目次

  1. 作品概要
  2. 主な登場人物
  3. ハッチ
  4. アミィ
  5. カマキチ
  6. セピアタウンの虫
  7. ミツバチ軍勢
  8. スズメバチ軍勢
  9. ノベライズ版
  10. ハッチ=アミィ?
  11. みつばち王国が襲われたわけ
  12. ハーモニカ演奏時のアミィ
  13. 虫パートはアミィの心の中?
  14. もうひとりの分身、クネクネ
  15. カマキチが協力してくれたわけ
  16. 「刺さないで」の意味
  17. ママが表すものは?
  18. まとめ・「ずっと友達」の意味
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作品概要

原作は1970年タツノコプロにより制作されたアニメ『みなしごハッチ』。共通しているのは、スズメバチの大群により故郷を失ったミツバチのハッチが、母を探して旅をする、というストーリー設定。絵が萌え系の上、人間の友達ができるなど大分現代的にアレンジ。元々ちょくちょくエコメッセージのを挿入してきた『ハッチ』ですが、今作でもスズメバチの巣(後述)など放送当時とは違うメッセージが込められています。ハチの巣は「城」とも表現。舞台は人間の町、セピアタウンです。世良ふゆみさんによるノベライズ版も出ています。

主な登場人物

ハッチ

みつばち王国(パンフレットより)王子。羽化したての幼い頃、スズメバチの大群により故郷を失います。老執事と共に落ち延びて以降はミツバチとして必要な技能を教えられますが、執事の死をきっかけにひとりママ(女王)探しの旅に出るのでした。「一緒にいるかもしれない」という理由で、ママではなくスズメバチの行方を尋ね回っており、色々な虫から「物騒なものを探す奴」「食べられるからやめておけ」などと言われますが、多少気持ちが揺らぐことこそあっても「どうしてもママに会わなきゃいけない」と奮起。襲撃の経験からか、強者とされる虫による弱い者いじめ(というか捕食)や困っている者を放っては置けず呆れられつつ何度も危険に身を投じます。良く言えば勇敢、悪く言えば無謀な性格ですが、優しい事には変わりはなく、元々社交的なこともあってセピアタウン内の虫たちと仲良くなりました。他の虫が気にも留めないアミィのハーモニカに心奪われて近づき、話ができるようになってからは友達として、一緒にママ探しをするのでした。

アミィ

劇中、というかシリーズ中唯一名前の付いた人間キャラクター。セピアタウンに引っ越してきたばかりで友達がいない少女。引っ込み思案ではありますがハーモニカは得意で、ハッチと出会えたのもそれが縁。当初は虫嫌いということもあってハッチ、カマキチに怯えていましたが、虫と話せるようになってからはハッチと友達になり、ママ探しの協力を買って出ます。最終的には自らスズメバチの巣を探しに行くなど、積極性を見せました。エンディングで人間の友達ができたことが描かれています。
【虫との会話能力】ハーモニカの上にいたハチ(ハッチ)に驚き駆けて行って、川の土手から転落。目を覚ますと話ができるようになっていました。頭を打ったことが原因にも見えますが、「ひとりぼっち同士で、波長が合った」というのが大方の意見。

カマキチ

原作にも登場するカマキリです。カツアゲ的に他の虫から食料を奪っていましたが(何故か虫自体は食べません)、その行為をハッチに咎められた上、何も知らないアミィにハーモニカで払いのけられるという醜態をさらす羽目に。しかし弱肉強食の掟に関するハッチの主張を間違ったものとして、体に直接叩き込むといった、ただの荒くれ者ではない印象を徐々に見せていきます。養子が複数おり、そのうちの一匹を助けられたことでハッチをスズメバチの巣に案内。単体で複数のスズメバチとやり合えるほど戦力は高く頭も切れる方で、数の多いスズメバチをできるだけ外へ誘い出す陽動作戦を提案。自身も参加しました。「最初は敵だったが、ひと悶着あってハッチと共闘」という原作での立ち位置を踏襲。しかし原作とは違い生き残り、他の虫たちと共にミツバチたちの旅立ちを見送りました。養子たちに父と呼んでほしいようですが、中々呼んでもらえないご様子。

【カマチビ】カマキチの養子の一匹。水車小屋の中でスズメバチに追い回されていたところをハッチにより救出。ハッチよりも幼くまだ飛べませんが、死というものをカマキチに教えられているようで、実母は「土に還った」と表現。ハッチを敵視するカマキチに対し、泣きながら弁護しました。

セピアタウンの虫

【ブンタ】情報屋のハエ。「フライニュース」と称する情報を皆に届けていましたが、喜んでくれる者がいないため休刊にしていました。何の情報も与えなかったハッチに礼を言われて悶々とする中スズメバチの群れが飛び立つさまを見て、なし崩し的にフライニュースを再開。直接礼を言われる描写はないものの、「ブンタのおかげで早く隠れられた」とのセリフがあります。ハッチにスズメバチの巣の場所こそ教えませんでしたが、カマキチとハッチがボコボコにやられた一部始終だけは見て皆に教えるなど、それなりに情報屋としての責任感はあるようです。担当声優は大御所の千葉繁氏(『ドラゴンボール』シリーズピラフ役など。千葉氏は冒頭のちょい役のアメンボも演じておられました)。

【クネクネ】イモムシ。足が遅いという弱点を持ちます。ハッチの友達の一匹。気弱そう(というより、ハッチが無謀なだけ)に見えて、芯は強いとのこと。カマキチに言い返す、スズメバチにさらわれそうになった際後述のニョロリだけ安全地に逃がすなど、随所でその心意気を発揮。しかしいかんせん実力や気概が足りず、脅しに屈したりスズメバチにさらわれる羽目になります。ウィンクする癖があり、ラストで成虫となった際の個体識別に役立ちました。

【ニョロリ】クネクネの幼馴染で、相思相愛のイモムシ。スズメバチ襲来時、クネクネの体当たりでアリの巣穴に落とされて事なきを得ますが、クネクネが連れ去られたショックで殻に閉じこもったとのこと。しかしそれは繭になったという意味で、最終決戦の後成虫として登場。

【ピコ】テントウムシ。姉御肌の美少女タイプ。羽の下部はレースのようなデザイン。ハッチの事情、クネクネのことを知りつつもスズメバチ相手にかなうわけがない、仕方がないとハッチを諭します。アミィから「何故ハッチだけ行かせたんだ」と咎められて後、数には数をとばかりに知り合いの虫をかき集め、皆でスズメバチの巣に襲撃を掛けました。

【ビクトル】カブトムシ。ピコに惚れています。後述のクーガとは男の勝負と称する喧嘩を毎日のように行っている模様。カブトムシだけあって中々の強者ですが、スズメバチに関しては完全に諦めており、クネクネがさらわれた際も口ごもりながら「仕方ない、諦めろ」と言いました。スズメバチ討伐の際は巣の中に入って戦っていた模様。巣が崩れ出すや、ママを助け出せないでいたハッチを強引に外に連れ出しました。

【クーガ】クワガタムシ。ビクトル同様ピコに惚れており、ビクトルとは毎日のように喧嘩(ノベライズ版で、ハッチは「仲がいいんじゃないか」と言った主旨のことを述べています)。ハッチとピコが仲良さそうに話している様を、ビクトル共々嫉妬するような描写があります。ビクトル、ピコ同様クネクネの件は「仕方ない」としていましたがスズメバチ討伐に参加。ビクトルと先を争うように巣に入って戦った模様。

【アリコン】荷物を背負ったアリ。ハッチのママがいつまでもスズメバチと一緒にいるわけがない、ミツバチはすっかり見なくなったと語りました。ハッチがカマキチに立ち向かったことを勇気ある行動とした上で、「ママを探さない勇気もある」と諭すのでした。「~でありますぜ」と変わった話し方をします。最終局面の際、アリ仲間たちと共にスズメバチの巣を解体、ママが捕らえられている牢獄の破壊に尽力しました。声の担当は映画評論家の有村崑氏。

【ミンミン】林の中で鳴き続けるセミ。その理由は「どうしても会いたい相手、愛しの君に出会うため」。ハッチ同様、会えるかも分からない者を待つ(追う)身として共感するところがあったのか、「会いたい会いたいと思い続けていれば、きっと会える」と励ましの言葉を贈ります。しかしセミの宿命で翌日には老化し、愛しの君には会えないまま「こういうこともある、しょうがない」と言って短い生涯を終えました。

【ドクモ】弱肉強食の掟そのままに生きる、メスの毒グモ。老いて弱ったミンミンが落下するのを予期して巣を張っており、邪魔なハッチから先に食べようとしましたが威勢のいいハッチは暴れ回る、動きを封じたと思ったらミンミンによる特攻で巣が破壊されるといいところなし状態。ミンミンの死体をくるんで持ち去りますが悪役感はなく、ハッチに対するセリフにも聞き分けのない子供に対する呆れのようなものがありました。スズメバチ討伐に参加し、相当数のスズメバチを仕留めた模様。

【トンタ】シオカラトンボ。厳密にはセピアタウンの虫ではありませんが、珍しいとされるミツバチを見たとミンミンに話した様子。ドーナツの味を気に入るものの、急にハッチが「シオカラトンボさんだ!」と追いかけてきたのを勘違いして逃げまどいますが、アミィに捕まりました。誤解が解けた後自分が見かけたミツバチについて話し、一旦別れるも最終決戦時オニヤンマ(スズメバチの天敵)を引き連れて再登場。

ミツバチ軍勢

ハッチの家族。緑豊かな花畑で平和に暮らしていましたが、スズメバチの大群による総攻撃でほぼ全滅。残った一部は地下に潜伏し、オケラと手を組んでスズメバチの巣へと侵入する道を作っていた模様。天敵というのを抜きにしてもスズメバチの数の多さに絶望しかけていました。セピアタウンにはとどまらず、新天地を目指し旅立つシーンがエンディングで描かれました。生き残り数はハッチ、ママを含め12匹。

【ハッチのママ】みつばち王国女王。原作ではどこか悲劇の女王といった印象でしたが、今作では優しくも毅然とした態度が目立ちました。「いつか会える」と再会を約束し、ハッチを逃がします。何故単体でとらえられているのかは不明。天敵だらけの要塞の中、気の荒いスズメバチ兵士に物申せる剛の者です。ノベライズ版ではハッチの巻いているスカーフが、ママの巻いていたスカーフを半分に裂いたものだとの記述あり。

【ミッチー】護衛兵のリーダー的な印象。ハッチ共々スズメバチの巣に侵入、こっそり女王を助けようとしますが、逆にスズメバチの女王に見つかってしまいます。攻撃力ではスズメバチに敵いませんが、可能な限りハッチを守ろうとしました。担当声優は子安武人氏(『ケロロ軍曹』のクルル曹長役、『十二国記』の景麒役など)。

【爺】ハッチを託され共に落ち延びた老執事。老いた身ながらスズメバチが追うのを諦めるほどのスピードで逃走。ハッチに飛び方、密の採り方、巣の作り方を教え二匹で暮らしていましたが、爺の愛用していた杖と巣に花を供えるような描写があることから恐らく死亡した模様。ノベライズ版では生きている爺を置いての旅立ちとなりました。

スズメバチ軍勢

ハッチの仇敵です。弱い虫は名前を聞いただけで怯え、カブトムシなどの強い虫でさえ敵わないと諦め身を隠すほど、捕食者として恐れられています。その理由の一つは数の多さにあり、「でかい群れ」「俺たちの何倍もいる」と言った形容がなされていました。しかし最強であるが故に雑魚虫と呼ぶ他種の虫が大勢で総攻撃を仕掛けてくることは予想しておらず、混乱や多くのカブトムシ、クワガタムシ、オニヤンマとの交戦で戦力を分散させられます。飽くまで自分たちの為に行動しますが、逆に言えば利害が一致すれば協力してくれる一面も。OPで「巨大な群れがセピアタウンの方に行った」という旨の証言がありますが、ハッチの仲間を捕らえた帰りなのか、巣を失っての移動なのか詳細は不明。ミツバチ同様、働き蜂がオスっぽいです。またそれなりに抜け目なかった原作とは違い、気性が荒く単純な印象。パンフレットによると王国ではなく帝国。

【スズメバチの巣】川から突き出し、高くそびえる巨城。材料は人間が捨てて行ったゴミで、内部にまで真空管が突き出すなど、内外共に生き物が作った巣とは思えない奇観。その異形性は、裏を返せばゴミ捨て場以外に巣を作る場所がなかったというスズメバチの被害者的な面を表しており、虫からは恐れられても完全なる強者ではないことを物語る場所でもあります。最上階には女王の部屋や、ハッチのママを捕まえていた牢獄がありました。アリたちにより解体されて、ミツバチ、スズメバチ両女王を閉じ込めたまま、川に沈みます。

【スズメバチの女王】スズメバチの頭目的存在。他の虫にはすべて餌かゴミ扱いで、かなり上から目線。陽動作戦を見抜く辺り兵士よりは冷静です。体をひねっての腹部による打撃、針による攻撃など、女王蜂とは思えない身体能力、戦闘力の主。恐ろしくも冷徹な捕食者である半面子を持つ母でもあり、城の崩壊が始まるや子供たちの救出に向かいます。真空管が落ちてきたため閉じ込められる形となり、水攻め状態の中羽で子供たちを守るなど、寡黙でも母としての面が描かれました。アミィが川に入って巣を拾い(雨で増水した上、流れも速くなっていました)救出された時も毅然とした態度を崩さず、礼と共に人間による環境汚染の影響を述べて去っていくのでした。(しかし、虫と話せるアミィの能力が消えかかっていたためエフェクトが入り、聞き取りづらい状況)ちなみに女王の声の担当は、平成元年にリメイクされた『みなしごハッチ』でハッチのママを演じていた榊原良子氏(『風の谷のナウシカ』クシャナ殿下役など)。劇中の「君(ハッチ)のママはスズメバチなの?」というセリフは、ある意味楽屋ネタかもしれません。

【バッチーノ三兄弟】ハッチが襲撃以降初めて接触した三匹のスズメバチ。どういう理由で三兄弟なのかは不明。ただモブ的なスズメバチとは外見も手にした槍も大きく異なっており、ハッチの仇とセピアタウンのスズメバチが同一の群れであることを表すキャラでもあります。ある意味スズメバチの象徴的な存在なのか、面識がない段階でハッチの夢に登場しました。劇中で名前を呼ばれることはりませんが、恐らく上から順にバッチーノ、バッチーニ、バッチーナ(エンディングでの紹介順)。ハッチ(ミツバチ)に味方をしたとしてアミィを攻撃しますが、川に落ちた巣を拾う際にはアミィを支えるように号令をかけ、アミィが恩人であることを女王に伝えました。柄の悪いチンピラといった話し方ですが、腹部や肩の辺りが鎧を着た兵士のようでもあります。カマチビを襲っていたのはバッチーニ単体。バッチーノの担当声優は玄田哲章氏(アーノルド・シュワルツェネッガーの吹き替えなどを担当。千葉氏同様、冒頭のアメンボの一匹を担当されています)。

【子スズメバチ】スズメバチの子供。既に体は成虫ですが、まだ虫を食べる模様。兵士たちが君主として仕える女王を「ママ」と呼んでいたこと、女王の部屋にいたことから、王子或いは姫(現実的に言えば、働き蜂にならないオスや次世代女王蜂)の可能性があります。兵士とは違い、泣いて怯える弱い存在。救出後、アミィに笑顔を向けていました。四匹いますが、名前が分かっているのはバチランとバチリンのみ。

ノベライズ版

・「いいなあママがいて」と言いかける、ママに祈るような描写がある、カマキチに立ち向かう時いくらかの恐怖心があったことなど、ハッチのキャラ付けが比較的原作に近く設定されています。

・襲撃前のみつばち王国に、ハッチの弟妹に当たる卵、幼虫が存在。スズメバチの目的がそれであったことが明記。

・OPでスズメバチの行方を教えたコガネムシとの会話が少し長いです。

・アニメでは人間という言葉すら出ませんでしたが、ノベライズ版では爺から人間の恐ろしさを教えられたとの表記あり。

・ハッチが人間の町で翻弄される描写など、カットされたシーンあり。

・水車小屋でカマチビを襲っていたのがバッチーニ一匹から三兄弟全員に変更。またセリフも兄弟で微妙に入れ替えが成されました。

・バッチーニが兄に対し、砕けた敬語を使用。アニメでは「兄貴!」としか言っていないので、普段どんな口調で会話をしているのか不明。

・ミッチーがハッチに自己紹介するシーン追加。

・最終決戦時、クーガがカマキチをねぎらうセリフ追加。

・城が水没した時スズメバチの女王は子供たちを抱え、どうすべきかじっと考え込み、アリたちが「さすがは女王」と感心する描写あり。

・エンディング、アミィが人間の友達と仲良くしているのを見てからハッチが飛び立つという描写が追加。

ハッチ=アミィ?

原作のハッチのママ探しに、種類が違くとも一人ぼっち同士で波長が合った、と言われるこの一人と一匹の友情物語という要素が追加。虫と人間は本来言葉が通じず、それぞれの言葉にエフェクトがかかり、テレビ放送の際は「虫の声」「人間の声」といった字幕が入りました。しかし、本当に波長が合っただけが原因でしょうか?

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今回のハッチはアミィの分身ではないか?そんな考えが浮かびました。ハッチ自身の物語は彼が生まれた頃から始まっていますが、アミィにとってはハーモニカの上での出会いが初です。最初に言葉を交わした虫も、ハッチでした。その言葉は「何とかして」。髪の毛に絡まったハッチは自力で脱出できず、アミィに助けを求めたのですが、何だか意味深です。髪の毛、つまり頭部でこんがらがっていたということが。

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本心が顔を出した?

友達ができずにずっと思い悩んでいたアミィの中に眠っていた、勇気と本音。それが大好きなハーモニカの上にちょこんと姿を現します。自分の本心を見たアミィは思わず悲鳴を上げて逃げ回る・・・でも、本心(ハッチ)は「助けて」と言ってきた。自分の深淵を垣間見るのは恐ろしいこと。「刺さないで」と何度も確認したのは、そんな怯えから来ていたのやも知れません。そんなアミィに、ハッチは心外といった感じに答えるのです。「刺さないよ」と。

みつばち王国が襲われたわけ