天国大魔境の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ

『天国大魔境』とは、2018年3月から『月刊アフタヌーン』にて連載をしている、石黒正数による漫画作品。
閉鎖的な施設で暮らす子供たちと、崩壊した日本を旅する二人の少年少女、二つの視点で物語が進行していく。
物語が進むにつれ、二つの視点には時差があることが分かっていく。何気ない一言、なんてことない背景、それらが互いの視点の伏線となっている。作中にちりばめられた伏線回収の鮮やかさが魅力の作品である。

トトリが孤児である理由が判明する

ミチカとの戦闘のため、トトリを人へ預けるタカ。その後タカは死亡し、トトリは孤児となる。

もともと孤児のトトリは、自分がどういういきさつで親に捨てられたのか知らないと語っていた。
その後のストーリーで、トトリはタカとアンズの子供であることが判明する。トトリを出産後、アンズはヒルコ化してしまい、タカが一人でトトリを育てていた。しかし、ミチカとの決闘でタカが死亡したため、トトリは孤児となったのである。トトリは自分が親に捨てられたと思っているため「親を探す気も会いたい気もない」とマルとキルコに話している。実際にはタカはトトリを捨てたわけではないため、悲しい真実が明らからになったのだった。

ジューイチの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「シーユーバイバイ」

生死もわからぬまま離れ離れになっていた息子と涙の再会を果たすジューイチ。

ジューイチは情報屋を営んでいた。出会った人に、自分が知っている情報を金や物と交換して、話して聞かせるのだ。ラジオのようなしゃべり口調で、ひとつの情報の話し終えると「シーユーバイバイ」と締めくくるのがジューイチのこだわりだ。
女至上主義の町で、ジューイチは種豚として育った。ある時、町の女二人から性行為をさせられ、そのうちの一人が妊娠出産をした。産まれた子供は男の子で、十五(じゅうご)と名付けられた。ある時、ジューイチは女二人と十五を連れて、町からの脱走を図る。しかし、種豚の一人である男が、ジューイチたちの脱走を町の女たちに叫んで知らせてしまった。ジューイチは一人で逃げ切れたが、一緒に逃走しようとした女二人は、首つり処刑となった。十五の安否がわからないまま、町から離れたジューイチ。マルとキルコに出会い、十五の安否を調べて欲しいと依頼する。ジューイチの指定する町に踏み入れたマルとキルコだったが、人間の姿はなく、そこにはヒルコが住み着いていた。
落胆したジューイチだが、偶然通りがかった種豚仲間たちと再会する。そして、十五が無事生きていることも知る。種豚たちは、女たちやヒルコから逃げ、男だけで民家で穏やかに暮らしていた。ジューイチは情報屋を辞めて、十五たちと一緒に暮らすことにし、マルとキルコに別れを告げる。
民家で暮らす種豚たちの中に、ジューイチは自身の脱走を女たちに漏らした男がいることを知っていた。ジューイチたちが脱走した夜、「脱走だーっ 脱走だーっ」と叫んでいた男の喉を、ジューイチはチェーンソーで搔っ切る。十五の母親を死に追いやった男を、ジューイチは許せなかったのだ。
男を殺したジューイチは、十五を連れて民家から逃亡する。荒野に消えるジューイチは「シーユーバイバイ」と呟くのだった。

ヘルムの名言・名セリフ/名シーン・名場面

生きるために残酷な世界

幼い頃に性的暴行をされた加害者へ復讐をするヘルム。

ヘルムは過去の性的暴行によるトラウマを抱えていた。幼い頃、見ず知らずの男に性的暴行をされたのだ。周囲の大人から、犯人はだれだと問われてヘルムが証言した男は、私刑により右腕を切断された。しかし、ヘルムが証言した男と、真犯人が全くの別人であることが発覚する。ヘルムは自責の念から、自らの右腕を切断した。
復讐のため、犯人を追って、数年間旅をしていたヘルムは空港で犯人を目撃する。復讐のため、男へ接触を図り、右手の義手に隠した爆薬で男を爆破する。復讐を果たしたヘルムだが、男に買われていた幼い少女からは「こいつの相手してれば 当分食いっぱぐれないハズだったのによ」と激しく非難される。崩壊後の世界では、幼い少女が生き延びるために売春せざるを得ない、法も秩序もない世界であることを印象付けるシーンである。

トキオの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「最後の問題の意味がわかんないんですけど」

抜き打ちテスト中に謎の設問が出題される。この設問は何故かトキオにしか出題されず、一瞬で画面からも消えてしまう。

抜き打ちテストと受けていたトキオは、タブレット端末に「問11 外の外に行きたいですか」という問いが出現する。方程式の中にひとつだけ異質な質問が混じっていることに疑問に思ったトキオは先生に質問をする。しかし、挙手をしてタブレット端末から目を離したすきにその問題文は消失していた。トキオが皆に問いかけても、先生や他の生徒たちは、問11について何も知らないと言うのだ。
トキオにとっての「外」は、壁と天井に囲まれた敷地であり、壁の外の存在自体を知らずに育っていた。しかし、トキオの「外の外」と言う言葉を聞いたミミヒメは「何となくだけど、外の外があると思う」と言う。
壁と天井に囲まれ、閉鎖的な学園という施設で暮らしている子供たちの暮らしが分かる、この物語の導入となっている。

異形の赤ちゃんとの遭遇

ククが言う「赤ちゃん」と対面するトキオ。不思議な姿をした生き物に言葉を失うがそこに嫌悪感は見受けられない。

コナが描いた赤ちゃんの絵を見たククは「変な絵」と言った。ククの知っている赤ちゃんには顔が無いのだと言う。そんなおかしな話があるかと信じないトキオを、ククは連れ出す。本当の赤ちゃんを見せると言うのだ。ククに連れられて、壁の通気口のようなところに入るトキオ。「これは壁の外なのか?」と疑問に思いながらも通気口の中を進んでいく。ククに言われるがままたどり着いた部屋へと侵入したトキオ。そこで、人間とは思えない姿をした「赤ちゃんのようなもの」がたくさん横になっていた。赤ちゃんはトキオに気付くと、まるで母親にするようにトキオに向かって、手を伸ばすのだった。

危険を察知して石化するトキオ

我が子を奪われそうになったトキオはヒルコの能力である仮死状態を発動する。

園長に子供を取り上げられそうになったトキオは、突如石化をする。マルとキルコ視点のストーリーでは、危険を察知したヒルコは、石化するという能力があることが分かっていた。このトキオの石化はトキオがヒルコであること示唆しているシーンである。

ミミヒメ/星尾あかりの名言・名セリフ/名シーン・名場面

「僕が外に出たいなー、外に出たいなーって思ってると 外からふたりの人が僕をたすけに来てくれるの」

今後のストーリーに大きく関係する予知を、ミミヒメは第1話で話していた。

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@Jirotake1115

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