喧嘩稼業(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『喧嘩稼業』(けんかかぎょう)とは、木多康昭による漫画。それぞれの想いを胸に、莫大な賞金がかかった異種格闘大会「陰陽トーナメント」に臨む格闘家たちの姿を描いている。2010年に「第一部完」という形で完結した『喧嘩商売』の続編である。
高校生の佐藤十兵衛は、喧嘩屋の工藤優作へのリベンジを目的に、表と裏の格闘界で戦い続けていた。その工藤が陰陽トーナメントに参加することを知った十兵衛は、別の選手から出場枠を奪い取る。各流派の伝説級の格闘家たちもまた、それぞれの想いを胸にトーナメントに挑んでいく。

『喧嘩稼業』の概要

『喧嘩稼業』(けんかかぎょう)とは、2014年から『ヤングマガジン』で連載されている、木多康昭による漫画。
誇りのため、金のため、恩義のため、復讐のため、それぞれの理由から莫大な賞金がかかった異種格闘大会「陰陽トーナメント」(インヤントーナメント)に臨む格闘家たちの姿を描いている。

2010年に「第一部完」という形で完結した『喧嘩商売』の続編で、キャラクターや世界観をそのまま引き継いでいる。休載が多いことでも知られ、2019年以降は不定期連載となっている。

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高校生の佐藤十兵衛(さとう じゅうべえ)は、富田流という古武術の達人である入江文学(いりえ ぶんがく)から技を学び、いじめられっ子からの脱却を目指して喧嘩に明け暮れていた。ある時喧嘩屋の工藤優作(くどう ゆうさく)に敗北し、小便さえ漏らしながら土下座して見逃してもらった十兵衛は、これを「この上無い屈辱」として彼に対するリベンジを誓う。
裏社会の人間である工藤を探すため、十兵衛が格闘技の世界で名を挙げていく中、高名な総合格闘家の田島彬(たじま あきら)が「“あらゆる格闘技の中で最強のものは何か”を決める」という名目で「陰陽トーナメント」の開催を発表。表社会からも裏社会からも猛者を集い、優勝者には100億円と「田島と戦う権利」を与えるというこの大会に工藤もエントリーしていることを知った十兵衛は、他の選手を襲撃して出場枠を奪い取る。

田島を“父の仇”と狙い続けていた文学。喧嘩王の名で知られる空手家。剛力無双の横綱。死を前に田島との決着を望む老いた柔術家。かつて殺人を犯したプロレスラー。最強の柔道家。
各流派の伝説級の格闘家たちもまた、それぞれの想いを胸にトーナメントに挑んでいく。

『喧嘩稼業』のあらすじ・ストーリー

陰陽トーナメントの開催

陰陽トーナメントで戦い抜く十兵衛。

世界的な名声と圧倒的な実力を兼ね備える総合格闘家の田島彬(たじま あきら)は、「“あらゆる格闘技の中で、喧嘩形式で戦った時に最強なのは何か”を問う」という名目で、表と裏の格闘家を集めた陰陽トーナメント(インヤントーナメント)の開催を発表する。ファイトマネーは1試合ごとに1億円で、優勝者は100億円の賞金と「世界最強ともいわれる田島に挑戦する権利」を得た上で、田島に勝てればさらに100億円が与えられるという。
その破格の賞金に惹かれた者、己の最強を示さんとする者、田島との決着を望む者、あるいは大会を制して名声を得ることで己の人生を取り戻そうとする者たちが次々に集う。

喧嘩王の異名を持つ伝説の空手家・上杉均(うえすぎ ひとし)。
傭兵としても名を馳せる日本拳法の使い手・佐川睦夫(さがわ むつお)。
睦夫の弟で日本拳法の天才児・佐川徳夫(さがわ のりお)。
田島を「父の仇」と狙う古武術富田流の入江文学(いりえ ぶんがく)。
843勝0敗0休の偉業を果たす史上最強の横綱・金隆山康隆(こんりゅうざん やすたか)。
キックボクシングのヘビー級チャンピオン川口夢斗(かわぐち ゆめと)。
打倒文学に燃える古武術梶原柳剛流の梶原修人(かじわら しゅうと)。
シラットの達人にして記憶喪失の櫻井裕章(さくらい ひろあき/ゆうしょう)。
伝説的な合気道家の芝原剛盛(しばはら ごうせい)。
日本最強の柔道家たる関修一郎(せき しゅういちろう)。
婚約者の復讐で殺人を犯した人気レスラー「カブト」こと阿南優太(あなん ゆうた)。
己の強さを示すためカブトを倒さんとする総合格闘家の反町隆広(そりまち たかひろ)。
空手をベースに中国拳法を学んだ里見賢治(さとみ けんじ)。
召琳寺拳法の猛者たる三代川祐介(みよかわ ゆうすけ)。
裏社会の喧嘩屋・工藤優作(くどう ゆうさく)。
工藤との決着をつけるために戦い続ける高校生格闘家の佐藤十兵衛(さとう じゅうべえ)。

表と裏、双方の世界から集まった16人の格闘家たちは、それぞれの目的を胸に陰陽トーナメントに臨む。

1回戦第1試合:工藤優作 vs. 梶原修人

1回戦第1試合は工藤と梶原の対戦となる。工藤は「脳内麻薬を自由に操る」という特殊な素質を持ち、これを利用した喧嘩殺法を得意とする格闘技未経験者だった。梶原は工藤の実力を評価こそしていたが、「初戦は格闘技素人」と侮ってもいた。
試合が始まると、梶原が格闘技経験者としての様々な技を駆使して工藤を圧倒。おもしろいように相手を追い詰めていく。しかし工藤は脳内麻薬で痛みを軽減することによる恐るべきタフネスでその攻撃を耐え抜き、逆に“梶原が使い、自分自身でその威力を知った技を真似する”ことで反撃に転じる。

工藤の怪力から繰り出される自身の技を食らった梶原は、相手が自分の予想を超える怪物だったことに驚き、切り札として密かに用意していた毒物「屍」(かばね)の使用に踏み切る。しかし工藤はそれでもなお戦い続け、「自分が毒で死ぬより先に相手を殺す」とばかり梶原を攻め立てる。
「このままでは殺される」と焦った梶原は、降参すると共に解毒剤を渡すことを条件に命乞いを始める。工藤がこれを受け入れたことで試合は終わり、勝利した工藤は解毒剤によって死を免れるのだった。

1回戦第2試合:佐川徳夫 vs. 佐藤十兵衛

第2試合は佐藤兄弟の弟の徳夫と十兵衛の対戦となる。十兵衛は徳夫を「自分より格上の格闘家」と冷静に判断し、彼に勝つために得意の策略を用いる。
試合開始前、「アクシデントから徳夫に攻撃された」ように見せかけて観客、レフェリー、相手の徳夫までをも騙した十兵衛は、それに“格下の格闘家が怒って反撃した”風を装って脱出不能のコンビネーション「煉獄」(れんごく)を叩き込む。試合前のちょっとしたアクシデントにしては様子がおかしいと気づいた相手のセコンドが抗議した時には、徳夫は大きなダメージを負っていた。

しかし試合が始まると、徳夫は冷静に自分のペースを取り戻し、煉獄のダメージを回復させながら十兵衛を追い詰めていく。十兵衛は様々な策略で決定的な攻撃を食らわないよう立ち回り、半死半生で運ばれていった梶原が“回収することができなかった”屍を徳夫に打ち込む。
動きを止めた徳夫に、十兵衛は今こそ勝機と襲い掛かり、師である文学から学んだ富田流の奥義の1つで相手の心臓を強打して一撃で昏倒させる大技「金剛」(こんごう)を叩き込む。これが決め手となって徳夫は倒れ、十兵衛はジャイアントキリングを果たす。徳夫自身は治療が間に合い、九死に一生を得る。

1回戦第3試合:櫻井裕章 vs. 入江文学

十兵衛の師である文学と、青年期の記憶を失った櫻井の対決が始まる。櫻井は田島が「完璧」と称するほどの格闘家で、優勝候補の1人とも目されるほどの猛者だった。
文学は古武術ならではの容赦のない攻撃で櫻井に襲い掛かるも、櫻井はそれを持ち応えて反撃に転じる。両者の戦いは一進一退の様相を見せていくが、試合前の予想通り櫻井が優位を保つ展開が続く。

ついに文学は左の前腕を骨折し、勝負はあったかに思われた。しかし文学は「折れた腕を警戒する必要は無い」という櫻井の思い込みを利用して奇襲を仕掛け、富田流の奥義の1つで相手の睾丸を潰しながら投げ落とす「高山」(こうざん)からの連続攻撃で逆転勝利を収める。
腕を骨折した文学だが、試合後に外科手術を受け、なおトーナメントへの意欲を燃やす。

1回戦第4試合:金隆山 vs. 川口夢斗

大相撲の横綱である金隆山は、超人的な格闘家が集う陰陽トーナメントでも誰もが認める最強のフィジカルの持ち主だった。その金隆山に次ぐ屈強な肉体を持つ川口との試合は、1回戦屈指の注目カードとなった。
試合が始まると、金隆山はそのすさまじい力から放たれる相撲の技で川口を容易に打ち倒す。しかし横綱という立場から倒れた相手を追撃することができず、トドメを刺し切れないまま川口の回復を許す。KO寸前のダメージを負いながら立ち上がった川口は、打撃やフットワークを使って金隆山の前進を止めようと試みる。

川口の蹴りは「防御しても無意味」とされるほどの威力を誇り、金隆山さえもがローキックを食らって足を止める。それでも足を引きずるようにしながら前に出た金隆山は、「打撃の技術では相手に分がある」と判断して川口に組み付き、その両腕を力任せに折る。
なお諦めない川口は、「相手を殺しかねない」として禁じ手にしていたハイキックを放つ。これを頭部にまともに食らった金隆山は意識を失いかけるも、即座に立て直して川口の足を圧し折る。さらにベアハッグの体勢に入ったところで川口側からタオルが投入され、試合は金隆山の勝利で終わる。

しかし試合が終わってから数10分後、金隆山は頭部へのハイキックを受けたことによる脳内出血で死亡。表格闘技の頂上決戦とも称されたこの戦いは、痛み分けに近い凄惨な結果となった。

1回戦第5試合:上杉均 vs. 芝原剛盛

金隆山がリング禍によって命を落とした情報が秘される中、第5試合が始まる。空手の大流派進藤塾を代表して出場した上杉と、かつては田島すら警戒した伝説の合気道家・芝原の対決である。
芝原は高齢な上に病を得て余命少ない状態にあったが、とても瀕死の病人とは思えぬ力を発揮して上杉を攻め立てる。合気道のイメージからは想像もつかない強力な打撃と、触れれば即座に倒される達人ならではの神業の組み合わせに上杉は苦戦するが、「自分の背中に進藤塾の未来がかかっている」と反撃。進藤塾が編み出した本家本元の煉獄で勝負をかける。

しかし芝原は、「脱出不可能」とされる煉獄を防御して耐え凌ぎ、相手との心理的駆け引きという技以外の技術を用いて2度までも脱出。十兵衛たちのそれを模倣して我が物とした煉獄を逆に叩き込み、上杉を徹底的に追い詰める。
しかしトドメとばかりに投げつけられながら、上杉は咄嗟に芝原の胸部に乾坤一擲の肘打ちを放つ。これにより芝原は倒れ、上杉も力尽きてその場に倒れる。両者はほとんど戦う力を失っていたが、「芝原が心室細動を起こしている」ことに気づいた上杉は「病で余命少ないとしても、これほどの達人をこんな形で死なせたくない」と立ち上がり、芝原側のセコンドにこれを報告。状況を知ったセコンドによってタオルが投げ込まれ、上杉の勝利が確定した。

『喧嘩稼業』の登場人物・キャラクター

主要人物

佐藤十兵衛(さとう じゅうべえ)

高校生の格闘家。いじめられっ子からの脱却を目指して喧嘩に明け暮れていたが、工藤に敗北して「土下座しての命乞い」という屈辱を味わう。これを払拭するために工藤との再戦を目指し、陰陽トーナメントに臨む。
師である文学から富田流の技を仕込まれてはいるが、若いこともあって格闘家としては未熟な部分が多い。しかしそれを知略と策略と謀略で補い、話術や心理的な駆け引きを利用して強敵を倒していく。

入江文学(いりえ ぶんがく)

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