ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド / Once Upon a Time in... Hollywood

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド / Once Upon a Time in... Hollywood
8

100日後に死ぬシャロン

タランティーノ映画というと、『キル・ビル』シリーズ、『ジャッキー・ブラウン』『デス・プルーフ』といったように、ハイテンションかつスリリングに物語が進んでいく映画が多く、そのなかに漂う、プログラムピクチャーの雰囲気に惹かれている人も多いと思います。僕もそうですが。
そんなタランティーノ映画のなかにあって、異色なのが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。他作品からみるとストーリーがなく、つまらないっていう意見もありますが、そこがこの映画の魅力です。たんたんと進んでいく毎日のなかで、徐々に映画業界のメインストリームから離れていく、リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)、クリフ・ブース(ブラッド・ピット)の二人に対して、映画業界で頭角を現していくシャロン・テート(マーゴット・ロビー)。
そして、この作品は史実に基づいているから、観客はこの後シャロン・テートがどうなるかを知っている。だから辛いんです。『100日後に死ぬワニ』を読んでて感じる辛さがこの映画にはある。犯罪史に名を残すほどの陰惨な事件に、このあと巻き込まれることを知らずに、天真爛漫に毎日を謳歌するシャロン・テート(というかマーゴット・ロビー)を見るたびに、悲しみが押し寄せます。