寄生獣の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『寄生獣』は、岩明均による日本のマンガ。人間を捕食する寄生生物と右手に寄生生物を宿した高校生シンイチの数奇な運命を描く。
人間の存在が地球に害であるというテーマを掲げており、タイトルの「寄生獣」は前述の寄生生物ではなく、地球に害をなす人間を指している。
その重厚なテーマを背景に、キャラクターによるメッセージ性の強いセリフが多く、作中で多くの名言が登場している。

田宮良子が最強の寄生生物「後藤」についてシンイチに語るシーン。一見矛盾したセリフであり、事実シンイチもよくわかっていなかった。

田宮良子はこうも語る。
「あわせて一つ 寄生生物と人間は一つの家族だ 我々は人間の子供なのだ」
「我々はか弱い それのみでは生きてゆけないただの細胞体だ だからあまりいじめるな」

このセリフには、寄生生物は結局は人間という依代がないと生きられない弱い立場であるため、お互い共存しあっていくべきだという彼女の思いが込められている。
個体としては最強に戦闘力が強い後藤も、単独では生きられず、子孫も残せず、一代で滅びる運命にあり、生命力がか弱い。

実際にシンイチを苦しめた「後藤」は人間が不法投棄したゴミの毒であっけなく死んでしまう。読者はそこで改めてこのセリフを思い出すことになる。
何気ないセリフが後の布石となっているのも、本作品が人気の所以でもあり、印象深い名言として読者の記憶に残っている。

ずうっと考えていた… 私は何のためにこの世に生まれてきたのかと… 一つの疑問が解けるとまた次の…疑問がわいてくる… 始まりを求め…終わりを求め… 考えながらただずっと 歩いていた…何処まで行っても同じかもしれないし…歩くのを辞めてみるならそれもいい…全ての終わりが告げられても…「ああ そうか」と思うだけだ

警察に銃撃により死期を悟った田宮良子の最期のシーンでのセリフの1つ。自分たち寄生生物が何のために生まれてきたのかの答えをずっと探し求めていた田宮良子の生き様を端的に表したセリフである。

………この前人間のまねをして………鏡の前で大声で笑ってみた……… なかなか気分が良かったぞ………

上記に続いて、息絶える田宮良子の最期のセリフ。人間のことを研究し続けた彼女もミギーと同じで、作中で少しずつ人間の心を理解し変わっていった。
最後の最後、親として自身と人間との間に産んだ子供を守る姿に感動した読者は多い。

きみ………泉 新一君………だよね?

シンイチのガールフレンドである、村野里美のセリフ。ミギーが宿ったことによるシンイチの変化を感じていたが、その変化を理解できず悩むことが多かった。

このセリフは作中、シンイチに変化がある度に村野から問いかけられる。寄生生物と人間の狭間にいるシンイチの応えはその時の自身の心境により大きく変わっている。村野の視点を通して、シンイチの心境が読者に伝わる大事なシーンである。

環境保護も動物愛護もすべては人間を目安とした歪な物ばかりだ。なぜそれを認めようとせん!

組織化した寄生生物のボスといえる広川市長。このセリフは寄生生物が潜伏していた市役所に強行突破をかけてきた警官隊に対する広川の演説の1つ。
寄生生物たちの中でも存在感を放っていた広川だったが、実は寄生生物ではなく人間であり、真に地球を護るためには人類の間引きが必要だという思想を持って寄生生物と手を組んでいた。
このセリフは人間の広川が言うからこそ、深い名言と言える。

人間に寄生し生物全体のバランスを保つ役割を担う我々から比べれば 人間どもこそ地球を蝕む寄生虫!! いや……寄生獣か!

上に続き、広川の演説。本作のタイトルである「寄生獣」が寄生生物ではなく、人間を指すことがこのセリフで明かされる。
このセリフが本作のテーマかつ筆者の主張であるとして、多くの読者が名言だと捉えている。

どけよ!人間ども!!

自身の母が寄生生物に殺されたことを田村良子に指摘され激情し、その場を走り去る新一。道を邪魔する人混みに対してこの言葉をかける。
自分はもう人間ではないのではないかという疑念がシンイチの中で無意識のうちに強くなってることが伝わるシーン。

なんだ……ほとんど可能性ゼロに近いじゃないか!………でもやらなけりゃ………確実なゼロだ!!

ミギーがいない中、最強の寄生生物「後藤」と対決するが、圧倒的力の差に追い詰められるシンイチ。絶体絶命の状況下で、勝算を考えるシンイチのセリフ。

初めてミギーがいない中、窮地に立たされながらも勝利を諦めず立ち向かうシンイチに、成長を感じる名シーンである。

あいつらはせまい意味じゃ「敵」だったけど 広い意味では「仲間」なんだよなァ みんな地球で生まれてきたんだろう? そして何かに寄りそい生きた……

強敵「後藤」を倒し、ミギーとも別れたシンイチがこれまでの戦いを振り返り、思いを馳せるシーン。

人間の天敵である寄生生物も元は地球で生まれた仲間であるというこのセリフも、広川のセリフと同様本作のメッセージを強く表現しており、名言との声が多い。

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@ataru_nagai188c3

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