もぐささん(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『もぐささん』とは、栃木県出身の漫画家・大竹利朋が2013年12月19日から2014年2月13日まで『となりのヤングジャンプ』(集英社)にて、連載していたフードラブコメディ作品。ある日、主人公の小口虎雄は“普段は大人しい女の子“という印象しかないクラスメイト・百草みのりの大食いを目撃してしまう。その後、学校でも異常な食い意地と食欲を周りに隠しながらも、食の魅力に負け、幸せそうに食べるみのりを知っていく。美味しそうな料理と食い意地が張っているみのりの可愛さに心惹かれていく漫画となっている。

2年生の初夏、足利に「海に行こう」とみのりは誘われる。
平たちも引き連れ水着を購入し、パンケーキを食べていると、偶然多部と出会う。多部は島出身者で、ゴールデンウィークでも泳げることからみのり達は小口達も誘い、多部の地元である島を訪れることとなった。

ゴールデンウィーク初日、島へ着いたみのりは大食いタレントで有名な沢山くいな(さわやまくいな)と出会う。沢山も多部と同じ島出身者で、多部の姉代わりでよく遊んでいたこともあり2人は仲がいいようだった。沢山はみのりと2人きりの時に、いきなり大食い勝負を提案してくる。実は多部からみのりのことを聞いていたこと、また厚切町でラッコガールに扮し活躍していたことも知っていた。多部も、沢山と戦いより強くなったみのりを自分が倒すという目的もあり、実はラッコガールの件も沢山にみのりを見せるために仕組んだことだと告白した。
みのりが返事をする前に、沢山は大食い大会をすることを周りに知らせていた。多くの人が集まる中で大食いはできないと、みのりは勝負を意欲的ではない。そこで多部は、沢山がオーナーを務めている超人気高級焼肉店「肉女王」のフルコース食事券を餌にみのりを釣る。みのりはまんまとその餌に魅了され、またもやラッコガールに扮して沢山との大食い勝負に挑むこととなった。

対決内容は「初めに海鮮バーベキュー、その次に焼き鳥、最後に超大盛り海鮮丼」をいち早く食べ切った方が勝ち。勝負が始まり、みのりは海鮮を焼いて、いつものようにゆっくり味わっている。一方、沢山は海鮮を大量に焼いて、大量に口の中へと入れる「超頬張り力」を披露する。そして余裕たっぷりに笑う「食イーンスマイル」まで観客に見せつけた。「超頬張り力」のあとは、普通の人が1噛みする間に沢山は約5回噛む食べ技「超高速咀嚼」で一気に飲み込む。沢山は先に海鮮バーベキューを終え、焼き鳥へと進む。みのりもようやく海鮮を食べ終えたが、沢山には到底追いつけない。そんな時にみのりが披露した技が「居合い食い」である。この「居合い食い」が出来る条件としては、「串の食べ物」で「前屈みで腰の位置に食べ物がある」時のみ可能である。この時みのりは焼き鳥があるテーブルの前に立っていたため、2つ目の条件である「前屈みで腰の位置に食べ物がある」をクリアしている。みのりはこれで一気に焼き鳥を平らげ逆転した。

みのりが先に、最後の難関である「超大盛り海鮮丼」に手をつける。「超大盛り海鮮丼」は地魚の刺身を周りに敷き詰め、中心には大粒のいくらをたっぷりと乗せた総重量5キロの丼である。みのりは大きなスプーンでいくらを豪快に掬い、口いっぱいに頬張り幸せそうに笑った。沢山もその姿に触発され、焼き鳥を食べ終え「超大盛り海鮮丼」を食べ始める。沢山は5キロの丼を片手で持ち上げ、目一杯口に海鮮丼を詰め込んでいく。
沢山が逆転したものの、残り4分の1というところでお腹が苦しそうに張り始めた。それでも食べ続けようとした沢山に、みのりは「あまり無理しない方が…」と声をかけた。それを煽りだと受け止めた沢山は「無理をしなきゃ勝てないわ、あなたは味わって食べたら?」と煽り返す。
しかし、みのりは純粋なため「はい!とっても美味しいです、この丼」とニコニコと笑って食べ続けた。その様子を見た沢山は「これだけ食べてきてまだ笑えるなんて」と脅威を通り越して呆れる。
そして幸せそうに延々と食べ続けるみのりを見て、純粋に食べたいから食べていた昔の自分を思い出す沢山。すると幸せそうなみのりの笑顔で、自然と沢山のお腹も空いてきた。勝ちたい気持ちからではなく、素直に食べたいと感じた沢山はまた丼を口へかっこむ。
その結果、接戦の末勝ったのは沢山だった。純粋に食と向かい合う気持ちを思い出させてくれたみのりに、沢山は賛美と感謝を送った。

小口に嫌われる夢を見て食欲不振になるみのり

2年生になった秋、「食べ友」として小口はみのりをクレープ屋に誘う。
しかしクレープ屋についてもみのりは烏龍茶しか頼まず、小口がクレープを勧めても断って帰ってしまった。次の日、小口は心配になりみのりに話しかけるがそれとなく距離を感じる。それに授業中も「ステルス食い」を一度もせず昼食もおにぎり1個のみ、いつものみのりからは考えられない行動ばかり。あまつさえみのりから「しばらく食べ友活動を休止したい」と言われる。

小口は嫌われた、とショックを受けながらトボトボ帰っていると、偶然みのりの父に出会う。
みのりの父もここ数日、みのりが少食なことを心配していた。そして「その原因が小口にあるのではないか」とみのりの父から問い詰められていると、偶然通りがかったみのりが助けに入る。そして理由は他にあり、小口が原因ではないことは言ってくれるが本当の理由は話せないようだった。
小口は「本当の理由を話せないなら無理に聞かないけど、もう百草さんの食べっぷりが見られないのは寂しいな」と本心を口にする。その言葉でみのりは本当の理由を話し始めた。
実は小口に「百草さんってがめついよね」と言われ嫌われる夢を見てしまい、みのりはショックを受けたからだと告白した。このままでは正夢になると思い、大食いをやめようとしていた。
小口は「俺がそんなこと言うわけないよ!不安ならいつでも小口食堂に来て、俺作るからいっぱい食べてよ」とみのりを励ます。その言葉でみのりは「いっぱい食べても小口に嫌われることはない」と安心するのだった。

小口からの告白、そしてみのりと恋人へ

小口の実家兼食堂である小口食堂がテレビに取り上げられたことにより、小口は多忙になりみのりとなかなか「食べ友」として会えなくなっていた。
学校でも有名人扱いされ、話しかけることも出来ない。その様子を平が見抜き、みのりに「百草さんは小口のことが好きなのね」とみのりの気持ちを言い当てた。その言葉でようやくみのりも、小口に対する想いが特別であることに気づく。
翌日、小口は「食べ友」になって1年経った記念にとみのりにお弁当を作り、放課後一緒に食べる約束をする。そして放課後、自分の作ったお弁当を美味しく食べてくれるみのりを見ていると、自然に言葉が溢れていた。「オレ、百草さんのことが好きです。付き合ってください」と告白した。みのりも照れながら同じ気持ちであることを伝え、晴れて2人は恋人となった。

『もぐささんは食欲と闘う』のあらすじ・ストーリー

東京で1人暮らしを始めるみのり

上京し、1人暮らしを始めて自炊に挑戦するみのり

みのりは高校を卒業後、地元・栃木を離れ東京の大学に春から通うことになった。
実家からの仕送りも断り、奨学金も借りて自立することを決める。そして自分を成長させるため「1日3食間食なし」を自分に課し、食欲と闘うことを決意したのだった。一方、小口とは順調ではあるが京都と東京の遠距離恋愛になっている。小口は料理人になり、将来的には小口食堂を継ぐためにも、日々料亭で修行を重ねている。

東京駅に着いたみのりは、お土産屋に立ち並ぶ食べ物たちに誘惑され、早速「間食なし」の決意が揺らぎそうになる。そこでみのりが「泣きのおやつ」を発動する。カロリーゼロの飴なら、1日1粒舐めていいというルールだ。これで順調に駅を通り過ぎるかと思いきや、人にぶつかりうっかり飴を飲み込んでしまう。その絶妙なタイミングに試食を勧められ、まんまと間食してしまう。その勢いは止まらず、両手が一杯になるほど食べ物を買い込んでしまうのだった。

上京初日はうっかり東京駅で大量に食べ物を買ってしまい、早速食欲に負けたみのり。次の日こそはと、新居に必要なものを買うためだけに外出する。無事買い物を終え、公園で手作りのおにぎりで昼食を済ませようと公園に入った。そこで花見だと飲んでいる人の焼き鳥に魅了され、結局この日も焼き鳥を買ってしまっているが、みのり本人は昼食のおかずだと言い訳している。

泣きのおやつ

みのりは「1日3食間食なし」としているが空腹は避けられない。我慢すれば胃が暴走し、暴飲暴食をする可能性もあるため「泣きのおやつ」というルールを設けている。

その1「ゼロ飴」

カロリーゼロの飴なら1日1個だけ舐められる。みのりの理論では「カロリーゼロは食べていないことと同じ」となっている。舐めている間は無敵となり、どのような食の誘惑があっても乗り越えることが出来る。

その2「こんにゃくゼリー」

こんにゃくゼリーを口へ入れるみのり

授業中の「ステルス食い」は大学生になっても変わらず、どうしてもお腹が空いてしまった時に発動したもの。
まずは目を擦り「目が乾いてきた」というアピールを周囲にしておく。そして筆箱の中からこんにゃくゼリーを取り出し、目薬のキャップを外すように蓋を開ける。さながら目薬を目に指すように、こんにゃくゼリーの容器を押して口に入れる。あとは音を立てずに咀嚼するだけである。
ちなみにこんにゃくゼリーはほとんどカロリーがないものを選んでいる。ちゃんとカロリーが少ないのにお腹が膨らむことから、みのりの泣きのおやつでは優秀と評されている。

その3「デッカカツ」

雨の音が油の揚げる音に聞こえてしまうみのりは、空腹のあまりお腹が鳴りそうになる。揚げ物の音に対抗できるのは揚げ菓子だけと、筆箱の中から駄菓子界のカツスター「デッカカツ」を取り出す。
ちなみにデッカカツのカロリーは98キロカロリーである。
デッカカツの「ステルス食い」としては、筆箱から付箋を取り出す際に一緒にデッカカツも取り出す。この時付箋は大量に出し、その中にデッカカツを紛れ込ませる。あとは付箋ごと口元へ持っていき、音もなく食べるだけだ。

その4「チビパンケーキ」

みのり、水戸、島原でパンケーキを食べにいくことになった際に登場したもの。
お腹を空かせて行った先のパンケーキ屋は、大人気で行列が出来ていた。すっかりパンケーキの腹になっているみのりのお腹は、今にも大音量で虫を鳴かせようとしている。我慢できず、泣きのおやつである「チビパンケーキ」に手を伸ばしかけた。
しかし、そこで水戸が「空腹を3人で分かち合うのもいいよね」と言ったことにより、みのりはショックを受ける。自分だけおやつを食べ、空腹を紛らわせようとしていたなんてと深く反省し、チビパンケーキを食べずに強い意志で乗り切った。

水戸との交流

大学の入学式を終え、みのりは食堂で昼食を食べていた。
その時、隣に座って話しかけてきたのが同じ文学部で美人の水戸忍(みとしのぶ)であった。水戸はみのりが異常な食欲の持ち主とは知らず、普通の可愛らしい女の子だと思っているようだった。水戸は元ヤンキーで雑な性格を直したいとみのりに話しかけ、女の子のお手本にさせて欲しいと友人となる。みのりは自分の食欲のことを言い出せなかったが、水戸の「普通になりたい」気持ちに共感し仲良くなっていく。

水戸の家に遊びに行った際、「兄が大量に送ってきて」と2人でつけ麺を食べることになった。初めは水戸も普通に食べていたが、「ずっと女の子らしくは無理!」と服を脱ぎ出す。
そしてタンクトップに短パン姿、胡座をかいて豪快につけ麺を食べ始めた。「うめぇぇ!」と心の底から美味しそうに食べる水戸に魅せられ、みのりもつけ麺をどんどん食べ進める。
しかし水戸には大食いの一面を知られたくないみのりは、自分の食欲を止めるために自分の割り箸をへし折った。強制的に食べることをやめ「もうお腹いっぱい」と水戸に嘘はつくものの、帰りに冷凍のつけ麺を買って帰っていた。

サークル「くいしんぼう」へ入部

水戸に誘われ、みのりはグルメサークルである「くいしんぼう」の新歓コンパに参加することとなる。
新歓コンパはおしゃれな居酒屋で行われ、そこで提供された香草の骨つきチキンにみのりの目は奪われる。ガブリと食べてしまいたい気持ちになったが、同じテーブルにかけている法学部の細井は少食だ。細井の前で普通に食べるだけでも「ガツガツしてる」と思われるかもしれない、とみのりは骨つきチキンに手が出せなくなる。
一方、水戸は「あたし食べるの好きだから人の2倍食べちゃうんですよ」と飾らず、たくさん食べていく。そこでみのりも「水戸さん、香草焼きってどんな感じ?」とチキンの話題を水戸に振った。あくまでも「食べたいから食べる」のではなく「香草焼きなんて食べたことがないから食べてみたい」という空気を作り出した。そんな策略に気づかず、水戸は素直に「百草さんも食べてみなよ」とナイスパスを出してくれる。こっそり細井の方を見れば気にしていない様子だったので、これはイケるとみのりはチキンを食べることができた。
チキンを味わって食べていると、そこにサークルの幹事長・神下(かみした)が現れた。

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