ペンギン・ハイウェイ

ペンギン・ハイウェイのレビュー・評価・感想

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ペンギン・ハイウェイ
8

21世紀の理科学少年

ペンギンは好きですか?特にフンボルトペンギンはお好きですか?フンボルトペンギンが好きならば、絶対に見たほうがいい映画です。
海のない学研奈良登美ヶ丘に大量のペンギンが発生。登美ヶ丘にすむ理科学少年がその謎に挑むのが本筋なのですが、本当にいい理科学少年で所謂造成地のエモさと合間って形容の仕様がないほど心がときめきます。何より、少年たちが生駒の山を越えられないのがドラマチックです。あの山は大人には低く子供には高い山だったな、と思い出させてくれます。まぁ、生駒の周囲で育った人間にしかない思い出なのですが。
ただ、関西の話なのにみんな標準語なのは気持ち悪い人には気持ち悪いかも知れません。言葉にストレスを感じない方のほうがおすすめかな。
こまっしゃくれた理科学少年の淡い恋の行方がまた切なくてたまらないのです。
原作は「夜は短し歩けよ乙女」の森見登美彦氏なので、きっと「ペンギンハイウェイ」の少年もいつか京都大学へ進学するんだろうな、そしてこのひと夏の不思議な経験を一生涯をかけて研究しちゃうんだろうなと思うと画面がにじんで何も見えなくなります。
作中に出てくる文房具類が普通の文具店でも入手可能というのもいいですね。
理科学少年とペンギンが好きな方はぜひご覧になってみてはいかがでしょうか?

ペンギン・ハイウェイ
9

世界観がSF感満載で終始楽しめた!

予告の映像のペンギンの可愛さにやられ、友人とペンギンハイウェイの映画を観ましたが、自分の想像以上のSFチックな表現が満載で圧倒されました。
もともと小説が原作の映画ですが、小説を読んで映画を見るのも、映画を見て小説を読むのも、どちらも楽しめそうだなと思う内容でした。
私は小説を読まずに映画を見たのですが、原作の小説の中でこの映画に描かれなかったことがあるのだろうかと探求心をくすぐられます。
主人公の男の子、アオヤマ君はかなり学者体質のようで、映画内で彼の書くノートの中身はかなり年相応の小学生が書くものなのかと思うくらいの文字や、観察対象の絵などの内容が詰め込まれていました。
そんな彼を取り巻く登場キャラクターも魅力的で、アオヤマくんの思いを寄せるお姉さんは劇中で名前が出ることなくミステリアスな印象があり、セリフも謎掛けのようなことを言ったりと、思わず引き込まれるようなものが多かったです。
彼の住む町で不思議な事がおき始めますが、そのことの始まりにこの作中には欠かせないペンギンの出現です。
劇中で可愛くたくさん活躍するシーンもあるので、ペンギンが観たかった私にとっては大満足でした。
劇中どんどん明かされていく謎も、子供目線で進んでいく描写、残る疑問もこの映画の見どころなんだなと思いました。
ラストシーンあたりに世界感がいっきにSFの表現が際立っていくのですが、これもまた映像の表現力の高さも相まって圧巻でした。
たくさんの人におすすめできる映画だと思います。

ペンギン・ハイウェイ
9

かつて「アオヤマ君」であった大人の方へ

本や映画が好きな人なら「何回読んでも/観ても感動する」という作品の一つや二つあるのではないでしょうか。私にとってはこの作品がそうでした。

原作者は「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大系」「有頂天家族」など、アニメ化作品も多い森見登美彦先生。京都を舞台にした作品を多く書かれているのですが、今作は一味違う、郊外の新興住宅地に住む小学生を主人公としています。
早熟で少し生意気な小学四年生のアオヤマ君を主人公とし、彼の憧れる歯科助手の「お姉さん」、それと彼の友人が関わっていく一夏の冒険譚です。
原作の大ファンであったため、はじめアニメ映画化と聞いたときは、他の作品の原作ファン同様に嬉しい反面、不安がありました。しかし予告編で流れたコーラ缶がペンギンに変化していく映像を観た瞬間、それは期待に変わりました。原作では文字の表現で細かな描写で、読み手は非現実的な事象でもぼんやりと頭の中でイメージを描くことができます。そんなぼんやりとしたイメージが、見事にアニメーションとして表現されていたのです。登場人物のビジュアルや声も、賛否はあるかと思いますが、個人的にはイメージ通りで全く違和感はありませんでした。

なにより、私が最も好きな最後の場面を、見事に映像とモノローグで表してくれていました。冒頭でも述べましたが、原作は何度読んでも最後で泣いてしまいますが、映画でも映画館でこんなに泣いたのは初めてではないかというくらい、感動してしまいました。
アニメーション映画ですが子どもだけでなく、ぜひかつてアオヤマ君であった大人に見てほしいと思う作品です。

ペンギン・ハイウェイ
9

夏に見たいSF映画

「夜は短し歩けよ乙女」「四畳半神話大系」など、アニメ化された作品を多く手掛けている森見登美彦氏の作品を原作とした映画。
京都を舞台として、悶々とした大学生活を送る主人公が登場することが多い森見氏の作品において、今作は異色である。舞台は新興住宅地、主人公は日々の発見や、疑問について研究する小学生・アオヤマ君。彼の日常に突然起こった出来事が街に登場したペンギンであった。
このペンギンはどこからやってきたのか?どうしてこの街に現れたのか?この謎を解き明かすため、アオヤマ君の研究が始まった。そうしているうちに、彼の憧れる歯科助手のお姉さんがこのペンギンの登場に関わっていると気が付く。お姉さんは一体何者なのだろうか?なぜペンギンなのか?鑑賞しながら私たちはアオヤマ君と共にその謎を考えていく。
一見、日常のちょっとした冒険が描かれているようだが、物語の途中からふんだんに盛り込まれていくSFの要素が興味深い。アニメーションならではのファンタジックな場面、臨場感のある場面が美しいタッチで表現されている。
アオヤマ君が最終的に導き出す、お姉さんとペンギン、そして彼の街に起こった不可思議なことの答えは衝撃的なものとなる。
爽やかに感動出来る、夏になると見たい映画の一つになった。