アツシ(最終兵器彼女)とは【徹底解説・考察まとめ】

アツシとは漫画『最終兵器彼女』に登場する人物である。主人公のシュウジの友人で、突然始まった戦争の空襲に巻き込まれて難聴になる。その後想いを寄せていたクラスメイトのアケミに告白した。だが彼女はシュウジに密かな想いを寄せており、それが理由で断られてしまう。それでも恋心を捨てず、アケミがシュウジを好きな事を承知の上で彼女と付き合い肉体関係を持った。そしてアケミを守る為に自衛隊に志願し戦場へ派遣される。敵と死闘を繰り広げる最中、最終兵器に改造されたクラスメイトのちせにより、塵となって最期を迎えた。

アツシ(最終兵器彼女)の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「できれば、彼氏として!」

シュウジに己の決意を語るアツシ

巨大地震がシュウジの学校を襲い、誤作動を起こしたちせは暴走して校舎を破壊してしまう。シュウジはそんな彼女に恐怖を抱いてしまった。その後、シュウジはちせに何も出来ない自分への不甲斐なさと、恐怖を抱いてしまった自分への自己嫌悪から苛立ちを抑えられなくなる。そして彼を心配して怒っていたアケミに張り手をされ、咄嗟に彼女を叩き返してしまう。その場に居辛くなったシュウジは学校を飛び出し、当ても無く彷徨い始めた。シュウジがアケミを叩いた事に憤ったアツシは彼を追いかけ、そのまま咄嗟に殴ってしまう。殴るつもりは無かったアツシはすぐにシュウジに謝罪し、2人は腰を下ろして話をする。

アツシはシュウジに、アケミに告白する事を打ち明けた。「できれば、彼氏として!」アケミと付き合う事で、アツシは崩壊していく世界で生きる活力を得ようとしていたのである。更にアツシは自衛隊に入隊する事を話し、シュウジは内心戸惑いつつもアツシの背中を後押しするのであった。この後、アツシはアケミに告白する。

アツシのアケミへの想いと、崩壊していく日常の中で抗おうとする彼の意思を表した名言である。

「オレ、アケミん所行ってくる!!」

シュウジにアケミの元へ行く事を告げるアツシ

一度はアケミの告白して振られたアツシであったが、後になって彼女から告白を受け入れられる。その事をシュウジに報告した直後、戦闘機が近くの山に墜落した。居ても立っても居られなくなった彼は「オレ、アケミん所行ってくる!!」とシュウジに告げると、アケミの元へ駆けて行った。アツシのアケミへの想いがわかる一言である。

仲間の戦死を察するシーン

仲間の戦死を察するアツシ

自衛隊になったアツシは戦場へ派遣される。戦争で疲弊した自衛隊の指揮系統は崩壊寸前であり、非番の部隊員達は無人の街でパチンコを打ちに行くなどして遊び始める。そんな緩い雰囲気の中、アツシは遠くで何かを叩くような音を聞く。気になった彼は先輩の自衛隊に何の音か尋ねると「タイコの音だよ」と笑いながら答えた。その後、アツシは仲間の戦死を知る。そして彼はあの「タイコの音」は射撃音であり、あの時仲間が戦死していた事実を察した。先輩は新兵のアツシを不安にさせない様にと、あえて銃声を「タイコ」と表現したのであった。戦場の殺伐さと、死が隣にある日常の恐怖をよく表現している名シーン。

アツシ(最終兵器彼女)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

アツシの患った『騒音性難聴』

人の耳の構造

アツシは戦闘機による爆発音により、難聴になっている。これは現実でも似たような障害が存在する。それは「騒音性難聴」という障害である。主に工事現場等の、日常的に大きな音に晒される人に多い障害である。

人の耳は外耳、中耳、内耳の順で外部からの音を聞く。内耳には蝸牛と呼ばれるリンパ液に満たされた器官が存在し、そこで音は液体の振動へと置換される。また蝸牛には「有毛細胞」と呼ばれる髪の毛のような突起物の生えた神経細胞があり、蝸牛へ変換された液体の振動によって曲がったり、揺れたりする。これにより、液体の振動を物理的に知覚して電気信号へと変換。脳へ音を電気信号に変換して情報伝達をする。こうして音は脳で認識されるメカニズムとなっている。

騒音性難聴とはこの有毛細胞に障害が発生した状態である。原因としては、大きな音によって髪の毛状の器官が激しく動いて損傷する事が挙げられる。障害を受けた有毛細胞は二度と再生しない為、騒音性難聴での難聴は二度と治らない。作中では1度の騒音で難聴となっていたが、現実の日本では長期間に渡り、持続して85db以上の音に約8時間程度晒され続けると障害発生リスクが高まるといわれている。また、障害の発生には個人差があり、同じ環境にいる全員が騒音性難聴になるわけでは無い。

最近では、イヤホンやヘッドホンで長時間且つ大音量で音を聞く機会が多くなり「騒音性難聴」を患う若者が増えている。

アツシが派遣された仙台

仙台市にある伊達正宗騎馬像

アツシは自衛隊に入隊し、仙台の街へ派遣された。仙台は宮城県の県庁所在地である。東北地方に位置し、青函トンネルによって陸路で北海道からのアクセスが可能である。政令指定都市に指定されており、人口は約109万人を超えている。その歴史はかなり古く、縄文時代から人が住んでいた形跡が見られる。戦国時代には「独眼竜」こと伊達正宗が統治しており、江戸時代には彼の尽力で「仙台筆」や「鉄の灯篭」等様々な伝統工芸品が生まれている。

仙台は東北地方の中心都市として、多くの人口を擁し発展している。2011年には東日本大震災により、大打撃を受けた。その際には多くの自衛隊員やボランティアの尽力もあり、復興を遂げている。だが、一方で災害の爪痕は大きく、被害を忘れない為の体験施設や語り部の方々が、後世へ記録を残す活動をしている。

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