劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』とは、2019年に公開された劇場用アニメ作品。名作漫画『シティーハンター』の20年ぶりの映画作品であり、レギュラー声優陣は全員が続投している。原作者の北条司が同作の前に描いた『キャッツ♥アイ』のキャラクターもゲスト出演した。最終興行収入は15.3億円。
冴羽獠は、金をもらって悪党から依頼人を守る凄腕のガンマン。ある時、獠は進藤亜衣という女子大生から「助けてほしい」と依頼を受け、彼女の護衛をする中で新兵器の宣伝を目論む悪党と対峙していく。

『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』の概要

『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』とは、2019年2月8日に公開された劇場用アニメ作品。
当初は250スクリーン規模での公開となったが、「自分のところでも流したい」という地方の映画館からの問い合わせが相次ぎ、30〜40ほど追加されることとなった。最終興行収入は15.3億円。

1980年代後半から1990年代にかけて絶大な人気を誇った名作漫画『シティーハンター』の20年ぶりの映画作品であり、アニメ版を彩った名曲の数々が存分に盛り込まれた豪華絢爛な内容となっている。監督は劇場版作品の前々作である『シティーハンター ザ・シークレット・サービス』以来となるこだま兼嗣が登板。レギュラーキャラクターの声優も全員が続投しており、特に主人公冴羽獠(さえば りょう)役の声優神谷明は久々の主役としてベテランらしい堂々たる演技を見せた。
原作者である北条司が同作の前に描いた『キャッツ♥アイ』のキャラクターもゲスト出演し、大きな話題となる。この時、『キャッツ♥アイ』の主人公である来生三姉妹役もオリジナルの声優が担当する予定だったが、長女の来生泪役の藤田淑子は体調不良のため出演を断念。代役として次女の来生瞳役の戸田恵子が二役を務めた。藤田はその後病の悪化で逝去し、エンドロールに彼女への追悼コメントが載せられることとなった。

冴羽獠は凄腕のガンマンにして、金をもらって悪党から依頼人を守る掃除人(スイーパー)。相棒の槇村香(まきむら かおる)、かつての戦友の海坊主(うみぼうず)らと共に、新宿の街を人知れず悪党から守り続けていた。
ある時、獠は進藤亜衣(しんどう あい)という女子大生から「助けてほしい」と依頼を受ける。亜衣は何者かに狙われていたが、明確な証拠もないため警察は動いてくれず、噂を頼って獠を頼ったのだった。美人に弱い獠は有頂天になるが、亜衣を狙う者たちは素人とは思えない手練ればかりで、「なぜこんな普通の女の子がプロに狙われるのか」と首を傾げる。やがて彼は、新兵器の完成と宣伝、それによる紛争の拡大を目論む凶悪な武器商人を相手に大立ち回りを演じていく。

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『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』のあらすじ・ストーリー

女子大生の奇妙な依頼

冴羽獠(さえば りょう)は凄腕のガンマンにして、金をもらって悪党から依頼人を守る掃除人(スイーパー)。公私に渡る相棒である槇村香(まきむら かおる)、かつての戦友にして商売敵である海坊主(うみぼうず)らと共に、新宿の街を人知れず悪党から守り続けていた。
アメリカで大きな成功を収めたIT企業「ドミナテック」社の若社長御国真司(みくに しんじ)が数年ぶりに帰国することが話題になったある日、獠は進藤亜衣(しんどう あい)という医大生から「助けてほしい」と依頼を受ける。亜衣は父の事故死以来何者かに狙われていたが、明確な証拠もないため警察は動いてくれず、噂を頼って獠を頼ったのだった。

美人に弱い獠は、「護衛を口実にかわいい子と一緒にいられる」と有頂天になるが、そんな彼の悪癖を知る香に猛烈な制裁を受ける。しかし実際に亜衣は何者かに身柄を狙われており、そのいずれもが軍事的な訓練を受けたプロフェッショナルばかりだった。「こんな普通の女の子が、どうしてプロの兵士に狙われるのか」と獠たちは首を傾げる。
亜衣はモデルとしても活動しており、護衛の一環として獠たちは撮影会にも立ち会うこととなる。この時モデルに欠員が出たため、香が代打でモデルを務める。マニッシュな服装を好む香は、そのモデルが着るはずだったウエディングドレスを着させられて戸惑うが、獠に「いつもと変わらない」と言われて大いに不機嫌になる。この時、撮影会には出資者である真司も現れ、香は彼が自分の幼馴染であることに今さら気付いて大いに驚く。

父の遺したもの

真司は香との再会を喜び、「久々に話がしたい」と彼女を食事に誘う。せっかく綺麗に着飾ったのに獠にバカにされたと不満を溜めていた香は、その意趣返しも兼ねて真司の誘いに乗る。真司は香にただの旧友という以上の感情を抱いており、自分のパートナーになって仕事を手伝ってほしいと伝えるが、香は「兄から継いだ仕事で、放っておけないヤツもいる」とこの申し出を断る。
香が真司と親しくすることを気に掛けつつ、獠は亜衣を襲撃するプロの兵士たちが何者なのかを調べていく。やがて海坊主からの情報提供で、彼らがドミナテックと関わりがあること、不審な形で事故死した亜衣の父である酒井純一(さかい じゅんいち)がなんらかの兵器の研究を行っていたことが明らかとなる。

酒井は脳科学の研究の第一人者で、ドミナテックに命じられて“考えるだけで兵器を操る”新技術メビウスを開発。しかし酒井は、何を考えてか厳重なプロテクトでメビウスのシステムをロックしたまま脱走。ドミナテックの手の者たちに追いかけられる中で事故死してしまい、プロテクトが解除できずにメビウスは動かせない状態となっていた。亜衣が兵士たちに追われていたのも、「彼女がメビウスのプロテクトを解除するなんらかの情報を持っている」と目されたからなのだった。
15歳の時に両親が離婚して以来、1度もあったことの無い父親と自分の意外なつながりに驚く亜衣。彼女が医大に入ったのも「医者になる」という父の夢を継ぐためだったが、事情も話さずに自分の前から去って行った酒井を許せなくなった亜衣は、母の死をきっかけに休学してモデルの道へと進もうとしていた。獠が「酒井にも酒井なりの事情があったのではないか」と亜衣を諭す一方、香は幼馴染だった真司が武器商人と組んで悪事に手を染めているという事実に衝撃を受ける。

メビウスの起動

真司はアメリカで「“自分が戦争に巻き込まれるかもしれない”という恐怖が武器を買わせる原動力になる」というウォーフェア理論を唱え、これに興味を覚えたヴィンス・イングラードという武器商人をパトロンにしてドミナテック社を急速に発展させていた。彼の目的は、酒井に作らせたメビウスを完全な形で起動させ、その力を世界中に喧伝して大量の武器を売りさばくことにあった。そのための格好の標的として、真司は裏社会でその名を知られた獠に目を付ける。
この時点で真司は酒井がメビウスに施したプロテクトを解くカギが亜衣の網膜パターンであることを突き止めており、彼女を狙うのもこれが理由だった。獠に諭されたことで「父はどういう人物だったのか」を今さらながら知りたくなった亜衣は、「酒井の遺言を聞かせてやる」という真司の誘いに逆らえずに彼の下へと走る。この際、真司の配下の兵士たちは海坊主が表向きの仕事として経営している喫茶店を「余計なちょっかいを出される前に潰す」とばかりに銃撃してメチャクチャに破壊し、彼を大いに怒らせる。

真司は約束通り亜衣に酒井の最後のメッセージ動画が記録されたスマホを渡すも、亜衣がこれを見詰めている間に網膜パターンを読み取り、メビウスのプロテクトを解除。もはやお前に用は無いとばかり、「逆らえば家族に危害を加えると言ったら、酒井はとても素直に協力してくれた」と嘲笑と共に亜衣に伝え、「父が私たちを捨てたのも、命を失うことになったのもお前たちのせいだったのか」と泣き叫ぶ彼女を新宿の街中に放り出す。ヴィンスが集めた世界各国の兵器のバイヤーたちの前で、亜衣を囮にして獠を誘い出そうというのだ。
この時、海坊主の店の大家にして名うての怪盗「キャッツアイ」でもある来生泪(きすぎ るい)、来生瞳(きすぎ ひとみ)、来生愛(きすぎ あい)の三姉妹はたまたま日本に戻ってきており、戦闘で半壊した店を見て驚く。「借りはきっちり返さないと」と彼女たちと海坊主が盛り上がる中、獠は戦いに備えて静かに用意を整えていた。そんな彼に、香は「真司を止めたい、彼のところに行く」と言葉少なに告げる。

暗夜の死闘

メビウスシステムによって起動する無数の軍用ドローンが新宿の街に放たれ、解放された亜衣を襲撃。彼女と合流した獠は、ドローン相手に奮戦しつつ新宿区内の大きな公園へと移動する。ここで「敵が今狙っているのは亜衣ではなく自分だ」と察して亜衣を警察の知り合いに預けた獠は、応援を買って出た海坊主と共に無数のドローンを相手に大立ち回りを演じる。
銃弾さえ弾く軍用ドローンを相手に、獠は「跳弾を利用してプロペラ部分を破壊する」という神業で対抗。真司が切り札として投入した大型ドローン相手に対してはさすがに苦戦するも、ここでバイヤーたちを前にデモンストレーションに興じる真司の下に香が乱入。拳銃を突きつけて「こんなことはやめてほしい」と訴えるも聞き入られず、そのまま拘束されてしまう。しかしこの隙に獠は態勢を整え、「発射された直後のミサイルを拳銃弾で迎撃する」という恐るべきテクニックで大型ドローンを撃破する。

この結果にヴィンスは苛立ち、真司からメビウスを奪おうとする。真司はこれを拒否してヴィンスを射殺し、「メビウスさえあればウォーフェア理論はいつだろうとどこだろうと実践できる」と豪語する。ここにドローンを蹴散らした獠や海坊主が駆け付け、護衛の兵士を蹴散らして真司を追い詰める。真司はなお諦めずに残っていたドローンを使って空へと逃げ出すも、そうはさせじと香がつかみかかったことで2人分の体重を支えられずに地面に落下。追いついた獠がメビウスシステムを破壊し、真司の野望に終止符が打たれる。
かくして真司は逮捕され、こっそり逃げ出していたバイヤーたちは来生三姉妹に成敗されて警察が確保。事件が無事に解決する一方で、海坊主は店の再建にかかる費用に頭を抱える。狙われる心配の無くなった亜衣は、「もう1度父の夢を継いでみたい、自分の意志で追いかけてみたい」と考えるようになり、医大に復学することを決意。自分も獠と香のような心から信頼しあえるパートナーを見付けたいと言い残し、香に撮影会で撮ったウエディングドレス姿の写真を渡して去っていく。これを見た獠は、「いつもと変わらない」と相変わらずの感想を述べて香を怒らせるも、内心で「いつも通り一番綺麗で、一番大切な相手だ」と密かに付け加えるのだった。

『劇場版シティーハンター <新宿プライベート・アイズ>』の登場人物・キャラクター

主要人物

冴羽獠(さえば りょう)

CV:神谷明

新宿で活動する掃除人(スイーパー)。裏社会ではナンバーワンとも称される凄腕のガンマンである。少年時代に飛行機事故に遭って記憶を失い、反政府ゲリラ部隊に身を置いていたことがあり、現在の実力はこの時に培われたもの。各種銃火器の扱いに長け、さらには格闘術にも精通している。
かなりのイケメンな上に均整の取れた体つきをしているが、かなりの好色家で美女に滅法弱く、女性には敬遠されがち。かつての相棒槇村秀幸の妹である香のことは、仕事の上では強い信頼で結ばれた無二のパートナーであり、内心では誰よりも大切な存在だと認識している。

牧村香(まきむら かおり)

CV:伊倉一恵

獠のかつての相棒だった槇村秀幸の義理の妹。兄の死後、その死の真相を突き止めたい想いもあって獠の仕事を手伝うようになり、そのまま彼の新たな相棒となった。
女性の依頼人などに獠が不埒なことをしようとすると、どこからともなく取り出した巨大なハンマーで制裁するのが常。獠に対しては全幅の信頼を寄せる一方、異性として意識している部分もあり、「獠からも信頼されている自覚はあるが、それは友人としてなのか仕事上のパートナーとしてなのか分からない。彼が関係を進めることを望まないなら今のままでいいのかもしれない」との悩みと迷いを胸の奥底に抱えている。

進藤家

進藤亜衣(しんどう あい)

CV:飯豊まりえ

本作の依頼人にしてゲストヒロイン。医大に通う学生とモデルの二足の草鞋で活躍する才女だが、現在は大学の方は休学中。父が不審な事故死を遂げて以来、怪しい男たちに追われるようになった。
15歳の時に突然離婚を言い渡して自分たち母娘の前から去った父に対しては複雑な想いを持ち、憎しみと共に「あんなに優しかったのにどうして」との疑問を捨て切れないでいる。

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