シュウジ(最終兵器彼女)とは【徹底解説・考察まとめ】

シュウジとは漫画『最終兵器彼女』の登場人物であり主人公である。クラスメイトの女子高生ちせと付き合い始めるが、ある日彼女は最終兵器に改造されてしまった。戦争により崩壊していく日常の中で、兵器として成長していくちせに恐怖を抱いて距離を取り、他の女性の誘惑に負けて1度別れる。それでもちせを忘れられずに復縁し、以降は真摯に向き合った。ちせが人類を滅ぼした際には、彼女の意思により彼だけは唯一生き残る。最後は宇宙船に変形したちせの中に乗り込み、滅びゆく地球を脱出。宇宙でちせと永遠の愛を誓い合った。

ちせと別れ、アケミを看取ったシュウジ。戦争や天変地異は激しくなり、日常生活は崩壊寸前であった。それでも彼の後輩達は文化祭の後夜祭を実施しようと活動する。その様子を応援するシュウジであったが、自衛隊から後夜祭を中止するよう命令されてしまう。己の無力さを痛感していたシュウジであったが、人目も気にせず必死に頭を下げ始めるのであった。「おねがいです!おねがいします!」その彼の必死な様子に自衛隊員達は押し切られ、後夜祭の実行を許可するのであった。

今までプライドが邪魔をして、不器用であったシュウジ。そんな彼が様々な現実を乗り越えて、一皮剥けた事を表す名言である。

シュウジがふゆみと離別するシーン

ビンタをされるシュウジ(画像左の人物)とビンタをするふゆみ(画像右の人物)

ふゆみとの肉体的快楽に溺れ、歪んだ関係を続けてきたシュウジ。後夜祭の次の夜、無人の教室で黄昏れる彼の下にふゆみが訪れる。彼女は旦那のテツの死を知り、シュウジに慰めてもらおうとしていた。ふゆみに押し倒され誘惑される彼であったが、死んだアケミの幻影に一喝され、正気を取り戻す。ふゆみに甘えていた自分を見据えたシュウジは、彼女を突き離し別れを告げるのであった。そんな彼の成長を見たふゆみは、彼に張り手を喰らわせると彼の前から姿を消した。

己の弱さから目を背け、ふゆみに甘えてしまったシュウジ。そんな彼が辛い現実を乗り越えて成長した事を示す名言シーンである。

シュウジとちせが旅立つシーン

旅立つシュウジ(画像右の人物)とちせ(画像左の人物)

アケミとの死別やふゆみとの離別を経験したシュウジ。そんな彼の下にちせが戻って来る。彼女もまた出会いと死別を経験していた。互いに少しだけ大人に成長した2人は、故郷の街を旅立つ事を決意する。

辛い現実と向き合い、成長したシュウジとちせを象徴する名シーンである。2人の新たなる旅立ちを示しており、物語が新しい章へ移り変わっていく事も表現している。

「オレは生きたい…生きていたい!」

叫ぶシュウジ(画像奥の人物)とちせ(画像手前の人物)

兵器として覚醒したちせ。彼女は人間だった頃の記憶を消していたものの、シュウジの事だけは覚えていた。彼はちせとSEXし、肉体を重ね合わせていく。だが、最終兵器として覚醒したちせは全てを滅ぼそうとしてしまう。そんな彼女にシュウジは「オレは生きたい…生きていたい!」と叫ぶ。そして力強く彼女を抱いていく。彼の生への渇望は彼女の中の感情を蘇らせるのであった。

最終兵器となったちせに感情を取り戻させたシュウジの名言。彼の魂からの叫びにより、彼女は殺戮マシーンでは無く人の心を持った兵器として覚醒する。この事がきっかけでシュウジは生き残り、最終的にちせと愛し合っていく事となる。

「ぼくたちは、恋していく。」

唇を重ねるシュウジ(画像左の人物)とちせ(画像右の人物)

物語のラストシーンである。人類を滅亡させたちせは宇宙船に変形し、唯一生き残らせたシュウジをその中へ導く。そこで彼女はシュウジの脳内イメージを活用して、立体映像として彼の前に現れる。2人は活動を停止した地球を背景にキスを交わし、ハッピーエンドを迎える。背景にはモノローグで「ぼくたちは、恋していく。」と書かれていた。これは物語の初期に書かれたモノローグでもあり、2人の恋がこれからも続いていく事を表している。

シュウジ(最終兵器彼女)の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

シュウジには苗字が設定されていない

筆者あとがき(抜粋)

本作『最終兵器彼女』の主要登場人物であるシュウジとちせには苗字が設定されていない。この事は作者の後書きで書かれている。理由は「読者が感情移入をしやすいように」という配慮からである。この2人は登場回数が多く、その分読者と時間を多く共有している。より親近感を持ち、家族、友人、恋人を呼ぶような感覚で2人を認識してもらいたいという想いが込められている。

シュウジ達の話す北海道弁

本作『最終兵器彼女』は北海道が舞台であり、度々北海道弁が登場する。作者の高橋しんは北海道出身であり、自身の北海道で過ごした高校時代の経験を参考に作られている。

北海道弁は地域によって差異があった。海岸に近い地方に行けば行く程方言訛りがあり、内陸部に行けば行く程標準語に近くなっていく。元々北海道は蝦夷地と呼ばれ、アイヌ民族という独自の民族が居住していた。そこに江戸時代より入植が始まり、明治時代には「北海道」として本州に完全に統合された歴史を持つ。その為、北陸地方の方言の影響を強く受けていた。

2023年現在、TVやインターネット等の普及により道民が標準語に触れる機会が増えた。この為、標準語を話す道民が増え、北海道弁は廃れつつある。

実写版『最終兵器彼女』

実写版『最終兵器彼女』

漫画『最終兵器彼女』を原作にした実写映画が2006年1月28日に公開された。実写版のシュウジ役には映画『ビーバップハイスクール』で有名な窪塚俊介が抜擢されている。

物語展開は原作と異なっている。平凡な男子高校生シュウジと女子高生ちせが付き合い始めたある日、彼女が最終兵器に改造されてしまう点は同じであった。だが、物語終盤にちせは暴走してしまい、人類を滅ぼそうとしてしまう。自衛隊はミサイルでちせを破壊する事を決断し、彼女はミサイルで破壊されてしまった。その砂漠に散らばった彼女の残骸をシュウジは見つけ出して永遠に一緒にいる事を誓う、という内容であった。ベースは恋愛映画であるものの、戦闘シーンがグロく、殺伐とした印象を受けるもので全体的な映画の評価としては低かった。漫画を実写化する事の難しさが浮き彫りにされたエピソードとなった。

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