善悪の屑(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『善悪の屑』は、作者の渡邊ダイスケにより『ヤングキング』で連載され、シリーズ累計発行部数は460万部を突破した人気漫画である。2014年10号から第一部として連載開始。同作品の第二部では『外道の歌』にタイトルを変更。悲惨な事件を起こしたにも関わらず、様々な理由で十分な裁きを受けない犯罪者達に対し、被害者やその家族に代わって復讐を代行する「復讐屋」の鴨ノ目武と島田虎信の物語である。胸糞悪い事件の加害者たちがさらなる酷い復讐を受けるという、エグサと共にすがすがしさをもたらす作品だ。

『善悪の屑』の概要

『善悪の屑』とは、作者の渡邊ダイスケにより『ヤングキング』で連載され、シリーズ累計発行部数は460万部を突破した人気漫画の第一部作である。ある日突然、何の気なしに悲惨な事件に巻き込まれてしまった被害者たち。一方で、そんな悲惨な事件を起こしたにも関わらず、全く反省の色など見せずに、日常生活をのうのうと送り続ける犯罪者達。そんな被害者や被害者の家族が、主人公たちが営む古本屋「かもめ古書店」を訪れる。そこで、特別な方法を通し依頼を受けた主人公・鴨ノ目武(かものめ たけし/カモ)と島田虎信(しまだ とらのぶ/トラ)は、「復讐屋」として、被害者に変わってそのやるせない気持ちを晴らすために復讐を代行していく。
思わず目をつむりたくなるような、胸糞悪くなる事件の数々。これらは、実話がある程度元となっている。そんな凶悪な犯罪者たちに、さらなる酷い最期を迎えさせて復讐代行を行うという問題作品。グロテスクな内容や、気分の悪くような凄惨な描写も多い為、読む人を選ぶ作品でもあるが、人間の屑そのものを体現する犯罪者が、さらなる酷い復讐をされる光景は圧巻である。漫画雑誌『ヤングキング』にて連載し、2016年にはコミックシーモア総合ランキング1位、music.jp週間ランキング3週連続1位を獲得し、Amazonランキング大賞2016上半期入賞という人気作品となった。2019年には、新井浩文(鴨ノ目武役)、林遣都(島田虎信役)のW主演と馬場ふみか(ヒロイン・奈々子役)による実写化映画の公開が予定されていたが、主演の1人である新井浩文が逮捕された事を受け、公開が中止となった。

『善悪の屑』のあらすじ・ストーリー

強姦殺人事件加害者

「いくら出せるの?」にたいして、「給料の三か月分で」と答えることが、復讐依頼への合言葉となる

主人公カモと、カモの相棒であるトラが営んでいる古びれた書店”かもめ古書店”をある女性が訪ねる。レジの横で座っているカモに、「この本、おいくらですか?」と問いかけると、カモは「いくら出せるの?」と、逆に問いかける。そして、女性が「給料の3ヶ月分で」と答える。このやりとりこそが、カモたちが裏稼業として営む「復讐屋」へ通じるやりとりなのである。別室に案内されると、カモの相棒であるトラがいる。二人を前にして、女性は話し始める。なんと、その女性は、7年前に起きたある凶悪事件の被害者だったのである。7年前のある日、その女性が彼女の幼い息子と二人で家にいると、宅配業者を装った男が家に侵入する。男は、女性を強姦しようと、刃物を突き付けて襲い掛かる。男の力に抵抗できずにいると、何も知らない息子が彼女の元へ駆け寄ってきた。そこで、躓いて転んでしまい、大泣きをすると、息子の鳴き声を疎ましく思った男は、なんとその幼い息子を窓から投げ捨ててしまう。マンションの4階から転落した息子は、当然帰らぬ人となってしまう。女性の体内に残された残留物によって、男は逮捕されるが、未成年という理由で大した罪には問われず、出所もしている。自身も酷い目に遭わされ、大切な息子を失った女性はやるせない思いで「復讐屋」を頼ったのである。事情を知ったカモとトラは、被害者女性に代わって復讐を引き受ける。二人は、加害者男性が働く場所の路地裏で男を待ち伏せ、出てきたところを襲い掛かり、連れ去る。そして、女性が待つ倉庫へ連れていき、男に目隠しをして、動けないように椅子に縛り付ける。カモは、手際よく男の声帯を潰して大きな声が出せないようにすると、続いて男の陰嚢を刃物で切り取っていく。そして、二度と強姦が出来ないようにと、男の口の中にその陰嚢を詰め込むのである。

幼い息子を殺された母親が、加害者に直接詰め寄るシーン

そこで、女性から加害者に問いただしたいことがあるとあったため、女性が加害者と直接やりとりとすることになる。女性が加害者の首を思いっきり絞めながら、「よくも私の子供を殺してくれたわね。アンタなんか苦しんで死ねばいいのよ!!」と思いのたけをぶつけると、意外にも犯人からは「ずっと後悔していた」という言葉が。それを聞いた女性は、その場で座り込み、涙を流す。「後悔している」と聞けただけでもよしとし、二度と帰らない息子への悲しみを抱えながらも前に進むことを決意。そこで女性と解散し、復讐が完結したかに思われたが、無抵抗な赤ん坊を殺した罪はその程度で収まるわけがないと、カモは加害者男性を橋の上から吊るすという残酷な方法で殺してしまう。その背景には、カモの亡くなった妻と幼い娘とを重ね合わせる何か特別な思いも含まれているようだった。

いじめ自殺加害者

いじめの加害者に、カモが問いかける

ある老女がかもめ古書店を訪ねる。古本を手にしてカモのところへ行き、合言葉である「この本おいくら?」と尋ねる。そして、金額を聞かれると「年金三か月分で」と答えて、復讐屋への依頼が始まる。老女には、一人の中学生の孫がいて、亡くなった両親(老女にとっては息子夫婦)の代わりに大切に育てていた。しかし、その孫は中学で悲惨ないじめを受けており、いじめに耐えかねたある日自殺をしてしまう。老女は、孫が残した遺書を手にして訴えようとしたが、逆に加害者の親たちから責められてしまう。そこで、孫の無念を晴らすために復讐屋に依頼しに来たのだ。今回の復讐のターゲットは、孫を虐めていた男子生徒三人と、いじめを見て見ぬふりしただけでなく、いじめの相談に来た孫に暴言を吐くような担任教師。「被害者の無念を晴らすために何が出来るか考えるのが、復讐屋の仕事だ」と豪語するカモは、その言葉に沿って、いじめを見て見ぬふりした担任の目を必要のないものとして、バーナーで炙って失明させてしまう。そして、中学生を含めた全員の眼球を焼き、声帯と耳の規管を切り取り、「見ざる・いわざる・聞かざる」の状態にして復讐は完了。トラは、中学生をいたぶることに少し抵抗のあったようだったが、カモは未成年だから許されるわけではないという、強い信念があり、自身の過去を彷彿させるような思いが感じられるのであった。

女子高生監禁殺害事件加害者

女子高校生を監禁した加害者が強姦を行う

「武はいるか?」と、普段聞きなれない呼び方で、ヤクザ風の強面の男性がカモメ古書店を訪れる。その男性は、カモも信頼を寄せる男性刑事で、カモの叔父でもある。カモの妻と娘が殺された事件も知っており、カモのことを気に掛けている人物の一人である。その刑事が連れてきたのは、自身が昔担当した事件で殺害された被害者女性の遺族(姉)であった。その被害者女性は、高校生の当時、帰宅途中を男性に襲われ、男性の仲間数人から強姦を受け、その後も加害者男性宅で監禁され、強姦や暴力などの様々な被害を数日間にも渡って受け続ける。そして、動かなくなったところを山中に遺棄されたのである。加害者グループの一人が口を割ったことにより、事件は発覚するが、主犯格の男だけ証拠不十分となり、不起訴。その男は、警察官僚の息子の為、証拠隠滅があったのではと噂されている。依頼を受けたカモとトラは、加害者の男を捕まえて拉致する。そして、被害者女性が受けたとされる拷問と同じような方法で、加害者男性の校門に焼けた鉄の棒を挿入するといった罰を与える。そして、最後に浴槽の中に男性を寝かせ、コンクリートを流し込んで殺害したところで復讐は完了。最後、お礼に来た被害者の姉に対し、前に進めるような言葉をかけてあげる優しい一面もみられる。

小学校ウサギ殺害事件

殺されてしまったウサギに対して、復讐を依頼しに来た幼い少女

「おこずかいの三か月分で」と依頼に来たのは、復讐とは似つかわしくない、ツインテールの可愛らしい小学生の女の子。女の子は、「モーちゃんの仇をとって」と涙目にカモとトラに訴える。女児たちが通う小学校に、不良グループが夜間に侵入し、そこで飼われていたウサギをボール代わりにして蹴り飛ばして殺してしまったのだ。ウサギは、犬や猫のように鳴けず、されるがままになるしかなく、息絶えていった。その無念を晴らすために、女児は依頼に来たのであった。懲りずに校舎に侵入して、溜まり場にしている不良グループ。タバコや飲酒にドラッグなど散々で、脱糞行為をレース感覚で楽しんでいる屑野郎の集まりであった。その不良たちを、カモとトラは蹴り倒して一掃し、復讐は完了。後日、カモとトラの元を元気になった女児が訪れる。そこで、女児は、「前に来たことがある」と、その場での記憶が蘇る。なんと、その女児は、亡くなったカモの娘(りなちゃん)の友人で、一緒に遊んでいたことや、りなちゃんの父親であるカモのことを思い出したようであった。女児は、その当時の優しくて幸せそうな風貌のカモと、現在の無言でサングラスをかけているカモとのギャップを感じていたのか、カモを見上げるが、カモは黙って女児の頭を撫でるだけで何も言わなかった。

一家洗脳殺人事件加害者

一家を洗脳する榊

ツインテールの女児が、あることで困っている女性の相談者をカモとトラの所へ連れてくる。その相談者は、家族が洗脳されているという。ある日、相談者の父がある高齢の女性を自転車でひいてしまい、首にケガをさせてしまう。その高齢者の女性こそ、加害者となる榊(さかき)である。榊は、身体に障害を負って生活がままならないからと、相談者の自宅を訪れ、なんと榊とその家族という名の手下たちの同居をさせるよう持ち掛けた。相談者の父は、事故を起こしてしまった引け目があり、なんとその同居を受け入れてしまう。榊は、「飴と鞭」を巧みに使い分け、徐々にその家族を洗脳していく。榊は家族に独自のルールを示し、そのルールを守れないと、ペナルティーが与えられる。一方で、榊と父親が性的関係を結ぶなど、家族内で打ち明けられない秘密を作ったりと、操作しやすいように巧みにマインドコントロールをしていく。家族内で、榊に言われるがままにペナルティーとして叩いたりしている異様な現状に疑問を持った祖父が、ある日そのことを警察に通報する。警察は自宅に訪れるが、祖父以外の誰も榊を訴えようとせず、守るような発言をしてしまい、逆に、祖父は痴呆があるからと言って、警察を帰してしまう。その後、祖父は家族の手によってペナルティーとして、榊に言われるがままに殺されてしまう。そして、家族の手で床下に遺体を隠させ、世間には言えない秘密を作らせてコントロールするのである。一家を訪れるカモであったが、背部から近づいてきた榊の手下によってバッドで殴られて気絶し、家に連れ込まれてしまう。しかし、それこそがカモの狙いであり、家に侵入したカモは反撃を始める。トラが家に来るまでの間に、榊と手下たちを縄で縛り、正座させる。そして、その後二人で榊を連れ出し、雷雨の天気予報がある中、山奥の作業現場に向かう。クレーンで榊を逆さ吊りにし、肛門に避雷針を指して放置するという、なんともエグイ状況を作り出す。その後、榊は雷に直撃されて死亡、復讐が完了となる。

練馬区の殺人鬼

練馬区一家殺人事件の被害者奈々子。犯人の手掛かりは、指にある大きなタコ。

後にカモとトラのいる部屋に居候することになる奈々子。練馬区にある奈々子の家にいとこが遊びに来ていたある日。奈々子は、両親と不仲な為に、両親といとこと一緒に夕飯を食べず、一人で二階の部屋でゲームをしていた。両親の会話を無線でキャッチしていた奈々子は、急に会話が聞こえなくなったことに気付く。男が無断で一家に侵入し、次々に刃物で両親を殺していったのである。そして、トイレで席を離れていたいとこが殺される叫び声を無線で聞いた奈々子は、咄嗟にベッドの下に逃げ隠れる。犯人が階段を上がってくる音が聞こえ、奈々子がいる部屋に入ってくる。室内を物色し、その後室内で飲食やPCまでし、長時間滞在する。そして、奈々子と従妹が写った写真を眺めながら射精する異常な趣向のある犯人。奈々子は長時間犯人に気付かれず、難を逃れるが、仲良しの従妹が自分に会いに来た為に殺されたことがショックで、復讐を依頼する。奈々子が自らおとりとなって犯人を呼び寄せ、暗闇でカモとトラが待ち構える。しかし、一度は犯人を捕らえるものの、取り逃がしてしまう。また、お面を付けていたため、顔は分からずじまいで、手掛かりは手の指にある大きなタコのみ。この異常性のある犯人こそが、出版社「ゴアゴアコミック」の編集部で働く園田(そのだ)である。

トラの過去

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