PPPPPP(ピピピピピピ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『PPPPPP』(ピピピピピピ)とは、『週刊少年ジャンプ』の音楽漫画。作者はマポロ3号。「次にくるマンガ大賞2022」で5位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2023」で10位を獲得した。一時期人気はあったが、最終的に打ち切りの形で幕を閉じる。
主人公の園田ラッキーは、音楽の大天才・音上楽音の子供として生まれたが才能に恵まれず疎まれていた。それを見かねた母親はラッキーを連れて家を出る。以来、ラッキーはピアノをずっと封印してきたが、母の言葉に励まされ、再びピアニストを目指すことになった。

『PPPPPP』(ピピピピピピ)の概要

『PPPPPP』(ピピピピピピ)とは、集英社の『週刊少年ジャンプ』の音楽漫画である。作者はマポロ3号。2021年42号から2023年13号まで連載をしていた。同誌の2021年2号では、読切漫画『ダダダダーン』が発表されており、これは『PPPPPP』の前日譚の物語に当たる。そのため一部登場人物が共通している。「次にくるマンガ大賞2022」で5位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2023」で10位を獲得した。一時期人気はあったが、その後下がったのか、最終的には打ち切りの形で幕を閉じる。

主人公の園田ラッキー(そのだ ラッキー)は、音楽の大天才・音上楽音(おとがみ がくおん)の7つ子の内の1人として生まれる。しかし他の兄弟と違って才能に恵まれなかった。そのため、楽音はラッキーを虐げるようになる。それに見るに耐えなかった母親の蝶調(ちょうちょう)は楽音と離婚。ラッキーだけを連れて家を出た。ラッキーはそれ以来、大好きなピアノをずっと封印してきたが、蝶調の言葉に励まされ、再びピアニストを目指すことになった。

『PPPPPP』(ピピピピピピ)のあらすじ・ストーリー

ピアニストを目指して

主人公の園田ラッキー(そのだ ラッキー)は、音楽の大天才・音上楽音(おとがみ がくおん)とその妻・蝶調(ちょうちょう)の間い生まれた7つ子の第6子として誕生した。兄弟達はみな天才的な音楽の才能を持っていたが、ラッキーだけは楽音の望む「ファンタジー」の才能がなかった。「ファンタジー」とは、優れた音楽家が演奏することで聞く人間に、この世のどこにもない幻覚を見せる「映像的な音楽」のことを指す。楽音はこの「ファンタジー」を見せる力が卓越しており、子供達もみな、この「ファンタジー」を見せる才能を持っていた。1人だけ才能がないラッキーを楽音が次第に疎むようになり、毎日のように罵り続けた。それを見かねた蝶調は幼いラッキーだけを連れて楽音と離婚。日本の実家へと戻った。もともと蝶調は7つ子を出産したあとから体調がずっと悪く、離婚した後さらに体調が悪化。病院に入院し、1日のほとんどを眠る、ほぼ寝たきりの状態になってしまった。

数年後、ラッキーは中学3年生になる。蝶調の妹である叔母の家で世話になっていたが、叔母は楽音のファンであり、楽音と離婚した姉の蝶調やその子供のラッキーをよく思っていなかった。そのためラッキーは、叔母やその子供の正志(まさし)にこき使われる日々を送っていた。日本に戻ってきてからラッキーは大好きなピアノを封印。叔母の家でも音楽に関わること全てを禁止されていた。そしてテレビで活躍する、他の兄弟達の活躍を見ているだけだった。楽音はラッキーという音上家の汚点を隠蔽しており、世間的には楽音の子供は6つ子ということになっている。ラッキーは毎日のように蝶調を見舞いに訪れては、それでも捨てきれない大好きなピアノのことを思った。そして眠る蝶調を起こさないように電子ピアノの小さな音で蝶調にピアノを弾いて聞かせた。

ある日、病院に行くと蝶調が体を起こしてラッキーを待っていた。起きた時に余命が2年だと宣告された蝶調は、ラッキーにピアニストになるようにと背中を押す。ラッキーは蝶調の言葉に勇気をもらい、音楽の名門高校・四分谷音楽高校(しぶやおんがくこうこう)を受験。ピアノの実技試験で引いた「きらきら星」で、無意識であったが、自分が体験したことを追体験させる「映像体験的な音楽」を披露した。試験官の1人・出田英雄(だだ ひでお)/DADA先生はそのラッキーの才能に気づき、ラッキーを合格にする。ラッキーは四分谷音楽高校に無事入学を果たし、中学が同じで四分谷音楽高校に首席で入学した古須亜子(ふるす あこ)と共にDADA先生の門下生としてピアニストを目指し始めた。

こうしてラッキーのピアニストを目指す人生が始まった。

兄弟達との再会

レイジロウとの戦い

ラッキーが四分谷音楽高校に入学してまもなくの頃、音上レイジロウが日本にやってきた。レイジロウは音上兄弟の第2子で、ラッキーが音上家にいた頃とても仲が良かった。レイジロウは楽音に日本のコンクールを制覇してくるように言われやってきたのだ。ラッキーはレイジロウが出場するコンクールを見に行き、その際にレイジロウと再会を果たす。最初は和やかに話していたが、ラッキーが再びピアノをやっていることを知ってレイジロウは急に態度を変えた。そしてラッキーに対して宣戦布告をする。

後日、ラッキーは新座ワオ(にいざ ワオ)という新人発掘が趣味の作曲家のオーディションを受けることになった。そしてレイジロウもそれに出場する。予選をなんとか突破したラッキーは、本戦でレイジロウと戦った。しかし結果はレイジロウの勝利。ラッキーはオーディションにこそ通らなかったが、その過程でレイジロウと仲直りすることができた。その帰り道、ラッキーはレイジロウと共に蝶調が入院している病院に向かう。レイジロウはそこで母親との久方ぶりの再会をすることができたのだった。

ミーミンとの戦い

レイジロウの次は、第3子のミーミンが日本にやってきた。レイジロウと同様、楽音に言われて日本のコンクールを全制覇するためにやってきたのだ。ラッキーはメトロノームを買いに来たお店で、電子ピアノを弾いているミーミンと偶然再会する。

ミーミンは音上兄弟の中で一番自由奔放だった。そして個性的すぎて”変”とも言える。ピアノの演奏でミーミンが自由に弾くと、その曲とイメージがかけ離れた「妖精のファンタジー」が出現し、ミーミンが何も考えずに弾くとその曲に合った雰囲気の「ファンタジー」が出現した。世間から評価されるのは後者。ミーミンは何故自由に弾いてはいけないのか、何故評価のために弾かなくてはならないのかと不満を持っていた。そしてコンクールで自分に負けた人間を全て追い出してもらうと言い出した。ラッキーはそれを止めるために8月に行われる全日本学生音楽コンクールへの出場を決める。そしてミーミンのためにピアノを弾いた。その結果、予選では落ちてしまったが、ミーミンと仲直りすることができ、ミーミンも自分なりの自由を手に入れた。

ミーミンはそのコンクールを最後に音上家から家出。楽音の手を離れて自由に生きるのだった。

ファンタとの戦い

音上兄弟第4子の音上ファンタが仕事で日本でやってきた。アニマートユニバーシティという大学の卒業式前日祭で、「4 on 4 ピアノバトル」をするというものだった。ラッキーはファンタからそのバトルに一緒に出てほしいと依頼される。「4 on 4 ピアノバトル」は名前通りの企画で、ファンタが集めたファンタを含めるピアニスト4人の「チームF」と、ラッキーが集めたラッキーを含めるピアニスト4人の「チームA」で勝負をするというものだった。依頼を受けて困惑するラッキー。そんな時、蝶調の体調が急変し、危篤状態になってしまった。ラッキーは日本に来たファンタにバトルどころではない、ファンタも蝶調に会ってほしいとお願いをする。そんなラッキーにファンタは冷たく、ラッキーが勝てば蝶調に会うという約束をするのだった。

アニマートユニバーシティの卒業式前日祭。「4 on 4 ピアノバトル」は予定通り行われた。ファンタ率いる「チームF」は、ファンタ、音上兄弟第5子のソラチカ、四分谷音楽高校の3年で天才を捨てた「元天才」ピアニスト・山中メロリ、YouTubeで活躍する覆面ピアニストの倫(りん)の4人。ラッキー率いる「チームA」は、ラッキー、レイジロウ、ミーミン、そして四分谷音楽高校の理事長の隠し玉「学びの天才」ピアニスト・日野運(ひの さだめ)の4人。それぞれが決められた曲を交互に弾き、会場にいる1,000人の投票で勝敗を決めるというものだった。

初戦は倫とレイジロウ。これに勝利したのはレイジロウだった。2回戦目はメロリとミーミン。これに勝利したのはミーミンだった。3回戦目はソラチカと日野運。これに勝利したのはソラチカだった。そして最後の戦いはファンタとラッキー。しかしラッキーが弾き終わった後、蝶調の容態が急変したという連絡が入った。ラッキーはレイジロウやミーミンと共に病院に向かう。ファンタは来なかった。そして蝶調はラッキー達が到着したのとほぼ同時に息を引き取るのだった。

もう1人のラッキーの目覚め

蝶調が死んでからラッキーは酷く不安定になった。そして「4 on 4 ピアノバトル」の頃からラッキーは内にくすぶっていたもう1人の人格と出会う。それは生まれた時からラッキーに備わっていた”才能”そのものだった。しかしその人格はラッキーのように母親思いでもなく、兄弟思いでもない。蝶調を失ってショックだったラッキーの人格は、その”才能”に取って代わられ、”良心の呵責”、”罪悪感”として内側に閉じ込められてしまった。

蝶調の墓の前で楽音と再会した、”才能”のラッキーは、昔楽音に殴られた仕返しに楽音を思い切り殴り飛ばすのだった。

『PPPPPP』(ピピピピピピ)の登場人物・キャラクター

主人公

園田ラッキー(そのだ ラッキー)

『PPPPPP』(ピピピピピピ)の主人公。音楽の大天才・音上楽音の6番目の子供。7つ子の内の1人である。他の兄弟は楽音の望む「ファンタジー」を見せることができず、楽音から凡才のレッテルを貼られてしまい、虐げられるようになる。他の兄弟との関係は良好だったが、虐げられるラッキーを見るに耐えなかった母親・蝶調と共に家を出た。その時ラッキーの存在は隠蔽され、世間では音上学院の子供は天才6つ子として認識されている。

ラッキーはピアノを弾くのが好きだったが、蝶調も難病を患って昏睡状態のようになってしまい、罪悪感に苛まれてピアノを封印してきた。しかしある時蝶調が目覚め、ピアニストを目指すように背中を押される。四分谷音楽高校に入学し、ピアニストとして成長していく。

ラッキーの家族(音上家)

園田蝶調(そのだ ちょうちょう)

ラッキーの母親。元楽音の妻である。7つ子を産んでから体調を崩しており、楽音と離婚してラッキーを連れて家を出てから体調がさらに悪化し難病を患ってしまう。病院で昏睡状態に陥っていたが、ある時目を覚まし、その時に余命を宣告された。本当はピアノが好きなラッキーの背中を押して、ピアニストになるように道を示し、そこからラッキーのことを見守っていたが、連載終盤の「4 on 4」のピアノバトルの後に亡くなった。

音上楽音(おとがみ がくおん)

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