デキる猫は今日も憂鬱(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『デキる猫は今日も憂鬱』とは山田ヒツジによる日常系コメディ漫画である。『水曜日のシリウス』にて2018年8月から連載を開始。仕事はできるが生活能力は皆無のOL・福澤幸来と、幸来に拾われた恩を返そうと、家事全般を完璧にこなす「デキる猫」に成長したちょっと大きい猫・諭吉の日常が描かれている。幸来からの真っすぐな愛情に対し、ツンデレな態度をとる諭吉の姿が微笑ましく、二人の姿に笑いと癒しを与えられる作品になっている。

『デキる猫は今日も憂鬱』の概要

『デキる猫は今日も憂鬱』とは山田ヒツジによる日常系コメディ漫画作品である。『水曜日のシリウス』にて2018年8月から連載をしている。後に、ニコニコ漫画『水曜日のシリウス』で人気を博したことから、シリウス本誌での連載に至った。基本は4コマで描かれているが、時々普通のコマ割りにて物語がすすむことがある。2019年8月開催の「次にくるマンガ大賞2019」にノミネートされた。
2022年6月には講談社から『デキる猫は今日も憂鬱 公式レシピBOOK 諭吉ごはん』が発売。レシピ本には作品に登場した諭吉の愛情たっぷりのレシピが掲載されており、幸来が美味しそうに食べていた料理を再現することができる。予約が開始された際にはAmazonの人気ランキングにて2位を記録するなど、注目の高さを見せた。
物語は主人公は仕事はできるが生活能力に乏しい福澤幸来(ふくざわさく)が、飼い猫である普通より大きく家事がこなせる黒猫の諭吉に世話をされながら仲良く暮らしているというものである。キャッチコピーは「キミがいてビールがあれば、 それだけで幸せ」。

『デキる猫は今日も憂鬱』のあらすじ・ストーリー

ズボラなOLとデキる猫

主人公の幸来は仕事のできるOLであったが、私生活はずぼらで家事どころか基本的な生活能力すら乏しい人間であった。そんな幸来を支えるのは、幸来の飼い猫である黒猫の諭吉。諭吉は普通の猫よりも大きく、さらには家事全般をこなすスーパーキャットであった。諭吉は幸来のためにご飯を作り、掃除をして、さらには疲れて眠ってしまう幸来を風呂に入れるなど様々な世話をしていた。幸来は自身の生活のダメさ加減を理解しつつ、諭吉に感謝して、諭吉の作る美味しいご飯とビールを楽しむ生活を送っていた。幸来が仕事に出ている間、家事や買い物をしたり、近所の人と交流したりと、諭吉も生活を楽しんでいた

UMYU-Seaが結んだ縁

幸来はひょんなことから上司である織塚部長(おりづか)と、日曜日に水族館へ行くこととなった。水族館で開催されるウミウシ系アイドルUMYU-Sea(ウミューシー)のライブイベントについてきてほしいとのことであった。UMYU-Seaとは、子供向け料理番組内で結成されたアイドルグループであり、小さな子供に大人気のアイドルグループである。幸来が諭吉に日曜日にでかける話とライブイベントに参加する事を報告すると、諭吉もUMYU-Seaのファンであることが判明した。日曜日に幸来が待ち合わせ場所に向かうと、織塚の姪である優芽(ゆめ)も一緒に来ていた。そもそも、優芽がUMYU-Seaのファンであり、織塚が頼まれて水族館へ連れてくることになったはいいが、織塚自身は子供が苦手なため幸来を世話役に抜擢したのだった。幸来と優芽はすぐに打ち解けて仲良くなった。そこに、UMYU-Sea見たさにこっそりやってきた諭吉に遭遇して、優芽は諭吉とも仲良くなった。その後、無事にライブを見終えた幸来たちは再び遊ぶ約束を取りつけて終わった。

水族館で仲良くなったことから、幸来は優芽から預かった優芽の誕生日会の招待状を織塚から貰った。そこには、諭吉も一緒に来てほしいと書かれており、幸来は流石に大きい猫の諭吉を連れて行っては、周りを混乱させてしまうからとして自身だけで行こうとする。しかし、優芽の誕生日会は仮装パーティーでもあったため、猫の着ぐるみを着た人間という体で諭吉も参加することになった。諭吉は優芽のために自身の形を模したミニぬいぐるみを自作して、背中に着ぐるみに擬態するためのチャックを取り付けて誕生会に参加した。優芽の友達やそのママたちの目を誤魔化しながら誕生日会を楽しんでいると、諭吉は優芽に連れられて優芽の祖母に会うことになった。そして、諭吉と優芽を探しに来た幸来も祖母に会った。そして、祖母から黒い猫は餡子猫と呼ばれて、福を運ぶ猫であることを教えられ、「諭吉と一緒にいることはとても幸運なことだから大事にしてあげて」と言われた。その後、無事にパーティーは終了して幸来と諭吉は帰宅した。

優芽の誕生会からしばらくして、世の中はクリスマスが迫ってきていた。幸来はお世話になっている諭吉へのクリスマスプレゼントをどうするか迷っていた。幸来は諭吉の欲しい物をリサーチしようとするが、12月は仕事に繁忙期でもあるため仕事に忙殺されてしまい、リサーチができないまま日にちだけが過ぎていった。プレゼントが決まらず落ち込む幸来が街中を歩いていると、UMYU-Seaのサイン会が開催されることを知った。UMYU-Seaのファンである諭吉へのプレゼントにうってつけと思った幸来は、サイン会への参加を決める。そして、織塚がUMYU-Seaのサイン会のチケットを余分に持っていると聞き、幸来はチケットを譲ってもらうことにした。無事にチケットを手に入れた幸来は、サプライズでプレゼントをするために諭吉に内緒でサイン会へと向かった。幸来が無事にサインを貰って帰宅すると、諭吉もごちそうとプレゼントを用意して待っていた。諭吉は幸来のために、自身で草木染め(野菜や果物などの皮で染色する技法)をした毛糸で編んだセーターを内緒で用意していたのだ。幸来は日々の感謝の言葉と共に諭吉とプレゼント交換をして、楽しいクリスマスを過ごした。

実家へ帰省

クリスマスも終わり仕事納めを目前に控えた幸来の元に、母親から帰省を促す連絡が届いた。しかし、幸来は実家に帰ると母親から彼氏の有無や結婚についてせっつかれるのが嫌で、帰るのを渋っていた。しかし、母親から最近、親子で正月を過ごしたことが少ない事から会える時に会っておきたいと言われて幸来は仕方なく帰省を決める。幸来は諭吉を家に1匹で置いておけないとして、諭吉と共に帰省することにした。しかし、諭吉を飼っていることは知らせていても、2足歩行で家事をしている巨大猫とは知らせていないことから、両親には内緒で家にあげることに幸来はした。そして、実家に帰ってきた幸来はこっそり諭吉を自室へと入れることに成功した。幸来の自室に入った諭吉は片付けのされていない幸来の部屋に呆れながらも、部屋の片づけを始めた。そして、諭吉は幸来が子供の頃にしていた様々な習い事でとった大量の賞状見つけたため、それらを壁に飾り付けた。部屋に戻ってきた幸来がそれを見て黒歴史だからやめてと、諭吉に懇願した。子供の頃の幸来の父親が棋士と母親がヴァイオリニストという自身の才能を仕事にした人たちであったため、幸来も同じように才能を生かした仕事をしなければならないと思い込んでいた。そのため、様々な習い事に打ち込んでいたが、結果は4位など超優秀というほどではない成績しか出せず、ずっと悩んでいた。その時の記憶がよみがえるため、賞状はあまり見たくなかったのだ。自身に特筆した才能がないことを悩み過ぎて、両親との間に溝を作ってしまっていたのが帰省を渋っていた本当の理由であった。また、これが原因となって、東京に出てきた当時は自信を無くした状態になっていた。しかし、諭吉を拾い、諭吉と暮らすうちにその悩みはどんどん忘れていたのだ。
東京に帰る日を目前に、幸来は諭吉を両親に紹介するかどうかを迷っていた。しかし、両親との間に感じている溝や、今更紹介するのは変だろうかと諭吉に相談すると、諭吉は今すぐにでも両親の元へ行こうと促す。促されてもなお、緊張で悩む幸来の元に二日酔いだと思っていたが、風邪だった母親から救援の連絡が来た。そして、幸来に普段自炊しているならおかゆくらい作れるでしょうと、梅がゆを作ってほしいと頼んできた。1人で作れずスマホ片手にレシピを探していると、諭吉がやってきておかゆ作りを手伝ってくれることになった。母親が幸来が作ったと思っている梅がゆを美味しいと絶賛するなか、幸来は本当のことを明かすチャンスと思って諭吉を部屋に入れて、おかゆを一緒に作ったことを両親に明かした。両親は驚きつつも諭吉を受け入れた。そして、諭吉のこともだが幸来のことも聞かせてほしい、きちんと話がしたいと話す母親に幸来は少しの戸惑いを見せるが諭吉に背中を押されたことで両親との溝を埋める一歩を踏み出した。

『デキる猫は今日も憂鬱』の登場人物・キャラクター

メインキャラクター

福澤幸来(ふくざわさく)

主人公のOLの女性。諭吉の飼い主。仕事のできる女性で、職場では後輩に慕われていたりと周囲の信頼は厚い。職場に諭吉の作った弁当を持参しており、料理もできる女性であると勘違いされている。しかし家事が苦手で、ガサツな性格をしている。料理はカップ麺しか作ることができない。得意料理がカップ麺しかない事には少し危機感を感じている。諭吉が家事をするようになる前は家の中はゴミ屋敷同然で、スーツケースにもたれ掛かって寝るような生活をしていた。職場ではそのような面は見せないようにしているが、唯一織塚にはゴミ屋敷の住人であったことがバレている。生活の支えとなっている諭吉は、雪の降る寒い冬の日に拾った捨て猫であった。物が散乱する部屋の中で、諭吉の生活スペースだけはきちんと確保し、大事に育ててきた。転職したばかりで、顔色が悪く、自信のない態度を見せていたのだが、諭吉が家事を担うようになったお陰で別人のようにいきいきとした人物へ変化していった。

特技は諭吉の匂いを嗅ぐことで日中の行動を当てること。また、幼少期に数多くの習い事をしており、武道の心得もある。そのため、必要とあらば、男性相手でも容赦せずに戦う姿勢を見せる。元カレに絡まれている仁科、痴漢にあっていた柴咲を助けるなどの度胸もある。そのため、しばしば女性にモテる。また、体幹が優れており、揺れる電車内でつり革なしで寝ることもできる。

食べることが好きで、諭吉の作る食事が特に好物である。酒も好んでおり、仕事終わりには家でビールを飲む習慣がある。酒癖が悪く、諭吉を拾った頃に居酒屋で酔いつぶれてたまたま一緒の店にいた織塚に介抱されたことがある。ちなみに、この時のことは覚えておらず、あとから織塚に聞いてショックを受けていた。
諭吉と優芽の影響でUMYU-Seaの歌と踊りを覚えている。後にクリスマスに諭吉のためにサインを貰いにサイン会に参加した際にゴマフビロードウミウシとやり取りしたことでファンとなった。しかし、踊りは時間が経つと忘れてしまった。

両親が才能を仕事にしているタイプであったため、自身もそうならなければならないと思い詰めていた。しかし、様々な習い事をして賞を取るものの、秀でた活躍ができていないと思い、自信を喪失。そのことから逃げるように両親の元を離れ、東京に出てきた。このことが原因で両親との関係に溝ができていたが、後に帰省した際に諭吉の協力のおかげで和解している。

諭吉(ゆきち)

幸来の飼い猫。子猫の頃、雪の降る冬の日に凍えてところを幸来に拾われた。その恩返しをするために家事能力を身につけた、人より少し大きめの黒い猫。家事全般をこなし、幸来のお弁当作り、風呂に入れる、仕事に生きたくないとごねる幸来の対処など、幸来の世話も全部こなしている。二足歩行で家の中ではエプロン、買い物にいく時は割烹着を着用している。困っている人を助けたりなど優しい性格をしているが、猫特有のツンデレ気質で幸来の前では素っ気ない態度を取ることが多い。社員旅行で幸来が家を空けた際には、幸来の部屋着を身に着けて幸来を恋しがるなど、本人がいない場では愛情を示す行動をとる。

子猫の頃にテレビ番組でUMYU-Seaを見て、そのメンバーであるゴマフビロードウミウシの影響で初めておにぎりを作った。これをきっかけに和食洋食全般作れるようになる。幸来のお弁当も作っており、猫の形をしたピンを使用したりと見た目が華やかになるように工夫されている。幸来がお弁当をすべて食べているのを確認しては、隠れてニヤニヤ笑っている。お菓子作りも得意で、幸来経由で柴咲から貰った猫ちぐらのお礼にお菓子を作っている。
猫なので水が苦手で、お風呂掃除などの水家事では濡れないように手袋の他に完全防水の服を着てこなす。DIYも完璧で、幸来がコーヒーを零して汚してしまったシェルフをリメイクしてキャビネットを作るなど、腕前は相当。幸来に褒められた際には自分に酔いしれる仕草を見せた。そのほかにも裁縫も得意で、自身の姿を模したミニぬいぐるみを作ったり、毛糸を草木染という手法で染めたりなどもこなす。

優芽とはUMYU-Seaのイベントで出会い、優芽の誕生日パーティーに招待されるほど仲良くなる。また、同じマンションに住んでいるおばあちゃん、近所のスーパー店員の仁科や店長から猫として受け入れられて仲良くしている。

幸来の会社関係

織塚馨(おりづかかおる)

幸来の会社の上司で、役職は部長。幸来が猫を飼っていることを知っている。昔、たまたま居酒屋で泥酔した幸来と遭遇して介抱する羽目になったことがあり、その際にまだ子猫であった諭吉に会っている。諭吉が二足歩行で幸来を介抱する姿を目撃しているが、酒が入っていたための幻覚だろうと思っている。また、幸来の部屋が汚いことを知っている唯一の人物。クールな性格で、子供に苦手意識を持っている。そのため、実姉の子の優芽であろうと2人きりで水族館へ行くのは心配であると考えて、幸来を誘った。優芽のことは姪としてとてもかわいがっており、水族館では抱っこしたり、優芽のためにイベント限定UMYU-Seaグッズを手に入れるためにクイズに参加したりと面倒見は良い。

柴咲ゆり(しばさきゆり)

右側女性

幸来の会社の後輩で、結婚願望が強い。本人曰くファザコンで、年上で包容力があり、家事を率先してこなしてくれて、自分を甘やかしてくれる相手が理想の結婚相手である。しかし、都合がよすぎることは自覚している。会社の先輩である尾代とも仲がよく、婚活疲れをネタにしつつ、2人で合コンや街コンなどの情報を交換をしている。趣味は海外旅行。就職活動中、揺れる電車の中で立ったまま眠る幸来の姿に衝撃を受け、さらには痴漢から助けてくれた幸来の連絡先と職場を聞き、追いかけるように同じ会社に入社した。幸来をとても慕っており、猫を飼い始めたという話を聞くと婚期を逃すと心配する発言するが、いざという時は実家で猫を引き取ると提案するなど、幸来のためを思う一面を見せる。実家で使っていた猫ちぐらを諭吉へ譲り、お礼に諭吉の手作りお菓子をもらった。諭吉の行きつけのスーパーの店員、仁科は従姉妹である。

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