HEARTSTOPPER ハートストッパー(ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『HEARTSTOPPER ハートストッパー』とはイギリスのラブロマンスドラマである。原作はアリス・オズマンによるウェブコミックで2022年にNetflixで配信が開始された。LGBTQ+をテーマにしており、様々なセクシュアリティのキャラクターが登場。それぞれの悩みを抱えた彼らの日常を描いている。高校生のチャーリーことチャールズ・スプリングは、ある日ニックと呼ばれるラグビー部の人気者ニコラス・ネルソンと出会い、かけがえのない友人になる。次第に友情は恋心へと変化してしていくのだった。

最終話で蝶に成長していた教室のアート。

本作は季節にこだわった演出がところどころに散りばめられている。
ストーリーはチャーリーとニックが冬の「出会い」から始まり、春に「恋に落ちる」、そして夏に「恋が芽生える」と進む。
ドラマの手書き風のエフェクトで季節を強調しており、トゥルハム校の制服のエンブレムも季節ごとに変わっている。二人の教室の窓のアートも季節ごとに変わっている。
美術室の壁に飾られている芋虫のアートは物語が進むにつれて蝶に変わってゆく。蝶は「トランジェスターコミニティ」の象徴である。これらのサインが作品の随所に散りばめられている。

最終話に原作者が登場

デート中のチャーリー(左)とニック(右)。そしてアリス・オズマン(右)

最終話でチャーリーとニックが海へ行く時の電車のシーン。さりげなく2人と同じ並びに原作者のアリス・オズマンが登場している。

様々なカラーによる演出

ニック(左)とチャーリー(右)。

本作のほとんどのシーンで、2人の背景や服、小物類に「水色と黄色」が使われている。主にニックが水色でチャーリーが黄色である。そのほかにもトランジェスターのエルはトランジェスターを表すテーマカラー、「ピンクと水色」の衣装を着ることが多い。その他、作品全体的にLGBTQ+を象徴する「レインボー」があちらこちらに使われている。

毎回違う楽曲を採用

本作はエピソードごとに違うエンディングと挿入歌が採用されている。
どれもその時のキャラクター達の心情が歌詞にシンクロしており、さらにストーリを盛り上げている。
例えばエピソード1のシーンのラストの場面の場合。徐々にニックと仲良くなってゆくチャーリーだが、勝手な元彼・ベンの振る舞いに傷ついていた。チャーリーが別れを告げると、ベンは無理やりチャーリーにキスしようとする。そこにニックが割って入りチャーリーは助かった。帰宅後、チャーリーは思い切って「ありがとう」のメールをニックに送った。英文は「Thank You X」、最後の「X」は英語圏では「キス」の意味がある。チャーリーは「X」マークにニックへの恋心を込めていた。ここから2人の恋が始まっていく。そんなエピソード1のラストに流れるエンディングテーマが「Don't Delete Kisses」である。この楽曲に恋したいけど、臆病な主人公がメッセージの最後に「キス(X)」をつけては消しているという内容の歌詞がある。そんな場面がチャーリーの心情とシンクロしている。

『HEARTSTOPPER ハートストッパー』の主題歌・挿入歌

ED(エンディング):Wolf Alice「Don't Delete the Kisses」(エピソード1)

ED(エンディング):オーラ ガートランド「Why Am I Like This?」(エピソード2)

ED(エンディング):マギー・ロジャース「Alaska(Toby Green Remix)」(エピソード3)

ED(エンディング):Flor「heart」(エピソード4)

ED(エンディング):Chloe Moriondo「I Want To Be With You」(エピソード5)

ED(エンディング):Sir Babygirl「Flirting with Her」(エピソード6)

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@masaki12253

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