奇跡が降る街(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『奇跡が降る街』とは、1991年に公開されたアメリカのコメディドラマ映画である。監督はジョージ・ギャロで、本作は事実を基に描かれている。生まれつきの幸運体質である主人公のフランクが約9億円ものニューヨーク州初の宝くじに当選する物語である。フランクは幸運体質ではあったが彼の人生は決して穏やかなものではなく、マフィアと賭博をしたり仕事を転々としたりすることもあった。次から次へと予想外の出来事が起こるため次はどんな展開になるのだろうと見ている人を惹き付けるような作品である。

『奇跡が降る街』の概要

『奇跡が降る街』とは、1991年に公開されたアメリカのコメディドラマ映画である。監督はジョージ・ギャロで、本作は事実を基に描かれている。生まれつきの幸運体質である主人公のフランクがニューヨークの宝くじに当選する物語である。当選金額は620万ドルであり、日本円にすると約9億円だ。物語はフランクが宝くじに当選した場面から始まる。これほどの大金を手に入れることができたのにフランクは全く嬉しそうではなくむしろ悲壮感が漂っていた。その理由は映画をみているうちに徐々に明らかになっていく。フランクは幸運体質だったが、人生そのものが幸せだということではなかった。ベトナム戦争にフランクだけ運よく行かなくてよくなった時も周囲からの風当たりは強かった。フランクの意志とは関係なく幸運がやってきてしまうことは、時に葛藤を生み悩みの種となることもあった。運があまりよくないフランクの父親はフランクのことを愛しているが羨ましくも感じていて辛くあたってしまうこともあった。この映画はフランクが人生の中に見つける様々な幸せや悲しみ、葛藤を一緒に感じながら楽しめる作品である。映画を視聴した人の評価としては、「幸せとは何なのかを考えるきっかけになった」 「心が温かくなる映画だった」などの声があがっていた。

『奇跡が降る街』のあらすじ・ストーリー

宝くじの当選者

物語は、主人公の男がニューヨーク州の初の宝くじであるエンパイア・ステークスの抽選会に行くところから始まる。当選金額は620万ドルだ。宝くじの抽選会である会場には多くの人々が集まり熱気に満ちあふれていた。当選者の発表をする時間になると、会場の中央で司会者が「今回の幸運な人物はフランク・ペシさんです」と主人公の名前を言った。当選したら普通は喜ぶはずだが、フランクは嬉しく思っていなかった。

生まれた時からの幸運体質

フランクは子供の頃から何かと幸運に恵まれていた。母親が彼を出産する時には、予定していた病院とは別の病院で出産をした。その日、予定していた病院で火事が起きて建物が崩れたそうだ。フランクが小学生くらいになると裏社会で働く父親の息子であるジミーと友達になった。ジミーと遊んでいた時に、道に古いカメラが落ちていたため質屋に持っていきお金にしようとした。質屋の店主はたいした額にはならないと言ったが、ジミーが裏社会で働く自身の父親の名前を出すと店主はカメラの価値を少し上げてフランク達にお金を渡した。不真面目に毎日遊び歩きながら過ごした。フランクが18歳になると、家族でクイーンズに引っ越した。その頃、家族間の関係性は良好とは言えず、夕食を家族で食べている時もちょっとした会話から喧嘩になってしまうことも多かった。

どこまでも運がついてくる

兵役検査を受けるフランク(右)

やがてベトナム戦争が始まると、18歳のフランクも徴兵されることになった。徴兵先に向かうと町中の18歳がたくさん集められていた。厳しそうな指揮官は「この瞬間からこの場にいるお前たちはアメリカ合衆国の所有物であるとみなす」と話した。お調子者のフランクは指揮官に名前を聞かれた時に、名前の由来まで話したり、健康診断の時もふざけて受けたりしたため、頭のおかしい人だと判断されて家に返された。これは名誉なことではないが戦争に行かなくてもよくなったのでフランクにとっては幸運なことだった。家に戻ってきたフランクに対して父親や兄は呆れた様子を見せていた。その後、仕事につけたが8ヶ月で辞めた。同じ仕事場の同僚だった女の子のマリアとデートをすることになったが、このことをよく思っていなかった男に刺されて病院に運ばれた。刺された箇所の下に腫瘍が見つかったため、ガンの早期発見になり病魔から逃れることができた。

成功への近道の先に待つのは闇

成功には正しい道と、近道という2つの道がある。フランクは近道を選びマフィアの賭場で見張り番をしてお金を稼ぐことにした。父親はこのことをよく思っていなかったため、いつまでこの仕事を続けるのかと心配していたがフランクは素直に聞き入れなかった。
ジミーと共にフランクは子どもの頃に訪れていた質屋に行き、小切手を高値で買い取るように店主に頼むと、お店のものを何か買っていくことを要求された。仕方なくフランクは質屋に置いてあるガラクタのような双眼鏡と宝くじの券を買った。

ある日地下鉄に乗って新聞を読んでいると、宝くじの最終候補者の50人の中にフランク・ペシという名前があるのを発見し、大喜びで家に帰った。このことはすぐに町中に広がった。フランクは自分の運の良さを頼りにジミーを含む仲間たちと賭場に行くと、マフィア相手に勝負を挑んだ。フランクは負け知らずで勝ち続けた。

うまくいかない父親の人生

父親はトラックの運転手として働いていたが解雇されたことで家計は悪化した。そんな中、父親はお金を持って賭場に行くと負けて帰ってきた。持っていったお金を全て使うと思わなかったフランクは、あまりにお金を無駄にしたように思えたため父親と口論になった。フランクが立ち去ったあと、父親は日々の疲れが出たのか急に倒れてしまい病院に運ばれた。家族みんなが父親に元気になって家に戻ってきて欲しいと心から願った。そのかいあってか数日後、父親は家にもどることができた。

1万ドルの重み

父親が倒れた後フランクは真面目に仕事を探すようになり、おもちゃ会社の販売員として働くことになった。仕事では子どもたちの笑顔を見ることができてマフィアとも距離をとることができた。しかし、ある日マフィアの中でも特に悪名高い男であるルーイ・トゥッチに目をつけられ、宝くじの最終候補者として残ったフランクの宝くじの券を1万ドルで買い取りたいといいだした。なぜ1万ドルなのかもよく分からなかったフランクはこの話をそこまで真剣に考えていなかった。抽選会の前にクラブでお酒を飲んでいると、マフィアの男たちが入ってきてフランクの父親はどこにいるか聞いてきた。ここで初めてフランクは父親が1万ドルの借金をしていることを知る。その借金はフランクの母親がフランクを出産する時に病院の費用を払えなかったため、父親がトゥッチに土下座をしてまで借りたお金だった。返済できなくなると、トゥッチは父親の持っていた会社を乗っ取り父親の人生を狂わせた。フランクは父親を守るために、トゥッチが以前持ち掛けてきた宝くじ券の買い取りの件を実行しようとした。

宝くじの券は誰のもとに?

抽選会の数時間前になると、フランクは家族には何も言わずにトゥッチの元へ向かった。雪が降り積もる中、建物の外に立っていたトゥッチの部下と名乗る男に、宝くじの券を渡した。その後、抽選会で当選者の名前が発表されると、フランク・ペシの名前が町中に広まった。しかし、フランクの宝くじの券はすでにトゥッチのものになっているためフランクは全く嬉しくなく、ただ虚無感と家族に対する罪悪感しかなかった。家に帰ると、何も知らない家族は親戚の人や友人を招いてお祝いのパーティーをしていた。泣きそうになりながら父親に自分のした事を説明しようとすると、突然家の中にマフィアの一員が入ってきて父親に1万ドルを返済するように要求した。フランクが宝くじの券をトゥッチに渡したことで父親の借金はなかったことになっているはずだったため、フランクはこの状況が理解できなかった。父親は借金の1万ドルをその場でマフィアに返すと、何事もなかったかのようにマフィアは去っていった。すると父親があるはずのないフランクの宝くじの券をポケットからとりだした。クラブでの出来事を知り合いから聞いた父親は、息子であるフランクが取るであろう行動を予測した。トゥッチのいる事務所の前に父親は友人に見張りとしていてもらい、案の定現れたフランクはその友人をトゥッチの部下だと思い宝くじの券を渡したのだった。こうして620万ドルはフランクのものとなり、パーティーは幸せいっぱいのものとなった。クラブの出来事が起こった時に、父親の知り合いがいたこと、そしてその知り合いが父親にその出来事をすぐに知らせたこともフランクにとっては幸運なことだった。

『奇跡が降る街』の登場人物・キャラクター

主人公

フランク・ペシ・ジュニア(演:アンソニー・ラパーリア)

CV:島田敏
『奇跡が降る街』での主人公。生まれながらの幸運体質であり、自分の意思とは関係なく幸運な方向に物事が進む。常に楽観的で真面目とは程遠い性格である。人の話をしっかり聞かずに自分の思うがままに行動する。裕福な暮らしではなかったが、質屋で買った宝くじ券が当選して620万ドルを手に入れる。

メインキャラクター

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