検察側の罪人 / KILLING FOR THE PROSECUTION

検察側の罪人 / KILLING FOR THE PROSECUTION

『検察側の罪人』とは、雫井脩介によって書かれた日本の小説が基になっている日本のサスペンス映画である。木村拓哉と嵐のメンバーである二宮和也がダブル主演で魅せるサスペンスストーリー。老夫婦殺人事件と時効を迎えた事件がきっかけとなり自分の正義に固執する最上と事件の真相に対する正義を追い求める沖野の対立が描かれた本作。脇には吉高由里子、大倉孝二、八嶋智人などが固める。映画のキャッチコピーは「一線を超える」。

検察側の罪人 / KILLING FOR THE PROSECUTIONのレビュー・評価・感想

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検察側の罪人 / KILLING FOR THE PROSECUTION
7

思った以上にクライム系。

思った以上にクライム系の話で、クライム系が好きな私には合っていました。元となる事件もなかなか謎があって、どういうことなのかサスペンスとしても楽しめました。木村拓哉さん主演の映画で、彼が悪いことをするんだろうとは思っていたけど、思った以上に悪かったです。
彼の気持ちもわかりますが、なんか証拠を偽造して逮捕させるとかそういうことかと思っていたので、あの展開は意外でした。木村さんは教場で怖い教官役をしていましたが、こういう上の人が似合う年代になったんだなと感慨深く思います。
検察というのは強くならなきゃなれないのでしょうが、ちょっと圧が強すぎて、こういう話を見ると冤罪ってだから起きるんだろうなと思って嫌な気もします。二宮君の取り調べとかほんと嫌でした。でも、上の者から早く自供をみたいなことを言われれば、ああなっちゃうのも仕方ないのかもしれません。
その後、二宮君が改心するところがよかったです。木村拓哉さんの気持ちもよくわかりますが、それならなぜ正々堂々と自首しないのかと思います。本当殺されても仕方のない人はいるかもしれませんが、人を殺していい人なんていないと思います。キャストもキムタク、二宮君以外の人も皆癖がある感じで、見ていておもしろかったです。

検察側の罪人 / KILLING FOR THE PROSECUTION
7

話は読めたけどおもしろかった。

話の筋は読めてしまうところがあって、サスペンスでいうとあんまりかなと思います。でも、わかりやすいっていえばわかりやすいし、専門性の高い、重苦しい現場での話なので、ものめずらしくておもしろいです。また、木村拓哉さんは、年を重ねて渋くなっててかっこいいなと思います。昔とはちょっと違う役ができるようになって、今のほうが好きです。二宮さんは、嫌味っぽいところとか、童顔ですが頭のよさそうなところがいかにも検事(偏見かもですが)って感じがして、うまく被疑者を落とせそうと思えました。
話的にはどうなんだ?って話ですが、ああいう立場の人ならそういうことをしてしまうかもしれないし、だからこそ、性格とかも含めてなれる人、なれない人がいる職業なんだろうなと改めて感じました。こういう映画を見ると、冤罪とかもあるからよくはないんだけど、犯人を見つけようと必死になったり、きつい口調になるのも仕方ないのかもと思ったり、いやダメだよと思ったりいろいろ考えてしまいます。演技もみなさん、良かったと思いますが、邦画だとどうしてもセリフが聞こえにくく、しかも最初のほうの、検察の研修とか検察官同士での会話になると、日常会話じゃないし何言っているのか聞き取れないところがあって、それが残念です。

検察側の罪人 / KILLING FOR THE PROSECUTION
10

脳が揺らぐレベルの頭脳戦、木村拓哉と二宮和也の真骨頂を見た

原田眞人監督作品です。
男臭い物語が多いなかで、今回の『検察側の罪人』もさまざまなタイプの濃いキャラの男たちが仕事と命を懸けた戦いを展開していくのです。

舞台は検察。
かつて自分が慈しんだ少女が殺され、トラウマを抱えていたエリート検事最上を木村拓哉、その後輩であり、教え子でもあった若手検事沖野を二宮和也が演じています。

冒頭、揺らぐような東京の光景が広がるオープニングから、最上と沖野の関係性、彼らを取り巻く世界へとぐいぐい引っ張りこまれていくそのパワーはすさまじいものがありました。

そして新たに起こる残忍な事件と、過去の事件の繋がりに最上は狂おしいまでに苛まれ、あるべき道を踏み外し、ずぶずぶと闇にからめとられていくのです。
老獪さをも身につけていたはずの最上と、若さゆえの脆さと強さを抱えて苦しむ沖野の姿は、どちらにも正義があり、また、綻びもあり、完全無欠な正義などどこにもないのだと思い知らされます。

そんな二人の周囲に配されたバイプレイヤーも強烈なキャラクターの持ち主ばかりですが、ことに松重豊さんの演じる裏社会の男、諏訪部は出色の出来であったと思われます。
彼の存在が、原作よりも複雑な物語の深みを構築し、そして主演の二人をより一層浮かび上がらせてくれたのです。
彼もまた圧倒的な悪に近いものがありつつも、完全なそれでなく、彼自身の倫理観を持ち、生きている。
そういう意味で、最上や沖野らとの絡みは大変に興味深く、全編通して物語を引っ張っていくのです。

検察側の罪人 / KILLING FOR THE PROSECUTION
9

見応えのある映画です

木村拓哉さんと二宮和也さんのW共演で、話題を集めている「検察側の罪人」ですが、結論はおもしろかったです。
その主な理由として、『アイドル映画ではなく、ストーリーや映像などしっかり作られていた』『それぞれのキャラクターが活きている』『なんといっても二宮和也さんの演技がすばらしい』が挙げられます。
本当の「正義」ってなんだろう?って、考えさせられる場面が何度もありました。自分が、最上(木村拓哉)だったら?もし自分が沖野(二宮和也)だったらどうしただろう?
ただ、最上が人を殺すとは思っていなかったので、衝撃でした。そのシーンは木村さんの銃を初めて撃つリアリティが表現されていて、見ているこちらも心臓バクバクでした。沖野のシーンは、容疑者松倉を取り調べるシーンで、松倉のマネをして口で音をたてながら、松倉を言葉でたたみかけていくシーンには引き込まれてしまいました。あと、上司である最上に意見できないが、ガマンしてガマンして爆発寸前、頭を抱えて本音がうめき声のように出てしまうシーンもすごく見応えがありました。
また、木村さんや二宮さんを脇で固める俳優陣の方々も、それぞれのキャラクターが個性豊かで、個性のぶつかり合いといった迫力ある演技で、それを見るだけでも価値がある映画でした。是非、一度みていただきたい。ちょっと、ストーリーに政治的なお話もあり、わかりづらい部分もあるかなと感じました。

検察側の罪人 / KILLING FOR THE PROSECUTION
10

これが「目」と「表情」で語る映画だ!

沖野(二宮和也)の怒涛の取り調べシーン。あれは言わずもがなこの作品の見所です。アドリブだと言われている「その辺で首吊って死んでくれるか?」を初めて聞いたときは思わず震えあがりました。でも、見所はそれだけではないんです。最上(木村拓哉)の目で語る焦り、悔しさ、正義が導く矛先が変わった瞬間は観ているこちら側がゾクっとしてしまいます。また、最上の変化に気づき、疑問を抱き始める沖野の苦しみ、辛さ、葛藤が見える表情もこちらが顔をしかめてしまうほどです。さらに、橘(吉高由里子)の今にも消えてしまいそうなのに、芯の通っている声が、最上と沖野をより一層引き立てていると思います。私は、はっきり言ってこの映画は1回みただけでは分からないと思います。2度も3度も見ることで、やっと物語がなにを表しているのかが目に見えて来ます。映画のラストシーンでは、最上と沖野それぞれの正義が真っ向からぶつかり合います。なぜ沖野はあのタイミングで叫んだのか。最上はなぜハーモニカを持って外に出たのか。それを踏まえて2回目の鑑賞をすることをお勧めします。そして、現代の日本の社会問題についても勉強しておくとより良いかもしれません。あなたもこの映画を見たら、エンドロールの時間があっという間に感じますよ。

検察側の罪人 / KILLING FOR THE PROSECUTION
7

いつも通りの演技かと思っていたら…

木村拓哉と二宮和也が出演の話題の映画。
木村拓哉はテレビドラマで検事をしていたので、同じような演技かと思っていたら、意外にダークヒーローのような感じでした。検察幹部で出世のためなら、裏社会の人に頼んで揉み消しすることも構わずという考えの持ち主。
二宮和也の演じた役は、正義を貫くタイプ。木村拓哉の演じる役とは、対照的な立場で、何かと衝突の機会が多くなるという展開でした。
裁判で無罪を勝ち取りたい被告と、有罪にしたい検察側の間で攻防が繰り広げられます。被告は過去に未成年だった頃に殺人事件の容疑者だったけど、証拠不十分で無罪になった人物。今回の事件でも、無罪の可能性が高いけど、検察側は被告を有罪にしたい意図があって、裏社会の人に依頼するなどして、被告を有罪しようと画策されます。
木村拓哉が演じる役にとっては、不利な事が次から次へと判明していくけれど自ら困難を打破して行く様子が痛快で、ダークヒーローなのに応援したくなる不思議。最後は物語の展開的には、後味悪いんだけどどこか安堵のような気持ちもありました。
実際の裁判の攻防も、こんなような感じなんだろうかと思ってしまうような話でした。一般企業でもお役所でも、上層部の意向に沿って翻弄される部下はいるんだと感じました。

検察側の罪人 / KILLING FOR THE PROSECUTION
6

『検察側の罪人』を見て

原作本を読んでからの映画鑑賞でした。主役の木村拓哉さん、二宮和也くんは、最上、沖田両検事のイメージにぴぴったりだと思いました。
二宮くんはさすが演技が上手でした。特にラストシーンの慟哭は胸に来ました。木村さんは申し訳ないんですが何を演じてもキムタク。「ちょ、待てよ」はさすがになかったものの、さほど胸に迫る演技ではありませんでした。
上下巻あるという原作を、2時間ものにまとめているので、かなり端折った印象もあります。特に最上検事がなぜあの犯人に恨みを持ち、自分の立場を忘れて犯罪に手を染めていくことになるのか、そこの心理描写が物足りない気がしました。背景をもっと描き、昔の事件の状況と、その時に彼が何を思ったのをもう少し丁寧に描いてくれなければ、あの犯行に説得力が感じられません。
音尾琢真が出てきますが、この方の悪役っぷりは最近見事だと思うものの、この役が必要だったのかどうか疑問です。
私は原作を読んでいましたので、昔どういうことがあり、誰が犯人でどういうウラがあるのか、ということは理解して観ることができましたが、原作を知らない人がどれくらい理解できたのか、お尋ねしてみたいです。むしろ連続ドラマで時間をもう少しかけて映像化してほしいお話でした。

検察側の罪人 / KILLING FOR THE PROSECUTION
7

もう1回観たい。

筆者自身がジャニーズ好きなので、多少のひいき目はあるかもしれないが、ご容赦いただきたい。今回は2つの視点からの感想をお伝えしたいと思う。
一つはやはり話題であるキムタクとニノの演技対決!2人とも演技力は言わずもがなではあるが、作品に対するというより、それぞれが積み重ねてきたキャリアの集大成として披露し、また「俳優」だけではない、世間に認知された「ジャニーズの俳優」としてどう表現していくか模索し、苦心したうえでの作品と言える。
2人の繊細かつ勇敢な感性を垣間見れたと思う。色々言われてしまいやすい2人だが、今後も第一線で活躍する姿を見続けていたいと思った。

2つ目は演出についての感想。原作が大作であればあるほど、映像が薄っぺらく感じてしまうこともよくある。今回も切り取った感を感じないわけではないが、さすがの原田監督、俳優の演技、画角、セリフ回しから、しっかり厚みの演出となっていて、引き込まれざるを得ないといった感触。ただこの作品に限らず、暴力に対する女性の反応として「怯え」のみ描写があることが不思議である。この作品であれば吉高由里子演じる「女性事務官」の反応である。木村拓哉演じる最上と同じくらいの怒りを表現してこそリアリティと思う。個人的には。