はたらく細胞(第7話『がん細胞』)のあらすじと感想・考察まとめ

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幼いころ、免疫細胞に仲間を殺された辛い思い出を抱えていたがん細胞は、免疫細胞に恨みをもっていた。殺される側から、殺す側になる機会をうかがっていたのだ。その正体を早くに見破ったNK細胞は、現場の偵察に来ていたキラーT細胞と白血球をうまく逃がし、自分一人でがん細胞と戦おうとしていた。一方、赤血球は大量の栄養分を運ぶ仲間を手伝っていたが、途中でマクロファージに声をかけられる。
今回は「はたらく細胞」第7話『がん細胞』の内容(あらすじ・ストーリー)と感想・考察を紹介。

「はたらく細胞」第7話『がん細胞』のあらすじ・ストーリー

人間の身体の中には、約37兆2000億個もの細胞たちが、毎日元気に働いている。先輩赤血球と歩いていた赤血球が、急に立ち止まった。
先輩赤血球「どうしたの」
赤血球「靴紐が切れちゃいました」
先輩赤血球「不吉ねえ」
<不吉その①:靴紐が切れる>
赤血球「先に行っててください。すぐに追いつきます」
先輩赤血球「了解。ゆっくり行ってるわね」
靴紐を直した赤血球が先輩に追いつこうとしたとき、壁に立てかけてあった梯子をくぐってしまう。
先輩赤血球「言ってるそばから、梯子の下を通って」
<不吉その②:梯子の下を歩く>
慌てた赤血球は、脇道から出てきた消化管細胞とぶつかり、消化管細胞が持っていた食器を割ってしまう。
先輩赤血球「食器が!不吉」
<不吉その③:食器が割れる>
「イヤな予感がするなあ」と食器の破片を拾いながら赤血球は思った。

変な姿をした細胞がいるという細胞組織にやってきたNK細胞、キラーT細胞、白血球。キラーT細胞は白血球と、NK細胞は一般細胞と、二手に分かれ偵察する。一般細胞と二人きりになったとき、NK細胞が口を開いた。
NK細胞「正体を現しな」
一般細胞「バレてたのか」
NK細胞「一番進行の進んだお前が無害な細胞に化けて、私らをおびき寄せたつもりでしょ」
一般細胞「おねえさんこそ敵陣のど真ん中で、味方の二人を逃がしたつもりなんだろう」
NK細胞「邪魔だっただけよ。あんたの正体すら見抜けないんだものね。わざわざこんな凝った芝居うっちゃって。何か考えがあるんでしょう。教えなよ、がん細胞」
がん細胞「やだよ」
一般細胞の正体は、がん細胞だった。がん細胞は細胞の遺伝子に異常がおきて、無軌道に増殖するようになった細胞で、周囲の正常な細胞との境界を侵し、どんどん増殖していく。

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正体を現した、がん細胞

一方、廃墟のような一室でキラーT細胞は異様な光景に目をとめた。
キラーT細胞「これ見ろよ」
壁に貼ってあるグラフを指す。グラフの線は細胞の異常な増加を示していた。
白血球「ここにいる細胞たちは、正常な増殖プログラムを無視しているのか」
キラーT細胞「細胞膜もぶち抜いて、やりたい放題だ」
白血球「周囲の組織も、メチャクチャにされている」
キラーT細胞「そして、この御丁寧にまとめられた、引っ越しの荷物」
白血球「増殖、浸潤、そして転移。これはウイルスの感染じゃない。がん細胞か」
がん細胞は細胞増殖の抑制がきかず、無制限に自己増殖する。さらに、周囲の正常な細胞との境界を侵す性質がある。そして、血管やリンパ管の流れに乗って体の様々な場所に移り、活動の場を広げる。
いつの間にか集まっていたがん細胞集団に襲われ、身動きがとれない白血球とキラーT細胞。NK細胞が飛び込み、ぶざまな格好で壁にぶち当たる。
キラーT細胞「NK!てめえ、さんざんたんか切っといて、そのざまか」
NK細胞「うっさいわね、バカ!がん細胞に気づかない、ボンクラ二人組が」
白血球「こんなときにケンカするな!それよりお前、あの細胞君は、どうした」
NK細胞「鈍い奴ね。アイツなら、あそこよ」
がん細胞「三人揃ったし、教えてやるよ。おねえさん、僕がなんでこんなことしたのか知りたがってたよね。味あわせてやろうと思ったんだよ。お前たち免疫細胞に、寄ってたかって暴力で殺される気分をな」
壁や床が崩れ、白血球たちを巻き込む。
キラーT細胞「この建物全体が、アイツに取り込まれていたのか」
瓦礫の下敷になったNK細胞、キラーT細胞、白血球。
キラーT細胞「死ね、バグり野郎」

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がん細胞集団に襲われ、身動きがとれない白血球(左)とキラーT細胞(右)。そこへNK細胞(中央)が飛び込んだ。

その言葉を聞いたがん細胞は、幼い頃のことを思い出していた。

キラーT細胞「がん細胞が二人逃げたぞ」
NK細胞「あのバグり野郎ども」
キラーT細胞「探しだして処分しろ」
逃げる子供のがん細胞たち。がん細胞は正常な細胞が分裂する際のコピーミスによって、健康な人でも1日に数千個作られているといわれている。コピーミスによって生まれた彼らは免疫細胞に捕まったら殺される。
一人が捕まった。それを物陰から見ていたもう一人の子供は恐怖に震えた。

がん細胞「不良品扱いしやがって、なんで殺されなきゃならないんだ。何も悪いことなんかしてないのに、ただ生まれてきただけなのに!」

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逃げる子供のがん細胞たち

赤血球と先輩赤血球は、大量の栄養分を運ぶ赤血球たちに会う。すぐそこの団地から大量の注文がきているらしい。
先輩赤血球「私たちも手伝いましょう」
赤血球「え、はい」
がん細胞は炎症性サイトカインという物質を大量に放出する。そうすることで優先的に体中から栄養豊富な血液が引き寄せられ、結果的にがん細胞の増殖に関与している。この状態が続くと体の様々なバランスが狂ってくるのだ。
栄養分を運搬していた赤血球にマクロファージが声をかけた。
マクロファージ「どうしたの?そんなに急いで」
赤血球「すぐそこの団地から、いっぱい注文がきてて、なんか変なんです。そこの団地」

がん細胞「これから僕たちは血管とリンパ管を介して体中に散る。そこで増殖して、お前らの仲間を残らず殺す」
白血球「狂った細胞たちの力ではこの世界を維持できるわけがない。そんなことをしても、その先にあるのは滅亡だけだぞ」
がん細胞「いいんだよ、そんなの。どうせ僕は死ぬ運命なんだから」
突然、がん細胞にナタが突き刺さる。それはマクロファージが投げたものだった。振り向いたがん細胞の目に映ったのは、赤血球が呼んで集合した免疫細胞たちだった。
マクロファージ「赤血球ちゃんが言ったとおり、変な細胞がいっぱいね。殺しがいがあるわ」
ヘルパーT細胞「がん細胞、お前たちは我々免疫細胞に完全に包囲されている。大人しくお縄につけ」
免疫細胞たちが、がん細胞らの処分をはじめる。
NK細胞「キラー、右によけて」
右に動いたキラーT細胞は、B細胞が放った抗体をもろにかぶる。
NK細胞「バカじゃないのアンタ、ダーッハハハハ」
白血球「こんなときに何やってんだ」
NK細胞「あー、面白かったあ。たっぷり笑ったら、元気出たわ」
笑い転げていたNK細胞が発光する。
NK細胞「教えてあげるわ。あたしNK細胞は、笑うと活性化するのよ」
『笑い』による刺激が間脳に伝わることで、神経ペプチドという情報伝達物質が活発に生産される。これがNK細胞の表面に付着して、NK細胞を活性化させる。

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活性化したNK細胞

元気になったNK細胞が、がん細胞を攻撃。とどめを刺そうとナイフを握った白血球の腕が止まる。
白血球「とどめを刺す前に、何か言いたいことがあるなら、聞いてやるぞ」
がん細胞「いい人ぶりやがって、ムカつく奴だな。普通の細胞に化けて、お前に助けてもらったとき、僕は普通に嬉しかったんだ。誰かに助けてもらうなんてこと、生まれてはじめてだったからな。こんな僕のことを助けようとしてくれる細胞なんて、この世界には一人たりとも存在しない。当然だよな。本当は、僕はただの細胞なんだ。この世界の一員として、みんなとただ毎日平和に生きていくはずだった」
白血球「俺たち免疫細胞はお前を救えない。体の決まりに逆らって増殖し、栄養分を奪って正常な組織を破壊するお前を生かしておくことも、治してやることもできない」
がん細胞「わかってるよ、そんなこと。でも今日が終わったら、どうせみんなすぐ忘れてしまう。僕の恨みも、怒りも、悲しみも、誰にも聞いてもらえないまま風化して、なかったことになってしまう。何も残らない。細胞分裂の手違いで味方になるはずだった免疫細胞に命を狙われて、戦って、負けて、この世界に何も残せずに死ぬなんて、何のために生まれてきたんだ」
白血球「それでも、俺はお前を殺さねばならない。それが俺の仕事なんだ」
がん細胞「いいよ、負けといてやる。……今回はな」
そして、がん細胞は死んだ。

「はたらく細胞」第7話『がん細胞』の感想・考察

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