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mhubertのレビュー・評価・感想

King Gnu / キングヌー
10

カルチャーの創造

変態音楽家集団。この言葉がよく似合う。彼らは今までの音楽をリスペクトしつつ、見事に自分たち独自の音楽を作り上げている。バンド内の二人が東京藝術大学の出身者であることはもう何百回と言われてきたことだろう。しかしそのキャリアはもはや横に置いておきたい。いや本人からすれば置いておきたくないほどの努力はあっただろうが、そこを通過しなくともどこかで頭角を現し世に出てきていたことは明らかである。バンドをあえてジャンル分けするならば「ミクスチャーロック」ということになるだろう。このジャンルにはアメリカのビッグバンドRage Against the Machineがいる。ボーカルがドレッドヘアを振り乱しながらヒップホップを歌い、楽器隊がロックをかき鳴らす。ギターはハーバード大学出身のこれまた変態だ。何故かギターからターンテーブルのスクラッチ音が出る。King Gnuのフロントマン、常田もこれに匹敵するものがある。どんな改造を施してあるのだろうという見た目のギターでステージに立ち、その時に鳴らしたい音を出す。それは他の楽器隊も同じで、その根幹にあるものは変態的な音楽への愛情である。そこにボーカル井口の洗練された歌声が乗る。このバンドでなければ成立しないバランスだ。

Little Black Dress
8

令和版歌謡曲の幕開けを予感させる新星

「Little Black Dress」
初めてその名前を聞いたとき「黒で彩ったパフォーマンス集団か?」と勘違いしたが、これは1人の女性シンガーソングライターのプロジェクト名。
若干22歳が紡ぎ出す音楽が、私たちに「令和版歌謡曲」を提唱する。

何故「令和版歌謡曲」なのか?
彼女の音楽ルーツは幼少期に家族が聴いていた「昭和歌謡」。
歌謡曲から強い影響を受けた彼女は、高校1年の春にギターを弾き始めたことをキッカケに音楽活動をスタート。高校2年の夏にはオリジナル楽曲の制作などにも着手する。
これまで120曲以上のオリジナル楽曲制作と共に、ライブでは「勝手にしやがれ」「プレイバックPart2」「飾りじゃないのよ涙は」「渚のシンドバッド」と昭和歌謡レビューさながら、オーディエンスを虜にしてきた。

そんな昭和歌謡から多分に影響を受けた彼女の音楽は「歌謡曲の持つ“幸せに隠れている翳り”」がテーマ。
1stシングル「夏だらけのグライダー」。
ここに彼女が解釈した「昭和歌謡」のエッセンスが間違いなく詰まっている。

「Black Dress」。
1926年、喪服というイメージが強い「黒いドレス」を「モード系ファッション」に塗り替えたのが、ファションブランド・シャネルの「Little Black Dress」。
このシャネルのように、若い音楽家が「昭和歌謡」のイメージを「令和系スタイル」に塗り替えるのではないか、今から楽しみだ。

下ネタという概念が存在しない退屈な世界
5

徹底的に性に関する情報が規制されてしまった世界で生きる、若者たちの末路

「公序良俗健全育成法」という架空の法律が制定された世界、完全に性知識を奪われた社会で生きる若者たちは、性的な言葉(下ネタ)というものの存在すら知らない世界を生きている。
その影響で、若者たちはまともな性教育を受けていないために子作りができず、少子化が起きるほど徹底されている。…というトンデモ設定です。

主人公たちは様々な理由で「下ネタ」を知っていて、下ネタを再び社会に広めるべき活動していますが、やはりその世界の若者たちの大半は性を知りません。

中でもこの世界の被害者であり、自覚なく加害者になっているヒロインの一人が主人公たちが通う学園高等部の生徒会会長であるアンナ・錦ノ宮です。
公序良俗健全育成法と両親、周囲の教育により性知識も全く持たない状態にも関わらず、卑猥なものは全て悪とする認識を持ち、悪は絶対に許さないという考えを持っている。
この矛盾は、彼女が主人公に好意を持つようになった時に如実に現れてしまいます。
性知識がゼロのまま本能的に突き動かされる恋心は、欲情との区別がわからないために力づくで主人公へ性行為を行おうとするという、自身がもっとも嫌うはずの卑猥な行為の中でもひどい行動をしてしまっています。

どんどん規制が進んでいったらと、おそろしい想像が出来なくもない社会派アニメ…とは思えないお下品下ネタアニメです。

プレーンズ / Planes
8

かわいい飛行機が大活躍、愛情いっぱいの物語

2013年にディズニー・PIXERから発表された、『カーズ』『カーズ2』のスピンオフ作品です。丸みを帯びた愛くるしい飛行機や自動車、戦闘機が多数出てきて、男の子にはうけること間違いなしのストーリーかと思います。またビックリしたり、恐かったりするシーンがないので小学生以下の子供にも楽しめると思います。
物語は農薬散布機として働く飛行機のダスティが世界一周レースに参加するところから始まります。ダスティはずっと憧れていた世界一周レースに滑り込みで参加することになったものの、まわりは農薬散布機をバカにして相手にしません。
バカにされても前向きな気持ちを忘れないダスティは友人たちの車や、元戦闘機で退役したスキッパーとともに繰り返し速く飛ぶための練習を重ねます。
世界一周レースでは世界各国のベテラン飛行機たちが多数出場し、初心者のダスティは全く歯が立ちません。スピードを上げるために装備を外し、得意の低空飛行を続けた結果、トップに踊り出るのですが…
この中で私が印象に残るのは、人間が一度も出てこない点です。レースの観客も整備の車、アナウンサーもすべてが車と飛行機だけではじめは違和感がありましたが、慣れると可愛らしいキャラクターばかりで面白いです。
飛行機の魅力が存分に描かれ、わかりやすいストーリーとひょうきんで愛らしい飛行機たちに必ず癒されるはずです!

ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか / ダンまち / Is It Wrong to Try to Pick Up Girls in a Dungeon?
8

見るごとに自分も成長していくアニメ

今回おすすめするアニメは「ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか」です。大森藤ノによるライトノベルが原作で『のだめカンタービレ』や「とあるシリーズ」のアニメーションを担当するJ.C.STAFFがアニメ制作しています。
地下にダンジョンが広がる円形都市「オラリオ」を舞台に、英雄にあこがれる主人公ベル・クラネルが炉の女神ヘスティアの眷属となり、ダンジョンへ挑んでいくファンタジー作品です。
人間だけではなく、神やエルフ、獣人などさまざまな種族が入り混じった世界で多くの価値観に影響をうけ、時には苦しみながら主人公であるベル・クラネルが人として、そして英雄として成長していく姿が描かれています。
アニメシリーズは2022年から第4期が放映されることが決定してる人気作です。アニメの魅力としてはなんといっても主人公の実直で思いやりのある行動が多くの仲間の心を揺さぶり、一人では太刀打ちできない巨悪や強い敵を打ち砕いていくところにあります。
その反面、主人公の未熟さゆえにオラリオ全体を巻き込んだ大きな問題に発展してしまうなど、人間味あふれるストーリーも作品の良いエッセンスとなっていて、実の人間社会にもあるようなちょっとした妬みやすれ違いなど共感しやすくてドラマチックな展開が世界観に没頭できる要因になっているでしょう。
ベル・クラネルを自分に重ね合わせ、問題をどうすれば打開できるのか。自分ならこうして対処するのになど、考えながら楽しめます。見れば見るほど自分の人間力も成長するアニメとしておすすめです。

ハイキュー!! / Haikyu!!
10

リアルと願望の融合

高校生が春高を目指す男子バレーボール部のスポーツ漫画です。
子供がバレー部に入ったことで買い始めたのですが、親もすっかりハマってしまってます。スポーツ漫画でありがちな、「現実としてあり得ないよね?」という部分も多少はありますが、ほぼリアルに忠実だと思います。
コートの中での選手の動きや、どう考えてそのポジションの子が動くかなど、実際のプレーそのままです。高校生男子なので、それぞれいろいろ考えてるけど、イジメなど陰惨な映写は今の所なく、読んでいてスッキリ。思わず、手に力が入って読んでしまうほど、スポーツに無縁な人間でもスポ根が芽生えてしまう、それくらい読み応えのある漫画です。
そして、描写の仕方もすごくキレイで、選手が飛び上がる姿は、本当にそのカメラワークから物語が見えるかのように、立体的。人体を描くことをとても練習されてるんじゃないかと思います。
そして、それぞれのキャラクターも魅力的。いろんな性格の子がいて、個性豊かだけどひとつのことに向かって、頑張っている姿は涙を誘います。自分の息子たちが頑張っているかのように、応援してしまいます。アニメもやっているので、両方で見ていますがどちらも良いです。

キングダム / KINGDOM
8

女性の管理職におすすめのマンガ

キングダムは、中国の春秋戦国時代の史実から創作された漫画です。
この時代について元々興味のある方は、もしかしたら女性には少ないかもしれません。絵に力強さがあり女性には手に取りにくかったり、主人公が男性なので感情移入しにくい印象もあるかもしれませんが読んでみて、女性にこそこの漫画おすすめしたいと思いました。
キングダムには、とても多彩な女性キャラクターが出てきます。この女性キャラクターたちは、ただのわき役ではなく一人1人に物語があるので、感情移入できるキャラクターがきっといると思います。
私が特に女性にキングダムをおすすめしたい理由は、この多彩な女性キャラクターが戦乱の世の中で、大多数が男性ばかりの中、とても華々しく活躍するとことです。キングダムに登場する女性たちは、自分の中にしっかりと理想を抱き自分の信念に基づいて行動し、周囲の人々を惹きつけて先導していきます。女性が社会に出ると様々な、壁にぶつかることも多いと思います。キングダムには登場する女性キャラクターの中に進むべき道を指示してくれるようなキャラクターと出会えます。特に管理者の方には、自分の目指したい理想のリーダー像を見つけることができると思います。キングダムでは、それぞれの将軍たちが、各々の信念に基づいてリーダーシップを発揮しています。女性管理職は、まだまだ数も少なく困難も多いと思いますが、キングダムのキャラクターたちから状況を打破するヒントがもらえるかもしれません。

転生したらスライムだった件 / 転スラ / That Time I Got Reincarnated as a Slime
9

RPGをしたことない人にも楽しめるRPG漫画

平凡なサラリーマンがある日異世界にスライムとして転生しちゃった!転生する時に得たスキルと持ち前の人の良さで、困ってるモンスターを助けていきます。確実に増えていく仲間たちと敵を倒し村をつくり、国をつくり発展させていく本格的RPGストーリー。緊迫感とほのぼのさが、上手く混じりあい、がっつりはまってしまいます。個性豊かなキャラクター設定も素晴らしいです。
この漫画の素晴らしさはストーリーだけでなく、少しずつ進化していく服や建物、料理、モンスターの知識など背景をおっていくのも凄く楽しみになっています。もともとサラリーマンだったスライムが自分の経験をもとに、モンスターの生活を向上させるだけでなく人間との架け橋の役も担っていく姿はファンタジーを越して尊敬してしまうシーンも見所となってます。
また、構成豊かなのは巻末にはいっている数ページの小説。転生して初めての親友になった竜のヴェルドラと、戦いの末に捕食した上位精霊のイフリート。二人が主人公のスライムのリムルの中から観察している所が描かれています。ストーリーを別角度から見て話している様子が非常に面白く、かつ癒されます。RPGならではの、一つのストーリーをクリアする度に進化していくリムルの能力に世界観。ゲーム好きもしない人でも満足いく漫画です!

ソードアート・オンライン / Sword Art Online / SAO
10

ソードアートオンライン、おススメアニメです!

私がおススメするアニメは「ソードアートオンライン」です。百聞は一見に如かず、で、一話見ればその面白さがすぐにわかると思うのですが、できうる限り面白さをお伝えしたいと思います。
設定は近未来、バーチャルリアリティー技術の進化で、ゲームが現実のように体感できる世界で、ゲームの中に閉じ込められた主人公たちが現実へ戻るために戦いはじめるというストーリーです。
ゲームで死ぬと現実の自分の命も終わってしまう、そんな危機的な状況の中で、勇ましく戦いはじめる主人公はカッコいいです。また、タイトルの通り、剣で敵を倒していく姿はアクションアニメとしても楽しめるクオリティです。
ヒロインを含め可愛い女の子がたくさん出てきます。とくにヒロインのアスナは可愛くて強くて料理も上手という、女性でも憧れるような素敵な女の子です。
話はバトルばかりではなく恋愛やほのぼのとした話、泣ける話や謎解きのお話もあって、次々に面白いお話が出てきて、見ていて飽きることがありません。ソードアートオンラインは本編の続きやスピンオフアニメなど、沢山の関連作品があるので、気に入ったら色々見ると面白いですよ。とってもおすすめなアニメなので、ぜひ見てみてください。

素晴らしい世界
8

浅野いにお『素晴らしい世界』の世界観

浅野いにおの描く独特な描写と、日常生活を思わせるような世界観が彼の作品に没頭してしまう1つの魅力だと思う。
「素晴らしい世界」は全2巻で完結している短編集。1巻で登場した短編が2巻で完結するという非常に面白い作品である。作品を読んで思うことは人それぞれであるが、私はこの作品のテーマは「生きる」ことについてではないかと思う。つまらない事や、姿の見えない鬱蒼とした蟠り、世間からすればたいしたことのない悩みはひとりで抱えるには大きな絶望であったりする。そういった感情とも時には隣り合わせて生きて、生活をしていく。
この作品に登場してくる彼らは悲壮感に溢れ、どん底から精一杯に生きようとしている。彼らの生きるその世界は、非現実的な部分がありながらも、その全てがどこか私たちの日常生活に寄り添った描写で、浅野いにお作品のような生活をしたいと思っている読者はわたし以外にもいるのではないか。初めて浅野いにおのを読む人にも短編となってるので、比較的読みやすくておすすめの作品です。

終わる世界とバースデイ
8

終末論を題材にした感動ストーリー

本作は終末論を題材にした感動系のゲームです。
「ある日世界が終わる」というインターネット上の噂が流れたことを境に、日常に異変が起き始めます。
この世界は多数の人間の脳波を統合して作られた世界で、そこに異変が生じたために日常が崩れ去っていくことになります。またその世界の存在そのもの、象徴とも言える少女がメインヒロインとなっているのですが、その子はこの世界を作った開発者の実の妹で、過去に交通事故で亡くなっています。そこで仮想の世界でもいいから彼女にまた生き返ってほしい、という望みで作られた世界が先述した世界なのです。そのことを認知したヒロインは、自分の存在が多くの人に迷惑をかけてしまっていると自覚するようになります。そして自分の存在もろとも世界を終わらせようと行動します。それは即ち彼女の永遠の死、主人公達との永遠の別れを意味します。そして今作のラストシーンで「もう私に縛られないで貴方達は別の道を歩いて行って欲しい」と告げるのですが、かなりその場面はかなり感動できる名場面だと思います。
人の命とは何なのかという思いテーマを据えた今作ですが、プレイすればとても深く考えさせられる作品になっていますので是非オススメします。

Salyu / サリュ
8

Salyuという楽器について。

岩井俊二監督の映画『リリイ・シュシュのすべて』の中で架空の歌姫リリイ・シュシュを演じて歌っているのがSalyuでした。映画が公開されたのが2001年なので、彼女ももうすぐデビュー20周年も迎えます。
ライブにも何度か行きましたが、あの透明感のある歌声は凄いと思いましたね。リリイ・シュシュの曲のように陰のある楽曲もありますが、彼女の本質はおそらくは『希望』をテーマにした曲の方が良いとプロデューサーの小林武史も早くから気付いていたのだと思います。リリイ・シュシュ時代の映画の影響を強く受けた者は何処かにいつも違和感を持ってしまったりしましたが、今となってはこれでよかったのではないかと。
Salyu×Salyuなどの試みはとても新鮮だったし、彼女の声を聴いていると、もうすでに一つの楽器なんだなという思いを強くしました。だから、弾き手によって音色はいくらでも変わるし、素晴らしい音楽を創り出すことだってできるっていう。一つだけ気になっていたのはより高音を重視する歌い方は違うんじゃないかなと思います。音域の幅という点においては国内アーティストにおいても屈指の存在であるのは間違いないでしょうから。僕はより低音に魅力を感じています。それはミスチルの桜井和寿さんにも同じことが言えます。

Sound Horizon / サウンドホライズン / サンホラ / 幻想楽団 / Linked Horizon / リンクトホライズン / リンホラ / Revo
10

沢山の人生を仮想体験できる

「サンホラは人生」と簡単な一言ではまとめられない程に各CDのストーリーが深すぎる。
各CDがそれぞれ別の世界観を持っていて、それぞれのCDごとに登場人物、主人公がいてストーリーがあるのだが、それがどれも深い。
どのように深いかというと、あるCDは闇があり、あるCDは切なく、あるCDは物語のようで、あるCDはまるで歴史映画を見ているかのような壮大なストーリーが繰り広げられている。
各CDが1つの物語になっていて、トラック1から順番にストーリーが進んでいくので、シャッフル再生は厳禁である。
ミュージシャンなのでもちろんメインは歌と音楽なのだが、セリフ有り、効果音有りとまるでドラマCDを聴いているかのような感覚である。そしてその歌詞やセリフ、効果音といった音情報から、歌詞やセリフに含まれない言外の設定を考察して探っていくのが醍醐味である。時には史実や実在の人物が深く関わっていたりする。
ストーリー面だけでなく、参加している歌姫たちの歌唱能力の高さも驚きである。有名歌手や声優を使用した事もあり、毎回クオリティの高い音源を用意してくる。彼らの歌唱能力の高さは、ライブで特に発揮されている。ミュージシャンのライブに参加すると、だいたいCD音源の方が上手い事が多いのだが、サンホラは違う。CDよりもクオリティを上げてくる事がある。
おすすめです。

もらとりあむタマ子
8

特に大きな展開があるわけでもなく、のんびりした映画です。

大学を出たにも関わらず、就職ぜずに実家暮らしのタマ子。スポーツ用品店を1人で切り盛りする父は、家事全般をこなす働き者。子どもでもなければ大人にもなりきれないタマ子は、父親に甘えきって文句ばっかり。「ダメだな、日本は」とか「その時が来たら動く!少なくとも……今ではない!」とか言うし、舌打ちするし、憎たらしいけれど、それでも親にとっては可愛い娘なのだろうと感じました。
アイドルを目指して写真を撮ったことがバレて、ブチ切れるところで大爆笑。そして、その写真を見てまた大爆笑。愛すべきおバカなタマ子に前田敦子さんがぴったりとハマっていて、素なのかと思うほど自然で生々しい演技でした。この役を元国民的アイドルにやらせたというところも面白い。タマ子に子分のように扱われている(実は同情している)近所のガキも可愛かった。
特に大きな展開があるわけでもなく、のんびりした映画です。「モラトリアム」は大人になる猶予期間という意味だが、ダラダラしているだけのようで、社会人になってから振り返ると大事な期間。カタカナ表記ではなく平仮名表記にすることで、この映画らしさが出ていると感じました。最後には、新たなる人生の第一歩を踏み出したタマ子。頑張れタマ子!

忘れらんねえよ
8

童貞バンド

ここまで童貞の気持ちを代弁してくれるバンドはないと思う。それはきっとボーカル柴田の童貞歴が長かったからであろう。クラスのカースト上位にいる人たちにはわからない気持ちを歌ってくれる。何も出来ない情けなさとか、女の子に話しかけられただけで嬉しくなっちゃう気持ちとか、どうせ自分のことなんて好きになってくれないという諦めとか、女の子と簡単に話せてしまう人たちへの嫉妬とか。そういったモヤモヤを、言葉にして、音楽にしてくれる。もちろん歌の対象は童貞だけじゃなくて、バカなことをやる人とか、音楽をやっている人とか、そういう人たちのことを好きになって、その人たちへの愛を歌う。自分のことが好きになれない人に対して、好きっていう。そういう心の広さを持っているバンド。そういった意味でとても優しいバンドなのだと思う。
世の中には、きらきらと輝いてるバンドがたくさんあって、そういうバンドに救われる人がたくさんいるけど、そういうバンドがまぶしすぎて、好きになれない人もいる。そういう風にあぶれてしまった人たちを救うことの出来る、等身大の歌を歌う貴重なバンドなのだと思う。童貞でも、バカなことしか出来なくても、生きてていいんだって思わせてくれる、そういうバンド。

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ
9

教育の持つ力

パリの郊外にある高校の、落ちこぼれクラスの生徒たちが、全国歴史コンクールへの参加を通じて変わっていく様を描いた、実話に基づく映画です。
「ナチスの強制収容所」というテーマの重さに、生徒たちは猛反発するものの、次第次第にその表情や姿勢が変わっていく様は見事です。
とはいえもちろん、順調なだけではありません。テーマを茶化してしまう子がいたり、来なくなってしまう生徒がいたり、話の進み方が非常にリアルです。
本格的に生徒たちが変わるきっかけは、強制収容所から生還したレオンの話を聞いたことでした。レオンの話は、観ている私も生徒の一人になったかのような気分で聞いてしまい、自然に涙がこぼれました。

感じたのは、生徒たちを導いたアンヌ先生が発揮した、教育の力です。落ちこぼれのレッテルを張られ、自己評価も低い生徒たちに、アンヌ先生はきちんと向き合います。彼らの力を引き出し、認める一方で、間違った部分は容赦なく指摘し注意します。一人の人間として認めてもらっていると感じたからこそ、生徒たちもアンヌ先生を認め、自主的に課題に向き合うようにもなっていったのだと思います。学生時代に、こんな先生に出会いたかったと思う人も多いのではないでしょうか。
重いテーマを含んでいますが、若者の持つ力、彼らが担う未来の明るさを感じられる、良い映画です。

宇宙よりも遠い場所 / よりもい / A Place Further Than The Universe
8

大人から子供まで楽しめる名作

「宇宙よりも遠い場所」=南極です。
作品名は、元宇宙飛行士の毛利衛さんが南極の昭和基地に招待された際に、宇宙までは数分で到達するのと比較して南極へ到達するのに何日もかかることを評した「宇宙よりも遠いですね」に由来します。
内容としては、それぞれの事情を抱えた4人の女子高生が、南極探検隊の一員となって昭和基地に行く、というものです。
特に印象に残った点は2つあります。

一点目は南極に行く4人のうちの一人、小淵沢報瀬のエピソードです。
彼女の母親は過去に南極探検隊の一員であり、探検中の事故で行方不明になっているという背景があります。彼女が南極に行く目的は「母親の遺品を見つける」というものであり、南極で最後には遺品のノートパソコンを見つけるのですが、それまでの彼女の心境の変化がつぶさに描かれており、遺品を発見するシーンでは私は思わず引き込まれ、涙ぐんでしまいました。

二点目は、同じく南極4人組の一人、三宅日向のエピソードです。
彼女は高校の陸上部でイジメのような目に遭い、中退してアルバイトをしているところを、主人公の玉木マリに誘われて南極行きの一員となります。本作品を見た当時、私も理由があって仕事を辞めていた時期だったことから、似たような?境遇の彼女の心の動きに同調し、見せ場のシーンではこれまた思わず涙ぐんでしまいました。
それ以外にも、南極探検のスケールの大きさなどが随所に描写されており、
大人から子供まで楽しめる作品だと思います。

長渕剛
10

1976年のデビューから今も色褪せることのない男!長渕剛!

長渕剛、言わずと知れた日本を代表するミュージシャン。「純恋歌」「順子」「勇次」「ろくなもっじゃねぇ」「乾杯」「とんぼ」と、書き出してていけばキリがないくらいのヒット曲を連発している。
ミュージシャンとしての顔の他に、役者としてのインパクトも強い長渕剛。「家族ゲーム」「とんぼ」「ボディガード」などで、強烈な存在感を与えてくれた。

1956年9月7日鹿児島県生まれ。1976年「雨の嵐山」でデビューするもヒットせず、1978年「純恋歌」で再デビュー、5枚目のシングル「順子」でオリコン1位を獲得し大ヒットとなる。
1978年当時、福岡県北九州市のライブハウスで、「俺は石野真子と嫁さんにする!」と発言し、実際に嫁さんにしてしまうと言う伝説も残している(1983年5月に離婚)。1983年「家族ゲーム」で役者として活躍し、後のドラマ「とんぼ」では、強烈なヤクザを演じている。私のヤクザのイメージは、今でもドラマ「とんぼ」の長渕剛を連想させるのである。
「ろくなもんじゃねぇ」「とんぼ」「しゃぼん玉」などのヒット曲で、80年代から90年代にかけての代表的なアーティストとなる。
さらに昨今では、芸術分野に活動の範囲を広げ、1998年に東京の「日動画廊」にて初の詩画展を開催。音楽のみに限らず、芸術、絵画の分野でも様々な魅力を発揮し、若者を中心にさらなる支持を集めている。

Marvel's Spider-Man
10

間違いなく2018年ベスト

マーベルコミックの人気作品のゲーム。
映画でもお馴染み、ピーター・パーカーがスパイダーマンに扮して悪と戦うヒーローアクションゲームです。
特筆すべきはなんといっても最新技術・超高解像度で描かれるニューヨークの町並みと、その中をビュンビュン自由にウェブジップで飛び回れる爽快感、自由度の高さ。なんと基本的には二つのボタンの押す・離すの動作だけで、映画顔負けの高速移動ができてしまいます。
移動するだけで楽しいので、この手のオープンワールドゲームにつきもののファストトラベル機能がほとんど無用。
気の向くまま好きにニューヨークのビルの間を飛び回っていると、警察無線から連絡が入って強盗を捕まえたり、暴動を鎮圧したり、本物のヒーローになったかのような忙しさを味わえます。
サブクエストややり込み要素も充実。
ついつい時間を忘れてコンプリートを目指してしまいます。
敵との戦闘アクションも作業にならない面白さがあります。
遭遇時にはステルスアクションで気づかれずに倒すこともでき、スナイパーなどを先に倒してしまえば後の戦闘がラクになったりと、戦略性があります。
敵に見つかって大混戦になってからも、攻撃ボタンを連打するだけの作業ではなく、蜘蛛の糸を放ってみたり、蜘蛛の糸のブランコで敵を蹴り上げたり。多彩なアクションで飽きがきません。
間違いなく2018年最高の一本です。

暗殺教室 / Assassination Classroom
10

設定はハチャメチャだけど、中身は王道の学園青春物語!

1年後に地球を破壊する、と宣言した謎の生命体と、地球を破壊するまでの1年間その生命体がクラス担任になることになった3年E組。地球破壊を阻止したければ、E組のクラスメートが謎の生命体を暗殺するしかない!生徒と教師でありながら、暗殺者とターゲットという2つの顔を持つ、中学3年E組の物語。
設定はハチャメチャだが、中身は完全に学園もの。謎の生命体は生徒から殺してもいい先生、略して「殺せんせー」と命名され、生徒と仲良くなっていく。
殺せんせーはかなり強く、生徒がどれほど不意打ちで暗殺しようともビクともしない!しかし、自分を殺しに来る生徒を受け止める先生に、生徒たちも感化されて心を許し始める。それぞれに悩みを抱える生徒たちが殺せんせーによって未来に希望を抱き始める過程は、学園ものが好きなら必ずハマるストーリー展開。
また、基本的にはギャグ漫画なので、暗殺も授業もギャグセンスが高い!殺せんせーがボケまくって、生徒たちになめられまくる展開は安定のギャグ漫画。そんな日常と、生徒たちが壊れそうなほど悩んだところを殺せんせーが救うシリアスな場面のギャップも見どころの1つ。1巻〜最終巻まで読めば、絶対に殺せんせーを好きになります。

ベイビーステップ / Baby Steps
9

胸が熱くなるけど頭は冷静になる!!

理詰めなテニスプレイを繰り広げる主人公の考え方は、テニスだけに収まらず色んなスポーツの参考にもなります。テニスはやったことありませんが、理解はできますし、胸が熱くなるストーリーです。しかし、相手を分析し、自分をも分析してプレイする主人公を見ていると頭は冷静になっています。感情移入するとすごく楽しく読めますので、すぐにテニスをしたくなります笑。正直最後の方は間延びした感はありますが、一気に読み込んでしまいました!
テニスの技術、打ち方から高等技術まで解説と説明がありますし、メンタル面でのトレーニングも描かれてますので、テニスの色んな知識が得られ、錦織さんのプレイを分析したくなりました。もちろんそこまではできませんでしたが。わたしはバドミントンをしているのですが、作中に出てくる「すべてのボールに追い付き、コントロールできれば理論上負けない」という言葉に惚れました。バドミントンでも同じですしね。テニスとバドミントンはラケットを使うスポーツですし、近いところがあり、共感するところが多くあったと思います。バドミントンのプレイにも参考になりました。
テニスをされてる方はもちろん、スポーツされてるかたに是非オススメの作品です!

ニューイヤーズ・イブ
9

NYの大晦日、感動と奇跡

2010年のバレンタインデーの作品の監督も務めたゲイリーマーシャルのアンサンブル・キャストと呼ばれる表現技法を用いた感動的な作品。
ニューヨークの大晦日で起こる感動と奇跡のストーリーが素敵でした。ニューヨークの大晦日がすごく美しく、綺麗でした。人生で一度は大晦日のニューヨークを味わいたいと思いました。ニューヨークという大舞台で18人の壮大なストーリーを描いたゲイリーマーシャル監督は凄いです。

特に好きなストーリーはポールとイングリットの願いを叶えるストーリーでした。ポールがイングリットの無茶な願いも知恵を絞り出して、完璧ではないけど、しっかりと願いを叶えるシーンが印象的でした。願いが叶うごとに見せるイングリットの笑顔もお茶目ですごく可愛かったです。この人とこの人が結びつくの?!と驚くシーンも。新年のカウントダウンに向けて起こる感動と奇跡は見応えがたっぷりでした。エンドロールではNGシーンもあって、ロバートデニーロのお茶目なシーンも印象的でした。また、エンディングでザックエフロンとミシェルファイファーがPink!のレイズユアグラスにのせて踊るシーンも印象的でした。最後の最後まで目が離せない最高の映画だと思います。

さくらん
8

ニナミカが描く、極彩色の花魁物語

吉原の玉菊屋に売られてきた主人公の少女。当時8歳だった少女はきよ葉と名付けられ、玉菊屋で一番人気の高級花魁・粧ひに面倒をみられることに。気の強い粧ひとぶつかり、脱走しようとするきよ葉ですが、粧ひの挑発や玉菊屋の男衆である清次に導かれ、花魁を目指すように。生意気だった一人の少女が花魁になるまでの苦悩や葛藤、本気の恋などを描いた映画です。
監督に蜷川実花、音楽監督に椎名林檎、きよ葉役には土屋アンナを迎えた映画「さくらん」。劇中に出てくる掛下、打掛、簪、帯、襖や障子、花魁の部屋に飾られた生け花まで、極彩色のニナミカワールド全開!きよ葉が日暮という名の花魁になり、花魁道中をするシーンは特に印象的で、「さくらん」を象徴するシーンです。バックで流れる椎名林檎さんの「ギャンブル」も相まってとてもかっこいい花魁道中シーンになっています。三枚歯の高下駄を履き、外八文字と呼ばれる花魁独特の歩き方で夜の吉原を練り歩く日暮。その美しさとかっこよさは、同性の私でも見惚れてしまうほど。何かにくじけそうなとき、失恋したとき、この映画を観ると、花魁たちの生き様や気高さに元気と勇気をもらえます。花魁大好き、ニナミカ大好きな私にとっては、とても特別な映画です。

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド / The Legend of Zelda: Breath of the Wild / ブレワイ / BotW
10

広大なハイラルを走れる最高のRPG

ゼルダの伝説ブレスオブザワイルドは、とにかく広いハイラルの世界を自由に駆け回り、飛びまくり、燃やしまくり、凍らせまくり……と、とにかく何でもありのオープンワールドRPGです。
ただ走るにしても平地を走るだけでなく、馬を使えば早く移動できますし、ありとあらゆる斜面や壁を「がんばりゲージ」を消費しながら登っていくこともできます。とにかく自由に。さながらクライミングのゲームなんじゃないかと錯覚するくらい、このゲームではとにかく知恵と技術を駆使して高いところへ登ります。
高いところに登ったら、今度はそこから「飛ぶ」こともできます。パラセールというアイテムを使って、ゲージの許す限り飛ぶ。ゲージ回復アイテムやバクダン矢などを使えば、より遠いところまで飛べてしまいます。
また、火をつけて燃やしたり特殊能力を使って水を凍らせたりすることで、物理的・化学的なチカラで世界の植物や動物、ダンジョンの仕掛け、果ては倒すべきモンスターにまで影響を与えられるのも魅力のひとつ。
モンスターの倒し方やダンジョンの仕掛けの攻略法は決してひとつではなく、みっつもよっつも存在します。あれこれ考えながらパズルのように謎を解いていくのも面白く、ついつい時間を忘れて没頭してしまいます。