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omomamchan5

omomamchan5のレビュー・評価・感想

傾国の仕立て屋 ローズ・ベルタン
9

かつてフランスの華と呼ばれた、悲劇の運命を迎えた王妃「マリー・アントワネット」。平民出身でありながら彼女のドレスを作り続け、王妃からの寵愛を受けた一人の仕立屋がいた。彼女の名前は「ローズ・ベルダン」、現代ファッションデザイナーの祖ともいわれる彼女は、王妃マリーアントワネットの運命と共に数奇な運命を迎えることとなる。

このお話しはかつてのフランス、ベルサイユ宮殿で美しく咲き誇った王妃「マリー・アントワネット」のドレスを仕立て続けた一人の仕立屋「ローズ・ベルダン」の生涯について語るストーリーとなっています。
フランス王妃「マリー・アントワネット」について書かれた漫画や作品は多くありますが、彼女のドレスを作る仕立屋について語る作品はほとんどなく、とても珍しい漫画です。お話は彼女がまだ一人の平民、ただのお針子だった所からはじまり、次にパリを舞台に底辺のお針子から仕立屋としてなりあがっていく過程を描き続けます。
ストーリーの中で、ベルダンを中心にドレスだけでなく様々な人間関係が描かれていきます。王妃マリー・アントワネットだけでなく、ベルダンの腕を最初に試す女性はのちのデュ・バリー夫人(ルイ15世の公妾)として登場します。
そしてこの漫画で何より目を引くのは、ベルダンの作る美しいドレスの数々です。ロココ調の美しいドレスは勿論、当時のレースや生地について細かな特色を踏まえつつ、かつての流行についてもしっかりと描かれています。特に当時フランスで流行していたアジア文化を取り入れた「シノワズリ」をテーマに作り出すドレスなどは一見の価値があります。
ドレスや服が好きな方には是非読んで頂いて間違いない、素晴らしい作品です。

パラサイト 半地下の家族 / Parasite (2019 film)
10

韓国の問題がリアルに描かれた映画

韓国では実際に貧富の差が問題とされています。
この映画は、それをリアルに描かれています。半地下という貧困の中暮らす家族。
長男の家庭教師のバイトをきっかけにその家族の暴走が始まります。最初は妹。一番ずる賢い妹がさらに策略を練ります。
裕福か家庭にパラサイトするためには手段を得ません。気がつくと家族全員がその家に雇われるようになります。
しかし、本当のパラサイトは他にもいたのです。
人間の恐ろしさがよく表現されているのにもかかわらず時にクスッと笑ってしまうようなシーンも盛り込まれていて面白ろかったです。
雇い主の前では上品に振る舞う家族。しかし、家族だけになると本性が剥き出しに。それを匂いで何かを感じとる雇い主の主人。半地下の匂いです。
一体、どんな終わり方をするのだろう?と、思いながら観ていたのですが、想像もできなかった結末を迎えます。正直、モヤモヤした気持ちになってしまうのですが、元家政婦の秘密には驚ろかされました。パラサイトという意味がよく分かるシーンでした。
そして、父親と妹の結末。結局、誰1人幸せになれない物語でした。
実際に、韓国では貧富の差が激しいと聞きます。問題を上手く表現したとても興味深い映画です。

ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド / The Legend of Zelda: Breath of the Wild / ブレワイ / BotW
10

ゲーム史上最高傑作!

このゲームは、任天堂の有名タイトルであるゼルダの伝説シリーズのヒット作の一つです。このゲームの素晴らしいところ、それは何と言ってもその自由度ですね。一度でもゲームをしたことのある方ならわかっていただけると思うのですが、ゲームというものは製作者が考えた道筋を辿るものにほかなりません。横スクロールの一本道をひたすらジャンプしながら走り抜けるマリオ、マサラタウンの超えられない段差。ところが、このブレスオブザワイルドに関しては、ほぼ自由!98%くらい自由なんです。目の前に広がる景色のどこへでも行けるし、超えられない段差はない。推奨されている道筋はありますが、そんなものは無視して最初からラスボスを倒しに行っても全然かまわない!最近は自由度の高いゲームも増えつつはありましたが、ラスボスを最初から倒せちゃうとか、山でも谷でも超えて道ならぬ野を突っ切ってもいいとか、その道中でイノシシ狩ったりリンゴを採ったり、木を切り倒して薪にしたり集めた材料で料理したりと、本当にここまで何でもできるゲームはありませんでした。
そして、自然の中を自由に冒険するというコンセプトを最大限に盛り上げているのが、音、です。このゲームではBGMはほとんどありません。たまに優しいピアノのBGMが流れるくらいで、そのほかは草のそよぐ音だとか、川のせせらぐ音だとか、虫の鳴き声や風の音などしかしないんです。それが、また、自分がそこに立っていて、あたかもその場で風を感じているかのような臨場感を与えてくれるんです。
また、このゲームのグラフィックスに関してですが、リアル寄りよりもアニメ寄りで、不思議なことに逆にその方がリアルというか、とても美しいんです。リアルに寄せたグラフィックスって、逆にわざとらしすぎたり、ちょっとしたところで粗が見えてしまったりしますが、アニメ寄りのグラフィクスなので、プレイヤーもそこまでリアルを期待しておらず、だからこそ草が揺れたり、鳥がV字で飛んでいるのを見るといちいち感動してしまいます。
加えて、このゲーム内では独自の物理エンジンが組み込まれており、リアルとは違う挙動でありながら、木も、岩も、草も、水も、人も、敵も、とても説得力のある、納得できる挙動をするんです。敵もAIが非常に優秀でどこか可愛げがあり、プレイヤーが見ていないところでもイノシシを追いかけまわして狩りをしたり、肉を横取りしたり、横取りされた方は悔しそうにしたり、本当にハイラルに息づいているんだなあ、とすごくほっこりします。
とにかくおすすめです。ニンテンドースイッチを持っている人には全員必須で持っていてほしいくらいおすすめです。

鬼滅の刃 / Demon Slayer: Kimetsu no Yaiba
9

鬼滅の刃

主人公の炭治郎が家族を鬼に殺された復讐心から鬼殺隊に入ったというわけではなく「これ以上、鬼に人を殺させない」「自分のように悲しい思いをする人間を増やしたくない」という気持ちで入隊したという設定が、人間味があって良いなぁと思います。
炭治郎は人間であり、生まれつき特殊能力を持っていたのではなくすごく努力した上での力なので、現実感があり素直に応援できました。鬼と戦って全身ボロボロになった後は数ヶ月かけてきちんと体を治す。という、今までの漫画にはない描写もたくさんあり、いつの間にか怪我が治っているヒーローとは違い、普通の人間なのだということを強調していて、新鮮でした。

また、鬼には鬼になった理由があり、切ない気持ちになります。誰にでもある人間の弱い部分や醜い部分を鬼に付け込まれ、その人もまた鬼になってしまう。
「自分の中の鬼がこれ以上大きくならないように、気を引き締めて生きないといけないなぁ」と思わされます。

普段、少年漫画は絵が好きになれずあまり読まないです。鬼が少しグロいですが『鬼滅の刃』は絵が可愛いので、女性でも読みやすいです。
私の4歳の娘は禰豆子が大好きで、丸めた何かをよく口にくわえています。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド / Once Upon a Time in... Hollywood
8

100日後に死ぬシャロン

タランティーノ映画というと、『キル・ビル』シリーズ、『ジャッキー・ブラウン』『デス・プルーフ』といったように、ハイテンションかつスリリングに物語が進んでいく映画が多く、そのなかに漂う、プログラムピクチャーの雰囲気に惹かれている人も多いと思います。僕もそうですが。
そんなタランティーノ映画のなかにあって、異色なのが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。他作品からみるとストーリーがなく、つまらないっていう意見もありますが、そこがこの映画の魅力です。たんたんと進んでいく毎日のなかで、徐々に映画業界のメインストリームから離れていく、リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)、クリフ・ブース(ブラッド・ピット)の二人に対して、映画業界で頭角を現していくシャロン・テート(マーゴット・ロビー)。
そして、この作品は史実に基づいているから、観客はこの後シャロン・テートがどうなるかを知っている。だから辛いんです。『100日後に死ぬワニ』を読んでて感じる辛さがこの映画にはある。犯罪史に名を残すほどの陰惨な事件に、このあと巻き込まれることを知らずに、天真爛漫に毎日を謳歌するシャロン・テート(というかマーゴット・ロビー)を見るたびに、悲しみが押し寄せます。

荒野のドラゴン
10

マカロニ+空手の異色作!

60年代後半のマカロニウェスタンブームと70年代半ばのドラゴンブームが奇跡の融合を見せた異色のマカロニウェスタン。
19世紀後半のテキサスを舞台にカウボーイになるべく中国から渡ってきた空手使いの若者「上海ジョー」が、街を支配する悪辣なボスの怒りを買ったことから、暗殺者から狙われるも得意の空手で一掃するまでを描く。
主人公の「上海ジョー」を演じるチェン・リー(実は日本人の早川明心)は初主演ということもあり、素人っぽさ抜けないものの、ドラマ自体が特異な設定故にある種の存在感を与えているのも事実。
しかしそこは「面白ければ何でもアリのマカロニウェスタン」の世界だけあって、銃やナイフといった飛び道具を操っては執拗に狙ってくる殺し屋との対決は見ものとなっていて、クラウス・キンスキーやゴードン・ミッチェル、ロバート・ハンダーといったマカロニではお馴染みの個性派俳優の若干変態じみた悪役ぶりは俄然映画を盛り上げてくれる。
そして最後には、かつて「上海ジョー」と同門で腕を磨きながらも悪の道に走り、殺し屋となった「ミクリヤ」との死闘という最大の見せ場まで用意されていてぬかりはない。
おそらく「イタリア人が想像した少林寺?」のようなシーンもあり、多少苦笑いしつつも心底楽しめる作品に仕上がっているのは間違いない。