Portal 2(ポータル2)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Portal 2』とは、Valve Corporationによって開発されたPC、Xbox 360専用ソフトであり「Portal」の直接的な続編である。ジャンルは前作と同じく一人称視点のアクションパズルゲームで、今作ではシングルプレイモードのほかにマルチプレイモードも追加されている。「Aperture Science Enrichment Center」内で長年のコールドスリープから目覚めた主人公・Chellは、再び施設からの脱出を試みる。

『Portal 2』の概要

「Portal 2」とは、Valve Corporation開発、エレクトロニック・アーツ販売によるシングルプレイ専用アクションパズルゲーム「Portal」の直接の続編である。2011年4月にダウンロード専用ゲーム配信プラットホームであるSteamにてダウンロード版およびPC版が発売され、同年5月にはXbox 360・PlayStation3専用ソフトがそれぞれ発売されている。また、前作と本作がセットになったPCソフト「Portal1+2パック」がサイバーフロントから発売されている。

本作は前作と同じく、「一人称視点のアクションパズルゲーム」というスタイルをとっており、ふたつの空間的につながった穴を作れる銃「ポータルガン」を用いて様々なギミックが施されたステージをクリアしていくゲームとなっている。しかし、前作に比べて様々な部分が大幅にボリュームアップしている。そのひとつが多数の新規ギミックの導入だ。触れた物体を大きく跳ね飛ばす「反発性ジェル」や、上を走ることで高速移動ができる「推進性ジェル」といったような新要素は、本作の独自のパズルをさらに奥深いものにしている。

そうした豊富なギミックが配置されたステージは前作に比べて大幅にボリュームアップしている。しかも、ただ単に数が増えたわけではなく、前作ではあまり直接的には明かされなかった研究組織「Aperture Science」の歴史を追うように、新しい施設から打ち捨てられた古い施設へと舞台が変化していく。さらに、前作にはなかったマルチプレイモードも搭載しているので、ゲーム全体のボリュームは相当なものになっている。

ストーリーも大幅にボリュームアップしている。前作で人気を博した施設の管理コンピューター「GLaDOS」に加え、今回から登場する新キャラクター「Wheatley」を交えたストーリーは、研究組織「Aperture Science」の歴史やGLaDOSの秘密にも踏み込んでおり、本作と前作の間の空白期間や前作の前に「Aperture Science」で起こった事件などを描いた公式コミック「Lab Rat」も合わせて読むことで、より深く「Portal」シリーズの世界観を知ることができるだろう。

本作のストーリーは前作から直接続いており、主人公・Chellは前作の舞台となった施設「Aperture Science Enrichment Center」から一度は脱出したものの、前作のエンディングで再び施設内へと連れ戻されており、本作はコールドスリープ状態となっていたChellが目をさますところから始まる。Chellが目を覚ました部屋は長い時間が経過したように老朽化していた。そこへ、慌ただしく声を掛けるものがいた。部屋のドアを開けると、そこへ飛び込んできたのはGLaDOSの人格コアである「Wheatley」だった。Chellは、「Wheatley」と共に再度「Aperture Science Enrichment Center」からの脱出を試みる。

『Portal 2』のあらすじ・ストーリー

主人公・Chellが目覚めた部屋。前作から50日経過しているらしい。

主人公・Chellは、ホテルの一室のような部屋で目を覚ます。彼女は前作のエンディングで、前作の舞台であった空間移動技術を研究している研究組織「Aperture Science」の建造した施設「Aperture Science Enrichment Center」からいったんは地上に脱出したものの、再び施設内に連れ戻されており、今までコールドスリープ状態になっていたのだ。聞こえてきたアナウンスによれば、Chellが再び「Aperture Science Enrichment Center」連れ戻されてから50日が経過しているらしい。脱出することもできず、Chellはアナウンスに従ってエクササイズを行った後、再び眠りに戻る。

次にChellが目を覚ました時には、とてつもなく長い時間が経過していた。

再び目を覚ますChell。そこは相変わらずホテルの一室のような部屋だったが、どうも様子がおかしい。聞こえてくるアナウンスの音声は歪んでおり、部屋の中はとてつもなく長い時間が経過かしたようにひどく老朽化している。困惑するChellのもとに、何者かがせわしなく声をかけてきた。ドアを開けると、そこにいたのは人間ではなく、「Aperture Science Enrichment Center」の管理コンピューター「GLaDOS」に接続されていた人格コアだった。

人格コア「Wheatley」はこの施設の管理者だと言う。そしてWheatleyは、この施設は長い時間経過によって崩壊しつつあり、自分は管理者として被験者であるChellをここから逃がさなくてはならないと告げる。WheatleyはChellを部屋ごと移動させて、脱出用のドッキングステーションに連れて行こうとする。Wheatleyが強引に壁を破壊してChellを連れてきたその場所は、かつて前作で彼女がテストを受けさせられてきた部屋であるテストチェンバーだった。

再起動してしまったGLaDOS。前作に引き続き、Chellにテストを受けさせることに執着しているようだ。

前作と同様、ふたつの空間的につながった穴を設置できる装置「ポータルガン」を手に入れたChellは、WheatleyとともにAperture Science Enrichment Centerの中を進んでいく。施設は荒れ果ててはいるものの、まだ機能してはいるようだ。そして二人は、Aperture Science Enrichment Centerの管理コンピューター「GLaDOS」の設置されていたコントロールルームへとたどり着いた。かつて前作でChellにポータルガンを用いた数々のテストを行わせ、彼女の脱出を妨害してきたGLaDOSだが、現在はシャットダウン状態で目を覚ます様子はない。

二人はコントロールルームを通り抜け、脱出用のポッドがあるらしき部屋へ到着する。無数のスイッチがある部屋で、脱出ポッドの起動スイッチを探すWheatley。Wheatleyは「脱出ポッドのスイッチ以外には触るなよ!」と言うが、他ならぬ彼自身の手で、GLaDOSが再起動してしまう。

再起動したGLaDOSはWheatleyをアームで握りつぶし、さらに前作のラストステージで自分の人格コアを放り込まれた焼却炉跡に、今度はChellを放り込んでしまう。階下へと落下したChellは、再びGLaDOSの監視のもとでテストを受け続けることとなる。

なんとか生きていたWheatley。彼はGLaDOSにバレないように脱出の手助けをしてくれるという。

しばらくテストチェンバーを進んでいくと、ChellはGLaDOSに握りつぶされたはずのWheatleyに出会う。Wheatleyは、なんとか彼女をここから脱出させてやるから、それまではおとなしくテストを受けるようにChellに告げる。いまひとつ頼りないWheatleyだが、それでも協力はしてくれるようだ。

様々なギミックをなんとか突破し、テストチェンバーをクリアしていくChell。そしてChellは、テストチェンバー21まで到達する。テストチェンバーのプレートの表示は21/22。ということは、あとふたつのチェンバーをクリアすればテストはクリアになるのだろうか。テストを開始しようとするChellだったが、テストチェンバー21に足を踏み入れた途端、いきなり室内の照明が消えてしまう。

照明を消したのはWheatleyの仕業だった。Wheatleyは一時的にテストチェンバーに干渉し、テストを中断させたのだ。さらにWheatleyはテストチェンバーの壁の一部を開き、そこから脱走するようChellを促す。GLaDOSはテストチェンバーを強引に移動させて二人を追うが、二人はいったんは逃げ切ることに成功する。しかし、Wheatleyは施設から脱出するにはGLaDOSとなんとかしなくてはならないと言う。そこで、WheatleyはGLaDOSの戦力を削ぐために、GLaDOSが送り込んでくる固定砲台・タレットの製造ライン、さらに神経毒発生装置を止めることを提案する。こうして二人は、再びペアとなって施設の深部へと向かうのだった。

GLaDOSに代わって施設の支配権を得たWheatleyは、ChellとGLaDOSを地下深くに追放する。

タレット製造ラインにたどり着いた二人は、チェック用のタレットを欠陥タレットに入れ替えることで、製造ラインを欠陥タレットのみが通過するようにして無力化する。さらに二人は、神経毒発生装置の位置を突き止め、これを破壊することで同じく無力化に成功する。しかし、神経毒発生装置を破壊した途端、室内にガス圧の異常が起こり、二人は壁の穴へと吸い込まれてしまう。

その先は幸い、GLaDOSの緊急シャットダウンルームへとつながっていた。しかし、その扉を開けようとすると周囲の壁がせり上がり、Chellは閉じ込められてしまう。これはGLaDOSの罠だったのだ。そしてChellは、GLaDOSの眼の前へと連れてこられる。

だが、GLaDOSの方もタレット製造ラインと神経毒発生装置を止められていたことで攻撃手段を失っていた。膠着状態に陥る両者だが、そこにWheatleyが現れる。WheatleyはChellに、代替コアとして自分を施設のシステムに接続しろと言ってきた。そうすることで、施設の支配権をGLaDOSから奪い取り、無力化するつもりのようだ。

必死にChellを止めようとするGLaDOSの妨害を振り切って、Chellは施設の支配権をWheatleyに書き換えるためのスイッチを押す。悲鳴をあげるGLaDOSは施設から切り離され、代わりにWheatleyが施設へと接続される。施設の支配権を奪い取ったWheatleyは、地上へつながるエレベーターを呼び出した。

しかし、そこでWheatleyは「ここから出る必要がどこにある?」と態度を豹変させる。施設の支配権という大きな力を手に入れて増長したWheatleyは、「お前がここまで来られたのはすべて自分のおかげだ」と言い張る。それに反論したのは、意外なことにGLaDOSだった。「全ては彼女の功績です」というGLaDOSは、さらにWheatleyの正体を暴露する。実はWheatleyは、GLaDOSの暴走を抑え込むために造られた知能鈍化スフィアで「必ず最悪の結果となるように行動する」ように造られた存在だったのだ。GLaDOSはWheatleyを、「マヌケになるべくして造られたマヌケ」と言う。

マヌケ呼ばわりに怒りを募らせたWheatleyは、ジャガイモに亜鉛板と銅板を差し込んで作る簡単な電池であるジャガイモ電池にGLaDOSを接続し、屈辱的な姿に変えてしまう。そしてChellの乗ったエレベーターを破壊し、彼女とGLaDOSを地下深くに追いやってしまうのだった。

とてつもなく長い距離を落下した先にあったのは、かつてのAperture Scienceの施設だった。

破壊されたエレベーターから落下したChellとGLaDOSがたどり着いたのは、広大な地下空間だった。そこがどこかもわからないうちに、ジャガイモ電池に接続されて身動きの取れないGLaDOSは、カラスに連れ去られてしまう。仕方なく単独で周囲の探索を始めるChell。そこは、かつてAperture Scienceが研究を行っていた施設だった。

施設はまだ稼働しており、中に入るとAperture Scienceの最高経営責任者、Cave Johnsonの録音メッセージによるアナウンスが彼女を迎えた。Caveは録音メッセージの中で、自分にはCarolineという有能な秘書が付き従っていることも話す。広大な地下空間に建設されたAperture Scienceの旧施設は、かつてChellが幽閉されていた施設と同じようにさまざまなギミックが設置されたテストチェンバーが配置されていた。テストチェンバーや開放された空間をポータルガンを駆使しながら、Chellは出口を求めて進んでいく。

旧施設のコントロールルームにあるカラスの巣に連れ去られていたGLaDOS。

旧施設を進むうち、Chellはコントロールルームにたどり着く。そこには、カラスに連れ去られていたGLaDOSがいた。カラスを追い払ってGLaDOSを助けたChellは、今度はGLaDOSとともに旧施設を探索することとなる。しかし、先に進むにつれてGLaDOSの言動に不自然なところが増えてくる。録音メッセージのCaveやCarolineの声に反応したり、Carolineと同じセリフを同時に言ったりするのだ。GLaDOS自身にもなぜそんなことが起きるのかわかっていないらしい。

さらに施設を進んでいくと、再びCaveの録音メッセージが流れてきた。「レモンを与えられたからといって、レモネードなど作ってはならない。そんなものは突き返してやれ!」というCaveの録音メッセージに、なぜかGLaDOSは「そうです!」と相づちを打っている。やはりGLaDOSとCaveやCarolineには何らかの関わりがあるようだ。

さらに進んでいくと、Caveの録音メッセージは決定的な内容を告げる。塗布することで壁や天井にポータルを作ることができるようになる「変換ジェル」の原料には、砕いた月の石が使われている。実は、その変換ジェルは毒素を含んでおり、Caveはそのせいで病気になっていたのだ。自分の死期を悟ったCaveは、自分が死んだあとのAperture Scienceの施設を人工知能によって管理させることを考えていた。そしてCaveは、Carolineをベースとした人工知能を作ろうとしていた。それがGLaDOSだったのだ。

「自己言及のパラドックス」について記述されたポスター。GLaDOSは、このパラドックスを用いてWheatleyを機能停止させる作戦を思いつく。

自分をジャガイモ電池という屈辱的な姿にしたWheatleyに対して復讐心を燃やすGLaDOS。そしてGLaDOSは、壁のポスターに描いてあった「自己言及のパラドックス」に気付く。「自己言及のパラドックス」とは、『「この文は嘘である」という自己言及が真であるならその言及は偽であり、その自己言及が偽であるならその言及は真となり…』という無限に連鎖するパラドックスである。GLaDOSはこれを用いてWheatleyの思考をパラドックスの連鎖に陥れ、機能停止させることを思いつく。そのアイデアを唯一の希望として、二人は地下施設から上を目指す。

ようやく旧施設から脱出し、もとの施設に戻ってきた二人。そこでは、施設の支配者となったWheatleyがメチャクチャなテストを繰り返していた。GLaDOSはさっそくWheatleyにパラドックス攻撃を仕掛けるが、「史上最高のマヌケ」としてつくられたWheatleyは、通常のコンピューターのような思考回路を持っておらずパラドックスに陥ることがないためそれも通じない。しかも、施設はWheatleyが支配者となって無茶を繰り返していたせいで徐々に崩壊しつつあった。結局の所、施設の崩壊を止めるための唯一の解決策は、テストをクリアしてWheatleyのもとにたどり着き、彼を直接停止させることだけのようだ。

積み上げられたたくさんの人格コア。GLaDOSはこれらを使ってWheatleyを無力化しようと言う。

Wheatleyの作ったテストをクリアしつつ、コントロールルームを目指す二人。しかし、前作においてGLaDOSは施設から脱走しようとしたChellの殺害を試みた過去がある。そのため、GLaDOSが再び力を取り戻した場合、今回も同じようにChellを殺害しようとするかもしれない。そのことはGLaDOS自身も認識していた。だが、GLaDOSは施設から一度切り離されたことで良心の声が聞けるようになったという。その声は、かつてGLaDOSのベースとなったCarolineの声であるとGLaDOSは認識していた。

どのみち現状でできることは、テストをクリアして先に進むことしかない。いよいよWheatleyの待ち受けるコントロールルームに近づいてきた。そこで二人は崩壊した人格コアを発見した。GLaDOSはWheatleyの動きを止めてこの人格コアを取り付けることで、Wheatleyを無力化するという作戦を提案する。

最終決戦。前作ではGLaDOSから人格コアを取り外すことが攻略法だったが、今回は逆にWheatleyに人格コアを取り付けるのが攻略法となっている。

ついにコントロールルームへとたどり着いた二人。GLaDOSをコントロールパネルに接続し、ChellはひとりでWheatleyと対峙する。Wheatleyの発射してくる爆弾をポータルで逆に当て、GLaDOSが運んでくる人格コアを次々と取り付けてWheatleyを機能停止させようとするChell。3つ目の人格コアを装着したところで、ついにWheatleyは機能不全を起こす。あとはスイッチを押して施設の支配権を再びGLaDOSの方に書き換えるだけだ。

しかし、スイッチを押そうとした途端、Chellの体は大きくふっとばされてしまう。Wheatleyは最後の罠として、スイッチに爆弾を仕込んでいたのだ。Chellは力を振り絞って起き上がろうとするが、仰向けになるのが精一杯だった。万事休すかと思われたその時、仰向けになったChellの目に、崩壊した施設の天井から見える白い月が飛び込んできた。

宇宙空間に放り出されるChellとWheatley。

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