ラストカルテ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―』とは、浅山わかびによる漫画作品で、『週刊少年サンデー』にて2022年1月号より連載されている。動物の死に焦点を当てた作品で、「法獣医学」をテーマとして描かれる。高校生の当麻健匠(とうま けんしょう)は、同じクラスの茨戸爽介(ばらと そうすけ)が法獣医学者の姉・雷火(らいか)を手伝う現場に遭遇したことから法獣医学に興味を持ち、手伝わせてもらうことになった。茨戸と友情を深めながら法獣医学について学んでいく物語である。

当番の説明をする当麻の先輩の星置(左)と高島(右)

早朝に牛舎で絞った牛乳を量に持って帰り、調理場で殺菌して食堂に出すという寮生の仕事である。当麻達の男子寮では部屋ごとに1週間単位で当番が回ってくる。
罰当番として回ってくることもあるという。

50km強歩大会

美森大学学生寮の伝統行事である。約50kmの道のりを寮の1年生約120人が歩いたり走ったりして完歩を目指す。
当麻や茨戸、於菟、尊、千夏は全員寮生であるため行事に参加した。

『ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

当麻「『法獣医学』は死体を扱うからって悲しい学問じゃない 人間も動物も生きるための学問」

カラスの大量不審死の事件が解決し、学校の教室で当麻と茨戸はカラスの毒餌に使われた農薬やカラスが最期に何を思っていたのかを話していた。
当麻は雷火が死因を解明することは法獣医学にとって大切だという話を聞いて、死因が分かることで死んでいった動物のため、そして同じ場所で暮らす人間や動物のためにもなるのだと分かったのだという。そして「『法獣医学』は死体を扱うからって悲しい学問じゃない。人も動物も生きるための学問…そうだろ?」と茨戸に笑顔で問いかける。この言葉に茨戸は驚きながら感動した様子であった。
茨戸が当麻健匠という人物を認め始めたきっかけとなった言葉である。

茨戸「『死』を『悲しいね』で終わらせない…普通からしたら異常だろうけど、『死』を引きずって考え続ける人間も、報われる時はきっとある!」

死んでしまったタヌキをペットのように可愛がっていた女の子達が泣いているのを見て、当麻は昔飼い犬が死んでしまった時、泣かずに死んだ理由を聞いて気味悪がられたことを思い出した。そこで茨戸にペットが死んだらどう思うか聞いてみる。すると、「悲しいって思って死因を調べる」と返ってきた。病気によるものか、事故かなどを徹底的に調べるという。悲しみ方は人それぞれで、辛い顔をして泣いているだけが悲しんでいるのではないという考えを持っていて、自分は調べるのだと話した。そして当麻の悲しみ方は表面的に泣くことはなくても心では泣いていて、ずっと考えていそうだと言った。完全記憶能力がある当麻にとって小学生の時に飼い犬を亡くしたことはずっと頭にあるのであった。
そして最後に茨戸は「『死』を『悲しいね』で終わらせない…普通からしたら異常だろうけど、『死』を引きずって考え続ける人間も、報われる時はきっとある!」と信じているのだと話す。
自分は死を悲しむことができないのではないかとずっと引っかかっていた当麻にとって、茨戸の言葉は報われるような言葉になったのだった。

当麻「茨戸が『動物に恨まれている』なら、俺も一緒に恨まれてやるよ。同じ道を進むから当たり前じゃん。俺も茨戸と一緒に、獣医師になるから」

茨戸は過去に獣医師の母の仕事について行き、アライグマの処置を手伝ったことがある。動物が好きで獣医師を目指しているのに動物を殺す手伝いをしたということにずっと引っかかっていた。そして自分は動物に恨まれている気がするのだと当麻に話した。それを聞いた当麻は「生き物の死と関わると人は1人で悶々と考えてしまう。それなら研究者らしくドライに議論していこう」と提案する。誰かと言葉を交わして、支え合って前に進むのだと考えていた。
そして、茨戸が何か思うことがあったらその都度自分に話してほしいと言い、「茨戸が『動物に恨まれている』なら俺も一緒に恨まれてやるよ。同じ道を進むから当たり前じゃん。俺も茨戸と一緒に、獣医師になるから」と伝えたのである。話を聞いた茨戸は、当麻は変わっていると思いながらもそれも悪くないと思うのだった。
小さい頃からずっと打ち解けられる友達がいなかった茨戸にとって、一緒になって気持ちを共有してくれようとする当麻の温かくてまっすぐな気持ちが心に響き、当麻との友情が深まった言葉である。

『ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

英語で作成されている『ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―』のウイキペディア

日本の漫画作品である『ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―』のウィキペディアはなぜか英語で作成されている。作者は自分の作品のウィキペディアが作られていることに喜びながらも英語で書かれていることに驚いていた。
内容は『ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―』の概要と単行本の発売状況、ランキング情報などが記載されている。

『ラストカルテ』というタイトルの意味は未来へ続く記録(カルテ)

2巻第15話の最後「ラスト」という言葉の意味について茨戸が話すシーンがある。最期は英語で「Last(ラスト)」と言うが、「続く」、「持続する」という意味もあるという。
人間の死は法的にも医学的にも記録されていくが、動物の死は獣医師が書き記さなければ消えていくような事実なのである。しかし記録はいつかきっと次世代の動物達の不審死に光を当てる。「だから記録(カルテ)を残していくんだ」と雷火がいつも言っているのだと話していた。
作品のタイトルである『ラストカルテ』は未来へ続く記録(カルテ)という意味なのである。

かつては泣き虫だった茨戸

茨戸は常に冷静であり、表情もほとんど変わらずクールという印象を与える少年だが、小さい時は雷火に「泣き虫爽ちゃん」と呼ばれていた。茨戸を小学生の時から知っている達美も初対面は茨戸が泣いているところだったという。
泣いたら揶揄われるのだと考え、感情を表に出さずに隠すようになったのだった。

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