スクラッチメン・アプー（ONE PIECE）とは【徹底解説・考察まとめ】

弦楽器のよう変形した手首の弦を「ボン」と弾いく。その「ボン」という音を攻撃に転じる技「殴（ボン）」。攻撃対象に殴打を食らわせることができる。
ワノ国編でカイドウの居城・鬼ヶ島でルフィを相手にした時に使用した。

スクラッチメン・アプーの来歴・活躍

初登場・シャボンディ諸島編

スクラッチメン・アプーが本編に初登場したのは、シャボンディ諸島編である。単行本51巻に収録されている第498話「11人の超新星」で登場した。

主人公モンキー・D・ルフィと同じ時期に台頭してきた、懸賞金億超えのルーキー達・超新星（最悪の世代）が、偉大なる航路（グランドライン）の後半の海・新世界へ入るためにシャボンディ諸島に集結。その中の一人がアプーである。アプーは町で同じ最悪の世代の一人、ユースタス・”キャプテン”キッドを小馬鹿にしたような目で見ていたらしく、乱闘になる。この時既にキッドとは馬が合わないような描写がされている。

その後町中に配られたニュースの号外の紙面をアプーは拾って読む。海で皇帝のような強さを持つ4人の大海賊の内の一人”白ひげ”エドワード・ニューゲート率いる白ひげ海賊団の2番隊隊長ポートガス・D・エースの公開処刑がされることを知った。おちゃらけた性格のアプーもこれには驚き、「正気か！？………世界政府！！！」と真剣な顔をしていた。

海軍本部であるマリンフォードが近いシャボンディ諸島で、ルフィが世界貴族”天竜人（てんりゅうびと）”を殴るという前代未聞の事件を起こし、海軍大将・黄猿／ボルサリーノがやってくる。アプーは上陸した黄猿がちょうどその場にいた海賊を蹴散らして、シャボンディ諸島にある巨大なマングルーブの木・ヤルキマン・マングローブを折るところをこっそり見ていた。早く逃げようと言う仲間に対し、「バカだな コソコソ逃げて何が楽しい 敵は怒らせて逃げるに限るぜ！！」と自身の悪癖への衝動を示した。

そこからこっそりと建物の屋上を伝って黄猿を追ったアプーは、同じ最悪の世代のバジル・ホーキンスやウルージ、X・ドレークが黄猿と戦う様子をこっそり見ていた。そして黄猿がホーキンスにトドメを刺そうとしたその時、突然悪魔の実「オトオトの実」の能力で体中の至るところを楽器に変えて演奏するパフォーマンスをアプーは見せ始める。黄猿以外にその場にいた者全員の視線を一点に集めたところで、アプーは「斬（シャーン）」と斬撃を飛ばして黄猿の片腕を切り落とし、続けて「爆（ドーン）」と黄猿に爆撃を食らわせた。

何が起きたかわからないといった表情を浮かべて地面に倒れる黄猿に、「アッパッパッパッパッパッパ！！！チェケラァ～～～～っ！！！」と小馬鹿にするような仕草を見せるアプー。その後は「ほんじゃトンズラこくぜ！！あばよっ！！」と一目散に逃げ出す。しかし黄猿は悪魔の実「ピカピカの実」の能力で光の速さでアプーに追いつき、アプーに重たい一撃を浴びせた。アプーが叩きつけられた建物が倒壊するほどの威力だったが、アプーはその後「効いた…！！」と血が流れ出る頭を押さえて呟く程度で済んだようだった。

マリンフォード頂上戦争編

ルフィの義兄でもあるエースの公開処刑を原因に、海軍本部のあるマリンフォードでは戦争が起きる。エースを取り戻しに来たルフィや白ひげ海賊団と海軍が激突した大戦争だ。アプーはシャボンディ諸島で黄猿の手を逃れた後、一度シャボンディ諸島から出航したようだったが、再びシャボンディ諸島に戻り戦争の中継を仲間と共に見ていた。しかし突然トラブルで中継が途切れてしまう。アプーの仲間達はそのトラブルを鵜呑みにしたが、アプーは「―――んな訳ねェだろ」、「バッカだなァおめェらは…見せたくねェモンがあるから見せねェんだよ”世間”と”海賊達（おれたち）”になァ……！！」と中継が意図的に切れたことを確信していた。

その後アプーは再び海に出航し、新世界へと突入。とある春島で仲間達と共に凶暴なイノシシの大軍から逃げる様子が描かれていた。

パンクハザード編

新世界編に入り、アプーが登場した際、懸賞金は初登場時の1億9800万ベリーから3億5000万ベリーに跳ね上がっていた。

ルフィ達がパンクハザードという新世界の島でひと悶着している間、アプーはキッド海賊団の戦闘員・殺戮武人キラーに招待されてキッドのアジトを訪れる。そこにはホーキンスもいた。自分のアジトで好き放題に暴れるアプーに苛立ちを募らせるキッド。それをキラーは諌めて、アプー、キッド、ホーキンスに話し合いをするように叱咤する。アプーはキッド海賊団から四皇の一人、赤髪のシャンクスの首を取るために同盟を持ちかけられたのだった。

ドレスローザ編

キラーがうまく手綱を取っているのか、アプー、キッド、ホーキンスは同じ卓で食事をしながら話し合うことができるくらいに仲が落ち着いていた。

しかしそこに空から突然何かが降ってくる。キッドの持っている船が一隻沈んでしまうほどの地響きを立てて降ってきたのは、四皇の一人”百獣のカイドウ”だった。世にも珍しい空島からの投身自殺を謀っても死ねなかったカイドウと対峙するアプー達。キッドとキラーは戦うことを選び、ホーキンスはその絶対的な戦力差と自身の占いからカイドウの傘下につくことを選択した。しかしアプーはこの時既にカイドウの傘下に入っており、情報屋として働いていたのだった。

幻の島・ゾウ編

ゾウ編ではアプーの姿は描かれなかったものの、電伝虫でカイドウにジャックとの連絡が途絶えた旨を報告している。アプーからの連絡だと明記されているわけではないが、「アッパッパ」という特徴的な笑い方と、電伝虫の歯が鍵盤のような歯並びになっていたことから、電伝虫の相手がアプーであると推測される。

ワノ国編

キッドとの再会

アプーは情報屋として普段はワノ国の外に出ているようだが、年に一度行われる金色神楽（こんじきかぐら）と呼ばれる大宴会に参加するためにワノ国に戻る。ナンバーズと呼ばれる人工的に作られた古代巨人族の失敗作達を連れて霧の中を進む。金色神楽はワノ国で一年に一度行われる鎮魂祭・火祭りの夜にカイドウの居城・鬼ヶ島で行われる大宴会だ。百獣海賊団のメンバーと、ワノ国を治める将軍・黒炭オロチ（くろずみ オロチ）の臣下達が全員集まってのどんちゃん騒ぎをアプーは楽しみにしている様子だった。

宴が始まったライブフロアというイベント会場では、百獣海賊団の大幹部・大看板の一人クイーンがMCを務め、アプーはDJを務めていた。しかし宴が始まってまもなく、鬼ヶ島に潜入していたルフィとゾロが暴れ始めた。ルフィはワノ国の兎丼（うどん）という地区にある囚人採掘場に捕まっていたはず。暴れる二人を見つけたアプーは軽快なリズムに乗せてそのことをクイーンに報告し、ルフィ達を捕まえた者に何をくれるのかと報酬をねだった。クイーンはルフィ達を捕らえた者に飛び六胞（とびろっぽう）と呼ばれる大看板に次ぐ百獣海賊団の幹部の席を一つ用意すると宣言する。百獣海賊団の”真打ち（しんうち）”と呼ばれる人工悪魔の実「SMILE（スマイル）」の能力者がやる気を出す中、アプーもルフィ達を捕まえるために戦い始める。

アプーは手首を弦楽器のように「ボン」と弾いて相手に殴打を加える技「殴（ボン）」をルフィに食らわせる。続いてゾロに「斬（シャーン）」をお見舞いして怪我を負わせた。アプーと戦うのが初めてのルフィ達はアプーが何の能力者であるかわからず苦戦する。戸惑うルフィにアプーは続けて胸を叩いて「爆（ドーン）」を発動し、ルフィに爆撃を加えた。ルフィ達は逃げたが、そこはまだまだアプーの攻撃範囲。アプーが再びルフィ達に攻撃をしようしたその時だった。ルフィ達とは別行動でライブフロアに潜入していたキッドが、悪魔の実「ジキジキの実」の能力で周囲の金属を集めて巨大な金属の手で相手を攻撃する技「磁気弦（パンクギブソン）」をアプーに食らわせる。

キッドとアプーはもともと性格が水と油のような関係で良くなかった。それを押して同盟を組んだのに、アプーは同盟を組んだ時は既に百獣海賊団の傘下に入っていたのだ。キッドは裏切られたことでアプーに強い恨みを抱いていたのだ。キッドの攻撃で吹っ飛んだアプーに、キッドは自分を裏切ったことを責めた。しかしアプーは、「おれ達が手を組んだ程度で…！！『四皇』を一角でも潰せたかと思うか？現実に気づけ！！！」、「そもそも海賊の同盟がハッピーエンドを迎える事はねェんだ！！！」と自身の正当性を主張する。

打倒カイドウを掲げるキッドやルフィ達はアプーと戦って消耗するのを避けるために、アプーを無視して鬼ヶ島の奥へ進もうとする。アプーは逃げるキッドやルフィ達に追い打ちをかけた。しかしキッドと一緒にいたキラーは、アプーの悪魔の実「オトオトの実」の能力を知っており、防ぎ方を心得ていた。「オトオトの実」の能力は「音」が聞こえなければ意味をなさない。キラーはキッド達に耳を塞ぐように言った。それにアプーは苦い顔をするのだった。

氷鬼 in 鬼ごっこ

カイドウは光月おでんの9人の忠臣・赤鞘九人男（あかざやくにんおとこ）と屋上で戦っている。ルフィ達麦わらの一味もそれに加勢に行きたいが、腐っても四皇”百獣のカイドウ”率いる海賊団。メンバーの層は厚く、容易にライブフロアから奥へと進めない。ナンバーズと呼ばれる巨人の失敗作達まで暴れだし、戦況は苛烈を極めた。そんな時百獣海賊団の傘下に入り、飛び六胞まで上り詰めていた最悪の世代の一人X・ドレーク（でぃえす・どれーく）がライブフロアへ現れ、ルフィ達に共に戦わせてくれと懇願する。ドレークの正体は実は海軍であり、百獣海賊団にスパイとして潜入していたのだ。しかし裏切りがバレてクイーンに拷問されそうになったところを逃げてきたのだった。

他の者が反対する中、ルフィだけは「いいぞ？味方で」とすんなりドレークを受け入れる。そうしてルフィ達はそれぞれ敵と戦い、屋上を目指すために別れた。ルフィがサンジと一緒に屋上へ向かおうとした時、アプーが「斬（シャーン）」と攻撃をしかける。しかし攻撃を食らう寸前で気がついたルフィ達は耳を塞いでそれを凌いだ。しかしアプーはめげることなく、ナンバーズにルフィ達を倒すように掛け声をする。そしてもっとナンバーズを呼ぼうと、自身の体を打ち鳴らした。

しかしそれはゾロとドレークによって防がれる。ゾロは急に寝返ってきたドレークが信用できず、戦っていたがそれよりもアプーを止めることを優先したのだ。「こいつは元から嫌いなんだ ブッ潰すがお前らの為じゃない」とドレークが言うと、ゾロは「何だ 気が合うな！共闘成立だ！！」と答える。アプーの性格がどれほど周りから嫌われているか垣間見えた瞬間だ。すると突然クイーンがライブフロアに自身が開発したウイルス平気「氷鬼」を打ち込んだ。「氷鬼」はライブフロアにいる人間にどんどん感染していった。敵も味方も関係なく、ウイルスが広がりライブフロアは地獄絵図と化す。

アプ―はそんなところにいたくないと一人逃げ出そうと、ライブフロアから外に通じる扉を叩く。するとクイーンが「おい ブラザー アプー」と何かを投げてよこした。それはこの世に存在する「氷鬼」の唯一の抗体だった。クイーンはアプーに「（抗体を）奪われたら惨殺の刑だぞ お前……！！」と続けて言う。それを一瞬理解できなかったアプーは「はい？」と返事をした。クイーンはライブフロアに向けて死にたくなければ敵味方関係なくアプーから抗体を奪えとアナウンスをする。アプーは「氷鬼」の効果で全員が死ぬまでの1時間、四方八方を敵に囲まれたライブフロアで逃げ回らなければならなくなった。

逃げ続けていたアプーはゾロの一刀に倒れ抗体を奪われてしまう。そして抗体はチョッパーに預けらた。チョッパーが抗体からワクチンを作っている間、アプーはチョッパーを襲い邪魔をしようとする。しかしそれはドレークによって防がれた。ドレークは共闘を申し入れた麦わらの一味達に信じてもらうためにも、アプーを引き受けたのだ。アプーとドレークの戦いが始まる。

アプーとドレークの共闘

アプーとドレークは戦いながら岩戸の間という場所に移動していた。アプーは後ろにナンバーズ3体を従えて、ドレークに自分と手を組むように話を持ちかける。鬼ヶ島の激戦の状況からアプーは誰が最後に勝ち残っても、その者もきっと重症を負っている。そこを二人で襲って、最後の最後に自分達が勝者になろうと提案した。しかし元々アプーが嫌いなドレークはこれに乗らない。そのままアプーに戦闘を仕掛けた。

そこへやってきたのはカイドウの実子・ヤマトだった。アプーはドレークが味方にならないと判断するや否や今度はヤマトに声をかける。ヤマトはカイドウのことをよく思っていなかったため、一緒に手を組んでくれるかもと期待したのだ。しかしヤマトは即答でアプーの申し入れを断り、猛スピードでどこかへ走り去った。その時にアプーが従えていたナンバーズの一人がヤマトを追いかけていってしまう。戦力ダウンを恐れたアプーはそのままヤマトを追いかけていったナンバーズを追う。そしてドレークはそのアプーを追った。

ヤマトを追いかける途中、アプーは世界政府直下暗躍諜報機関の中でも最上級の組織CP-0（シーピーゼロ／サイファーポール”イージス”ゼロ）の人間を見つける。海賊であるカイドウの居城に世界政府の人間がいるなんて大スクープだ。アプーはそれを囃し立て電伝虫で写真を撮影し、ジャーナリストにでも情報を売ってやろうと挑発する。CP-0はそんなアプーに知りすぎだと攻撃をしかけた。CP-0の目にも留まらぬ攻撃にアプーは倒れる。しかししっかり武装色の覇気で防御をしたおかげで、アプーは致命傷は避けていた。アプーが生きていたことにドレークはガッカリし、ため息をついた。CP-0はドレークの正体も知っており、ドレークも消そうとする。そこでアプーとドレークは一時休戦。CP-0を相手に戦いを始めた。

しかししばらくしてアプーはナンバーズの最後の一人と共にその場から逃亡する。自分で挑発しておきながらCP-0に敵わないとして逃げ出したのだ。残されたナンバーズの一人とドレークはCP-0によって倒されてしまった。

戦いの後