氷菓の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

「氷菓」は、2001年に刊行された米澤穂信による推理小説。
何事にも消極的な「省エネ主義」を信条とする「折木奉太郎」は、姉の勧めで入部した古典部にて好奇心旺盛な少女「千反田える」と出会う。千反田の好奇心を発端として、折木は古典部のメンバーと共に日常の中の様々な謎に巻き込まれるミステリー。人の在り方、人の心理に関して触れることが多く、数々の心に残る名言を残している。

『氷菓』の概要

「氷菓」は、2001年に刊行された米澤穂信による推理小説。および、それを第一作とする「古典部シリーズ」の総称、略称として「氷菓」と呼ばれる。
作者の米澤穂信はミステリー賞の三部門、「ミステリが読みたい!」「週刊文春ミステリーベスト10」「このミステリーがすごい!」にて史上初の三冠を、二年連続で達成する日本が誇る推理作家である。「氷菓」は彼のデビュー作で、テレビアニメ化、漫画化を経て、2017年11月には山崎賢人主演での実写映画化がされるなど、時が経っても衰えない人気を博す。

何事に対しても消極的な「省エネ主義」を信条とする折木奉太郎は神山高校に入学する。姉の勧めで入部した古典部にて好奇心旺盛な同級生、千反田えると出会う。そんな千反田はある日、折木に助力を申し出る。それは幼き千反田が伯父から聞かされた、古典部にまつわる重要な話を思い出したいというものだった。伝統的な古典部の文集「氷菓」に手掛かりがあることを掴んだ折木たちは、過去の文集および当時の神山高校について紐解いていき、千反田の伯父の身に起こった45年前の真実、「氷菓」の名前に込められた意味を解き明かすことになる。
千反田の好奇心によって様々な謎に巻き込まれていく折木奉太郎、そして同じ古典部員である福部里志、伊原摩耶花。個性的なメンバーとともに日常の中に潜む謎に挑んでいくミステリー作品であり、人の在り方、人の心理に関して触れることが多く、数々の心に残る名言を残している。

『氷菓』の名言・名セリフ

やらなくてもいいことならやらない。やらなければいけないことなら手短に。

主人公、折木奉太郎の人生のモットーであり、口癖。折木は何事においてもこのモットーに則って行動していて、本人は「省エネ主義」と呼んでいる。消極的な彼の性格が窺える、今の世代の若者を象徴するかのような名言である。

エネルギー消費の大きい生き方に敬礼。

折木は省エネ主義を掲げてはいるが、省エネ主義こそ最上と思っているわけでもなく、決して他人の生き方を見下しているわけではない。
通りすがりに、校庭で汗を流しながら必死に練習する運動部を見た感想であり、敬意を払っている様子が窺えるセリフ。

わたし、気になりますっ!

「氷菓」のヒロイン、千反田えるの口癖であり、「氷菓」を代表する言葉。
好奇心旺盛な千反田は、一度気になってしまえば納得できるまで止まらない。エネルギッシュなその発言は、「拒絶する方が労力を使う」などの理由から、腰の重い「省エネ主義」の折木をも動かしてしまう。
折木があらゆる謎に挑む、そのきっかけとなるセリフ。推理小説「氷菓」になくてはならない要素である。

データベースは結論を出せないんだ。

福部里志は自身の事を「データベース」と呼び、神山高校の様々な情報について把握している。それは福部のあらゆる方面への興味、多趣味によるものであり、逆に言えば、一つのものに拘ることがない。
一つのものに拘らず広く浅い知識を持つ福部は、深く考えて考察することを苦手としていて、そんな彼の自嘲気味な口癖。己の本質をうまく捉えているといえる。

ジョークは即興に限る、禍根を残せば嘘になる。

福部が冗談を口にした後によく言う口癖であり、福部のポリシー。ジョークというのはその場その一瞬限りで終わらせるからこそ笑えるのであり、長く引きずればそれはただの「嘘」である。冗談を好んで発することが多い福部だが、ちゃんと自分の中で嘘と冗談の境界線をわきまえた上で発言しており、決して軽いだけの適当な男ではないことが窺える。お調子者と呼ばれる人間にとっては特に考えさせられる名言といえる。

合理的な人間は概して頭がいい。だが、それは合理的でない人間が愚かだということを示しはしない。

古典部として活動を行いたいと考えていた千反田から、文集を作ろうという提案が発された。
省エネ主義の折木は文集などという面倒なものを作ることに乗り気でなく、なんとかその提案を取り下げさせるべく、せめて別の活動に変えられないかと千反田と話し合うが、千反田は「文集じゃないとだめだ」と強硬な姿勢を見せる。理由を聞くと、古典部の文集は創部当初からの伝統であり、すでに文集用に予算も計上されているという。
ただの千反田の気まぐれでなく、そこまでの理由があるのなら、いくら省エネの折木でもさすがに断りはしない。最初から伝統と予算の話をしてくれていれば折木だって難色を示すことはなかったのだ。
折木は千反田が愚かな人間ではないと確信しているが、同時に合理的な人間でないことも感じていた。頭はいいけれど無駄の多い、効率の悪い千反田に呆れながら苦笑いした折木のモノローグの一節。「氷菓」ではこのように、人の性格、人格、本質に言及した名言が多い。

全ては主観性を失って、歴史的遠近法の彼方で古典になっていく。いつの日か、現在の私たちも、未来の誰かの古典となるのだろう。

45年前の古典部員、郡山養子が書いた文集、「氷菓」第二号の序文、その締めくくりである。
そこには当時「何か」が起きたらしいことが仄めかされていて、千反田の伯父である関谷純の名前もあった。どうやら関谷純を中心とした不穏な話であるようで、その書き記されなかった何かしらの事件に対し、この文はつまり「時効」という遠回しな表現である。
張本人にとっては忘れがたい出来事でも、他の人々にとってはただの過去でしかない。時と共に忘れられることの寂しさを感じさせる名言。

ca_orz_riy3
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