ラストカルテ(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―』とは、浅山わかびによる漫画作品で、『週刊少年サンデー』にて2022年1月号より連載されている。動物の死に焦点を当てた作品で、「法獣医学」をテーマとして描かれる。高校生の当麻健匠(とうま けんしょう)は、同じクラスの茨戸爽介(ばらと そうすけ)が法獣医学者の姉・雷火(らいか)を手伝う現場に遭遇したことから法獣医学に興味を持ち、手伝わせてもらうことになった。茨戸と友情を深めながら法獣医学について学んでいく物語である。

『ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―』の概要

『ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―』とは、浅山わかびによる漫画作品で、『週刊少年サンデー』にて2022年1月号より連載されている。動物の死について焦点を当てた作品であり、法医学の動物版と言われる「法獣医学」をテーマに描かれている。医学に関する作品が数多く存在する中、動物の死に特化し、さらにその謎を解き明かすという内容の珍しい作品である。
北海道に住む高校生の当麻健匠は、同じクラスの茨戸爽介が法獣医学者の姉・雷火の手伝いをしているところに遭遇したことで法獣医学の存在をして興味を持った。そこから当麻も茨戸と共に手伝うようになり、お互いに友情を深めながら獣医という目標に向かって成長していく物語である。
動物たちの死の謎や事件を解決するミステリーだけではなく、動物と人間の間の絆や動物たちがどのように死んでいったのか、生きていた意味なども動物ごとに必ず描かれており感動の物語でもある。どのような生涯でどのように死んでいったのかは文字はなく絵のみで表現されているところが読者の想像力をより掻き立てる。主人公の当麻は動物たちが死にゆく時の感情を想像し、生きていたこととどんな最期だったのかを自分だけは覚えていてあげたいと考えるような人物で、優しく繊細な性格の持ち主に見えるが、冷静に死を受け入れ何故死んでしまったのかを追い求める好奇心と探究心を持ち、その特異性も見どころの1つである。
様々な動物のケースが描かれるので、動物の生態や特徴などを学ぶ楽しさも味わえる作品となっている。

『ラストカルテ ―法獣医学者 当麻健匠の記憶―』のあらすじ・ストーリー

高校生編

「法獣医学」との出会いとカラスの事件

高校生の当麻は特にやりたいことや夢もなく、将来について悩んでいた。そんなある日、近所の公園でカラスが変死する事件の現場を目撃する。そこで同じクラスの茨戸が法獣医学者の姉・雷火の仕事の手伝いをしているところに遭遇し、法獣医学という存在を知った。カラスのことがどうしても気になる当麻は、一緒に雷火が所属する大学の研究センターについて行かせてもらい、カラスの解剖を見学することになる。当麻が目撃した日から毎日カラスの死体は増え続け、数は38体にのぼっていた。その異常性から当麻は誰かに殺されているのではないかと考え始める。放課後、カラスが最期に何を見て、何を思って死んだのかを調べるために茨戸と共に再び公園に行く。ゴミ置き場を見てみると、黄色い油揚げが落ちていているのを発見し、それを見た茨戸はこれが「カラスの毒餌に使われたんじゃないか」と考える。そこへ1人の男性が通りがかり少し不審な動きを見せたため当麻が話を聞こうとすると押しのけられて逃げられてしまう。当麻はすぐ追いかけようとしたが、茨戸はカラスが38体も殺されていて相手にするのは危険であり、犯人を捕まえるのは警察の仕事だと引き留めた。そこへ雷火からの連絡で、カラスの死体から「シアノホス」という農薬に使われる薬品が検出され、この事件には犯人がいることが分かる。
茨戸はさっきの男を止めておけばよかったと後悔するが、当麻が男の自転車の防犯登録番号を覚えていると言う。当麻は興味のあることに関して全て記憶する「完全記憶能力」を持っているのである。記憶によると1週間前も男がこの公園に自転車で訪れていたと言い、その情報から犯人を捕まえることができたのだった。
この事件で法獣医学に興味を持った当麻は、動物好きでもあることから獣医になることを目指し、悩んでいた進学志望も美森大学獣医学部に決めたのだった。

センター長登場とマガン

ある日、当麻はいつものように茨戸と雷火の手伝いで研究センターに来ていた。その日はセンター長で美森大学准教授の達美義孝(たつみ よしたか)が来ることになっていた。センターに到着し、初対面の当麻との挨拶を済ませるとすぐ新しく買った動物行動調査用の発信器とアンテナについて興奮気味に話し始め動物好きの変人ぶりを発揮していた。
達美は大きな箱を持ってきており、中にはマガンが入っていた。マガンは春と秋に渡ってくる「渡り鳥」で北海道には栄養補給の場として立ち寄るという。このマガンが例の如く雷火に名前が付けられ「ガンちゃん」と呼ばれることになる。経緯は分からないが、達美の知り合いの養鶏場の人がニワトリの中に混じっているのを発見し、達美が見た時には衰弱し神経症状も出ていたようだった。
その後元気になったマガンを群れに戻すことになり、当麻や茨戸、達美、雷火は寄留地である「宮島沼」に向かった。その道中、当麻は車から見た景色に見覚えがあり、前日に通った時に同じマガンを見たと言い、数や生態を調査するために首に付けられている「首環標識」の番号も覚えていると話した。当麻の記憶能力を初めて見た達美は理解できない様子であった。当麻が寄留地にいる女の子にガンちゃんについて何か知っていないか聞くと、昨日1匹のマガンが電線にぶつかり、養鶏場の方向にふらふらと飛んで行ったと話してくれた。これでガンちゃんが養鶏場にいた経緯が明らかになったのである。
ガンちゃんは自信を失ってしまっていてなかなか輪の中に戻ることができないでいたが、1匹が飛び立つと仲間がどんどん後に続いて行き、無事一緒に飛んでいくことができた。
その後研究センターの戻ると、雷火から当麻の記憶能力について聞いた達美は、記憶力を活かした感染症のテストを1週間後に実施すると告げる。合格したら研究センター限定でさらに雷火の立ち合いを絶対条件に解剖することを許可すると伝え、当麻はやる気をみなぎらせるのだった。

エゾシカを使った保険金詐欺事件

専門書がたくさん置いてある大きい本屋さんに行くために当麻は茨戸にバイクに乗せてもらい道路を走っていた。その途中に事故現場に遭遇する。エゾシカを轢いてしまった事故だと分かると近くに寄り、茨戸はすぐに雷火に連絡を取って研究材料としてシカの死体をもらい受ける。
研究センターでの解剖の結果から今回のシカは何らかの原因で弱っていたところを車に乗り上げられ、2度交通事故に遭ったと茨戸は考えていた。さらにシカに土がつき、体毛が妙に逆立っているなどの引きずられた跡も発見され、明らかに人間が関与していることが判明したのである。
そこへ美森大学4年生で研究センターのメンバーである滝瀬露子(たきせ つゆこ)が獣毛鑑定をするために入ってきた。保険会社からの依頼で車に付着していた体毛から動物の種類を調べてほしいということだった。露子が依頼を受けた保険会社からの話では、今回の事故当事者は数年のうちに4回もシカとの接触事故を起こしているのだという。これには保険会社側も怪しんでおり、詐欺を疑っているのだった。当麻は露子に話の中で露子に見せてもらった写真の車が、解剖したシカを轢いた車と同じであることに気づき、茨戸と一緒に再び現場へ向かうことにする。勝手に行動する2人に呆れながらも雷火は監視役として露子について行くようにお願いするのだった。
当麻たちは現場に到着し周辺を調べると、道路の横に続いている森の中に人間の足跡と何かを引きずった跡を発見した。当麻は、生き物は道具ではないことやシカがどう死んでいったのかを伝えるために事故当事者2人に会いに行くことにする。早速当事者が使うと思われる駅に行き、人混みの中からなんとか見つけ出してすれ違いざまにシカの解剖をしたことを告げた。シカの死因や生前はどれだけの痛みだったか、さらにシカが最後に涙を流していたことを淡々と伝える。すると当事者の1人は泣き出し、謝罪をしたのだった。そして当麻たちは伝えたいことを伝え、去った。雷火に監視をお願いされていた露子は一部始終を見てから2人に近づき、「伝えてくれてありがとう、スカッとした」と笑顔で伝えた。大学に籍を置いている自分たちはたとえ事故当事者が動物を道具として利用し、そのことに憤っても接点を持つことはできないため当麻が伝えてくれたことで気持ちが晴れたのだという。
その後、当麻と茨戸は再び事故現場に戻り、シカの最期に思いを馳せるのだった。

当麻・茨戸の周りの人たちの変化

当麻と茨戸のクラスに雨竜尊(うりゅう みこと)という女子生徒がいる。ある時尊は机の上に置いてある本を見て当麻と茨戸に獣医になるのかと聞いてみる。その流れで自分の家にスズメの巣があって春になるとうるさいのだと話すと、当麻が興味を持ち、放課後茨戸も含め3人で巣を取りに行くことになった。
その際にスズメにもいろいろな種類がいて、それぞれに特徴があること、巣の作り方にも性格が出ることなど茨戸の話を聞いて動物に興味を持った様子であった。当麻がスズメの巣について、日々の積み重ね大事に作られていて愛おしく感じるのだと言っていたことにも感動した様子で、その時から当麻に対して好意的な気持ちを持ち始める。そして大学の志望は服飾かメイク関係を目指していたが、当麻と同じ美森大学に変更するのだった。
茨戸の行きつけのバイク屋さんは中学時代の同級生の店である。ある日茨戸が久しぶりに店へ向かうと、同級生だった於菟快晴(おと かいせい)が店番をしていた。於菟は茨戸が中学時代に唯一話す相手であり、店に飾ってあるポスターのようなキャンプをすることを夢見ている。茨戸に夢の進捗を聞かれると揃えたキャンプ道具を見せるために部屋に向かった。
道具は十分に揃えられていたが、ポスターにいるドーベルマンが足りないのだという。そのために兄や父にはずっとペットが欲しいと伝えており、ある時父が隣のおばあさんから動物を引き取ってくれた。しかしそれはかっこいいドーベルマンではなく可愛らしいウサギだったのである。ずっと飼いたかったドーベルマンとは程遠く心底残念そうだったがぽぽこという名前をつけてかなり可愛がっている様子であった。
最近ぽぽこが元気なさそうだと於菟が言うので、茨戸が診てみることになるが、原因はすぐに判明する。於菟がぽぽこの出した糞をすぐに片付けてしまっていたのだ。ウサギは2種類の便を出し、柔らかい「盲腸便」の方は豊富な栄養分を含み、1度で栄養を吸収できないウサギは盲腸便の方を再度摂取して消化・吸収しなければいけないのである。その事実を知って於菟かなりショックを受けていた。
春ごろになると、茨戸の元へ大量にぽぽこの写真が送られてくるようになり、一緒にキャンプにも行き物凄く可愛がるようになっていた。

新たな仲間との出会いと大学受験

雪の降る日、当麻と茨戸は研究センターに向かう途中、大阪から大学の見学に来た堺川千夏(さかいがわ ちなつ)に出会う。千夏は美森大学に行きたいというので3人で一緒に向かうことになった。家が肉牛農家で獣医師免許を取るために美森大学を検討しているのである。ウシへの愛が強く、少しの体調変化も分かるようになるために獣医師を目指していた。
研究センターに着くと中には露子がいて、千夏はウシの話で盛り上がり意気投合する。4人で話していると達美が露子にトリのウイルス検査を頼みにセンターに入ってきた。トリの種類は「クロガミインコ」で死体はミイラ化していて、輸入してきた牧草ロールに混入していたのを発見されたという。当麻はその死体を見てどういう子であったのかをどうしても考えてしまうのだった。そして何か分かることはないかと、牧草ロールを見るために牛舎に行くことにする。
全員で牛舎に向かい、当麻は牧草に潜り込みながら手がかりはないか調べ始めた。千夏には若干引かれていたが、鳥用のハーネスを発見する。このことからインコが迷い鳥で飼い主がいたことが分かった。SNSで検索するとすぐに飼い主を見つけることができコンタクト取ると、本当に飼っていたインコかどうかを確かめるため写真を送ってほしいと返事が返ってくるが、今のインコの状態を見せることに当麻は悩む。しばらく悩んだ末、写真を送ると飼い主からは感謝を述べられ、インコの死体は飼い主の意向で送り返すことになった。
その後3年生になった当麻は茨戸とともに勉強漬けの日々を経て大学受験を迎えた。結果は2人とも合格で、4月の入学式では同じ大学に受かっていた尊や千夏、於菟たちと再会したのである。

大学生編

当麻健匠の生態

大学生になった当麻達は大学の寮に入り生活することになる。当麻と於菟は同じ部屋になっていて、先輩2人の4人部屋で過ごすことになるであった。
同じ部屋で過ごす中で、於菟は当麻の異常な記憶力に気づき始めていた。食堂でそのことについて茨戸に話すと、なぜか自慢げに完全記憶能力を持っているのだと教えられる。人や物をよく観察している当麻を逆に観察してやろうと考えた於菟は茨戸を誘う。茨戸は断ろうと考えていたが、1人では行きづらいと思っていたサークルの見学に誘導するという思惑で承諾した。
2人は当麻の後をつけしばらく観察してみる。大学に住み着いているシメサバという名前の野良ネコに餌をあげたり、そこで見つけたアイヌネギを見つけて食べ頃になったら採りに来るために記憶力を使って場所を目に焼き付けていたりという行動を見ただけであった。茨戸はサークル見学に行くために「もっと知りたいなら人に聞いてみれば」と提案し、当麻を知る人物に来て回りながら見学をするのだった。聞き込みも特に参考になる意見はなかったが、最後に茨戸は自分の意見として、当麻について自分にはできない行動力を尊敬し、密かに理想だと思っているのだと話した。茨戸の話を聞いた於菟は、自分も当麻の良い部分をもっと見つけようと考えながら寮の部屋に戻る。部屋では当麻が先輩たちに記憶力を発揮しているところだった。漫画60巻分のセリフを全て覚えていることを証明するため実演していて、その光景を見た於菟はこれが茨戸の理想なのか、と不安になるのだった。

女装で女子寮潜入

当麻と於菟が早朝に男子寮生が担当の仕事である「牛乳当番」の仕事で、牛乳を寮に運んでいる時、トリをくわえているネコのシメサバを見つけた。シメサバから猫缶と交換でなんとかトリを救出したが、怪我をして弱っている様子で、放って置けない当麻はなんとかしようと決める。牛乳当番は於菟がやっておくと言ってくれたので、茨戸の寮の部屋に行くと、寝ぼけながらも「アオバト」であることを教えてくれ、部屋に治療器具はないため研究センターに連れて行くよう指示した。2人が研究センターへ行くと露子がいて、事情を話すとアオバトに適切な処置をしてくれた。露子の話では、初夏になると決まってアオバトが運ばれてくるのだという。3人は原因を探るためアオバトが発見された現場に向かうことにする。見つけたのは女子寮の前であり、アオバトが弱った原因は女子寮にあるのかもしれないと考えられたため、当麻と茨戸は女装して女子寮に入ることになってしまった。
実は男性でも許可があれば女子寮に入れるのだが、露子は伝えない方が面白いと思い当麻達には教えずに女装をさせたのである。探究心が先走る当麻は格好のことは忘れ、すぐ聞き込みを開始する。話しかけた女子生徒から去年もトリが網戸に引っかかっているのを見たという話を聞くことができた。なぜアオバトばかりなのか考えながら廊下を歩いていると、窓が多いことに気が付き、そこで茨戸が、大学内を生活空間にしているスズメやカラスは窓ガラスの位置を把握しているが、他所からやってくるアオバトは分からずぶつかってしまうのではないかと思い付いた。しかし警戒心が強いアオバトが不用意に人の気配が感じられる場所には近づかないはずだった。露子の提案で寮の裏の木から窓を見てみるとガラスは光の反射で森が続いているように見えていた。こうしてぶつかってしまう理由が判明した。保護したアオバトは元気になり放鳥することができた。

50km強歩大会でのオオワシ事件

美森大学学生寮には、1年生が約50kmの道のりを歩いたり走ったりして完歩を目指す「50km強歩」という伝統行事がある。1年生であり寮生でもある当麻、茨戸、於菟、尊、千夏も参加していた。その行事の中で当麻達はオオワシの死体(以下オオワシ1)と生きてはいるがかなり弱っていて様子もおかしいオオワシ(以下オオワシ2)を発見した。オオワシ1とオオワシ2は似たような症状が見られ、当麻はオオワシ1を解剖すれば死因が分かり、オオワシ2のことは助けられるかもしれないと考える。近くに見つけた民家の住人に許可をもらい車庫を貸してもらえることになり、当麻はこれまでの経験の記憶を頼りに解剖を始めた。その最中に遅れて歩いてきた茨戸が合流し、突然の光景に驚きながらも当麻の説明を聞いき、オオワシ1の様子を見て「鉛中毒」の可能性をあげた。これ以上はどうすることもできないため、雷火に連絡して引き取ってもらうことにした。
一同は再び強歩大会の道のりを歩き始め、その間当麻は茨戸に鉛中毒について説明してもらう。鉛中毒とは鉛の摂取が原因で起こる重金属中毒で、猛禽類はハンターに鉛弾で撃たれて放置された野生動物の死体を食べることで発症する。北海道では鉛弾は規制されていて、無毒弾が代替として使われているのだが、今回は鉛弾が使用された形跡があったのだ。
翌日、当麻達はオオワシ1が食べていたであろうシカの死体を探しに行った。見つけて回収し解剖するとシカからは鉛弾の欠片が出てきて、オオワシの症状が鉛中毒だと確定した。
その後当麻達はみんなでオオワシの解剖で車庫を提供してくれた菊池の家にお礼に行くことになる。菊池はハンターでもあり、自分で仕留めたシカのジビエをご馳走してくれた。食事中、茨戸がトイレを借りに席を外し家の廊下を歩いていると、ある部屋で鉛弾の空き箱を発見する。
今回のオオワシの件について真相をはっきりさせるため茨戸はみんなの元へ戻り、菊池に鉛弾を使用したのかを問い詰めた。菊池は鉛弾を使ったと簡単に認めた。今回のオオワシの話を聞くと菊池は自分のせいではないと考えていると言い、シカの猟で鉛弾を使用したとことに罪の意識はあるものの、魔が差したのだと話す。当麻は、毒入りだと知らずに肉を食べ死んでいったオオワシのことを考えると怒りを感じると語り、菊池に鉛弾をやめてもらうために「菊池さんが撃った弾でオオワシが鉛中毒になったのと証明する」と決意を表明した。
菊池が犯人だと断定することは難しくても「鉛中毒の原因を作っている1人」だと言うことを証明するためにエゾシカから鉛弾を探し、見つけることができるが、菊池は自ら警察に行くことにしてしまっていて証明することはできなかった。弱っていたオオワシ2は雷火の処置のおかげで元気を取り戻し、放鳥することができたのであった。

達美がクビになりかけたウォンバットの糞の事件

達美はウォンバットの糞のことで内部通報されてしまった。近所のおばさんにもらった旅行のお土産がオーストラリアの野生のウォンバットの糞であり、海外からの伝染病の侵入を阻止するための法律「家畜伝染病予防法」に反するかもしれないのである。野生動物大好きの達美はウォンバットの珍しい四角いウンコを見てみたいあまりその可能性を失念してしまっていた。達美自身が違法行為をしたというわけではないが、他の教授たちから好かれていない気がする自分は庇ってもらえずに退職かもしれないと嘆くのだった。
達美が学部長に呼ばれ話をしている間、雷火は当麻と茨戸を連れて内部通報者について探ることにする。聞き込みの結果、通王者は病理学の先生である雪裡美世(せつり みよ)だと分かった。
達美の処分は厳重注意として1ヶ月の減俸ということに決まった。一緒に話を聞いていた雪裡は納得いかない様子であり、その後学部長が目の前にいるにも関わらず口喧嘩を始め、最終的に「ウォンバットの四角いウンコは跡形もなく燃やします」という冷たい言葉に達美は泣いてしまうのだった。焼却が終わり、雷火達3人が書類の捺印のために雪裡の部屋へ向かうと姿はなかった。当麻がかかっているコルクボードに違和感を感じて裏を見てみると、そこには大量の達美の写真や今回の処分についての書類などが貼られていた。3人は雪裡の達美への並々ならない思いを知ってしまったのである。

茨戸と露子の動物園デートと老ペンギン

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