もぐささん(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『もぐささん』とは、栃木県出身の漫画家・大竹利朋が2013年12月19日から2014年2月13日まで『となりのヤングジャンプ』(集英社)にて、連載していたフードラブコメディ作品。ある日、主人公の小口虎雄は“普段は大人しい女の子“という印象しかないクラスメイト・百草みのりの大食いを目撃してしまう。その後、学校でも異常な食い意地と食欲を周りに隠しながらも、食の魅力に負け、幸せそうに食べるみのりを知っていく。美味しそうな料理と食い意地が張っているみのりの可愛さに心惹かれていく漫画となっている。

みのりの夢

グルメイト編集部、そこでみのりは新人のグルメライターとして活躍していた。
みんなに全てを曝け出せる訳ではないが、少しずつ食欲と向き合っていた。食欲は敵ではなく、みんなとの出会いをつないでくれたパートナー。そう思うと、自然と夢が出来ていた。グルメライターになり、食欲へ恩返しというわけではないが、色んな美味しさを多くの人に伝えたい。
人の何十倍も食べることに怯えていたが、これからは手を取り合って行きたい。その思いを小口に伝えると、「そんなことかぁ」と楽しそうに笑っていた。

『もぐささん』の登場人物・キャラクター

『もぐささん』第1巻の表紙。(右側が百草みのり、左側が小口虎雄)

主人公

百草 みのり(もぐさ みのり)

お弁当を食べて美味しそうな笑顔を浮かべる「百草みのり」

本作の主人公でヒロイン。片久理高校1年A組の生徒。髪型は肩までのボブ。爬虫類が苦手。目が悪く自宅では眼鏡を掛けて過ごしている。
一見地味で大人しく控え目な性格だが、実は異常な食欲と食い意地の持ち主。その食欲と食い意地は小さい頃からあり、幼稚園の時に訪れた動物園では、象の「ハナオ」が食べる予定だったリンゴを8個も盗み食べてしまうこともあった。しかし、物を食べる時はとても幸せそうで、小口曰く「周りの人を幸せにする食べ方」。
ありとあらゆるところに食べ物を隠しており、人に気付かれないよう食べる「ステルス食い」が得意。作中で登場した「ステルス食い」は以下である。授業中の筆記音に紛れてプレッツェルをかじる。飴を頬骨に4つ挟んでこっそり舐める。辞書にドカ弁を隠す。チョコ菓子を指に隠してリボルバーのように装填しながら食べる。パフ系のお菓子などは音を立てずに飲むように食べることが出来るなどと、食べ方はバラエティに富んでいる。また左右の頬にそれぞれご飯一膳分(140g)を含むことが出来る。ハンバーグ等の焼き料理の音を聞くと大量の涎が垂れてしまう。運動は苦手であるが、マラソンの授業では信号機や標識などを食べ物に見立てて気を紛らわすことで乗り越えていた。

しかし本人はその食い意地を恥ずかしがっており、人前で食べる時は出来る限り抑えて友人にも隠している。時々、言動や行動で食い意地の張ったボロが出てしまい、バレた時には「私は意地汚いぶたです!」などと卑下するほど隠したい一面のように思っている。

空腹時の音は掃除機レベルの騒音(約70dB)であり、楽しみにしていたお母さんのスペシャル弁当を忘れた時には「いやあああああ」という呪詛のような音になっていた。更に空腹が度を過ぎると胃が暴走するようで、子供の頃は2リットルアイスバケツを3個余裕で食べ切るなど完全に我を忘れて暴食してしまう。

本が好きで図書館でよく読んでいる。図書委員も担当しており、委員の仕事中は食べ物を口に入れる事は無い。家族は両親のほかに妹が居り、タイショーという大型犬を飼っている。妹の扱いに長けているだけでなく癖にもなっているのか、無意識に他人(おもに小口)に世話を焼く事がある。縁日では妹が食べきれないだろう量を購入し、あくまでも「妹が欲しがったから買ったが食べきれないので自分が食べている」というていで出店を楽しむ等、意外にしたたかでもある。

樫田商店の駄菓子屋で駄菓子を箱買いすることが多く、お得様になっている。また当たり付きの駄菓子をことごとく当てる運の強さも持ち合わせている。このことから近所の子供達に「神様」「もぐ様」と呼ばれているが、本人は「手の甲を舐めて唾液をつける」という願掛けのお陰だと謙遜している。
夏祭りの時に小口から「百草さんがいっぱい食べてるところ、好きだからさ」と言われたことをきっかけに、自分の食い意地を個性だと少しずつ受け入れるようになる。後に小口とは、美味しい物を食べに行ったり、食べ物の情報を交換し合う「食べ友」となり色々な店に出回る。
その後、小口に嫌われる夢を見て食欲不振になることもあり、無意識で小口への恋心を募らせていく。物語の終盤では小口食堂が忙しくなり、なかなか小口とも食べ友として会えなくなったことから、ようやく小口に対する恋心に気づく。そして小口からの告白を受け入れ、恋人になる。
高校卒業後は東京の大学に進学する。

小口 虎雄(こぐち とらお)

挨拶をする「小口虎雄」

本作の2人目主人公。実家が食堂「小口食堂」を営んでいる。みのりと同じ1年A組の男子生徒。
幼馴染の佐野夏季からは草食系と評される、大人しく自己主張の少ない性格。

ある日実家の食堂で、普段は大人しく控えめな同級生・百草みのりが大食いする姿を見てから彼女の事が気になり始める。学校でもみのりの跡をつけて大食いをする瞬間を影から覗いたり、友人たちの会話に聞き耳を立てたりなど、みのりのことを追いかけるようになる。後に同じクラスで委員長の平ちぐみから「ストーカーっぽいわよ、あんた」と言われるほど、みのりの動向を気にしている。
大人しいが決して消極的ではなく、一度みのりに告白まがいの発言をしたこともある。さらには彼女の異常な食い意地という秘密を守るため、2階から飛び降りたりなど意外な行動力がある。また、彼女の反応を面白がってよくからかって攻めるなど意外と意地悪な一面もある。みのりの食い意地に感情移入する時があり、彼女と一緒になって喜んだりする事もある。
みのりを見守るうちにみのりの食い意地を可愛いと思うようになるものの、恋愛面では奥手なようで、みのりを意識して汗だくになる事も。平に好意を指摘されてからはまともに話もできなくなり、挙動不審になってしまうようになった。百草に対する自分の行動ストーカーじみている事に内心傷ついている。
洞察力が高く、みのりの「ステルス食い」や、平のわずかな挙動を見抜いている。食堂の手伝いをしているためか料理上手で、調理実習では手際よくハンバーグを作っていた。また、実家の関係で交友関係は意外と広い。意外に器用であり、縁日のスーパーボール掬いではポイのスペックを無視するほどのボールを掬い取っていた。

夏祭りに、食い意地が張ってるのを卑下したみのりに対し「みのりが食べてるところが好き」と発言し、ひとまずは「食べ友」となる。
夏休み中も「食べ友」としてみのりとの関係も少し進展し、メールのやり取りをする仲に至る。更に、終盤で百草に手作り弁当を作り、自分の気持ちを伝えて恋人になった。
高校卒業後は京都の料亭に料理修行に出る。

友人

佐野 夏季(さの なつき)

マスクをしながらパンを食べるという技を編み出し自慢げにしている「佐野夏季」(3〜4コマ目)

小口の幼馴染。常にハイテンションで、「男はやっぱ肉食わんとな」と言って朝からでもよくチキンフライを齧っている。ツンツンとした短髪が特徴的で、みのりの小学校の同級生・多部千代子からは「タワシ」というあだ名で呼ばれている。女好きかつチャラチャラした性格で、かなりのおしゃべりかつお調子者。時々、男女グループで勉強会という名目で合コンも昼休みに行なっている。
何でもない事でも自慢げに話すため、よく周囲から呆れられている。部活に入っているようだが体力は無く、マラソンの授業では5分でばてて歩いていた。学校の連絡や配布されたプリントを全く見聞きしないので情報が常に遅れている。
趣味は木を叩いて虫を落とすこと。父親が大工で自宅も建てたもの。

平 ちぐみ(たいら ちぐみ)

大好物のグミを食べる「平ちぐみ」

みのりと同じクラスで学級委員長。腰まである長い黒髪が特徴的。頭も良く委員長としての仕事も熱心にこなし、正義感が強く融通の利かない性格をしている。そのため本人は悪いと思いつつも、男女問わずきつい物言いをしてしまう時がある。洞察力も高く、小口がみのりに想いを寄せていることにも気が付き、応援はしているようで時折アドバイスをするなど優しい一面もある。
極度の偏食家であり、みのりとは逆ベクトルの食い意地を張る少女である。嫌いな物より食べられる物を数えた方が早いほどで、朝食はほとんどグミのみで過ごしているようである。ちなみにグミ好きであることから小口の他に唯一、みのりが授業中に「ステルス食い」でグミを食べていることにも気づいた人物。
好き嫌いが多いことをコンプレックスだと恥じており、加えて「みんなは食べられるのに食べられない自分」という劣等感も持っている。そのこともあり周囲には偏食があることを隠している。
嫌いな食べ物と直面した場合、食べるのではなく口の中に隠してやり通し、後ほどイチゴ牛乳やコーヒー牛乳で流し込む荒業で処理している。コーヒー牛乳を愛飲するのは曰く、「コーヒー牛乳はありとあらゆる味を帳消しにできる飲み物だから」。そのせいで給食後は口が開けなくなるため、幼少期はクラスメイトに常に何かを怒っているように思われていたらしい。鞄の中はグミとコーヒー牛乳で占められている。あまりにも苦手な食材に出会うと、その食材に襲われる妄想をし始めるほど苦手なものへの意識は強い。人に見られていないところで口を鍛え、口内の積載量を増やすトレーニングも欠かさない。

ある時、ファミレスでプリンアラモードにメロンが乗っており、メロン及びウリ科系全般が苦手なことを佐野に揶揄われたくない意地から口の中に隠した。しかしそれを小口に見破られたことから、食に関して自分とは正反対であるみのりに興味があることを打ち明け、仲を取り持つようにお願いする。その後、距離は少しずつ近づき、みのりからは「ぐみちゃん」と呼ばれた時は感激していた。
みのりに触発されて嫌いな物を克服しようとしているが、ほとんど失敗に終わっている。
しかし夏祭りではスイカを美味しそうに食べるみのりに感化され、楽しい時間を過ごしたこともあって、苦手なスイカを無意識で食べることが出来た。やがて仲良くなり、みのりとの2人きりの勉強会にて偏食であること、好き嫌いが激しいことを打ち明けた。その際にみのりから「ごはんはしあわせ、だから無理に食べるとかしなくていいと思う」と言われ、少しずつ心から食事を楽しめるようになっていった。
ちなみに「乳飲料」のコーヒー牛乳は飲めるが、「コーヒー飲料」の缶コーヒーは飲めない。実はゆるキャラが好き。お菓子作りが得意。

足利 藤子(あしかが とうこ)

みのりの友人。バレー部のエースで運動神経抜群。みのりと同じ図書委員。バームクーヘンを1枚ずつ剥がして食べるのが好き。
みのりが高校で最初に友達になった女の子で、明るく社交的な性格をしている。みのりの引っ込み思案なところを時折心配しており、小口に対して「みのりと友達になってあげてね」と言ったりするなど面倒見がいい。みのり経由で小口と佐野とも仲良くなり、よく4人で行動するようになった。好きなタイプはサッカー選手のロナウド。

中学2年生の時に好きだった人が好きだったから、という理由でブルーベリーミックス味のソフトクリームが好き。未練があり、その好きな人である坂下先輩と再会するも同時に失恋する。落ち込んでいるところに佐野が塩バニラ味のソフトクリームを持って現れ、励ましてくれたことにより一番好きな味が塩バニラとなる。これ以前からも時々、佐野のことを意識しているが、ことごとく佐野が空気を読まない性格なために進展はしていない。

多部 千代子(たべ ちよこ)

左上(百草みのり)、右上(多部千代子)、左下(小口虎雄)

みのりの小学校時代の同級生。耳の下で髪を二つ結びにしている活発な女の子。島出身。みのりと勝るとも劣らぬ大食いで、両手で箸を操り二刀流で食べるスタイルが特徴的。自らをフードファイターと称し、大食いに誇りを持っている。
小さい頃に「子供大食い日本一」の称号をみのりにへし折られたことから、みのりをぶっちぎりで倒すまで勝負をすると決めている。ちなみに学校給食でもみのりと大食いを競っていたが、多部の転校により勝負は129勝130敗の負け越し状態で一旦休戦となっていた。ただし、みのりは毎回競っているつもりはなく、多部が勝手に勝負をふっかけてきている。
そのため、多部の中ではみのりは友達ではなくライバルという認識である。
中華料理屋「喰龍楼」で6年ぶりにみのりと再会した時も、1日5個しか作れないスペシャル杏仁豆腐を賭けて大食い勝負を持ちかけてきた。勝負は「多部と純粋に友達になりたい」「食べている時以外でも自分に興味を持って欲しい」というみのりの純粋な気持ちに打たれ、感動から調子を狂わされたと多部の方からドローを申し出た。

第4巻でみのりが披露した技、小籠包などの熱い食べ物を食べる用の技術「はふはふほー」を編み出した人物でもある。「はふはふほー」とは、「はふはふ」で熱い食べ物を口の中で回転させ、「ほー」で熱を一気に口から飛ばす高難易度の技。舌の動きと回転を合わせることで普通の何倍ものスピードで食べ物の温度を下げることが出来る。多部はまだ極められておらず、みのりしか出来ない技である。

チョコが好きで昔から「猫にまたたび、多部にチョコ」と言われているほど。
地元・厚切町では「大食い仮面ラッコガール」として町おこしにも協力している。名前の由来でもあるラッコは大食いの動物で、1日に自分の体重の4分の1も食べることから命名された。

沢山 くいな(さわやま くいな)

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