ゾン100(漫画・アニメ・実写映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』とは、ゾンビパニックによって社畜を脱した青年が、ゾンビの脅威に晒されつつも自由を謳歌する麻生羽呂原作、高田康太郎作画による漫画作品。ゾンビによる社会崩壊を「労働からの解放」と前向きに捉える斬新な設定で好評を博し、2023年のアニメ化以降は海外からも注目される。
過酷な労働に苦しむ日々を送っていた天道輝は、ゾンビパニックで社会が崩壊したことで会社から解放される。これを喜んだ輝は、「ゾンビになる前に今までできなかったことをやろう」と決意する。

『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』の概要

『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』(ゾンひゃく ゾンビになるまでにしたいひゃくのこと)とは、ゾンビパニックによって社畜を脱した青年が、ゾンビの脅威に晒されつつも自由を謳歌する麻生羽呂原作、高田康太郎作画による漫画作品。
ゾンビによる社会崩壊を「労働からの解放」と前向きに捉える斬新な設定で好評を博し、同時に「ゾンビ映画以上に過酷な日本の労働環境」を風刺した内容にもなっている。2023年に放送されたアニメ版では、ゾンビパニック前は暗く狂気的、後は明るく華々しい画風で描かれ、「ブラック企業で働く者からすれば、ゾンビパニックは楽しいもの」というコンセプトをより強調した演出が施されている。同年には実写版もネット配信で公開され、海外からも注目される作品へと成長していった。

過酷な労働に苦しむ日々を送っていた天道輝(てんどう あきら)は、唐突なゾンビパニックによって社会が崩壊したことで会社から解放される。これを「もう働かなくていいんだ」と喜んだ輝は、ゾンビになる前に今までできなかったことをやろうと決意し、やりたいこと100項目を打ち立てる。
輝が自由を満喫する一方で、ゾンビの蔓延による被害は拡大と深刻化の一途を辿っていく。輝とその仲間たちは、力を合わせて生き延びつつ、“やりたいこと”を少しずつ実行していくのだった。

『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』のあらすじ・ストーリー

ゾンビパニックと社畜からの解放

大学卒業後、天道輝(てんどう あきら)は憧れていた会社に入社してやる気に燃えていた。しかしその会社の実態はブラックもいいところで、上司の小杉権蔵(こすぎ ごんぞう)からは容赦の無いパワハラの嵐を浴び、過酷な労働に心と体を擦り減らす日々を送ることとなる。会社への泊まり込みが常態化して家にも帰れず、憧れていた先輩社員の鳳沙織(おおとり さおり)は社長の愛人。3年後には、輝も「会社に行きたくない、死にたい」とこぼすまで追い詰められていた。
しかしそんなある日、ゾンビ化した無数の人々が都市を制圧する、いわゆるゾンビパニックが発生。人々が恐慌する中、輝は「もう働かなくていいんだ」とこれを喜び、3年ぶりの自由を満喫しようと大はしゃぎする。

差し当たってゾンビ化していた社長に辞職を伝え、襲い掛かってきた彼を投げ飛ばし、その場でやはりゾンビ化していた沙織に想いと別れを伝え、ゾンビから走って逃げ回りつつ自宅に帰還。いつか自分もゾンビになるのだとしても、これまで働き詰めだった分はしっかり楽しもうと考えた輝は、「ゾンビになるまでにしたい100のこと」をノートに書き溜めていく。
一方、同じくゾンビパニックに巻き込まれたOLの三日月閑(みかづき しずか)は、確実に生き残るためにゾンビ映画を研究して「ゾンビにならないためにするべき100のこと」をまとめる。街中で偶然輝と出会った閑は、彼を「混乱の中で典型的な刹那主義に走る愚か者」と決めつけ、内心で反面教師にするのだった。

親友との再会

輝がゾンビパニックを前向きに楽しむ間にも、人類はゾンビを相手に一進一退の戦いを続け、首都圏でネット環境が回復。これを喜んだ輝は、友人の安否を片っ端から確認し、学生時代の部活仲間だったケンチョこと竜崎憲一朗(りゅうざき けんいちろう)に会いに行こうと考える。
そのケンチョは不動産会社に就職して出世街道を進んでいたが、実際は客を騙すような手口で実績を稼ぐ今の仕事に嫌気が差していた。ゾンビ相手にホテルで籠城していたケンチョは、「外はゾンビだらけで逃げられない、ここで力尽きるしかない」と絶望していたが、駆け付けた輝と合流。途中ゾンビに追いつかれそうになるも、輝の激励で勇気を振り絞り、「本当はお笑い芸人になりたかった」との本音を吐き出しつつ脱出に成功する。危ういところで生き延びた2人は、互いの再会と生還を喜びつつ、一晩中飲み明かす。

その後ケンチョは輝の「ゾンビになるまでにしたい100のこと」を記したノートに興味を持ち、自分も同様にやりたいこと、やりたかったことをやろうと決める。差し当たって「大きなテレビが欲しい」と考えた2人は家電量販店の多い池袋に赴くが、そこでゾンビの大群に追いやられてデパートの地下に逃げ込む。
そこには数人の男女が閉じ込められており、輝は「ノートに記した“彼女を作る”という目標を達成するチャンスでは」と期待に胸膨らませる。しかし少しずつ仲良くなったところでゾンビに噛まれていた男が暴れ出し、輝とケンチョ以外の者たちが全員ゾンビ化。なんとか脱出した輝たちは、目的のテレビを手に引き上げるも、“誰も救えなかった”という事実に心痛めるのだった。

ヒーローの資格

ゾンビパニックは日本各地に広まっていたが、人々の抵抗も激しく、いくつかの地域ではゾンビの隔離に成功していた。これを聞いた輝は「自分の田舎の群馬もまだ健在かもしれない」と考え、1度実家に帰ることを考え始める。その前に、東京でしかできないこととして、輝は「ヒーローになる」という子供の頃の夢を叶えようとする。
具体的には、水族館で対サメ用の防護ウエットスーツを調達して、これを着てゾンビに襲われている人を助けようというのだ。輝とケンチョがこのウェットスーツを手に入れたちょうどそのタイミングで、水族館の前では逃げ遅れた人々がゾンビに襲われようとしており、輝はケンチョと協力して彼らを館内に匿う。その中には、以前輝がコンビニで出会った閑の姿もあった。

再会を喜び、「連絡先を教えてほしい」と頼み込む輝だったが、閑は心底呆れて「あなたのように迂闊な行動ばかり取る人に連絡先を教えても自分の生存率を下げることにしかならない、そもそもここで何をやっているのか」と彼に問う。輝が事情を説明すれば、「ヒーローになって何がしたいのか、それが生存にどう役立つのか、その行動が仲間を危険に晒す可能性を考えたのか」と手厳しい指摘が続く。それに辟易としつつも、閑が閑なりに「少しでも長く生き延びる」ことを目標に活動していることを輝が理解したその時、水族館内に潜入していたゾンビが一行を襲う。
どういう理屈か、その中には“サメに飲み込まれたダイバーのゾンビ”も存在し、水槽の外をサメが歩き回るという異常事態に輝たちは恐慌。1度は逃げ遅れた閑が孤立するも、取って返した輝とケンチョが死に物狂いで時間を稼ぎ、サメの弱点を突いた攻撃でどうにかこれを退ける。なんとか水族館から脱出した輝たちはその場で別れるも、閑は「今回はあなたたちのお陰で助かった」と素直に認め、自分もゾンビで溢れる東京を去ることを打ち明ける。続いて「恐らく2度と会わないし、そのあなたに教えても自分の生存率に与える影響はほとんどない」と言いつつ自分の連絡先を輝に教えるのだった。

ブラック生活の再来

物資が枯渇し始めたことで、輝とケンチョは東京からの脱出を計画する。そのためにキャンピングカーを調達しに行った先で閑とも再開した2人は、彼女も旅の仲間に加えて輝の実家のある群馬を目指す。
その途中、高速道路に敷設されたスパイクによりキャンピングカーがパンク。これを仕掛けたのは小杉と彼の率いる草野球チームの面々で、曰く「我々はこの近くのサービスエリアに立てこもっており、これはそのための防衛策の一環」であるという。かつて職場で散々に虐げられた小杉を前に、輝は反論する気力さえ失い、唯々諾々と彼に従うのみとなってしまう。

父親から絶対的な服従を求められて生きてきた閑は、そんな輝にかつての自分自身を重ねて苛立ちを募らせていく。思考を停止し、過酷な労働を強いられ、それでも「外はゾンビだらけで危ないし、ここで小杉の下で働きながら生きていく」と言い出す輝だったが、閑に「自分を利用しようとする者に自分の運命を委ねるな」と一喝され、再び群馬を目指す旅に出ることを決める。
都合のいい労働力として輝を確保しておきたい小杉は恫喝してこれを止めようとするが、ここで荷物に紛れて入り込んだゾンビが暴れ出し、サービスエリアに避難していた人々はパニックに陥る。小杉も逃げ回ることしかできない中、輝は迅速な指揮で入り込んだゾンビを片付け、被害を最小限に抑える。これで小杉は面目を失い、少なくない人々が“自分の意志で”サービスエリアを去っていく。むりやり労働力を集めて好き勝手やっていた小杉に別れを告げると、輝たちは再び群馬を目指して車を走らせていくのだった。

新たな旅の仲間

輝の田舎を目指す旅の途中、一行はベアことベアトリクス・アメルハウザーというドイツ人の女性と出会う。彼女は幼いころから日本に憧れ、貯金を溜めてようやく来日したはいいものの、ゾンビパニックに巻き込まれて予定していたことができないばかりか明日の命の保障もない日々を送っていた。
それでも「どうしても寿司が食べたい」と考えたベアは、掻き集めた新鮮な魚を高崎の寿司職人に届ける真っ最中だった。「うまくいけば自分たちも寿司が食える」と考えた輝たちは、ベアに全面的に協力。彼女に日本旅行を楽しんでもらうため、それに便乗して自分たちも楽しむため、輝たちは高崎でたらふく寿司を食べたり、草津で温泉を楽しんだりと過酷な旅を満喫する。

輝の田舎の大騒動

旅を続けた輝たちは、ついに当面の目的地としていた彼の故郷へと到着。街に唯一続くトンネルはゾンビで溢れていたが、この出入り口を封鎖したことで、村の人々は全員無事だった。
3年ぶりの帰郷に感極まり、「何か恩返しをしたい」と考える輝だったが、父からは「生涯をかけて追いたい夢を探せ」と諭されるのみだった。しかしその父が病に侵されていること、街から村に避難してきた者たちの中に「これまで自分たちを虐げてきた社会に好きなだけ仕返しするチャンスだ」と犯罪計画を進める一団がいることにはまったく気付いていなかった。

『ゾン100〜ゾンビになるまでにしたい100のこと〜』の登場人物・キャラクター

天道輝(てんどう あきら)

CV:梅田修一朗
演:赤楚衛二

ブラック企業に勤める青年。学生時代はラグビー部で活躍しており、身体能力は抜群に高い。
突然のゾンビパニックによって社畜から解放され、「もう働かなくていいんだ」と大喜びする。一方で近所で暮らす一家がゾンビに襲われる様を目撃するなど、「自分もいつゾンビになるか分からない」ことを覚悟し、それまでにやりたいこと100項目をまとめ始める。

三日月閑(みかづき しずか)

CV:楠木ともり
演:白石麻衣

都内で働いていた外資系金融マン。「少しでも長く生きるために、決してゾンビにならないために」を目標にゾンビ映画を大量に視聴し、ゾンビにならないためにするべきこと100項目をまとめ、それに従って生活している。働いていた頃の癖が抜けず、日常的にビジネス用語を連発する。
コンビニで偶然輝と出会い、彼を「パンデミックの中で刹那主義に走る典型的な愚か者」と判断し、内心で反面教師にする。

竜崎憲一朗(りゅうざき けんいちろう)/ケンチョ

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