HEARTSTOPPER ハートストッパー(ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『HEARTSTOPPER ハートストッパー』とはイギリスのラブロマンスドラマである。原作はアリス・オズマンによるウェブコミックで2022年にNetflixで配信が開始された。LGBTQ+をテーマにしており、様々なセクシュアリティのキャラクターが登場。それぞれの悩みを抱えた彼らの日常を描いている。高校生のチャーリーことチャールズ・スプリングは、ある日ニックと呼ばれるラグビー部の人気者ニコラス・ネルソンと出会い、かけがえのない友人になる。次第に友情は恋心へと変化してしていくのだった。

『HEARTSTOPPER ハートストッパー』の概要

『HEARTSTOPPER ハートストッパー』とはイギリスのラブロマンスドラマである。原作はアリス・オズマンの同名のウェブコミック・グラフィックノベルだ。
ユーロス・リン監督により実写ドラマ化され、2022年にNetflixから配信された。
ベテラン女優のオリヴィア・コールマンや子役から活躍しているキット・コナーが出演する中、生徒役の多くは本作がデビューのフレッシュなキャストとなっている。
主人公でゲイのチャーリーことチャールズ・スプリングと、ニックと呼ばれるラグビー部の人気者ニコラス・ネルソンを中心に、様々なセクシュアリティのキャラクターが登場する。ピュアで可愛らしい恋物語が描かれている一方、セクシュアルの揺らぎや偏見・差別・無理解などLGBTQ+における若者の悩みもテーマにしている。
配信されてからすぐに、LGBTコミュニティレプリゼンテーション(メディアにおけるセクシュアルマイノリティの描写)やトーンやテンポ、楽曲が好意的に評価され話題となる。それにより配信わずか2日でNetflix英語シリーズでトップ10入りした。見つめ合う時や恋する瞬間などに原作漫画の絵を基にしたアニメーション効果や使用され、映像のトーンも明るく全体的に可愛らしい雰囲気を演出している。
高校生のチャーリーは、前の年にゲイであることをアウティングされ、いじめに合っていた。そんな中、新年度に隣の席になったニックと出逢い二人は自分の気持ちと葛藤しながらも次第に惹かれ合ってゆく。

『HEARTSTOPPER ハートストッパー』のあらすじ・ストーリー

チャーリーとニックの運命の出会い

教室に入るニック(左)とチャーリー(右)。

イギリスの男子校に通うひ弱な少年・チャールズ・スプリング(チャーリー)はゲイをカミングアウトして以来、いじめにあっていた。一学年上のベン・ホープとは、他の生徒の目を盗んで空き教室でこっそりキスだけする仲だった。ゲイである自分を隠す、彼氏と呼べないような存在であるベンにチャーリーはうんざりしていた。
そんな時、新学期のクラス替えで一学年上のラグビー部であるニコラス・ネルソン(ニック)と隣の席になった。チャーリーは爽やかな少年・ニックを見て一目で恋に落ちた。ニックと自然と仲良くなっていく一方で、チャーリーは自分と彼との違いに気がつく。ラグビー部に所属し、学校の人気者であるニックの周りには、人が大勢集まっていた。その一方でチャーリーの友達は、最近女子校に転校したトランスジェンダーのエル・アラザンを含め、正義感の強いタオ・シューと物静かなアイザック・ヘンダーソンのオタク系の親友3人だけだった。
ある日、チャーリーは自分を大事にしてくれないベンにガールフレンドがいたことを知る。それが原因で彼と揉み合いになったが、それを止めに入ったニックのお陰でベンとの縁を切ることができた。それがきっかけでメール交換するようになり、二人の仲はぐっと縮まっていった。チャーリーはニックに誘われラグビー部にも入部する。だんだんニックに夢中になっていくチャーリーにタオやアイザック、学校で唯一のゲイ仲間である美術教師のアジャイ先生も「ノーマルはやめとけ」と心配し、忠告する。しかし、ニックもまた、チャーリーとの居心地の良さに戸惑いながらも幸せを感じていた。

自分のセクシュアルに悩むニック

パーティーで踊るタラとダーシーを微笑ましく見つめるニック。

チャーリーのことが気になって仕方がないニックは、パソコンで自分のセクシュアルについて調べてみる。診断によるとニックが同性愛者である可能性は62%だった。その結果になぜだかニックの目からは涙が溢れた。
その頃、チャーリーを心配するタオは、ニックがヒッグスに通うタラ・ジョーンズが好きなんだという噂を耳にする。実際はただ一度だけキスをしただけの仲だった。タラと同じクラスのエルもタラが同性愛者であることを本人から知らされた。
ある日、ニックは同じラグビー部で意地の悪い金持ちのハリー・グリーニーの誕生日パーティーに行かなくてはいけなくなり、そこにチャーリーを誘った。ニックはそこで初恋でファーストキスの相手・タラと再会する。ニックはタラにレズビアンであり、彼女もいることを打ち明けられた。パーティで踊るタラと彼女のダーシー・オルセンが幸せそうにキスをしてる姿を見て、ニックはなんだか心が軽くなった気がした。チャーリーに会いたくなったニックはチャーリーを探そうとするが、そこで昔からの友達であるヒッグス生のイモージェン・ヒーニー告白された。戸惑うニックは何も答えることができず、再びチャーリーを探し出した。
そして、パーティの最中空室に二人きりになったチャーリーはニックに「キスしてくれる?」と言った。ニックはまだ心の中で葛藤していた戸惑いながらも、チャーリーにキスをした。ニックはまだセクシュアルが曖昧な自分に整理をつけられないままチャーリーを好きな気持ちは認め、二人は秘密で付き合うことになった。
ニックは後日イモージェンを呼び出し、彼女の気持ちに応えられないことを正直に伝えた。イモージェンもまた、ニックの誠実な態度にそれを快く受け入れた。

本当の想い

海岸デートで堂々とチャーリー(右)を抱き抱えるニック(左)

ずっとセクシュアルに悩んでいたニックはタラに恋していた自分も認め、自分はゲイではなく「バイセクシュアル」だという結論に至った。
その頃、トゥルハムとヒッグス校との合同演奏会が行われることになり、タラと再び交流することができたニックは自分とチャーリーの関係をタラに打ち明ける。そして演奏会前に、チャーリーとニック、タラとダーシーでミルクシェイクを飲みに行くことになった。エルがタオのことを好きだと知っているタラとダーシーは2人をくっつけようと、さりげなく2人を誘いトリプルデートとしてその日は集まった。その日にエルはチャーリーからニックとの関係を打ち明けられ、親友の中で知らないのはタオだけになってしまった。
ニックとチャーリーは、初めての二人きりのデートで偶然ラグビー部のメンバーと遭遇する。ラグビー部のメンバーはハリーを中心にチャーリーのことを差別し、馬鹿にしていた。ニックはチャーリーに「ホモ野郎」と暴言を吐いたハリーに我慢ができず、殴りかかる。ニックは長年友達だったみんなが性格悪いことに嫌気がさし、縁を切ることにした。一方、タオもチャーリから仲間内にニックとの関係を最後に知らされたことが原因で、チャーリーに心を閉ざす。チャーリーとニックが付き合うことによって周りの人物が傷ついていることに気がついたチャーリーは、自分たちの関係に自信が持てなくなっていた。
様々な想いを抱えながら、トゥルハム校とヒックス校との合同スポーツデイを迎える。
チャーリーはずっと絡んできた元カレ・ベンにはっきり意見を言って結別し、タオに素直に謝ることでタオとの友情も取り戻した。タオとエルはお互いの恋心を自覚し始めた。
ずっとチャーリーに避けられていたニックは、試合を抜け出しチャーリーに別れたくないと気持ちをぶつける。チャーリーはニックを受け入れ、二人は晴れて本当に同じ気持ちになった。
2人は海岸でデートし、ニックは帰宅後母のサラ・ネルソンに自分のセクシュアルと、チャーリーのことを打ち明けた。サラはそんな息子の全てを受け入れた。

『HEARTSTOPPER ハートストッパー』の登場人物・キャラクター

トゥルハム校

チャールズ・スプリング/チャーリー(演:ジョー・ロック)

日本語吹替:峯田 大夢
本作の主人公。控えめな性格で心優しく、ゲイである自分を受け入れている。しかし、前年に本人の意思とは関係なくゲイであることをアウティングされた。密かにキスをする相手・ベンとの関係に傷ついていた時、隣の席になったニックに一目で恋に落ちる。足が速いという理由でニックにラグビー部に誘われ入部する。自分の存在が周りをイラつかせていると思い込んでいる節があり、人を急かすこともない。ニックと付き合うことになってからも秘密にすることを守り、いじめられても耐えていた。しかし自分たちが付き合っていることで周りの関係が変わってく様をみて自信がなくなったチャーリーは、一時ニックから距離を置いた。その後迎えたスポーツデイでニックに「別れたくない」と一生懸命に自分を想う気持ちを打ち明けられ、二人は関係を深めることができた。

ニコラス・ネルソン/ニック(演:キット・コナー)

ニック(左)

日本語吹替:岩中 睦譲
ラグビー部で11年生。チャーリーと出会い、心を通わせていくことで次第にチャーリーに惹かれてゆく。
初めて男子相手に恋したニックは自分のセクシュアルについて悩み続けた。ニックは13歳の頃はタラとキスをしていたこともあり、結果的に自分がバイセクシュアルだということに気が付く。正義感が強く、ラグビー部の仲間達が長年の付き合いだったのにも関わらず、チャーリーやタオに絡んではいじめている姿に見切りをつけた。
チャーリーと両思いになってもニックは自分のセクシュアルを認める心の準備ができず、二人の関係は秘密になった。秘密にすることでチャーリーが傷つき、離れていくことにショックを受けたニックは自分の気持ちに正直に向き合った。スポーツデイの日、意を決したニックはチャーリーに想いを全て打ち明ける。二人で海へデートした暁には少しずつだがカミングアウトする決意をし、帰宅後早速母親に打ち明けた。

タオ・シュー(演:ウィリアム・ガオ)

日本語吹替:清水 優穣
チャーリーの親友の一人の10年生。
人一番友達思いで、ゲイでいじめられた経験のあるチャーリーや、トランジェスターのエルのことを常に気にかけている。
映画が大好きで、アイザックを含めて親友4人で「映画ナイト」をするのが楽しみ。
チャーリーがラグビー部で学年のカースト上位にいるニックと仲良くなり、チャーリーが傷つかないかと心配になる。自分自身、オタクだからといってラグビー部のハリーにいつも揶揄われ、絡まれていた。タオは力はないが気が強く、口でいつもハリーを言い負かす。しかし、本当に仲間を馬鹿にされキレた時はハリーに殴りかかり派手な喧嘩になった。
常に親友のエルとは一緒で、変わらない友情な中で少しずつ恋心を芽生えさせてゆく。

アイザック・ヘンダーソン(演:トビー・ドナヴァン)

masaki12253
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@masaki12253

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