INFAMOUS ~悪名高き男~(インファマス)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『INFAMOUS ~悪名高き男~』とは、ソニー・コンピュータエンタテインメントにより2009年に発売されたPlayStation 3専用のサードパーソンアクションゲーム。
荒廃した街を舞台に、電気を操る能力を持った主人公「コール・マグラス」が派手な戦闘を繰り広げるゲームで、プレイヤーの選択によるストーリーの分岐とオープンワールドのマップが生み出す、高い自由度が特徴的。主人公が善人か悪人かで扱う特殊能力が異なり、ミッションも変化する。

『INFAMOUS ~悪名高き男~』の概要

『INFAMOUS〜悪名高き男〜(インファマス)』とは、2009年11月5日にソニー・コンピュータエンタテインメントよりリリースされたPlayStation3専用ゲームソフトである。ジャンルはサードパーソンアクションゲーム。操作するキャラクターを追う第三者視点のサードパーソンシューティングゲーム、いわゆるTPSと同じ操作方法で、そこにビルによじ登ったり敵を格闘攻撃で倒したりなどのアクション要素が加わっている。また、シリーズ作品として、2011年リリースの『inFAMOUS 2』(PlayStation 3専用)や、2014年リリースの『inFAMOUS Second Son』などがある。

ある日、主人公「コール」が1つの荷物を運んでいると、その荷物が街の真ん中で大爆発を起こしてしまう。その爆発事故の影響で、電気を自在に操る能力を手に入れた主人公は、同じく事故の影響で荒れ果ててしまい凶悪な犯罪が溢れかえっている街で、事故の真相と自身が手にした能力について調査を始める。彼は手にした能力で犯罪組織の武装勢力を排除しつつ、善行を重ねて民衆の人気者になるのか、悪行を重ねて民衆を恐怖で支配するのか、という選択を幾度となく迫られる。人間味溢れる彼の葛藤がメインの題材となっているこの作品は、善悪の行動によってストーリーや彼の使用できるスキルにも違いがでてくる。また、物語の終盤には未来との繋がりが明らかになり、彼の戦いは続編である『inFAMOUS 2』へと続いていく。

この作品の特徴は大きく分けて2つ、多彩なアクションと善悪の選択である。前述したように、この作品の主人公は電気を自在に操る能力を持っている。そして、その能力を駆使して街中を飛び回り数多の敵を倒していく。彼の華麗で派手なアクションに魅了されたプレイヤーは少なくない。そして、主人公は様々な場面で善悪どちらの行動を取るかという判断を迫られ、善行を重ねていると、民衆から応援され、青い電気を身に纏う。悪行を重ねていると、民衆から非難され、赤い電気を身に纏う。プレイヤーの選択次第で、ストーリーの展開や周りの反応、彼の能力までもが変化するのだ。超能力を持った主人公が電気を操って犯罪組織に立ち向かうという、一般生活とはかけ離れている設定のゲームでありながら、彼が善悪の判断に葛藤するという人間らしさを加えることで、多くのプレイヤーにとって親しみ易い作品となっている。

『INFAMOUS ~悪名高き男~』のあらすじ・ストーリー

プロローグ

電気を操る能力に気づく主人公「コール」

主人公のコール・マグラスは運び屋(メッセンジャー)としてエンパイア・シティで暮らしていた。ある日、彼の運んでいた荷物が街の真ん中で大爆発を起こし、多くの人々が犠牲になるという事件が起こった。しかし、爆発の瞬間にその荷物を持っていた、つまり爆心地にいたはずのコールは、どういうわけか一命を取り止めた。またこの事故の影響で電気を自在に操るという超能力まで手に入れていた。

この事件の後、街には疫病と犯罪が蔓延し、手に負えなくなった政府はエンパイア・シティの隔離を決定する。これにより、多くの善良な市民までもが退廃した街に取り残されてしまった。また、大爆発が起こる直前に、その中心地で荷物を運ぶコールの映像が流されたことで、彼をこの事件の首謀者でテロリストだと考える市民たちが急増する。そしてコールの恋人であるトリッシュさえも、疑いの目を向けて彼の元を去ってしまう。この状態を見かねた彼の親友ジークの提案により、二人は協力して街の外へ逃げる計画を立てる。しかし、軍の厳しい警備のなか街の外に繋がる橋を渡りきることはできなかった。かろうじて近くのコンテナに逃げ隠れることができたコールは、そこでFBI捜査官であるという女性モイヤと出会う。そこで彼女はコールに協力するよう持ちかけてくる。

それは、FBIエージェントでメンタリストという犯罪組織に潜入捜査をしている最中に失踪した夫、ジョンを探してもらいたいというものだった。メンタリストとは、超能力を研究している秘密結社で、あの大爆発した荷物は彼らの開発した装置であり、レイ・スフィアと呼ばれるものだった。ジョンはその研究を調査するため、この組織に潜入していたが連絡が取れなくなってしまったという。また、夫を見つけてくれたらこの街からの脱出に協力するという彼女の提案を聞いたコールは、ジョンを見つけてエンパイア・シティから脱出する道を選ぶ。

ネオン街編

ネオン街で犯罪を繰り返すリーパーたち

隔離された後のネオン街は、赤いパーカーを被って武装した集団、リーパーたちに支配されていた。コールが彼らと戦いながら調べを進めていると、リーパーたちはタールのような液体を用いて操られている人々だと判明する。そして街中に設置されている装置を破壊して、タールのような液体を取り除いていくなかで、超能力で人々を操るサーシャという女性がいることがわかる。
すべての装置を破壊し終わった時、コールの前にケスラーという人物が現れる。メンタリストたちの最高指導者であり強力な超能力者である彼は、コールに未来を見せる。それは現在よりもさらに退廃した街で、獣のようなもの(ビースト)が暴れまわっているものだった。コールはその映像とケスラーの全てを見透かすような話ぶりから、自分にあの荷物を運ばせたのはケスラーであると悟る。

その後、ネオン街のリーパーたちを操っている超能力者サーシャがスラム街へ続くトンネルの中にいるという情報を得たコールは、すぐに彼女の元へ向かった。タールによる幻術に苦しみながらも、なんとか彼女を捕獲しようとするが、捕まえる直前で何者かが彼女を連れ去っていく。そして、次第に崩れ始めるトンネルに退路を断たれたコールは、スラム街へと進んでいく。

スラム街編

コールがやってきたスラム街は、リーパーたちではなくダストマンと呼ばれる武装集団が支配していた。またしても戦闘を繰り返しながら調査を進めることになったコールは、ダストマンたちのリーダーであり強力なサイコキネシスの使い手でもある超能力者オールデンの存在を知る。二人が彼のことを調べているとジークが捕らえられてしまう。どうやらオールデンはジークを餌にコールを誘き出して罠にはめようととしていたようだが、コールはそれらの罠を掻い潜ってジークの救出に成功する。その後、コールは警察官たちと協力して戦い、オールデンを逮捕するが、すぐにダストマンたちがオールデンの救出に現れる。またしてもコールはジークとともに警察官たちと手を組んで迎え撃つが、ジークの不注意からオールデンの脱獄を許してしまう。このことからジークは自分を責め、コールも彼の不注意を責めざるを得なかった。

そしてついにコールはジョンを発見するが、彼によるとモイヤは妻ではないらしい。騙されていたことに気づいたコールは続けてレイ・スフィアについてジョンに尋ねる。するとジョンは、レイ・スフィアのような強力なパワーを持つものを誰かに渡すわけにはいかないと言う。そして今は、オールデンが持っていて、彼の造り出した塔の最上部にあると。それを聞いたコールとジークは急いでその塔を目指す。ダストマンやオールデンとの戦いのなかで、ついにジークがレイ・スフィアを手にする。その時、そこにケスラーが現れる。オールデンは本来なら自分がメンタリストたちを率いるところが、指導者のポジションをケスラーに奪われた恨みから、彼を差し置いてレイ・スフィアを取り戻そうとする。レイ・スフィアを持ち、オールデンとケスラーの二人から狙われているジークに、コールがすぐに逃げるよう促すが、ジークは逃げようとせず、レイ・スフィアを起動して自身も超能力を手に入れようとする。しかし、うまく起動させられなかったジークに、ケスラーが「起動の方法が間違っている」と言い、2人は去ってしまう。

因縁の相手、ケスラーにレイ・スフィアを奪われてしまったオールデンはひどく取り乱して崩れていく塔から脱出し、怒りに我を忘れて橋を破壊しながら渡ってケスラーを追いかける。彼を野放しにしておくわけにはいかないと判断したコールは、彼らをおって歴史地区へと進んでいく。そこで、強力なサイコキネシスで暴走を続けているオールデンと戦うことになる。コールはなんとか彼を撃退し、海に落ちていくところを見届けた。その強力な超能力を考えれば、オールデンはまだ生きているだろうと確信していたが、ひとまずはケスラーたちを追いかけることにする。

歴史地区編

歴史地区はケスラーを指導者とする戦闘部隊メンタリストたちが占拠していた。ジークを救出しレイ・スフィアを取り戻した後の脱出経路として、コールが歴史地区から外の街にかかる跳ね橋を下ろしたところで、ケスラーから電話がかかってくる。彼はコールの恋人であるトリッシュを人質にとっており、街中に仕掛けている時限爆弾を解除しきれなかったら彼女を殺すと言う。それを聞いたコールはすぐに爆弾を解除するため街中を駆け回る。順調に解除できていたが、最後の爆弾が最大の試練だった。最後の爆弾の側には、恋人トリッシュと5人の医師たちが建物の屋上から別々に吊り下げられており、どちらかを助ければもう一方は命を失うという仕組みになっていた。ここでコールはどちらを助けるか選ぶことになる。(善悪の判断)

善の行動として、5人の医師たちを助ける選択をした場合、トリッシュが亡くなってしまう。また、悪の行動として、トリッシュを助けようとした場合、5人の医師たちはもちろん、トリッシュまでもが命を失う結果となる。

その後、責任を感じたジークから謝罪の電話がかかってくるがコールは応答しない。そして、ケスラーへの復讐を誓ったコールはメンタリストとの戦いを続けながら、ジョンと共にレイ・スフィアを探し、ついに発見する。ここでも物語の分岐があり、(善悪の判断)レイ・スフィアを破壊するか起動して更なる力を得るか選択する。

ケスラーとの最終決戦

超能力を用いて戦うケスラー

コールがついにケスラーを見つけて最後の戦いを始めることになったのは、最初に大爆発が起こった場所だった。そして、ケスラーが爆発の瞬間に側にいたことを思い出す。するとケスラーは「私は常に側にいたさ。お前の生涯を通してな」と口にすると、様々な超能力を用いた強力な攻撃を仕掛けてくる。なんとか応戦するコールは、戦いのなかでケスラーに頭を鷲掴みにされて地面に崩れ落ちてしまう。その時、「相棒から手を離せ」と言って、ケスラーに銃弾を打ち込むジークの姿を目にする。超能力者に敵うわけもなく、ジークはケスラーの超能力によって吹き飛ばされてしまった。その間にコールは体勢を立て直すことができ、2人の戦闘はさらに激しさを増していく。

死闘の末、全力の電撃をケスラーに浴びせたコールは勝利を確信したが、その瞬間に耳元でケスラーの声がする。「トリッシュ、愛している。私を許してくれ」と言って、最後の力を振り絞ったケスラーは、コールの頭に指をめり込ませて驚きの事実を伝える。

ケスラーはかつて、現在よりも強い超能力を持っていたが、すべてを破壊しようと暴れまわっていた獣のようなもの、ビーストに立ち向かおうとせず、家族を連れて逃げ回りながら暮らしていた。しかし、ビーストの手によって地獄と化していく世界を見かねた彼はついに戦う決意をするが、その時にはもう力は衰えていて手遅れとなってしまった。その後、ケスラーはこの過ちを正すため、最新の危険な力を利用して、二度と戻ることができないことを了承したうえで、過去へやってきたのだ。彼は歴史を変えてビーストを撃退するため、メンタリストの指導者となり、レイ・スフィアの開発を進めた。そして、大爆発を起こして街を隔離させ、コールを探し出したのだ。未来を変えるため、すべてを捨てる覚悟をしていたケスラーだったが、家族との絆だけは忘れることができなかった。花嫁はトリッシュで付き添い人はジーク、そして夫はコール。そう、ケスラーとは未来からやってきたコール自身だったのだ。彼は恋人であるトリッシュまでも犠牲にして、過去の自分に試練を与えることで、感情に支配されずビーストに立ち向かえる強い自分を育てようとしたのだ。

そして現在、最後の力を使ってこの事実を伝え終わったケスラーは静かに息絶えた。コールは倒れたケスラー、未来の自分を見下ろす。トリッシュを殺された恨みは消えないが、彼の最後のメッセージを受け取り、「その時が来れば、俺は迷わないだろう」とビーストと戦う決意をする。

この作品はここで終わり、コールがビーストと戦う場面は続編である『inFAMOUS 2』で描かれる。

エピローグ

本編クリア時の善悪で物語が分岐する。善のカルマなら、人々からの人気はあるが、コールが一人葛藤している。いつでもすぐに助けられるわけじゃない、誰を信じたらいいのかと。悪のカルマなら、超能力者がコールだけとなった街では彼を止められるものはなく、暴君として街を支配していた、となる。

『INFAMOUS ~悪名高き男~』の登場人物・キャラクター

主要登場人物

コール・マグラス(主人公)

この作品の主人公。エンパイア・シティで運び屋として働く男。あるとき運搬していた荷物が街中で大爆発を起こし多くの人々が犠牲になるという事故が起こる。実はそのとき運んでいた荷物は、犯罪組織メンタリストたちが開発したレイ・スフィアと呼ばれる装置であった。この事故の影響で電気を自在に操る能力と人間離れした身体能力を手に入れた彼は、親友であり同僚であるジークの協力を得ながら、事故の真相と自身の能力について調べ始める。しかし、コールが事故当時に爆発の原因となった荷物を運んでいる姿を捉えた映像が流出してしまったことで、彼は人々から疑いの目を向けられることになる。そしてついには恋人であるトリッシュまでもが彼に疑いの目を向けて、姿を見せなくなってしまう。この状況を打開するため、ひとまず街の外へ逃げることを勧めるジークとともに街の外を目指す。しかし、街は事故の影響で犯罪が急増しており、政府は手がつけられなくなった街を封鎖していたため、街の外へ続く橋には大勢の警備兵が配置されていた。二人は警備を突破して橋を渡ろうとするが、渡りきる寸前で捕らえられてしまう。その後、交渉を持ちかけてきたFBI捜査官を名乗る女性モイヤと手を組んだコールは、街の中で犯罪組織に立ち向かいながら、彼女の夫であるジョンを探すことになる。

ジーク・ダンパー

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