ロジカとラッカセイ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ロジカとラッカセイ』とは2018年4月~2019年7月まで『くらげバンチ』で掲載されていた、紀ノ目によるほんわか系SFファンタジー漫画である。とある惑星を舞台に、人間の子供・ラッカと不思議な生き物・ロジカが謎の円盤を見つけたり、森を探索したりと毎日を楽しく過ごすというストーリーになっている。一見、ほんわか日常物に感じるが、惑星の謎や主要人物の1人であるしーさんの生い立ちなどはハード且つダークなものとなっている。一風変わったキャラたちが織りなす日常とうっすらと漂うダークな雰囲気が魅力的な作品。

巨人の毒によってダメになった地球が浄化する計画、あるいは人類が乗った宇宙船の総称。計画はしーさんによって完遂されているが、人類が乗ったNOAHは浄化された地球を目前にして、流星群に襲われて破壊されてしまった。

地球観測機

地球の状態を観測をする観測機

巨人の毒によって汚染された地球の状態を観測、宇宙にいる人類へと連絡するための存在。しーさんがこれに該当する。巨人に対抗するには巨人しかいなということで造られた。3度の実験の果に生まれたこと、造った博士の頭文字を取ってC3という名前がついた。巨人を倒せるだけの強い力を地球に戻ってきた人類に悪用されないように、すべての巨人を倒したら機能停止するようにプログラムされている。
観測機も「星を作る研究」が元になっている。

『ロジカとラッカセイ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ラッカ「旦那さんは…旦那さんも幸せなんだろうか…」

幸せそうなマシューと延命装置に繋がれて言葉をなくしたトゥイーディアの姿とを思い浮かべて、果たしてトゥイーディアは幸せなのだろうかと感じたラッカは「旦那さんは…旦那さんも幸せなんだろうか…」と思った。

短命種族であるために、異種族であるマシューよりも早くに寿命が尽きてしまうはずだったトゥイーディアは延命装置によって無理やり寿命を伸ばしていた。マシューは大好きな旦那とどんな形でも一緒に入られることに幸せを感じていたが、トゥイーディアも同じ感情でいるかどうかを確認することはできなかった。誰もトゥイーディアの発する思考パネルを解読することができなかったためである。マシューの一方的な献身にラッカはどこか違和感を感じていた。自分が幸せなら旦那も幸せであると疑わないマシューの独りよがりと、幸せの形を考えさせられるセリフとなっている。

ナル「あなたもずっと寂しかったのね」

長い間人類からの返信と帰還を待っていたしーさんは、強い孤独の中生きていた。そして、その孤独を同じく兄を待ち続けているルナだからこそ気づき、「あなたもずっと寂しかったのね」と言った。

兄が死んだという知らせが届いたにも関わらず、兄を待ち続けるナル。そんなナルの姿に周囲は頭がおかしくなったんだと思ったり、無理やりナルに兄は帰ってこないと言い聞かせたりした。そんななかでしーさんだけはナルが待ち続けることを否定しなかった。これは、毒の星と化した地球から観測機であるしーさんを残して旅立っていった人類の帰還をしーさんは待っていた。定期連絡での返信や、必ず帰ってくるという約束を信じて長い間を待っていた経験からくるものであった。否定しないしーさんの姿にルナは「あなたもずっと寂しかったのね」と、しーさんすら気づいていなかったしーさんの感情を言い当てた。普段ニコニコ顔のしーさんの感情を知ることのできたセリフとなっている。

しーさん「しーさんも自由に生きるよ」

人類と交わした「必ず帰ってくる」という約束を信じて観測機として長い間、星の状態を観測し、巨人を倒し続けたしーさん。最後の巨人ルーモが降ってきた隕石によって進化したことで無害になったことを確認したしーさんはルーモに「自由に生きて」と言う。そして、ルーモから「しーさんは自由?」と聞かれる。しーさんはそれに対して「しーさんも自由に生きるよ」と返した。

人類との約束の一つである「すべての巨人を倒す」という約束のために、しーさんはルーモの元を訪れた。しかし、進化した最後の巨人ルーモとネジカの姿にラッカとロジカを重ねてしまったしーさんにルーモを始末することはできなかった。しーさんはすべての巨人を倒すという約束を守れなかったことを謝りつつ、人類も「必ず帰ってくる」という約束を守ってくれなかったから、おあいこであると思った。長い間人類との約束に縛られて生きていたしーさんが自由に生きることを決めた重要なセリフとなっている。

帰ってきたしーさんを出迎えるラッカ

ラッカに手を引かれるしーさん

最後の巨人の居場所の情報を得たしーさんは、巨人を倒すために動くことにする。そんな時、蓄音機を手に入れたラッカが「ダンスパーティーを開くからしーさんにも来てほしい」と誘ってきた。しーさんは最後の巨人を倒したら自身の機能が停止することを考えて、ダンスパーティーの誘いを断わって旅立つ。しかし、巨人は隕石によって突然変異を遂げたことで毒を発さなくなっており、とある島で家族と幸せに暮らしていた。しーさんはそんな姿を見て、自身も自由に生きることを決めてラッカたちの元へ戻ることにする。
一方ラッカたちの方は近隣住民が集まって楽しいダンスパーティーが開かれていた。そこに、しーさんが帰ってくるとラッカは嬉しそうにしーさんに「おかえり」と言い、しーさんも笑顔で「ただいま」と返した。しーさんがラッカに手を引かれてパーティーの輪に入っていく様は、しーさんの苦労からの開放とこれからも続く楽しい日々を思わせるシーンとなっている。

『ロジカとラッカセイ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

トゥイーディアのモールス信号の内容

トゥイーディアの思考パネル

マシューの旦那であるトゥイーディアは短命であったため、マシューによって延命装置に繋がれることで生きている。口で言葉を発することのできなくなっているため、彼の思考は装置についているモニターに表示されるのだが、モールス信号となっているためマシューには伝わっていない。また、作中でも明かされていない。モールス信号の内容は「ーーーー ・ー・ー ーー・ー・ ・ー・ーー」となっており、これを解読すると「ころして」になる。マシューは愛しい旦那と一緒にいれることに幸せを感じているが、生き物としての尊厳を失った今の姿で生きながらえることは、トゥイーディアには苦痛となっている可能性がある。

牛が牧場から脱走した理由

脱走した牛を戻そうとするラッカとロジカ

牛乳をもらうために牧場に訪れたラッカとロジカのあとを付いてきた牛は、最後までなぜ脱走したのか明言されることはなかった。しかし、この世界では食べ物としてオーソドックスではない牛肉を、かうべるが「びぃふ」と称して食べていたことから、食肉にされるのが嫌で逃げ出していた可能性がある。後に、ラッカたちの元に牛肉が届くシーンがあるが、演出的におそらく脱走した牛が解体されたものであると思われる。ラッカたちは牛の肉であることに気づいていないが、ほんのり牛乳の味がすると発言している。これは、乳の出が悪くなったなどの理由で、乳牛から食肉牛に下ろされた肉が牛乳臭いと言われることも関係している可能性がある。脱走した牛もなんらかの理由で牛乳の生産量が落ちたことで、食肉にされたと思われる。

TTK_82013
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