スタンドUPスタート(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『スタンドUPスタート』とは、福田秀による日本の起業漫画。2020年より『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて連載。「“資産は人なり”。資産を手放す投資家はいない!」が口癖の自称「人間投資家」三星大陽が、失敗や挫折を経験した所謂普通の人たちを「スタートアップ」(起業)させ、彼らに再び生きる意味を取り戻させていくオムニバスストーリー。TVドラマ化もされた人気漫画「ドロ刑」の作者福田秀が描く、シン・時代の働き方UPグレードコミック。

『スタンドUPスタート』の概要

『スタンドUPスタート』とは『週刊ヤングジャンプ』(集英社)にて、2020年6月号から連載されている、福田秀原作のシン・時代の働き方UPグレード起業漫画である。
福田秀は、『ミラクルジャンプ』2014年11月号(集英社)に、読み切り『JUMP OUT』が掲載されデビューを果たし、その後『週刊ヤングジャンプ』2016年1号(集英社)に『ハイヒール』が掲載され、同誌2018年5・6号より『ドロ刑』を連載している。
「“資産は人なり”。資産を手放す投資家はいない!」嫌味が多く、会社の負債と嗤われる林田利光が出会ったのは、自称「人間投資家」の三星大陽。大陽は林田自身も信じられない林田の可能性を見出し、「スタートアップ」(起業)させ、再び生きる希望を取り戻させていく。
日本社会の三種の神器「終身雇用」「年功序列」「企業内組合」だけではもう戦えない。
「起業」という選択肢を識れば、自ずと現在と未来がみえてくる。シン・時代の働き方UPグレードコミック。

『スタンドUPスタート』のあらすじ・ストーリー

林田利光編

燻っている林田に、大陽は「スタートアップしよう!」と持ちかける。

メガバンクりその銀行営業部次長から、左遷という形で子会社のリリーフ保険へ出向した50代・林田利光。嫌味が多く、会社の負債と嗤われる林田の唯一の楽しみは、りその銀行時代の名刺をひけらかしてキャバクラで自慢すること。
そんな中ゲーム系ベンチャー企業の社長であるチンピラ風の若者・大空虎魂が騒いでいるのが耳に障り、「『起業』だ『スタートアップ』だなどとあんなものは社会の落ちこぼれが最後に打つ博打のようなものだ」と蔑む。
林田はりその銀行時代、実績がないという理由だけで融資の依頼しにきた未来ある若者を追い返すが、その若者は後々世界進出するほどの大きな企業へと成長する。事業計画書を見ればその成長性に気付いたはずだと上司は怒り、それが原因で林田は左遷されてしまったのだ。なので林田は起業家というものが嫌いだったのだ。
そんな林田の嫌味が聞こえた大空は林田に喧嘩を売るが、ある男に止められる。その男は、自称「人間投資家」の三星大陽。大空の会社に出資している投資家だった。大陽は林田の名刺が虚偽のものであるとすぐに気がつき、虚偽の名刺をつかうのは辞め、ホステスの機嫌をとりたいのならロゼの一本でも入れてあげたらいいとアドバイスする。
頭に血が上った林田は「不器用で取り柄もなく会社の負債と笑われ、胸を張れる物が会社の名刺しかない人間の気持ちが…」と大陽に掴みかかる。それに対し大陽は、「人事改革でメッキをはがされてその傷を癒すためにキャバクラでなりきりプレイ。永く会社に務めた末路がこうも悲しいものだとは、とっても良い話だ!」とトドメの一言。
その言葉がクリーンヒットした林田は叫びながら思わず逃げ出す。橋の上まで逃げた林田は、風で飛んでいきそうになるりその銀行時代の名刺を掴もうと橋から身を乗り出すが、追いかけてきた大陽は自殺と勘違いして思わず体当たりし、2人とも橋から落ちてしまう。そして、林田に「スタートアップしよう!」と持ちかける。大陽は社会に馴染めない人や仕事に行き詰まった人を“起業”することで生産価値を上げたいと言うのだ。
断る林田だったが、翌日も大陽は林田のもとへ現れ、起業しようと勧誘する。りその銀行で融資を担当していたからこそ、「企業と銀行のマッチメイカー」となるのはどうだと勧める。
何度も断る林田だったが、会社の負債と嗤われていた自分に対し、大陽が大事な“資産”と言ってくれたことが嬉しくて忘れられない。ついに根負けして林田は大陽の話に乗ることにした。
手始めに林田は副業としてベンチャー企業の計画代行書業を行い、見事300件分を達成。大陽の出資で起業する予定だったが、昔の自分とケリをつけるという意味も込めて、りその銀行の元上司に対して林田は融資を依頼し、見事スタートアップを果たすのだった。

神崎裕也編

大陽にツギハギを剥がされ、ピンボケする普通の自分を晒された神崎

神崎裕也は所謂、意識高い系の大学生。見た目ばかりを気にしており、業界頻出のビジネス用語を使うのが好きで、ビジネス系のお洒落雑誌に憧れている。雑誌の中心にいるような人間を目指して早めに就活を始めるが、意識が高いだけで中身の薄っぺらい神崎は見事全滅。友人たちが内定をもらう中一人取り残されてしまう。企業説明会に参加しようとするが、売れ残りの企業なんて嫌だと引き返そうとする。その際同じ会場で起業セミナーをやっていることを知り、カッコいいという理由から起業家を目指すことに。
起業セミナーの講師である林田の応援に大空も参加しており、神崎と出会う。林田は起業について説明するが、ただお金を儲けたいと騒ぐ学生に収集がつかなくなり、大陽が助っ人として参加。そして「どんな理念を持っているか」と各々に質問する。「世界の100億人を笑かす、おもしろくてやばいゲームをつくる!」と大空が答えたのに対し、神崎は小学生かと嘲笑う。それに気付いた大陽はにやりと笑い、神崎の理念を聞きたいと言う。神崎は待ってましたと言わんばかりに、「毎日を人生最後の日だと思って生き、毎夜人生で最良の日だったと思って寝ること」だと答える。大陽は「良いな」と言った後に、なぜニセモノを買ってまでハミルトンの時計を着けるのか、なぜモンブランの万年筆の振りをしたボールペンを出しているのか、なぜ企業説明会に向かっていたのに急に起業セミナーに来たのか、なぜ君の理念は他人の言葉のツギハギなのかと問いかける。

就活なんてクソだという神崎に、大陽はスタートアップを持ちかける

ツギハギを剥がされ、ピンボケする普通の自分を晒されたことに落ち込む神崎。「就活なんてクソくらえ」と自暴自棄になる神崎に対し大陽は、「スタートアップでそんな“クソ就活”を無くさないか?」と勧誘する。
そして「Weマガジン」という“逆就活型サイト”を開設して、神崎はスタートアップする。初めはあまり軌道にのらないものの、大陽の助言もあり、企業側を対象とすることで少しずつ需要が広まっていく。さらにビジネス雑誌に載るという夢も叶うのだった。

音野奈緒編

大陽の期待しているという言葉に、俄然やる気の出る音野

音野奈緒は夫、大学生の娘1人との3人暮らしで、一度も働いたことのない専業主婦。いつもニコニコの音野に対し、夫は主婦は暇でいいなと辛く当たる。ある日、音野は娘が成長して時間があまっているので働いてみようと就活をはじめ、大陽の友人がオーナーである高齢者向けマンションのサポートとして採用される。
それは現在空室のある採算の見込みのない高齢者向けマンションで、大陽は音野に「ここの暮らしを良いものにしてあげてください。期待してますよ!」と言った。一生懸命仕事をこなす音野だったが怒られたり上手くいかないこともあり、落ち込んでしまう。しかし、期待してくれていることが嬉しく、やる気の原動力となっていた。
帰宅後、仕事は大変だけど楽しいこともあると言うと、「どこまでもお遊び気分か。専業主婦(ままごと)しかしてこなかったもんな」と夫は言い捨てた。「最っ低!」と怒る娘に対し音野は、働き方改革で仕事時間減らされたのにノルマは増えて大変なのよ、と夫を庇う。それでも納得できない娘は離婚して2人で暮らそうと提案する。

仕事は大変だけど楽しいこともあると言う音野に対し、「専業主婦(ままごと)しかしてこなかったもんな」と夫は言い捨てた

それから3ヶ月後、高齢者向けマンションは以前とはまるで違う明るい雰囲気になっており、利用者も生き生きとして活気のある空間に。音野が利用者や職員と交流し、良い暮らしができるように努力したからである。おかげで空室も全て埋まってしまった。
はじめは仕事未経験の専業主婦を雇うのに反対だったオーナーだったが、大陽は「主婦業を換算すると年収は400万円を超えるとも言われている。このマンションに必要なのはデザインのプロでも接客のプロでもない、家を守るプロだよ」と言った。
さらに、オーナーから新しいマンションの管理事業をやらないかと誘われ、大陽から「スタートアップしません?」と勧められる。
帰宅後そのことを夫に話し、音野はそれを引き受け、夫に仕事を辞めてほしいとお願いする。離婚されるかと思っていたので驚く夫に対し、「これで私も力になれますから、だから安心しておやすみできませんか?」「主夫になって私を支えてくれませんか?」と言った。

三ツ星重工編

武藤の問いに対し、大海は「社長として錆びた部分の片付けは必要な業務であると考えます」と言い切った。

多くの記者の集まるとある会場では、三ツ星重工株式会社の定時株主総会が行われていた。
記者たちが注目するのは、三ツ星重工業代表取締役社長・三星大海。異例の若さで社長に就任したが、その時会社は3000億もの巨額な負債を抱えていた。それを4年で立て直したのが大海である。しかし立て直す際行ったのが過去最大のリストラ。有能な人物であるが、敵も多い。
株主総会の最中、質問があると中年男性・武藤浩が手をあげた。彼は造船事業で働いていたが大海にリストラされたと震えた声で言う。24年間も尽くしてきたのに自分を道具のように使い捨てるような会社に未来はあるのかと問いかけた。
それに対し大海は眉一つ動かすことなく答える。自分の行うことは会社を守り成長させ、株主の皆様への利益還元すること。道具のように使い捨てられたと言うが、現状を享受するだけで自ら思考し動くことを辞めた者はまさに道具そのものであると。続けて、「社長として錆びた部分の片付けは必要な業務であると考えます」と言い切った。
株主たちは拍手をして、返す言葉のない武藤は涙を浮かべる。
そこに後方から大陽が現れた。武藤の肩を抱き、「負債か資産になるか、それは社長次第じゃないんですか?」と大海に反論した。記者たちはざわめく。
三星大陽、彼は三星大海の弟だったのだ。
「もっと彼の可能性を信じたらどうですか!?」という大陽の言葉に、武藤は思わず立ち去る。現場に甘んじ、自分の可能性を一番信じてなかったのは自分自身だったからだ。

錆びた部分という大海に、「もっと彼の可能性を信じたらどうですか!?」と大陽は反論する

それを追いかける大陽だったが同じく追いかけてきた大海に呼び止められる。
数字だけじゃなく人との繋がりが何よりの資産だという大陽に対し、大海は人は独裁を求めている。持たざる者を誘導し活用することが指導者の役割だと言った。
結局和解することはなく、二人は違う道へとまた進むのだった。

様々なスタートアップ

社長というプレッシャーから傲慢になっていく東城

大陽はそれからも燻っている人や悩んでいる人を見つけてはスタートアップへやリスタートへと導いていた。
「エンジョイ・メーカーズ」は社長・東城と副社長・福島が立ち上げたイベント会社。SNSバブルをきっけに一気に年商10億円までのぼりつめるが、東城はプレッシャーから売り上げと比例するように傲慢になり、ついには福島を子会社へと異動させる。しかし新型コロナウイルスの影響で業績は一転し、倒産寸前まで追い込まれる。そんな中、福島は大陽と共闘して自分が飛ばされた子会社を乗っ取ることに成功。その後エンジョイ・メーカーズは倒産。生きる希望を無くした東城だったが大陽と旅をするうちに自分のやるべきことを思い出す。

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