリウッドの現場でやりきった。
「撮影中ほとんど泣いているシーンと怪獣に追われるシーンだったので、涙で顔がはれちゃうほどがんばった」という芦田に、ギレルモ・デル・トロ監督は、「恐ろしいぐらいうまい」「僕が仕事をした最高の役者の一人」とその才能にベタ褒めした。
撮影中、監督は芦田に自分のことを「トトロ」と呼ばせてコミュニケーションを図っていたそうである。

スタッフロールの途中で生還するハンニバル

本編が終わり、イェーガーのスタイリッシュな映像と共にスタッフのクレジットが始まると、途中で突然怪獣の体が映し出される。
それは本編の中盤、瀕死の幼獣に丸呑みされ退場したハンニバル・チャウが、幼獣の体を体中から切り裂いて顔を出し「俺の靴はどこだ?」と言うシーンである。
ハンニバルが幼獣に飲まれた時に脱げた大事にしている黄金の靴が現場に落ちていて、それをニュートンが拾うが無造作に投げつけて去るというシーンがあり、その伏線となっている。
また、本編中に出てくる幼いマコが怪獣に襲われた際に無くした赤い靴のエピソードに掛けているようにも思えるシーンである。
このキャラクターを演じる際にロン・パールマンは、デル・トロ監督から海賊のイメージを与えられて人物像を作り上げたという。

『パシフィック・リム』の関連動画

映画予告編

特別映像

独占インタビュー/菊地凛子

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