ソリテール（葬送のフリーレン）とは【徹底解説・考察まとめ】

ソリテール（葬送のフリーレン）の概要

ソリテールとは、原作：山田鐘人、作画：アベツカサによる漫画『葬送のフリーレン』に登場するキャラクター。何百年もの間、人にその存在を知られないまま活動を続けてきた大物魔族である。
これはソリテールが“出会った人間を1人残らず殺してきた”ことを意味しており、作中で相対した人間の魔法使いフェルンからは「ものすごい死臭がする」と恐れられていた。

魔王に近しい立場らしく、彼から様々な知識を学ぶ。彼に命じられるまま人間と戦い続けてきたが、ソリテールは魔王の掲げる「人類との共存」という思想については「魔族を滅ぼしかねない、種族としての自分たちにはまったく利益の無いもの」と否定的に捉えていた。
やがて魔王軍幹部「七崩賢」の一員である黄金郷のマハト（おうごんきょうのマハト）が同じ思想に目覚めたことを知ると、ソリテールは「それは絶対に達成不可能なものである」と直接告げ、彼がその事実を受け入れるまで見届けようとする。その後マハトの打倒を目指すエルフの魔法使いフリーレンと戦い、彼女に倒される形で死亡した。

ソリテール（葬送のフリーレン）のプロフィール・人物像

好奇心旺盛な研究者。特に人間に興味を持ち、その肉体や精神の構造について調べている。しかしその内容は「どこをどれくらい傷つければ死ぬか」、「どういう状況でどういう言葉をかければ強い反応を示すか（＝より傷つくか）」というもので、人間が実験動物の反応に注目するのと大差ないレベルである。
会話を好み、敵であっても積極的にコミュニケーションを図ろうとする。無数の人間を傷つけ、その反応を見て学んだ話術は人間心理を巧みに利用した狡猾なもので、作中では平然と「あなたの仲間は殺した」と嘘をついて主人公フリーレンの動揺を誘おうとした。自分が傷つくことにはかなり無頓着で、戦いの中で手傷を負わされることよりも相手の反応や奥の手の魔法を見る方に注目する根っから研究者気質である。

人類側にはその名を知られていないが、魔王軍では魔王にかなり近しい立場にいたらしく、彼からは“収斂進化”（サメとシャチ、オオカミとフクロオオカミのように、「まったく異なる系統の生き物でも、同じ環境で同じ目的のために進化を続ければ似た姿になる」という学説）という中世ファンタジー的な本作の世界観には似つかわしくない言葉を教わっている。一方で魔王の掲げていた「人類との共存」という思想については否定的で、「何も楽しくなかったし、魔族は危うく絶滅するところだった」と語っている。
マハトが魔王と同じ思想を抱いた時は、「魔族にとって非常に危険」だとして自ら始末することも検討している。しかし「倒せるかどうか分からない」としてこれを断念し、マハトが「人類との共存など夢物語だ」と諦めるのを見届ける方向に考え方を変更。追撃してくるフリーレンたちを協力して迎え撃った。

ソリテール（葬送のフリーレン）の魔法・能力

無名ながら恐るべき力を秘めた大魔族。双方と戦ったことのあるフリーレンは、「（ソリテールは）七崩賢最強とされるマハトとほとんど互角の力を持つ」と分析している。
慎重で狡猾な性格もソリテールの大きな武器となっており、戦う中でも相手を分析し、より効果的な立ち回り、より相手の動揺を誘う言葉を用いる危険な存在。「この状況の人間にこの言葉をかければどんな反応があるか」まで考えて会話することが可能で、これはそれだけ多くの人間との戦闘経験があり、その上で出会った全ての人間を殺してきたことの証拠ともなっている。

無数の剣を生成する魔法

正式名称不明。空に無数の剣を作り出し、これを敵に向かって撃ち出す。剣の切れ味はかなりのもので、人体なら容易に貫くほどの威力を持つ。
剣は「そういう形のエネルギーの塊」ではなく本当にその場に実体化しているため、手に持つことも可能。しかしソリテールはある程度距離を置いた戦いの方が得意らしく、この剣を用いた接近戦は仕掛けていない。

魔力投擲

正式名称不明。ソリテールの切り札である。自分の体から魔力を噴出し、それをダイレクトに敵に叩きつける。威力と範囲、速射性に優れるが、“魔力の塊を叩きつける”という極めて単純な攻撃方法なだけに模倣することは非常に簡単。それでも実行する者がほとんどいないため、燃費はかなり悪いものと思われる。
ソリテールは「さんざん魔法を研究して辿り着いた最強の戦法が、魔法ではなく魔力を直接ぶつけることだなんて」と自嘲とも取れることを口にしているが、この時も相手を小バカにしたような笑みを浮かべているので真意は不明。

魔法の解析

ソリテールは人間の魔法についても積極的に研究しており、その術式や効果などについて深い知見を持っている。マハトを隔離していた複雑にして強固な結界を解除できたのも、人間の魔法についての十分な知識を持っていたからだった。

ソリテール（葬送のフリーレン）の来歴・活躍

魔王との交流

いつ頃生まれた魔族なのかは不明。少なくとも100年ほど前には魔王軍に参加し、魔王から様々な知識を教わっていた。その中には「収斂進化」（サメとシャチ、オオカミとフクロオオカミのように、「まったく異なる系統の生き物でも、同じ環境で同じ目的のために進化を続ければ似た姿になる」という学説）といった中世ファンタジー風の本作の世界観には似つかわしくないものもあったが、ソリテールはこれを貪欲に吸収していった。
魔王は1000年以上前から人類との戦争に多くの魔族を駆り出しており、その目的は「人類との共存」のためだったとされている。ソリテールは魔王を尊敬する一方でこの思想には否定的で、「何も楽しくなかった、もっと人間とお話したかったのにできなかった、魔族は危うく絶滅するところだった」と当時のことを振り返っている。

マハトとの出会い

やがてソリテールは独自に人間について研究するようになり、人間たちが放棄した造船所をねぐらにして活動していく。彼女の“人間の研究”は「どこをどう傷つければ死ぬか」、「どんな時にどういう言葉をかければより傷つくか」を調べるためのもので、そのために無数の人間が犠牲となっていった。
ある時、そんな彼女の下を魔王軍幹部「七崩賢」の一員である黄金郷のマハト（おうごんきょうのマハト）が訪ねてくる。マハトは人間固有の感情である“悪意”や“罪悪感”を知ることを望んでおり、人間の研究をしているソリテールなら何か手掛かりになる情報を持っているのではないかと考えていた。

ソリテールは「魔族は人間を食べるために進化した生き物であり、肉体の構造も精神の構造も違う。人間独自の感情なんて自分たちに分かるはずがない」とマハトの望みを真っ向から否定する。実際“悪意”や“罪悪感”は高度に社会的な生物に特有の精神活動であり、捕食のためにその真似事をすることはできても“社会”というものに頼らずに生きる魔族がこれらを理解できないのは当たり前のことだった。
しかしマハトは「どうせ魔族には無駄に長い時間がある」と食い下がり、人間固有の感情を知ることは彼らとの共存につながるのではないかとの見解を披露。それはかつて魔王が目指し、危うく魔族を滅ぼしかけた危険な思想と同じものであり、ソリテールはマハトに興味と警戒心を同時に抱く。

勇者ヒンメル一行との戦い

マハトとの交流から数年後、ソリテールは七崩賢の1人である奇跡のグラオザームに召集される形で勇者ヒンメル一行の討伐に駆り出される。勇者ヒンメルは当時大いに活躍していた人類側の英雄で、後に魔王を討ち果たすこととなる人物だった。
血塗られし軍神リヴァーレ、終極の聖女トートといった魔王軍屈指の猛者も同じ目的のために集められるが、トートは「戦うのは苦手だし、馬鹿馬鹿しいから帰る」とあっさりと手を引く。この勇者ヒンメルの討伐は、先に戦死した全知のシュラハトという魔族が計画したもので、「1000年先をも見通すとされたシュラハトが言い残した計画なのだから、トートがあのように引き返していくのも織り込み済みで、全てになんらかの意味があるのだろう」とソリテールたちはトートを黙って見送った。

ヒンメル一行を補足したソリテールたちは、リヴァーレの不意打ちで相手の連携を崩し、グラオザームの魔法によって彼らを幻覚の中に封じ込める。しかしヒンメルは「幻覚と自分の肉体の感覚の微妙な差異を頼りに反撃する」という常識外れの方法で反撃に転じ、逆にグラオザームを追い詰める。
これ以上戦う意味は無いと判断したソリテールは、グラオザームと共に撤退。リヴァーレも独自に戦闘を終えて退いた。しかしグラオザームの態度から「何かしらの収穫はあった」と判断したソリテールは、自分にもそれを教えるよう彼に要求する。

自説の証明のための旅

ソリテールと別れた後、マハトは「友と呼べるほど親しい人間を作ってから裏切れば“罪悪感”を理解できるかもしれない」と考え、この計画を実行するために人間たちの街であるヴァイゼで暮らすようになっていた。数十年の時を準備に費やした後、今こそその時と「万物を黄金に変える魔法」（ディーアゴルゼ）を発動してヴァイゼの民と街の全てを黄金化させるも、結局マハトは“罪悪感”を理解することができなかった。ここに人類側の魔法使いたちが現れ、マハトを黄金郷と化したヴァイゼごと封印する。
それからさらに数十年の時が流れたある日、ソリテールは唐突にヴァイゼに現れ、マハトの出入りを封じている結界の解除に取り掛かる。実はこの時、勇者ヒンメルと共に魔王を討伐したエルフの魔法使いフリーレンがマハト討伐のためにヴァイゼの近くにまでやってきており、ソリテールは「フリーレンはマハトを倒せる可能性のある危険な相手だ」と考えて彼の助っ人をしようと考えたのだった。

ソリテールがマハトにここまで肩入れするのは、「人類との共存」という夢が実現不可能なことをマハトに証明させたいという理由があるためだった。かつて魔王が掲げて多くの魔族を死に追いやったこの思想を、ソリテールは「危険極まりないものだ」と認識しており、マハトが心折れる様を見届けることで自分の正当性を確かめたいと考えていたのだった。
黄金郷を覆う結界を解除してマハトを助け出したソリテールは、自身の目的について明かした上で、「君が人類との共存を諦めるまで見届ける」と当面同行する旨を宣言。マハトは「好きにしろ」と告げてヴァイゼを去ろうとするも、ここに人間の魔法使いたちが現れる。マハトが別の場所でヴァイゼと同じ惨劇を起こすだろうことを考えれば、無理であっても無茶であってもそれを止めなければならないと彼らは覚悟を決めていた。

フリーレン一行との戦い

マハトが因縁のある人間の魔法使いと戦う中、ソリテールはフリーレンの弟子のフェルン、彼女たちの旅の同行者である戦士シュタルクと交戦。圧倒的な力を見せつけて2人を翻弄するも、唯一フェルンの「一般攻撃魔法」（いっぱんこうげきまほう）と呼ばれる攻撃にだけ手傷を負わされる。
これはもともとは有名な大魔族の開発した魔法で、その高い有用性から徹底的に解析されて人間の魔法使いたちのものとなっていた。人間の魔法使いたちの研鑽によってさらに強化された一般攻撃魔法の速さと威力にソリテールは強い興味を示し、これを軸に反撃していこうとフェルンたちは身構える。しかしここでマハトが「万物を黄金へと変える魔法」を自分とソリテール以外を目標に無差別広範囲に発動し、フェルンとシュタルクは黄金の塊と化してしまう。

これにより勝負あったと判断したソリテールは、マハトと共にヴァイゼを出立せんとする。しかしこの時フリーレンは「万物を黄金へと変える魔法」を解除するための術式を完成させるためにずっと待機しており、これが完成したことで状況は一変。黄金化されていたフリーレンが再び動き出したことを知ったマハトは、「自分の魔法が破られた」と驚きながらヴァイゼに引き返す。
この時点でフリーレンは、マハトの討伐に執念を燃やす人間の魔法使いの黄金化も解除していた。マハトがその魔法使いと、ソリテールはフリーレンと戦うこととなり、互いに様々な魔法を繰り出していく。その中でソリテールは相手の動揺を誘うべく「あなたの仲間たちを殺した」と伝えるも、フリーレンは「今すぐ確かめる方法が無い以上ブラフの可能性もある」と冷静に判断。逆に「フェルンたちがまだ生きている」可能性にかけて、ヴァイゼ全体の黄金化を解除する。

ソリテールはこれを「マハトと戦っている人間の魔法使いの援護」だと捉えるが、実際は「黄金化から解放されたフェルンによる奇襲」に期待してのものだった。ソリテールがその可能性に気付いた時には、すでにフェルンが放った高圧縮版の「一般攻撃魔法」が彼女の胸を貫いていた。
らしくもない油断をしたと自嘲しつつ、これも魔族らしい最後で悪くないと笑うソリテール。そのままフリーレンにトドメを刺され、ソリテールは死亡した。

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