日出処の天子(馬屋古女王)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『日出処の天子』とは山岸涼子により描かれた漫画。舞台は仏教が渡来した頃の日本。のちに聖徳太子と呼ばれるようになる厩戸王子と蘇我毛人の関係を中心として、厩戸皇子の少年時代から摂政になるまでを描く。厩戸王子は聖人ではなく、不思議な力を持つ超人として描かれている。『馬屋古女王』は『日出処の天子』の後日談となる、山岸涼子による漫画。厩戸王子の死後、末娘の馬屋古女王により、厩戸王子の一族が滅亡へ導かれていく様を描く。2作とも、それまでの聖徳太子像を一新する意欲作である。

佐富女王(さとみのじょおう)

『馬屋古女王』の登場人物。厩戸王子の母・穴穂部間人媛と多目王子の娘。
厩戸王子に疎まれ、葬儀への出席も遠慮していた。
すぐれた占い師でもあり、馬屋古女王が災いをもたらすことに気づく。

難波王(なにわのおうじ)

『馬屋古女王』の登場人物。山背大兄王子と舂米女王の息子。
馬屋古女王の妖しい魅力に知らず知らずに取り込まれてしまい、病み衰えてしまう。

弓削王(ゆげのおうじ)

『馬屋古女王』の登場人物。山背大兄王子と舂米女王の息子。難波王の弟。

上宮王家以外の人物

蘇我入鹿(そがのいるか)

『馬屋古女王』の登場人物。蘇我毛人の長子。
山背大兄王子と後姿が瓜二つだと噂されている。
山背大兄王子とその妻を争ったことがあるが、山背大兄王子を認めており、親友のように思っている。

『日出処の天子(馬屋古女王)』の用語

日出処の天子

「日出処(ひいづるところ)の天子、書を日没する処の天子に致す」とは推古15(607)年に隋に遣わした際の国書の一文である。
「東の国(日本)の天子から、西の国(隋)の天子にお送りいたします」というような意味。
「天子」という言葉を使用し、当時朝鮮にあった新羅・百済・高句麗の3国よりも上位の国、隋と対等の国であるというアピールである。
遣隋の責任者であった厩戸王子の意気込みがわかる一文になっている。

花郎(ファラン)

花郎とは新羅の青年によって組織された集団で、その行動のもとになるものは弥勒信仰だった。作中には厩戸王子が淡水に向かって「そなた花郎の者だな」と問うシーンがある。
弥勒菩薩は56億7000万年ののち、この世に現れて衆生を救済するとされている。この弥勒に対する信仰が弥勒信仰であり、花郎は弥勒菩薩の化身と信じられていた。

大和朝廷

4~7世紀の日本における機内地域(奈良県・大阪府・京都府・兵庫県など)を中心とした権力組織。

豪族

特定の地域を本拠地として富や勢力を保持する一族のことである。大きな力を持つものは古代の王権を支え、国家の運営を担っていた。
軍事を司るもの、神事を司るもの、など氏族ごとに職種が異なるのがほとんどである。
盟主(リーダー)である大王を中心に中央豪族が国家運営を支え、古代国家は成り立っていた。

入内(じゅだい)

入内とは天皇の後宮に入ること、妃となることである。

大王(おおきみ)

大和王権の首長の呼び名。
一般的に天皇という名称が使われ出したのは、天武朝(673~686年)ではないかとされる。

夢殿

『日出処の天子』において、夢殿は雨ごいの際に初めて登場する。それ以降、考え事や一人になりたい時に厩戸王子がこもる場所として使用される。
実際の夢殿は天平11(739)年建立とされる。聖徳太子等身大といわれる救世観音を本尊とする。

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