漂流教室(楳図かずお)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『漂流教室』とは、1972年から1974年まで『週刊少年サンデー』にて連載された楳図かずおによるSF漫画作品。公害と「時間を越えた母子の愛」がテーマになっている。小学6年生の高松翔が通う大和小学校が、ある日大きな爆音と揺れに襲われる。揺れが収まり門の外を見てみると、荒廃した大地が広がっていた。生徒のみならず教師までもパニックに陥り次々と死んでいく。環境破壊によって滅びた未来の世界に放り込まれた子供たちは、なんとか生き延びようと様々な困難に立ち向かう。

未来ヒトデ(みらいひとで)

突然、海の方からやって来た巨大なヒトデのような生物。身体の一部が切れても、トカゲの尻尾のようにしばらく動くことが出来る。翔たちは食べてみようと焼いてみるが、化学薬品のような臭いがし、煙は目に染みて涙が止まらなくなる。未来生物を食べているようだが、生徒の一人も食べた。

『漂流教室』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

翔「ぼくたちは未来へきてしまったんだっ!!」

大和小学校の看板と一緒に見つかった慰霊碑を見てタイムスリップしたことを確信する翔(中央)とクラスメイト達

勇一がボロボロになった大和小学校の看板を見つけたという場所に案内してもらった翔たち。そこには「大和小学校の八六二人の霊ここにねむる」と書かれた古びた石碑もあった。荒廃した砂漠や起きるはずのない日食などから、翔はここが未来世界だと確信し、「ぼくたちは未来へきてしまったんだっ!!」と皆に伝える。子供たちが父や母がいない世界で生きていかなければいけない現実を突きつけられる、今後の展開の要となる重要なシーン。

恵美子「ごらんなさい!!今だってサバクじゃありませんかっ!!」

同じ船に乗っていた男に放った言葉。恵美子はどこにいるか分からない翔に宛てた手紙を瓶に詰め、海へと流していた。それを見ていた男は恵美子に話しかける。恵美子は「息子は今、サバクで苦労しているんです。」と東京がサバクになることを伝えると、男は大笑いする。それに対し、「ごらんなさい!!今だってサバクじゃありませんかっ!!」と、恵美子はコンクリートとアスファルトばかりの都市を指さした。環境問題を訴える本作からのメッセージがうかがえる名言である。

盲腸になった翔を子供たちだけで手術し救うシーン

麻酔効果のあるスズランを取りに行った咲子(中央)が教室に戻ると手術は無事に終わっていた

いよいよ食料が尽き始め、不満が爆発した大友達と分断した危うい状況の中、翔が盲腸で苦しみ始める。放っておくと死んでしまうかもしれない危機的状況に陥り、医者志望の柳瀬と看護師を夢見る女子生徒で、学校にあるものを使って緊急手術を行う。麻酔薬がない中、カッターやウイスキーなどを使って執刀し、さらには輸血まで行う。咲子は麻酔効果のあるスズランを入手するため、命を懸けて大友軍の領地に入り込む。なりふり構っていられない危機的状況の中で、必死に生き残ろうとする子供たちの強い精神が伝わるシーン。

勇一「きっとこんな世界にならないようにする!!」

現代へ戻る際に、未来を変えることを皆に誓う勇一

現代に戻ることになった勇一が翔たちに伝えた言葉。勇一が現代に戻って未来を変えることが出来たならば、今いる未来世界も変わるかもしれないという希望を胸に、子供たちは幼い勇一を送り届けるために祈り始める。翔達と共に数々の過酷な体験を乗り越えた勇一は、「きっとこんな世界にならないようにする!!」と強い意志を伝えて、現代へと戻る。物語の最後で、遂に希望の光が見え始める重要なシーン。

『漂流教室』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

候補の一つだったタイトルは『ただいま』

編集会議で作品名を決める際、候補の一つに『ただいま』があった。楳図は心の中で裏タイトルとして決めていたと述べている。アーティストとしても活躍する楳図は『闇のアルバム』内の一曲『漂流教室』の台詞で「わたしたちの合言葉はただいまでしょ」と言っている。

『漂流教室』の続編『14歳』

楳図は本作の連載終了後に続編を執筆するつもりだったが、設定に違和感を覚えて白紙となる。しかし、1990年から1995年に『ビックコミックスピリッツ』にて『14歳』を連載する。22世紀を舞台とした、人類滅亡の危機を乗り切ろうとする子供たちが描かれており、楳図は『漂流教室』の続編と銘打っている。

1985年に風見潤により小説化

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