喧嘩商売(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『喧嘩商売』(けんかしょうばい)とは、木多康昭による漫画作品。格闘技を題材としているが、修行したり実際に殴り合ったりする以外の戦術的な駆け引きを重視した内容が特徴。基本的にはシリアスな内容だが、ギャグ漫画家としてデビューした木多らしい強烈な下ネタやパロディが時折描かれる。
いじめられっ子からの脱却を目指して喧嘩に明け暮れていた高校生の佐藤十兵衛は、工藤優作という喧嘩屋に敗れ、大きな屈辱を味わう。これを払拭するため、十兵衛は工藤との再戦を目指して表の裏の格闘技界に乗り込んでいく。

『喧嘩商売』の概要

『喧嘩商売』(けんかしょうばい)とは、2005年から『 週刊ヤングマガジン』で連載された木多康昭による漫画作品。喧嘩や格闘技題材としており、作画にはCGが利用され、アクションシーンの迫力ある描写で話題となる。修行したり実際に殴り合ったりする以外の「戦術的な駆け引き」が重視されていることも特徴である。
基本的にはシリアスな内容だが、ギャグ漫画家としてデビューした木多らしい強烈な下ネタやパロディが時折描かれる。休載が多いことでも知られ、2010年までの連載分で「第一部完」という形で『喧嘩商売』は完結。2013年からキャラクターと世界観を引き継いだ『喧嘩稼業』(けんかかぎょう)が連載開始された。

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いじめられっ子からの脱却を目指して喧嘩に明け暮れていた高校生の佐藤十兵衛(くどう じゅうべえ)は、工藤優作(くどう ゆうさく)という喧嘩屋に敗れ、大きな屈辱を味わう。これを払拭するため、十兵衛は工藤との再戦を目指して本格的に格闘技の世界に足を踏み入れる。
古武術家の入江文学(いりえ ぶんがく)から様々な技を学んだ十兵衛は、喧嘩屋という裏社会の人間である工藤に接触するため、表の格闘技界で名を売ることを考える。打倒工藤を目指し、十兵衛は様々な強敵を打ち破っていく。

『喧嘩商売』のあらすじ・ストーリー

敗北と屈辱の命乞い

主人公の十兵衛(右)と師匠の文学(左)。普段は馬鹿な話で同レベルに争う、フランクな関係である。

高校生の佐藤十兵衛(くどう じゅうべえ)は、いじめられっ子からの脱却を目指し、富田流という古武術の使い手の入江文学(いりえ ぶんがく)から格闘技を学び始める。もともと体格に恵まれていた十兵衛は見る見る内に強くなり、不良やチンピラを相手に喧嘩を繰り返す。
時に正面から彼らを叩きのめし、時に知略を用いて相手を徹底的に追い詰める。卑怯な戦法も盤外戦術も辞さない十兵衛は連戦連勝するが、そんな彼を目障りに感じた広域暴力団の板垣組は、フリーの喧嘩屋である工藤優作(くどう ゆうさく)という男を送り込む。

あらゆる技と戦術を駆使し、ついには相手をビルから突き落として勝利を確信する十兵衛。しかし工藤はそれでもなお立ち上がり、油断していた十兵衛は痛撃を食らって敗北する。「殺される」と恐怖した十兵衛は、涙と小便を流しながら土下座して命乞いを繰り返す。工藤はそれを見届けた上で、自分が頼まれたのは十兵衛を叩きのめすことだけだとして去っていく。
命拾いした十兵衛だったが、「この上無い恥を晒した」と恥辱に震え、工藤に勝つことでこれを払拭することに執念を燃やし始める。十兵衛のこの姿を見た文学は、彼を正式に弟子入りさせ、富田流の技を本格的に叩き込んでいく。一方、工藤もまた十兵衛との戦いで負ったダメージは大きく、「自分をこれほど追い詰める高校生がいる」ことに強い衝撃を受けていた。

表格闘技への挑戦

文学の下で、十兵衛は富田流の奥義である「心臓を強打して相手の動きを止める」金剛(こんごう)、「自己催眠による身体操作法」無極(むきょく)、さらに文学が進藤塾という空手の流派から盗んで我が物とした「一方的に殴り続けることが可能なコンビネーション」煉獄(れんごく)という3つの切り札を学ぶ。
再戦の準備は整ったと考える十兵衛だったが、喧嘩屋という裏家業の人間である工藤が今どこにいるのかは分からなかった。そこで十兵衛は、「表格闘技の世界で名を売り、そのネームバリューを使って裏格闘技の世界から工藤を引っ張り出す」ことを画策する。

早速表格闘技の世界に殴り込んだ十兵衛は、その実力を認められ、「これに勝利すれば工藤の居場所を教える」との条件で元柔道金メダリストの金田保(かねだ たもつ)との試合を行う。
金田もまた試合をする前から様々な策略で相手を弱らせ、さらには筋肉増強剤までも使って確実に相手を叩きのめすことを得意とするダーティーな格闘家だった。しかし十兵衛は、それこそ自分の土俵だとばかりに相手の策略をことごとく見切り、実力では上を行く金田を翻弄し、富田流の奥義を尽くして勝利をつかむ。しかし金田との死闘を制した十兵衛が得たのは、「理由は分からないが工藤は板垣組が厳重に隠していて、居場所が分からない」という役に立たない情報だった。

陰陽トーナメント開催の発表

文学の父の入江無一(いりえ むいち)は、当代最強の空手家である山本陸(やまもと りく)と唯一互角に戦える男と目されていた。やがて2人は世間に臨まれるまま対戦することが決まるも、その直前に山本の弟子である田島彬(たじま あきら)の卑劣な不意打ちによって負傷。片目を奪われた山本が姿を消す一方、無一は9年間の昏睡状態を経た後に息を引き取る。
このことから文学は田島を「父の仇」と憎み、いつか自分の手で倒すことを目指していたが、表の格闘家として成功を収めた今の田島と戦う機会を作ることができずにいた。

その田島が、「最強の格闘技を決めよう」というお題目を掲げて、表と裏の双方の格闘家を集めた格闘大会「陰陽トーナメント」(いんようトーナメント)の開催を発表。優勝者には100億円もの大金と、田島と戦う権利が贈られるという。参加者の中には工藤の名もあり、「板垣組が工藤を隠していたのはこれが理由か」と十兵衛を驚かせる。
文学が「田島を倒す千載一遇のチャンス」と入れ込む一方、格闘家としての実績が薄い十兵衛はエントリーを拒まれる。ならばと十兵衛が考えたのは、“参加が決定している格闘家の誰かを闇討ちして、参加権を奪う”というものだった。

東洋のフランケンシュタインとの死闘

文学が「まさか師匠の自分を狙うつもりなのか」と動揺する中、十兵衛が狙ったのはWBO世界ランキング1位のヘビー級プロボクサー石橋強(いしばし つよし)だった。石橋はその恐るべき強さから「東洋のフランケンシュタイン」の異名を持つ男で、田島がエキシビジョンマッチでWBOのチャンピオンを倒してしまったために試合できなくなり、代わりに彼を倒して自らの最強を示すために陰陽トーナメントへの参加を承諾していた。
十兵衛が石橋を相手に選んだのは、彼が表の格闘家でありデータを集めやすいこと、居場所が分かりやすいこと、激昂しやすい性格で喧嘩を吹っ掛ければ応じる可能性が高いことが理由だった。自分たちの戦いが陰陽トーナメントの関係者の目にも止まるよう画策した上で、十兵衛は石橋に挑戦する。

重量級の中でも特に秀でた攻撃力、軽量級にも匹敵するスピード、そして日本人離れして恵まれた頑強な肉体と“あらゆる痛みを快楽へと変える”特殊性癖による超人的なタフネスを備えた石橋に十兵衛は苦戦するが、自身もあらゆる技術と知略を尽くして対抗。石橋の力を巧妙に封じ、最後は富田流の奥義である「抱え上げた相手を、睾丸を握り潰して無力化した瞬間に頭から投げ落とす」高山(こうざん)によって勝利する。
石橋の敗北は陰陽トーナメントの主催者側の間で衝撃を持って受け止められる。十兵衛は首尾よく「石橋の代理」という形で陰陽トーナメントへの参加を認められ、工藤との再戦に向けて闘志を燃やしていく。

『喧嘩商売』の登場人物・キャラクター

佐藤十兵衛(さとう じゅうべえ)

主人公。親の仕事の都合で転校を繰り返していたため、いじめの対象となっていたが、それを払拭するために文学に弟子入り。富田流の技を学び、不良やチンピラ相手に喧嘩を繰り返すようになる。
しかしこれを「目に余る」として広域暴力団板垣組が送り込んだ喧嘩屋の工藤に敗北。小便すら流しながら土下座して命乞いしたことを「これ以上ない屈辱」と受け止め、工藤へのリベンジを誓う。

身長180cm以上、体重100kg以上の高校生としては破格の体格を持ち、様々な技を身につけるセンスも持ち合わせている。しかしそれ以上に十兵衛の戦闘力を高めているのは、実際に戦う以前から容赦なく繰り出す様々な駆け引きと策略であり、これによって相手の力を奪うのが得意。実際に戦っている最中でも咄嗟に知恵を巡らせるのは得意中の得意で、相手のちょっとした挙動から「何か仕掛けてくる」、「何か隠し玉がある」と判断し、それを逆に利用して優位に立ち回る。

入江文学(いりえ ぶんがく)

十兵衛の師匠。戦国時代に発祥した、富田流という古流武術の使い手である。一人暮らしが長いため家事全般が得意だが、実戦となればどんな卑劣な手でも平然と使うし、気絶した相手を窓から投げ捨てるなど非情な方法で念入りにトドメを差すことも辞さない。この点は弟子の十兵衛も大いに参考にしている。
父である入江無一を卑劣な不意打ちで植物状態にした田島を憎み、彼を自らの手で倒すことを目標に人生のほとんどを修行に費やしてきた。収入は父が残した不動産から得られるものに頼っている。

工藤優作(くどう ゆうさく)

フリーの喧嘩屋。生後間もない頃に育児放棄で幾度となく死にかけた経験を持ち、脳内麻薬を自在に制御することで超人的な怪力と痛覚を遮断する能力を得る。格闘技の経験は一切ないが、この力を使って裏社会の喧嘩屋として活動している。「工藤優作」は成長してから金で買った名前(戸籍)であり、自身も自分の本名を知らない。
チンピラ相手に喧嘩を繰り返していた十兵衛を制裁するよう依頼され、彼を襲撃。相手の知略に苦戦し、ついにはビルから突き落とされるも、なお立ち上がって「勝った」と油断していた十兵衛を打ち倒した。勝つには勝ったものの、自身も「これほど手こずったのは初めてだ」と驚くほどのダメージを負い、十兵衛のことを強く印象に残す。

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