め組の大吾 救国のオレンジ（漫画・アニメ）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『め組の大吾 救国のオレンジ』の概要

『め組の大吾 救国のオレンジ』（めぐみのだいご きゅうこくのオレンジ）とは、“オレンジ”こと特別救助隊となった若者たちの奮闘と成長を描く曽田正人、冨山玖呂両名による漫画作品。
1999年に完結した曽田正人の少年漫画『め組の大吾』の続編であり、同作とは世界観を共有している。主要人物こそ一新されているものの、前作の主人公や主要人物も重要な役どころで登場し、古い作品を知る者も楽しめる内容となっている。2023年にはブレインズ・ベースによりアニメ化された。

め組の大吾（FIRE BOYS）とは【ネタバレ解説・考察まとめ】 - RENOTE [リノート]

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『め組の大吾』は1995年から1999年までの約4年間、曽田正人が週刊少年サンデーで連載していた消防士の物語である。マンガの他、2004年にフジテレビでドラマ化された。主な内容は、不良に近かった朝比奈大吾が、消防士になり同僚や上司、先生や助けた人などに刺激を受けてレスキュー隊員へと破天荒ながら活躍の場を広げていく様子が描かれている。元不良らしい考え方と行動力の大吾とともに、優等生である甘粕のコンビが魅力を後押ししている。また、火災や事故現場の臨場感などが読み手を引き付ける。

斧田駿（おのだ しゅん）は、特別救助隊員として活躍することを夢見る新人消防隊員。常に自分の先を行く十朱大吾（とあけ だいご）、高校時代から片思いしていた中村雪（なかむら ゆき）らと共に特別救助隊員となるための訓練に参加し、その過酷な内容にヘトヘトになるのが常だった。
そんなある日、斧田は十朱が消防司令補にして修練教官でもある山上恭介（やまがみ きょうすけ）に内密に監視されていることを知る。実は十朱は10年前に起きたとあるホテルの大火災の生き残りであり、同時にこのホテルの経営者の息子でもあるのだった。

『め組の大吾 救国のオレンジ』のあらすじ・ストーリー

若き消防士たちの奮闘

斧田駿（おのだ しゅん）は、特別救助隊員として活躍することを夢見る新人消防隊員。常に自分の先を行く十朱大吾（とあけ だいご）、高校時代から片思いしていた中村雪（なかむら ゆき）らと共に特別救助隊員となるための訓練に参加し、その過酷な内容にヘトヘトになるのが常だった。
そんなある日、斧田は十朱が消防司令補にして修練教官でもある山上恭介（やまがみ きょうすけ）に内密に監視されていることを知る。十朱がなんらかの秘密と弱みを抱えていることを知った斧田は、「アイツも人の子ということか」と安堵すると同時に「十朱のことを知り、チームとしてうまくやっていくきっかけを作るチャンスかもしれない」と前向きに捉え、彼に近づいていく。

しかし十朱は自身の秘密については語らないまま黙々とトレーニングを続け、斧田に消防士としての覚悟の違いを見せつける。中村からも「他人の秘密を探ろうとする人間に命を預けたいとは思えない」と叱責された斧田は、自身の不甲斐なさを痛感すると共にますます十朱への対抗意識を燃やしていく。必死に十朱に追いつこう追い抜こうとする斧田の姿は、その十朱や中村にとっても刺激となり、彼らは同期の消防士として強い絆で結ばれていく。
苛烈な訓練課程をクリアし、斧田たちは特別救助隊員の待機要員となる。そして半年後、斧田はついに“オレンジ”こと特別救助隊の一員となり、未だ声のかからない中村から嫉妬交じりの激励を受けつつ、先んじてオレンジの制服に袖を通した十朱との絆を確かめるのだった。

事故現場への初出動

ある時、市街地で爆発事故が発生。特別救助隊員になったばかりの斧田は、ぶっつけ本番に近い形で実際の現場に出動することとなる。「自分だって過酷な訓練をクリアしてきたんだ」と勢い込む斧田だったが、初めて見る現場の壮絶な状況と、命の危険が目の前にある中で迅速かつ的確に動いていく十朱ら先輩の特別救助隊員たちを前に圧倒される。
臆してたまるかと斧田が奮起したところで、彼の所属するチームが要救助者を発見。倒壊した壁の下のわずかな空間に倒れ込んだ要救助者を助けるため、特別救助隊員たちはエアポンプで瓦礫を持ち上げようとするが、ここで思わぬアクシデントが発生。要救助者は鉄骨で左腕を貫かれていて動かせる状態になく、この鉄骨を切断しようにも瓦礫の隙間が狭すぎて誰もそこまで入れなかったのだ。

これを見た十朱は、「自分に行かせてほしい」と言って、強引に己の左肩を脱臼させる。十朱の異常とも言うべき人命救助への執念を目の当たりにして度肝を抜かれる斧田だったが、それでも自分にできることはないかと要救助者に呼び掛け続け、周囲の状況をチェックする。
十朱による救助作業が順調に進む中、斧田は事故現場の壁が倒壊寸前であることに気付く。今これが倒れれば要救助者はもちろん十朱も他の隊員たちも無事では済まないと判断した斧田は、誰にも何も言わないまま自ら壁を支えて時間を稼ぐ。要救助者が運び出され、十朱も脱出に成功したところで周囲はようやくその暴挙に気付くも、彼がそうしていなければ全滅していたこともあって誰も何も言えず、「自分はいいから逃げてくれ」と懇願する斧田をなんとか救出。初出動でいきなり命懸けの救助作業に従事することとなった斧田は、脱出するなり精魂尽きてその場に倒れ込む。

ギリギリの状況の中、十朱は料理人でもある要救助者の利き腕が傷つかないよう配慮しながら立ち回っていた。そのかいあって要救助者は短期間で社会復帰に成功し、お祝いと激励のために店にやってきた十朱たちに料理を振る舞うのだった。

10年前の大火災

ホテルニュースナイシスで起きた大火災から10年の年月が流れ、遺族の1人でもある雪は慰霊祭に参加する。この火災で家族4人を失い、とある消防士の奇跡的な活躍によって救助された雪は、「消防士になる」という強烈なモチベーションを抱き続けることでしかその後の人生を進むことができなくなっていたのだった。
大火災の遺族にして史上最年少の女性レスキュー隊選抜試験突破者となった雪は、慰霊祭の会場でマスコミから質問責めに合う。思わず「火災の原因を作った人間を許せない」と口走りそうになったところで、雪は東京消防庁警防部の甘粕士郎（あまかす しろう）という男に連れ出される。実は彼こそが雪を救助した“伝説の消防士”朝比奈大吾（あさひな だいご）の無二の相棒だった男であり、今までにない新たな救助部隊「め組」の結成のために奔走している人物でもあった。その甘粕に「め組に来ないか」と誘われた雪は、これこそ我が天命と彼の話に飛びつく。

雪が質問責めにされる姿をテレビで見た斧田は、「雪に負けたくない、対等の存在でありたい」との思いから、今まで以上に奮起する。実のところ斧田が雪に好意を抱いているのは十朱たち特別救助隊員の間では周知の事実となっており、これに気付いていなかった斧田は大いに戸惑う。
そんな中、豪雨による水害が街を襲う。出動した十朱は、要救助者を助けようと地下室に踏み込んだはいいものの、急激に流れ込んだ大量の水の重さで扉が開かなくなり、じわじわと水位が上がる中で閉じ込められてしまう。特別救助隊員はポンプ車で水を吸い出そうとするも、その場にある資材だけでは水の流入を止められなかった。「このままでは十朱も要救助者も死ぬ」と考えた斧田は、本来水中用ではない酸素ボンベを“空気圧を限界まで上げる”ことで水中での作業に対応させるという策を閃く。救助作業に専念するあまり斧田は溺れかけるも、この策自体は成功し、十朱と要救助者たちは命拾いする。

助けられる側となった十朱は、幼い頃の思い出を想起していた。実は彼はホテルニュースナイシスの支配人の息子で、子供の頃から10年前の大火災について遺族から猛烈なバッシングを受け、「自分は生きていてはいけないのではないか」と悩みながら過ごしていた。
その彼に生きる希望を与えたのも、かつて雪を救出した“伝説の消防士”朝比奈大吾（あさひな だいご）だった。朝比奈は十朱が生きる希望を失っていることを見て取ると、「レスキュー隊員になって、ホテルニュースナイシスの死傷者と同じ140人を引退するまでに救え」とのミッションを一方的に押し付け、名乗りもせずに去って行った。後に朝比奈の素性と名前を知った十朱は、「死んでしまった者はどうしようもないが、生きている者なら助けられる」という彼の言葉を生きる支えに、命懸けのレスキューを繰り返していたのだった。

『め組の大吾 救国のオレンジ』の登場人物・キャラクター

斧田駿（おのだ しゅん）

CV：八代拓

不破消防署の新人消防士。子供の頃に見た、実家の火災を鎮火するために集まった消防士たちの雄姿に憧れ、自身も消防隊員になることを決める。
特別救助隊員となるための訓練では十朱や中村に後れを取る立場で、必死で2人に追いつこうとしている。

十朱大吾（とあけ だいご）

CV：榎木淳弥

不破消防署の新人消防士。特別救助隊員になるための訓練ではトップの成績を誇る。消防士としては優れた才覚を持つが、寡黙で口数が少なく、斧田からは「やりたいことがあるならちゃんと報告しろ」とたびたび苦言を呈されている。
実は10年前に起きたホテルニューナイシスの大火災の生き残りで、同ホテルの経営者の息子でもある。特別救助隊員を目指しているのも償いの気持ちからで、その無茶な救助スタイルは山上からも問題視されている。

中村雪（なかむら ゆき）

CV：佐倉綾音

不和消防署の新人消防士。斧田とは高校の頃の同級生で、彼に想いを寄せられている。特別救助隊員の訓練では十朱に次ぐ成績を残しており、斧田から「本当に女か」と呆れ半分戦慄半分の感情を寄せられる。

山上恭介（やまがみ きょうすけ）

CV：稲田徹

不和消防署の消防司令補にして特別救助隊員の訓練教官。パワハラが問題視される時代にあっても自分のやり方を貫く古風な人物。
十朱がホテルニューナイシスの関係者であることを見抜き、その無茶な救助姿勢を問題視する。

甘粕士郎（あまかす しろう）

CV：子安武人

東京消防庁警防部に所属する、特別救助隊の責任者。「伝説の消防士」と呼ばれた朝比奈大吾のライバルにして無二の相棒だった人物である。

『め組の大吾 救国のオレンジ』の原作とアニメの違い・相違点

2023年に始まったアニメ版は、基本的な展開は漫画版のものと同じになっているが、尺の問題や演出方法の違いなどから一部の表現が異なっている。