グランド・ブダペスト・ホテル(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『グランド・ブダペスト・ホテル』は、ウェス・アンダーソン監督、レイフ・ファインズ主演で製作された。ズブロフカ共和国にあるグランド・ブダペスト・ホテルが物語の舞台である。コンシェルジのグスタヴと部下のムスタファを主人公に、常連客をめぐる殺人事件と遺産争いに巻き込まれた二人が、ホテルの威信のためにヨーロッパ中を駆け巡り事件解明に奔走する。本作は1930年代、1960年代、1985年、現在と4つの時間軸で展開されていく。

『グランド・ブダペスト・ホテル』の概要

『グランド・ブダペスト・ホテル』とは、ドイツ・イギリス合作の映画で、ジャンルはコメディドラマとなっている。高級ホテルの伝説的コンシェルジュであるグスタヴとベルボーイのムスタファが主人公の物語で、二人の交友を描いた作品である。監督・脚本はウェス・アンダーソン、主演はレイフ・ファインズが務めている。ヨーロッパの東の端にある架空の国ズブロフカ共和国が物語りの舞台である。1930年代、1960年代、1985年、現在と4つの時間軸で展開されていく。本作品は、アンダーソン監督が脚本を書くに当たって影響を受けた「シュテファン・ツヴァイクの著作」に献辞が捧げられている。第64回ベルリン国際映画祭審査員グランプリや、第87回アカデミー賞の4部門などを受賞し、ゴールデングローブ賞の映画部門作品賞も受賞した。
今作の主要撮影はベルリン、ドイツ・チェコ・ポーランド国境沿いのゲルリッツで2013年1月に開始され、同年3月に終了した。2014年3月7日に北米市場で公開され、第64回ベルリン国際映画祭のオープニング作品として上映された。2014年2月28日にフランスで公開された。日本では2014年6月6日に全国100スクリーンで公開が開始されている。

『グランド・ブダペスト・ホテル』のあらすじ・ストーリー

物語の始まり

作家の像の前にやってきた女性。手にはグランド・ブダペスト・ホテルの小説が握られている。

ある一人の女性が、作家の像の前で「グランド・ブダペスト・ホテル」という小説を読んでいた。この小説は、1968年当時作家が格調高き高級ホテルだったズブロフカ共和国にあるグランド・ブダペスト・ホテルに滞在している際、そこで出会った老紳士から聞いた話が元となっていた。「グランド・ブダペスト・ホテル」を書いた作家は当時のことを語り出す。

晩年の作家がグランド・ブダペスト・ホテルを書くきっかけになった話を始める。

若かりし日(1960年代)の作家が訪れたグランド・ブダペスト・ホテルは閑散期が終わり、客はまばらだった。そのホテルで作家が出会った老紳士ムスタファは、このホテルのオーナーであった。ムスタファは作家の作品の大ファンだと彼に声をかけ交流をしていく。ある日、ムスタファは作家に「少し話を聞いてほしい」と食事に誘う。食事の席でムスタファは「このホテルは自分が買ったわけではない。かつてこのホテルでロビーボーイとして働いていたけだ。」と昔話を始めた。

1930年代

グランド・ブダペスト・ホテル全景

格調高き高級ホテル、グランド・ブダペスト・ホテルは誰もが憧れる華やかなホテルとして営業していた。若かりし頃のムスタファは、グランド・ブタペスト・ホテルのロビーボーイとして勤務していた。
ムスタファの後の恋人となる、アガサと出会ったのもこの頃である。

マダム・Dを宥めるグスタヴ

ムスタファが雇われた当時のコンシェルジュは、その類稀なる手腕で名を馳せていたムッシュ・グスタヴという人物であった。グスタヴはムスタファにロビーボーイとしてのノウハウを教え、愛弟子として非常に可愛がっていた。グスタヴは行き届いたサービスに加え「裕福だが年老いており、不安を抱え、見栄っ張りで、軽薄で、金髪で、飢えている女性客」を満足させ、彼を目当てにホテルを訪れる客がいるほど、熱烈に支持されていた。その一人であるマダム・Dはあるとき、「グスタヴと二度と会えない気がする」と不安を口にする。そんな彼女を宥めすかし家路につかせたが、後日マダム・Dの不安は的中してしまう。

帰りたくないとグスタヴに訴えるマダム・D

1932年10月19日の朝、ムスタファが新聞を買いに行った際、一面の戦争の記事の下にマダム・Dの死亡記事を発見した。ムスタファは急いでグスタヴの元へ向かい、マダム・Dの訃報を知らせた。グスタヴは「側にいてあげないと」と急いで身支度を整え、ムスタファを連れてマダム・Dの自宅ルッツ城に最期の挨拶をしに行くことを決めた。
列車でルッツ城へ向かう二人だったが、その途中、検問があり移民としての旅券しか持たないムスタファは拘束されそうになる。しかし、検問を担当していたヘンケルスがグスタヴの知り合いだったため、臨時通行証を発行してもらい検問を通過することができた。

ルッツ城

マダム・Dに最期の挨拶をするグスタヴを見守るムスタファ

ルッツ城に到着したグスタヴは、マダム・Dの棺の前で彼女の死を悲しんだ。マダム・Dへの挨拶を済ませると別室へ通された。そこには叔父や甥っ子、ほとんど付き合いもないような姻族達がマダム・Dの遺産を目当てに集まっていた。
遺言執行人の弁護士コヴァックスは、「基本的な遺言に加え、追加や補足が600通以上に及ぶ。基本的に長男ドミトリーや、姉妹が相続することになるが、その他の形見分けなどもあり、遺言の執行には時間がかかる。」と説明した。
最新の遺言はマダム・Dの死の間際に書かれており、「ホイトル作の名画『少年と林檎』をグスタヴに遺贈する」とあった。血の繋がりのないグスタヴに唯一の個人蔵のホイトルの絵を譲渡する事にマダム・Dの一族は納得せず、ドミトリーはグスタヴが母と肉体関係があったことを罵倒して殴った。
その様子を見ていたムスタファはドミトリーを殴り反撃するが、ムスタファもドミトリーの傍らにいた私立探偵を名乗る男ジョプリングに殴り倒された。

ドミトリーと遺産を巡って対峙するグスタヴ

グスタヴは「この絵はマダムの所有する美術品の中で唯一価値があるもの」と言い、少年と林檎の絵画をエゴン・シーレ風の絵画とすり替え、持ち帰ることを決意する。そこでマダム・Dの執事セルジュに絵を梱包してもらい、絵と共に無事ルッツ城を出発した。セルジュは絵を梱包する際、絵の裏に極秘と書かれた封筒を忍ばせた。
グスタヴとムスタファは夜行列車でホテルへと向かっていた。就寝しようとしていた二人だったが、グスタヴが「遺族らが乗り込んできて奪い返される前に、絵は売ろう」と言い出した。また「戦争が始まればホテルは兵舎にされ、働くことができなくなる。絵を売った金で国外へ行き、働けるようになったら戻ろう」と言い、ムスタファに協力の見返りとして、わずかな手数料と自分の死後、財産の全てを遺贈するという契約書を作成した。

第19犯罪者拘留所

ホテルにグスタヴを訪ねてきた警察と対面

ホテルに戻ったグスタヴは、持ち帰った絵を金庫に隠した。そこへグスタヴを訪ねて警察が来ているという知らせを受ける。絵のことで警察が訪ねて来ていると思ったグスタヴは、シラを切るようにムスタファと口裏を合わせ警察の元へ向かった。しかし、グスタヴにかけられた容疑はマダム・Dの殺害だったのだ。グスタヴはマダム・Dの殺害容疑で逮捕され、第19犯罪者拘留所に収容されてしまう。

マダム・D殺害の容疑で刑務所に収容されたグスタヴ

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