ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド / Once Upon a Time in... Hollywood

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド / Once Upon a Time in... Hollywoodのレビュー・評価・感想

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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド / Once Upon a Time in... Hollywood
10

タランティーノ作品史上No.1映画

クエンティン・タランティーノ監督の9作目の監督作品。
タランティーノ監督は『パルプ・フィクション』『キル・ビル』などの人気映画を監督してきた映画監督で、「映画を10作撮ったら監督を引退する」と宣言しています。

そんな彼が9作目に選んだのは、1969年のハリウッドを舞台に起きたとある凄惨な殺人事件の中に、もしも空想のキャラクター2人組がいたら…というストーリー。監督曰く、「この作品はハリウッドへのラブレターだ」。
映画愛に溢れたタランティーノ監督にしか撮ることのできない展開、監督自身が幼少期に体験したハリウッドでの思い出をふんだんに盛り込んだ作品になっています。

私が思うに、彼の映画の最大の魅力はキャラクター。
テレビドラマで一躍スターとなったが、今では落ちぶれてしまい自信喪失状態の主人公をレオナルド・ディカプリオが、その彼のスタントマンを務める自信たっぷりのイケおじをブラッド・ピットが演じています。その他にもマーゴット・ロビー、アル・パチーノ等アカデミー賞受賞俳優が勢揃いしています。

子供の頃から映画で育った男、タランティーノが「映画の力を信じてる」と言わんばかりの作品は、観た者の心を打つこと間違いなしです。上映時間は約3時間ですが、映画が終わった後もまだこの世界に浸っていたいという感覚を与えられます。最高の映画です。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド / Once Upon a Time in... Hollywood
9

クェンティン・タランティーノ監督、最高のヒット作。ハリウッドでの惨殺事件を描いた!

『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は2019年に公開されたコメディ劇映画で、監督はクェンティン・タランティーノ。
製作はコロンビア映画社、ボナフィルムグループ、ヘイディフィルム、ヴィジョナロマンティカで、配給はソニーピクチャーリリーシングです。
米国、英国、中国の共同製作です。出演はレオナルド・ディカプリオ、ブラッド・ピット、マーゴット・ロビーです。
1969年のロサンゼルスが舞台で、映画では消えゆく性格俳優と彼のスタントマンが急速に変化してゆく映画産業を生き延びていく様が描かれており、前途にはテイト殺人事件の影がぼんやりと浮かび上がります。
映画では、ハリウッドの黄金時代の最後の瞬間に捧げられた現代的な童話を貫く複数の伏線が張られています。
ボブとハーヴェイ・ウェインステインの関わらないタランティーノの最初の作品で、2017年に製作が発表されました。
まるで戦争のような入札合戦の後で、映画の配給権はソニーピクチャーズに移り、タランティーノは最終版を切り出す特権を与えられました。
ピット、ディカプリオ、ロビー、ゾーエ・ベル、クルト・ラッセルも2018年の6月までにはキャストに加わり、撮影はロサンゼルス周辺で、7月から11月まで行われました。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド / Once Upon a Time in... Hollywood
10

クエンティン・タランティーノが描くシャロン・テート殺害事件

クエンティン・タランティーノ監督の最新作『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』は、ブラッド・ピットとレオナルド・ディカプリオというハリウッド二大巨頭を要する作品です。
上映時間160分越えという長尺ながら、クエンティン・タランティーノ独特の会話劇でぐいぐい引き込まれていきます。
1969年のハリウッドを舞台に、人気に陰りが出てきた俳優リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)と、そのスタントマンであるクリフ・ブース(ブラッド・ピット)が時代に取り残されないよう奮闘する様子が延々と映し出されます。
しかし、本作はある実在の事件を基に作られた作品なのです。
その事件とはシャロン・テート殺害事件。
映画監督ロマン・ポランスキーの妻であり、女優でもあるシャロン・テート。
彼女は妊娠中にチャールズ・マンソン率いるカルト集団「マンソン・ファミリー」に惨殺されます。
物語はこの事件に向って動いていくのですが、クエンティン・タランティーノがこの事件にどう落とし前をつけるのか、そこが非常に見どころな映画です。
他のクエンティン・タランティーノ作品と同様に、本作もサウンドトラックが非常に良いです。
ブラッド・ピット演じるクリス・ブースが、ラジオ爆音の車に乗って1969年のロサンゼルスを颯爽と駈けるシーンはずっと見ていたくなるほど気持ちいい、本作の白眉だと思います。

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7

実在とフィクションの混ざり合ったユニークな作品

どうして今「シャロン・テート事件」を描くんだろうって疑問でした。複雑でした。映画をさらっと観ただけだとわからないかもしれません。パンフも熟読してタランティーノ監督の想いに積極的に寄り添うとよく理解できました。この映画はブラピとレオの二大スターの共演によって描かれるハリウッド黄金期の最後の瞬間と、マーゴット・ロビーによって演じられる純粋無垢なシャロン・テート、同じ時代の同じ場所の二つの物語がうまい具合に絡み合っています。アメリカのヒッピー文化もわかります。マンソン・ファミリーについてはよくパンフを読んだ方がいいです。ブラピとレオは甲乙つけがたいですが、ブラピですかね。セブンやファイトクラブをイメージしました。レオはコミカルに泣いたり笑ったり、楽しく演じている感じでした。楽しい撮影だったんじゃないかと想像されます。マーゴットはシャロン・テートになかなか似ていますね。天真爛漫、無邪気な女性です。まだまだ恋も仕事もこれから。というかあまり欲がなく、現状の幸せに満足している感じ。カルト集団に惨殺された若く美しい女性というイメージしかない女性にいまスポットを当てて、そのイメージを払拭してくれました。報われたような感じがしました。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド / Once Upon a Time in... Hollywood
9

ハリウッドの映画史を変える一作

世界的な有名俳優のブラット・ピットとレオナルド・ディカプリオが初共演したことで話題となった本作でありますが、他にもたくさん、人々を魅力する点があります。まず、1960年代に最盛期を迎えたハリウッドの世界が忠実に再現されているということです。監督を務めるクエンティン・タランティーノは幼少の頃、ハリウッド映画の影響を多大に受けました。そのため、本作は彼のハリウッドへの尊敬が大いに込められた一作となっています。もう一つの特徴をして、ノンフィクションとフィクションを上手く融合させている点です。ストーリーは、ハリウッド映画が衰退していくきっかけとなってしまった実際の事件「シャロン・テート殺人事件」が題材となっています。1960年代、世界に激震を走らせたこの事件ですが、当時衝撃を受けた一人であるクエンティン・タランティーノ監督は本作の世界でそれを阻止したのです。俳優として落ち目になっていく自分に焦りを感じるレオナルド・ディカプリオ演じるリック・ダルトンと彼のスタントマンを務めるブラット・ピット演じるクリフ・ブースという架空のコンビが殺人を計画する犯人に果敢に立ち向かい、事件は解決を図ります。ハッピーエンドで終わる本作には、この悲惨な事件がなければ未だにハリウッド映画は輝き続けていたかもしれないと考えるクエンティン・タランティーノの思いが込められているように観客に感じさせます。

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド / Once Upon a Time in... Hollywood
8

100日後に死ぬシャロン

タランティーノ映画というと、『キル・ビル』シリーズ、『ジャッキー・ブラウン』『デス・プルーフ』といったように、ハイテンションかつスリリングに物語が進んでいく映画が多く、そのなかに漂う、プログラムピクチャーの雰囲気に惹かれている人も多いと思います。僕もそうですが。
そんなタランティーノ映画のなかにあって、異色なのが『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。他作品からみるとストーリーがなく、つまらないっていう意見もありますが、そこがこの映画の魅力です。たんたんと進んでいく毎日のなかで、徐々に映画業界のメインストリームから離れていく、リック・ダルトン(レオナルド・ディカプリオ)、クリフ・ブース(ブラッド・ピット)の二人に対して、映画業界で頭角を現していくシャロン・テート(マーゴット・ロビー)。
そして、この作品は史実に基づいているから、観客はこの後シャロン・テートがどうなるかを知っている。だから辛いんです。『100日後に死ぬワニ』を読んでて感じる辛さがこの映画にはある。犯罪史に名を残すほどの陰惨な事件に、このあと巻き込まれることを知らずに、天真爛漫に毎日を謳歌するシャロン・テート(というかマーゴット・ロビー)を見るたびに、悲しみが押し寄せます。