鉄鍋のジャン!(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『鉄鍋のジャン!』とは西条真二原作、おやまけいこ監修の料理漫画で、『週刊少年チャンピオン』にて1995年から2000年まで連載されていた。本作は「料理は勝負」をポリシーに掲げる少年、秋山醤が様々な料理人と対決し、打ち破っていく様子を描いた料理漫画の王道ストーリーを描いている。一方で、主人公が文字通り手段を択ばず勝利を追求するというヒールのようなキャラクターであることや、外連味の強い料理の数々が登場することから、ある種のピカレスクロマン的な雰囲気を持った作品でもある。

百蘭王(中央左)は後継者に黄蘭青を指名したが、それに納得する者はいなかった。

アジアの料理界を支配する百蘭王とその後継者である一族。陸姓の人間が多いが、黄蘭青のように例外の人間もいる。陸一族の人間は全員百蘭王の後継者候補とされ、幼少期から行われる過酷な修行によって選別されていく。現在の後継者は黄蘭青だがそれに不満を持つものは多く、第2回全日本中華料理人選手権では後継者の座を巡って蘭青とその他の後継者で争っていた。

裏食医

伍行(左)の料理を食べたマフィア(右)は自らの意思とは無関係に料理を食べ続けるようになってしまった。

伍行壊の二つ名。作中でその意味は語られなかったが、ジャンに問われた楊は「食によって病を治し、寿命を延ばす」のが食医であるのに対して、その逆である裏食医は「食によって命を縮める暗殺者」のような仕事のことではないかと推測した。

『鉄鍋のジャン!』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

秋山醤「ま…負け犬がーーーーっ!!!」

屋敷ごと自分を焼いて絶命した階一郎にジャンが叫んだセリフ。
ジャンは山奥で階一郎と2人で暮らし、料理修行の日々を送っていた。しかしある日、階一郎は末期がんの症状から自分が塩味を感じなくなっていることに気付く。料理人としての終わりを感じた彼は、旧友の五番町睦十に「まだ闘争心があるならならジャンを雇って戦って見せろ」と言い残し、焼身自殺を果たす。燃え盛る家を前にしてジャンは「ま…負け犬がーーーーっ!!!」と涙ながらに叫んだ。唯一の肉親の死すらも、勝負として向き合う彼の過酷な生き方が現れたセリフである。
ジャンがこれまで過酷な修行を行ってきたことや、天涯孤独の身になったことなど、彼が「料理は勝負」に拘るルーツを描いた場面でもある。

秋山醤「お前の料理なんか誰も食わねーよザマーミロ!」

ジャン(右)の策略によって孝太(左)の料理は台無しになってしまった。

第1回全日本中華料理選手権の3回戦で、ジャンが対戦相手の大前孝太に言い放ったセリフが、「お前の料理なんか誰も食わねーよザマーミロ!」である。
孝太は香港の最新トレンドを取り入れた料理を作ったが、その料理には冷めると不味くなり味の持続性がないという欠点があった。
ジャンは孝太よりも先にしかも彼の料理とは相性の悪い料理を提供することで、審査員たちに食べる気を無くさせるという戦略をとり、勝利した。
一般的に料理漫画における対決ではどちらがより美味い料理を作るか、が勝負の大原則となっている中で作品の主人公がそれをぶち壊す戦略を取ったという本作を象徴するような展開であり、ジャンの手段を選ばない性格が表れたセリフである。

伍行の作った太極鍋の秘密が明かされるシーン

ジャンと伍行壊の五番勝負の最終戦。退場した審査員に代わって入った荒俣雷蝶は伍行を勝たせるために彼をほめちぎるが、伍行の作った太極鍋には秘密があった。
鍋には2種類の肉が使われており、1つは会場に用意されていた食材だが、もう1つは荒俣雷蝶の飼い犬をひそかに殺して解体したものだったのだ。
伍行が本気の「裏五行」を見せ、ジャンに勝るとも劣らない手段のえげつなさを見せた印象的な場面。

大谷日堂「ワシは大谷日堂やど!天下第一の「神の舌」を持つ男やど!料理人が好きだの嫌いだので点が変わる男やないで!見損なうなボケ────ッッ!!!」

第2回全日本中華料理人選手権の準決勝にて大谷が叫んだセリフ。
準決勝のテーマは「鮫料理」。冷凍庫の中で長時間作業をし、文字通り命がけで作ったジャンの料理は審査員たちにも好評で大谷も内心「今までこんな料理は見たことがない!」と絶賛するが、これまでのジャンとの因縁や自らのプライドの高さゆえに、点を投じることができないでいた。
そんな大谷を見かねたケペルは「神の舌は裏切るな」と耳打ちをする。大谷は逡巡するが、初めてジャンに対して10点満点中の9点という高得点を投じ、驚く周囲に対して「ワシは大谷日堂やど!天下第一の「神の舌」を持つ男やど!料理人が好きだの嫌いだので点が変わる男やないで!見損なうなボケ────ッッ!!!」と「神の舌」としての矜持を叫ぶのだった。
ジャンと長い間宿敵のような関係であった大谷が、曲がりなりにも彼のことを認め、「人間としては下種だが舌にだけは嘘をつかない」という大谷日堂のキャラクター像が確立した場面でもある。

『鉄鍋のジャン!』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

大谷が鼻の舌を伸ばすほどの完璧な女装するジャンと小此木

ジャン(右)と小此木(左)はプレゼントを持った女性に返送して大谷に近づいた。

ホテル「ミラージュ」のオープン記念パーティーに潜り込むために女装したジャンと小此木。大谷は2人の女装に全く気が付かず、鼻の下を伸ばしていた。

ブーム以前に「食べるラー油」が作中に登場

ジャン(右上)の作った飲めるラー油は大谷(左下)や顔王(左)も知らない全く新しい調味料だった。

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